本会議 斉藤まりこ都議(足立区選出)の討論
2020年12月16日の本会議で、斉藤まりこ都議(足立区選出)が討論を行いました。
動画(都議会ホームページです。令和2年第4回定例会 >12月16日(水曜日)本会議(議案の議決など)をご覧ください)
★2020年都議会第4回定例会 討論全文(原稿)です。
日本共産党都議団を代表して、知事提出の第217号議案ほか4議案に反対、その他の議案に賛成し、わが党提出の5つの条例案に賛成する立場から討論します。
今定例会は、新型コロナの第3波の中で行われ、都民の命と暮らしをどう守るのか、都政の役割が厳しく問われるものになりました。しかし、知事の感染防止対策は個人や事業者の責任を強調するだけで抜本的な対策がなく、都民の暮らしと営業を守る支援も不十分で、深刻な感染拡大と暮らしの危機に応えるものになっていないことが浮き彫りになりました。
知事は所信表明で「感染対策短期集中」と発言しましたが、対策の中心は都民と事業者の自助努力であり、新型コロナ感染症対策で重要な、無症状者を発見するための検査を抜本的に強化する戦略は示されませんでした。わが党は代表質問で、一人でも陽性者が出た際に、濃厚接触者に限らず、その周りを広く検査することや、陽性者が出ていなくても、医療施設、福祉施設、特別支援学校などへの一斉・定期的な検査を行うことの重要性をただし、都の方針として打ち出すよう提案しました。
しかし知事は、これに答えませんでした。会期中に新規陽性者数は過去最高を更新し、都のモニタリング会議からも、無症状者も含めた集中的なPCR検査を行うなどの戦略を早急に検討するよう求められています。これまでの知事の対策では、感染拡大を食い止めることができないことが事実によって明らかになりました。検査の抜本的強化の方針を直ちに打ち出すよう、強く求めるものです。
医療崩壊を食い止めるためには、新型コロナ患者の受け入れ病院だけでなく、一般医療、地域医療への支援が不可欠です。わが党が、都医師会が要望している都独自の補助の実現を求めたところ、都は国に対して要望していると答弁しました。コロナの患者もその他の患者も守れるよう、都独自の補助を行うことを、改めて強く求めるものです。
国民や野党の強い批判を受け、ようやく国は「Go Toトラベル」の一時停止を決めましたが、全面停止は28日からとあまりに遅すぎます。直ちに停止するとともに、新型コロナ感染が収束するまで延期し、関連する事業者への直接支援を行うことを国に強く要請すべきです。
年末年始が迫るなか、都民の暮らし、雇用、営業、住まいを守ることは待ったなしです。中小業者は営業を続けられるかどうかのがけっぷちに立たされています。労働者の解雇や雇い止めが年末に増えることも懸念されます。都として、誰一人とりのこさない対応が今こそ求められています。暮らし、雇用、住まいの問題など、ワンストップで緊急相談に対応する体制を整備し、区市と連携して年末年始の相談窓口を開くよう強く求めます。
都民ファーストの会は、都民がPCR検査などの命令に従わない場合に、罰則を科す条例改正を今後も検討するとしていますが、感染者が接触者を申告しづらくなり、感染が水面下でひろがる懸念があるだけでなく、差別をさらに助長する危険があります。政治がやるべきことは、安心して検査を受けられる体制を整えること、陽性だった場合でも仕事や生活、家族の心配をしないですむようにすることであり、都民を追い詰めるようなことをするべきではありません。
日本共産党都議団は、学生への緊急応援給付金、ひとり親家庭への支援、シルバーパスの改善、小中学校の給食費への助成、島しょの方々が島外の病院に通う際の交通費・宿泊費補助の暮らしに役立つ5つの条例提案を行いました。いま必要なことは、コロナ禍で深刻な影響を受けている都民の生活を応援するために、政治が役割を果たすことです。皆様のご賛同を心から呼びかけるものです。
少人数学級について、わが党は、繰り返し実現を求めてきましたが、コロナ禍での都民・国民の世論の高まりのもと、今定例議会では他会派からも求める声が上がりました。知事は少人数学級を求める全国知事会の緊急提言について、「安全・安心な教育環境を確保しつつ、すべての子どもたちの学びの保障に向けた取り組みは必要」と答弁しました。それならば、知事として、少人数学級の実現のために文科省を後押しし、都としても教員定数の改善等に踏み出すことを重ねて求めるものです。
医療は、新型コロナの感染が急速に拡大する中で、崩壊の危機に直面しています。その中で、都立・公社病院は、都民の命を守る最後の砦であり、都の医療政策の屋台骨です。ところが知事は、病院への財政支出を手厚くするどころか、削減するための独法化に執着し続けています。先行して独法化された大阪市民病院機構では、看護師の退職が相次ぎ、コロナ対応のために、若年世代のがん専用病棟までも閉鎖する事態となり、人材確保が困難となっています。にもかかわらず、知事は、独法化後は人材確保が柔軟になると、都民を欺く説明を続けています。
また、独法化後の病院運営では、民間医療機関と競い合い、収益の向上を目指すことも否定しませんでした。経営効率を最優先とする独法では、収益を増やすためにもうかる医療が重視され、民間医療機関では対応困難な不採算医療を減らす見直しが、絶えず検討されます。不採算でも都民に必要な医療を提供し続けるために最もふさわしいのは、都立直営です。独法化をただちにやめることを強く求めるものです。
外環道工事の真上で起きた陥没や巨大な空洞が見つかった問題で、知事からは住民の明日をも知れぬ恐怖や絶望に心を寄せた答弁はありませんでした。それどころか、国の予算編成に対して東名以南のさらなる大深度地下トンネル計画を迫るなど、言語道断です。都市計画法の外環道事業の認可権を持っているのは小池知事です。都民の命と財産に責任を負っている都知事として、今年度末に迫った認可期限の延長はしないと表明することを強く求めます。
外環道も、羽田新ルートも、国際競争力の名のもとに、都民不在で進められています。「都民と進める」という知事の2期目の公約は、早くも完全にはがれ落ちました。
コロナ禍で、都民の暮らしがかつてないほどの危機に直面しているなか、税金の使い方は、今こそ都民の命と暮らしを最優先にすべきです。しかし、各局要求では外環道や都市計画道路をはじめ、大型開発などの不要不急の事業が聖域にされています。わが党の質問に対し都は「見直すべきものは見直す」と答弁しました。その言葉のとおりに、深刻なコロナ禍に対応し、都民の命、福祉、暮らし、営業を最優先に守り抜くための予算編成を行うことを強く求めます。
最後に核兵器禁止条約と平和の取り組みについてです。核兵器禁止条約は51の国・地域が批准し、史上初めて核兵器を違法化する国際条約が来月発効します。被爆者をはじめ、核兵器のない世界を求める市民社会と各国政府が、核に固執する大国の妨害と逆流をのりこえて達成した画期的な成果です。唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器廃絶の先頭に立って取り組むために、都は政府に対し、速やかに条約の署名・批准をするよう、強く働きかけるべきです。そして、今こそ都として「非核平和都市宣言」を行なうことを求めます。
さらに、都民の長年の悲願であり、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世につなぐための平和祈念館の整備に向け再び動き始めることを、知事および各会派のみなさんに心から呼びかけて討論を終わります。