本会議 里吉ゆみ都議(世田谷区選出)の補正予算案に対する質疑
2021年3月26日、里吉ゆみ都議(世田谷区選出)が補正予算に対する本会議質疑を行いました。
★動画(都議会ホームページです。令和3年第1回定例会 >3月26日(金曜日)本会議をご覧ください)
★質問全文(質問原稿)です。
一、新型コロナ感染症対策の補正予算案について
二、リバウンド防止の検査体制等について
・モニタリング検査について
・スクリーニング検査について
・変異株の検査について
・医療機関への支援について
日本共産党都議団を代表して質問します。
新型コロナの感染拡大から1年が経過しました。感染が広がる中で、暮らしも商売も大変になっています。飲食店の経営者からは、「もう限界だ」という声が寄せられています。
Q1 総務委員会の質疑で、営業時間短縮要請に協力していない飲食店を巡回し、事業者からは「現行の協力金の額では足りない」という意見が寄せられていること。この声については、「庁内関係部署と共有することで、コロナ対策に連携して取り組んでいく」との答弁がありました。
知事は、寄せられたこれらの声をどう受け止めましたか。
私は、新宿歌舞伎町で飲食店を経営している方々からお話を伺ってきました。
「この1年間ずっと自粛、時短要請にこたえてきた。従業員やアルバイトの生活も考え、必死に頑張ってきたが、先が見えない」と訴えられました。「今後、お店を開けるかどうかについては、アルバイトの3人に直接、意見も聞いて決めていきたい。アルバイトの生活がかかっているから」という話には、胸が熱くなりました。
経営者の方々は、どんなに大変でも、店も、従業員やアルバイトの生活も守ろうとがんばっています。しかし、支払われる協力金だけでは、本当に厳しいのが現実です。
Q2 事務費を除いた協力金の補正予算は1008億円ですが、そのうち国庫支出が99%です。都独自の支援を上乗せして、事業規模に応じた補償にすべきですが、知事いかがですか。
滋賀県では、緊急事態宣言で影響を受けた中小企業への売上確保支援補助金、国の一時支援金への上乗せなど、県独自の支援を行っています。
Q3 都は、4月1日以降の国の「リバウンド防止期間」においても、引き続き営業時間の短縮要請を行うこととしていますが、国の一時支援金は増額されていません。国が上乗せをしないのであれば、都が独自に支援すべきですが、いかがですか。
Q4 都は4月1日から21日まで「リバウンド防止期間」として、飲食店等の営業時間を5時から21時までに短縮する要請を行い、協力金を支給します。
予算特別委員会の締めくくり総括質疑で都内の主要繁華街滞留人口について、昼間は1月の緊急事態宣言以降、増加傾向が続き、抑制できていない状況が明らかになりました。
しかし、期間を4月21日までにしたこと、飲食店等の営業時間短縮要請への協力金のみの対策となった根拠が不明確です。事業者へのリバウンド防止対策は、夜の営業自粛要請だけです。
知事、本気でリバウンド防止の対策になると考えているのですか。
飲食店の経営者の方々からは、「いつも飲食店がターゲットにされてきた」「1年たっても元に戻れない。それどころか変異株が増えると報道されている」など、怒りと不安の声が寄せられています。「安心して商売できるように、都内の主要な繁華街などで徹底した検査をしてほしい」という要望も強まっています。
わが党はこの間、繰り返し要望してきましたが、経済活動を行う前提として、徹底した検査を行うよう、改めて要望するものです。
リバウンド防止というのであれば、検査の抜本的強化こそ求められています。しかし、今回の補正予算案には検査の充実のための予算は含まれていません。
<モニタリング検査について>
Q1 感染拡大を把握するためのモニタリング検査が始まったことは前進ですが、今のところ江戸川区と非公表の交通要所での検査に限られています。
交通要所での検査は20日から始まっていますが、キットの配布数は21日までに62人にとどまり、あまりにも少なすぎます。
広島県は独自に県内5か所のPCR検査センターで飲食店・医療機関・介護施設などの従事者・関係者が無症状でも検査を受けられるようにしています。さらに、広島市内に2カ所の検査場所を設置し、場所を公表し、在住在勤者の誰でも検査を受けられるようにして、感染状況の把握に役立てています。
全国で感染者が一番多い東京こそ、独自のモニタリング検査を積極的に実施し、感染再拡大をいち早く把握するべきです。知事、いかがですか。
Q2 主要な繁華街や交通要所のすべてで行うことはもちろん、商店街の空き店舗、商業施設や街の広場など人が立ち寄りやすい場所に、誰でも検査を受けられる検査スポットを設置して公表し、都内で万の単位でモニタリング検査を行うよう求めます。いかがですか。
院内感染などを防ぐための、医療機関の職員や患者などへの検査も重要です。
<スクリーニング検査について>
Q3 葛飾区で医療機関での定期的検査が行われるようになったのは重要ですが、葛飾区内には病院だけで22カ所あるのに対し、検査が行われるのは3カ所にとどまっています。対象をすべての医療機関に広げた上で、都内全域に広げていく必要があります。いかがですか。
昨日行われたモニタリグ会議の総括コメントでは、「今後、変異株等により急激に感染の再拡大が起こる可能性がある」と指摘しています。リバウンドを防止するために重要なのが、変異株への対策です。しかし、現在の都の変異株検査の実施割合は10%前後と、大きく立ち遅れています。
<変異株の検査について>
Q4 東京iCDC専門家ボードのメンバーでもある長崎大学の柳原克紀教授は、変異株検査は全検体を対象に実施するべき、現状の体制でも十分対応ができるうちに迅速に実行するべきと述べています。知事、迅速に検査数を引き上げ、全数検査を行うべきではありませんか。
Q5 そのために、民間検査機関についても、都として独自に契約をするなど、あらゆる手段で変異株検査を増やすべきですが、いかがですか。
Q6 神戸市で7割近い変異株検査が実施できているのは、管内のPCR検査の多くを地方衛生研究所で実施しているからです。
一方、東京ではPCR検査の約93%を民間検査機関が占めることが変異株検査を増やす上での課題とされています。これは、都の健康安全研究センターの検査能力が東京都の人口に対して低すぎることが、変異株検査の遅れの原因だということではありませんか。知事いかがですか。
パネルをご覧下さい。
Q7 2010年に行われた地方衛生研究所アンケートによれば、全国の地方衛生研究所の管轄人口の平均は167万人ですが、都の地方衛生研究所である健康安全研究センターが管轄する人口は1246万人とケタ違いに多く、2番目の自治体と比べても2倍以上です。
知事、現在では人口1400万人を超えている東京都で、地方衛生研究所が1カ所しかないのは少なすぎると思いませんか。
健康安全研究センターの強化が必要です。多摩地域や23区東部地域などに、都の地方衛生研究所・健康安全研究センターを増設することを提案するものです。
<医療機関への支援について>
最後に、第四波の懸念がある中で、医療機関への支援は重要です。
Q8 補正予算では、コロナの流行で減収などの影響を受けた医療機関へ融資を行う金融機関への利子補給が増額されました。これは、利用件数が当初の想定を大きく上回り、利用見込みが55件から139件に引き上げられたことによるものです。融資総額の見込みでも2・4倍の650億円となっています。
医療機関の経営が想定を大きく上回って深刻であることの表れだと思いますが、知事は、どう認識していますか。
Q9 ある中小病院では昨年5億円を借り、来年度には借りたお金が足りなくなる可能性があると話しています。もう一度借りたくても、返済のめどが立たず、借りられないという状況になっています。こうした医療機関を含め、資金の支援を必要としている医療機関はもっとあります。
経営を続けていくためには、給与など職員の処遇を下げるという選択をせざるを得ないところまで追いつめられている医療機関も少なくありません。どのように医療従事者を守っていくのかが国と東京都に問われています。
利子補給だけでは医療機関を支えきれません。改めて、国に減収補てんを求めるとともに、都独自で医療機関へのさらなる財政支援に踏み出すことを強く求めますが、いかがですか。答弁を求めて質問を終わります。