予算特別委員会 尾崎あや子都議(北多摩第1選出)の一般総括質疑
3月11日の予算特別委員会で、尾崎あや子議員(北多摩第一選出)が一般総括質疑を行いました。
★動画(都議会ホームページです。令和3年第1回定例会 >3月11日(木曜日)予算特別委員会・総括質疑をご覧ください)
★質問全文(都議会速記録速報版より)
1、中小企業・小規模企業へのコロナ対策について
2、多摩格差について
○伊藤副委員長 尾崎あや子委員の発言を許します。
〔伊藤副委員長退席、委員長着席〕
○尾崎委員 緊急事態宣言は、三月八日から二週間、さらに延長されました。中小企業、小規模企業の方たちの不安はますます深まっています。
コロナ対策の緊急融資は、保証料と三年間の利息は都が補助を行い、据置期間も五年以内とされていることは重要ですが、まだまだ不十分です。
これまで融資の実績がなく、初めてコロナ禍で融資を申し込んだら、金融機関から、据置期間が一年なら融資できるといわれたと多くの事業者から寄せられました。また、これまで融資を借りて、きちんと返済している事業者が、据置期間を五年にしてほしいとお願いしても断られたという事例もあります。
パネルをごらんください。これは日本政策金融公庫の実績です。日本共産党大門実紀史参議院議員が参院財政金融委員会で明らかにしたものをグラフにまとめました。据置期間の六カ月以内が三三%、六カ月から一年以内は三三%、これを合わせると一年以内は六六%にもなります。
都のコロナ対応緊急融資について、据置期間は最長五年ですが、実際はどうなっていますか。一年以内、一年から三年以内、三年から五年以内と、それぞれの実績について伺います。
○村松産業労働局長 新型コロナ対応融資の昨年十二月までの利用状況を見ますと、据置期間は一年以内に設定されたものが六割、一年から三年以内が三割、三年から五年以内が一割程度となっております。
○尾崎委員 コロナ対応の緊急融資で、据え置きが五年以内となっている制度なのに、据置期間が一年以内の事業者は何と六割もいらっしゃるということです。
コロナ対応緊急融資を据置一年で借りた事業者の中で、もう返済が始まる事業者もいます。しかし、コロナの終息は全く見えない状況であり、コロナの影響が経営をますます深刻にしており、返済ができない事態になっています。
緊急事態宣言の中で、売り上げが激減して借り入れの返済ができない、でも返済しなければと悩んでいる事業者は多くいます。
据置一年となっていても、コロナの影響で返済のめどが見えない事業者に対し、丁寧な相談を行い、据置期間の延長を行うべきですが、いかがですか。
○村松産業労働局長 都はこれまで、資金繰り特別相談窓口を設置して、事業者からのさまざまな相談に応じるほか、都内の金融機関に対しまして、返済の猶予や融資条件の変更など、中小企業の実情を踏まえた対応を行うよう要請してきたところでございます。
また、今年度の新型コロナ対応融資につきましては、二月下旬から借りかえへの対応を開始しており、これによりまして、事業者は実質的に返済が一定期間猶予されることとなります。
これらにより、事業者の状況に応じたきめ細かな金融支援を行っているところでございます。
○尾崎委員 二月下旬からコロナ対応緊急融資の借りかえも行っているということですが、事業者の方々はほとんど知りません。周知にもっと積極的に取り組んでいただくよう要望するものです。
都が利子補給を行ったことは重要ですが、これもまた不十分です。利息については、三年間は都が利子補給しますが、コロナ感染症が長期化しており、今後の見通しも見えません。完全な無利子の制度に拡充すべきですが、いかがですか。
○村松産業労働局長 今年度の新型コロナ対応融資では、三年間の利子補給、信用保証料の全額補助などによりまして、中小企業への手厚い資金繰り支援を行っております。
また、来年度予算では、コロナ禍の影響を受ける事業者に向けまして、金融機関による経営サポートをあわせて行う新たな低利融資を実施していくこととしております。
○尾崎委員 既にコロナ対応緊急融資を借りた事業者の中には、追加の融資がなければ資金繰りがショートしてしまう、追加の融資を申し込みたいという人もふえています。
しかし、一方で、追加で借りて返せるだろうかと悩んでいる人もいます。売り上げや利益の数字だけで追加融資の判断をするのではなく、中小、小規模企業が地域に果たしている役割や、経営者の思いに寄り添った総合的な判断をすべきです。
城南信用金庫の理事長は、新聞のインタビューに、今後リスクのある融資相談がふえることは想定している、現場には人を見て貸せといっている、経営者が前を向いて努力していれば、資金繰り支援はもちろん、売り上げ回復のための本業支援に全力で取り組むと語っています。
金融機関や保証協会などに都として強く要望すべきですが、いかがですか。また、地域の状況に詳しい信用金庫、信用組合と連携を強めて支援することを求めますが、いかがですか。
○村松産業労働局長 都は、都内の金融機関に対しまして、返済期間の猶予など、融資先の中小企業の実情を踏まえた柔軟な対応を行うよう要請しているところでございます。
今後とも金融機関と連携しながら、事業者の資金繰りをしっかりと支援してまいります。
○尾崎委員 政府の一部の委員の方の中に、もう新陳代謝だと発言する人もいます。コロナ禍で中小業者は淘汰されてもいいんだということです。
知事、東京の経済を支えているのは中小企業、そしてその八割が小規模企業です。コロナ危機で商売の継続ができるのか、生きることにも不安が広がっている小規模企業は、潰すのではなく、応援していくべきです。知事の認識を伺います。
○小池知事 小規模企業は、地域経済を担う重要な存在であることは改めて申し上げるまでもないと、このように思います。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、その経営基盤をしっかりと支えていく必要がございます。
そのため、都はこれまでも、資金繰りの支援、経営相談、そしてガイドラインに基づく感染症対策の取り組みへの支援など、きめ細かな施策を実施してまいりました。
引き続き、小規模企業に寄り添った支援に取り組んでまいります。
○尾崎委員 一年を超えるコロナ感染拡大の中で、中小業者への打撃は大きく、今後の展望が見えなければ、商売が大好き、ものづくりが大好きだといっても頑張ることはできません。
都は、中小企業・小規模企業振興条例を踏まえ、中小企業、小規模企業を守っていく姿勢を示すことが今求められています。知事からのメッセージを発信するよう要望するものです。
次に、業態転換についてです。
私の地元の商工会の皆さんも、飲食店がテークアウトへの業態転換を応援するため、ポスターなどをつくり、PRに力を入れています。
しかし、飲食店の経営者からは、お弁当を売っても、最初は珍しさと応援したいと購入してくれた人も、周りでテークアウトがふえ、宅配業者がふえると、購入する人もどんどん減ってきている、仕込みは大変で、お店の名前への誇りもあり、質を落としたくないので、ほとんどもうけはないということでした。
夜の営業が自粛なら昼でやればいい、店舗での会食が自粛ならお弁当販売をやればいい、ライブがだめならオンライン配信でやればいいというような単純なものではありません。
商売にかける思いは、経営者一人一人違います。都としての支援は、コロナ終息に向けた事業者の経営回復の展望を示すことだと思いますが、知事の認識を伺います。
○小池知事 感染症の影響で傷んだ経済、これを成長軌道に乗せるためには、まずもって見えざる敵との闘いを一刻も早く終息させる、これをしなければなりません。
そのためには、都民、事業者、行政の総力を結集しまして、対策を徹底して講じることで、今ここで感染拡大を抑え込む、そのことが何よりも重要でございます。
関係する全ての方と一丸となりまして、難局を乗り越えて、東京の経済の再生へとつなげてまいります。
○尾崎委員 コロナを抑え込むための科学的な対策と根拠を都民に示すことが必要です。
昨年三月末、いち早く話を聞きに行ったジャズのライブハウスを経営した人の話は忘れられません。ジャズの演奏ができる場所は続けたいが、営業自粛といわれたら商売の見通しが持てない、長引くようなら閉店を考えると話していました。
学生時代からジャズ演奏を行い、日本のジャズ界を動かしてきた人、ジャズのコンサートで各地を回り元気を与えてきました。多くのファンとミュージシャンに支えられてきましたが、家賃や人件費を払うめどがないと廃業をしました。どんなにつらかったか、どんなに悔しかったか、文化の灯がまちから消えてしまいました。
コロナ危機の中で、ものづくりの事業者の経営も厳しくなっています。東京都立産業技術研究センターは、プラスチックにかわる材料についての共同開発など、環境に優しい製品、商品づくりにも大きな役割を果たしています。
我が党は、高齢者の補聴器購入助成について、この間、繰り返し提案してきました。我が党のアンケートには、よく聞こえないので人が集まるところには出ない、聞き取れないがうなずいてごまかしている、補聴器が高くて買えないので我慢しているなどの声が多数寄せられています。
しかも、補聴器の多くがドイツ製など輸入品です。日本のすぐれた技術を使って、日本での補聴器の需要がふえ、製造がふえれば、もっと手軽な価格で補聴器を購入できるようになるのではないでしょうか。都の補聴器購入助成を実現すると同時に、日本の技術を生かして、よりよい製品をつくることへの支援も必要だと思います。
3Dプリンター、医療分野とものづくりの業者が連携できる医工連携の強化を求めますが、いかがですか。
○村松産業労働局長 都は現在、ものづくり中小企業による医療機器産業への参入を促すため、臨床機関のニーズに基づく製品開発に向けまして、医療機器の製造、販売企業とのマッチングや開発経費の助成などの支援を行っております。
引き続き、中小企業による医療機器産業への参入を後押ししてまいります。
○尾崎委員 中小業者は、代々続く家業を守っていく事業者、新しい発想で自分の得手を生かして起業する事業者などさまざまです。お客さんや取引先から喜ばれることが仕事の励みになり、自分の技術を磨くことに喜びを感じ、社会の役に立ちたいという強い思いがあります。
しかし、情報や手助けがないと、新しいものへの挑戦は大変です。励まし合う仲間がいて、専門家の助言があれば、新たな力を発揮することができます。
ぜひ産技研や振興公社との連携を強め、新しい挑戦に伴走型で支援を行うよう、強く要望するものです。
次に、国民健康保険についてです。
コロナ対策として、感染したり感染の疑いがある労働者について、国民健康保険で傷病手当を支給する財源を国が負担することを決め実施されています。
都内の区市町村国保、国民健康保険組合のそれぞれの実績を伺います。
○吉村福祉保健局長 新型コロナウイルス感染症に感染した国民健康保険被保険者等に対する傷病手当金の支給決定件数と支給額の都内の実績でございますが、本年一月末時点で区市町村が四百九件、約四千百二十八万円、国民健康保険組合が百三十九件、約一千三百七十一万円でございます。
○尾崎委員 合わせると約五百五十件となります。多くの方々が助かったことがわかりました。コロナ対策として、国民健康保険で傷病手当を支給したことは大変重要な施策であり、ことし六月末まで延長となったことは重要です。
しかし、コロナの終息はまだ見えません。知事、国にさらなる延長を求めるべきですが、いかがですか。
○小池知事 都は、国民健康保険の傷病手当金への財政支援を令和三年度も継続するように既に国には申し入れております。
国は、今後の感染状況等を踏まえながら検討していくといたしておりまして、今後とも国の動向を注視してまいります。
○尾崎委員 私は、中小業者の営業と暮らしを守る運動に携わり、国民健康保険に傷病手当をつけてほしいと長い間取り組んできました。コロナ対策に限ってではありますが、大変重要な支援であり、一歩前進できたとうれしく思っています。
しかし、三カ月ごとの延長では不安です。期限を設けずに実施すること、自治体と都民への周知を強めることを要望するものです。
また、保険者である都が財政支援を行い、フリーランスや事業主の方でも傷病手当が支給できるよう積極的に検討をお願いするものです。
次に、保健所についてです。
保健所の重要性を知事はどう認識していますか。
○小池知事 保健所は、地域住民の健康を支える中核といたしまして、疾病の予防、食品衛生、環境衛生の向上など、地域住民の健康の保持増進のための業務を行っております。
また、感染症や食中毒の発生時の対応など、地域におけます健康危機管理の拠点として重要な役割を担っているのは、ご存じのとおりであります。
○尾崎委員 新年度予算案に保健所の保健師を十一人増員する予算を計上したことは重要です。
十一人の考え方について伺います。
○吉村福祉保健局長 来年度は、都保健所において、感染症対策に従事する保健師の定数を多摩地域の五つの保健所で十名、島しょ保健所で一名増員する予定でございます。
多摩地域の保健所の増員は、新型コロナウイルス感染症を初めとする感染症発生時の対応や予防の必要性を勘案したものであり、圏域の大きさや感染症の発生届け出数を考慮して各所に配置いたします。
また、島しょ保健所の増員は、島しょ地域における感染症発生時の現地情報の集約、関係機関との連絡調整などに従事するポストを新設するものでございます。
○尾崎委員 保健師をふやすことは大事ですが、コロナ対応での保健所の逼迫状況を考えれば、まだ不十分です。緊急時に対応できるよう、さらにふやすことを求めます。
また、公衆衛生医師をさらにふやすべきですが、知事の認識を伺います。
○吉村福祉保健局長 保健所が健康危機に迅速かつ機動的に対応していくには、公衆衛生医師を安定的に確保することが必要不可欠でございます。
都はこれまで、保健所での現場実習の受け入れなど、医学生等に公衆衛生分野の職務を理解する機会を提供するとともに、国に対し、医師養成等において、保健所での研修を改めて必修にすることなどを提案要求しております。
また、医師求人情報サイトへの採用案内等の掲載や、研修医を対象とした病院説明会への出展など、さまざまな手段によりPRも行っております。
引き続き、公衆衛生医師の確保に努めるとともに、来年度実施する予定の医学生等の意識調査の結果も踏まえまして、関係機関と連携し、効果的な対策を検討することとしております。
○尾崎委員 昨年の第三回定例会の我が党の代表質問への答弁で、都内の公衆衛生医師が約五十人も不足する深刻な現状が明らかになりました。確保を進めるための、より抜本的な方策を検討するよう強く求めておきます。
二十三区と多摩地域の保健所一カ所当たりの人口は、一月一日時点で、一九七五年、二〇〇一年、二〇二一年、どうなっていますか。
○吉村福祉保健局長 まず、二十三区の保健所数と一カ所当たりの人口は、昭和五十年が五十三カ所、約十六万人、平成十三年が二十六カ所、約三十一万人、令和三年が二十三カ所、約四十二万人となっております。
また、多摩地域の保健所は、昭和五十年が十四カ所、約二十一万人、平成十三年が十二カ所、約三十三万人、令和三年が七カ所、約六十一万人となっております。
○尾崎委員 グラフをごらんください。多摩格差の八課題に保健所が位置づけられたのは一九七五年です。多摩格差がかなり解消したといわれたのは二〇〇一年です。この時点でも一度目の統廃合が行われていたので、よいというわけではありません。
その後、さらに保健所の統廃合が行われました。現在の保健所一カ所当たりの人口は、二十三区が約四十二万人、多摩地域は約六十一万人と多摩格差は拡大されてしまっています。
格差が広がったことは大変問題であり、多摩格差解消のため、多摩地域に保健所の増設を求めるものです。多摩格差をつくった大もとには、二次保健医療圏に一つの保健所という考えがあることです。
コロナ対策で、二次保健医療圏はどのような役割を果たしているのか伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 二次保健医療圏は、原則として特殊な医療を除く一般の医療ニーズに対応するために設定する区域で、入院医療を圏域内で基本的に確保するとともに、都民に包括的な保健医療サービスを提供していく上での圏域であり、その整備を図るための地域的な単位でございます。
新型コロナウイルス感染症対策におきましては、都は、入院が必要な患者を確実に受け入れられるよう、二次保健医療圏域ごとの枠を定めることなく、都全域で必要な病床を確保し、居住地等の圏域に限らず、患者を受け入れる体制を整えてございます。
具体的には、新型コロナ感染症の患者を重点的に受け入れる入院重点医療機関の指定を行うなど、多くの医療機関の協力を得て、現在、五千床の病床を確保してございます。
○尾崎委員 今のご答弁は、入院医療についてのことです。そもそも感染症対策の基本である検査や積極的疫学調査については、言及がありませんでした。二次保健医療圏単位で行われてはいないのです。
新型コロナ感染症で、二次保健医療圏で一カ所ということが、いよいよ実態とかみ合っていないことが明らかになりました。もっと身近なところに保健所が必要だということです。地域に責任を持つ自治体として、都は、保健所の増設をするべきだと強く要望するものです。
次に、多摩北部医療センターの改築について伺います。
我が党の代表質問で、地域住民の声を直接聞いて、今後の改築計画に反映してほしいとの質問に、さまざまな声を参考にして、検討委員会などの意見も踏まえ、基本構想を取りまとめていくと答弁しました。住民の声はどうやって聞くのですか。
○堤病院経営本部長 広尾病院や多摩メディカルキャンパスの整備では、基本構想策定時にパブリックコメントを実施いたしました。
多摩北部医療センターにつきましても、こうした過去の例を踏まえ、計画等の策定に係る意見公募手続に関する要綱に基づく意見を求めるものといたします。
○尾崎委員 基本構想を策定する際には、パブコメ等を実施し、さまざまな意見を伺うということですね。住民への説明会なども含めて、幅広く意見を聞くことを求めるものです。
日ごろから住民の声をよく聞き参考にすることが必要です。そのためにも、多摩北部医療センターの運営協議会に地元住民を委員に加えるべきですが、いかがですか。
○堤病院経営本部長 運営協議会は、関係諸機関との緊密な連携を図り、地域全体の医療供給体制の向上に資するため設置するものでございます。
公社病院の運営協議会の委員は、各病院で決定しておりまして、多摩北部医療センターにおきましては、現在、地元医師会や自治体、連携病院の代表、そして学識経験者などを委員としております。
○尾崎委員 運営協議会の委員は、それぞれ公社病院で決めるということですが、多摩北部医療センターの運営協議会には地元住民が入っていません。地域と連携して、地域のニーズに応え、地域の中で不足している医療を担うのが公社病院です。運営協議会にこそ、地元住民を加えるべきだと思います。
公社病院は、都の政策連携団体です。都としても適切なアドバイスを行うよう要望しておきます。
次に、東久留米市のママの声を紹介したいと思います。
妊娠二十九週で体調が悪くなり、病院に行くと、妊娠高血圧、HELLP症候群と診断され、今すぐに妊娠状態を終わらせないとママが死んじゃいます。うちの病院では産めないので、救急車を呼んで大きな病院へ運びますといわれました。何とか決まった病院は文京区で、光の刺激も危ないからと目隠しされたまま、一時間以上かけて救急車で病院に行きました。とても不安で怖かったです。たくさんの医療従事者の方のおかげで、無事に出産できましたが、娘は八百二十八グラム、超低出生体重児でした。自分は状態が落ちつき十日ほどで退院しましたが、娘は三カ月間、NICUに入院でした。娘の入院中は、搾乳した母乳を運んだり、面会に行ったりしましたが、帝王切開後の体で遠くへの病院へ通うのは本当に大変でした。一時間以上も電車を乗り継いで行くのは無理だったので、車で通っていました。面会も一日中いることはできませんでした。子供と離れての生活、毎日会いに行くことができないもどかしさや、何より子供へ申しわけない気持ちになり、つらかったです。もし近くに産科やNICUがある病院があったら、本当にありがたいです。私のようなつらい思いをするママ、パパがいてほしくありません。
知事、この声をどう受けとめますか。
○小池知事 都民が安心して子供を産み育てることができますよう、都は、周産期医療体制の充実を図っております。
NICUは、新生児科の医師の常駐、生命維持装置等の施設整備が必要であって、医療資源の集約化を図り、高度な医療を集中的に提供する体制を構築することが最も効果的でございます。
今後とも、限られた医療資源を最大限活用して、周産期医療体制の充実強化に努めてまいります。
○尾崎委員 知事、NICUは医療資源を集約化ということですが、多摩地域の医療資源が少なく、二十三区と比べて不十分な状況です。
新生児集中治療室、NICUは、二〇二一年一月一日時点で、全都で三百五十六床です。そのうち多摩地域は七十二床ということです。多摩地域は、出生一万人に対し三十床という都の考え方からすれば、八十五床必要であり、必要なNICUには、まだまだ距離があります。
私が二〇一六年第四回定例会の一般質問で取り上げたときも、多摩地域で七十二床でしたから、この間ふえていません。
高齢出産もふえていてリスクも高くなっています。また、妊娠しても、ぎりぎりまで働かざるを得ない状況もあります。コロナ禍でストレスも多くなっています。安心して子供を産める環境をつくるため、多摩地域でのNICUをふやすことは緊急の課題です。
このお母さんも、これから出産される方、子育てしていく方たちにとって、とても心強く、安心となるように、多摩北部医療センターへ、ぜひ産科、NICUをつくっていただきたいですとおっしゃっていました。私からも実現を強く求めておきます。
私の地元である東村山市内には、お産ができる産科の病院が全て廃業してしまいました。お隣の清瀬市でもなくなっています。東京全体でも、お産ができる産科は減ってきています。
コロナ禍で里帰り出産もできない状況の中、自宅の近くで安心して子供を産みたいというのは、切実な要望になっています。都の認識を伺います。
○吉村福祉保健局長 妊産婦の医療ニーズに的確に対応するためには、円滑な医療連携のもと、医療機関がみずからの医療機能を発揮し、医療サービスを適切に提供する体制整備が必要でございます。
このため、多摩地域では、都立多摩総合医療センター、小児総合医療センターと杏林大学医学部付属病院が、スーパー総合周産期センターとして、緊急に救命処置を必要とする妊婦等を必ず受け入れるとともに、多摩全域を対象に搬送の調整を行っております。
また、これらの病院が中核となり、多摩全域を一つのブロックとして、四つの地域周産期母子医療センター、都独自に指定している六つの周産期連携病院、その他主要な病院や診療所がネットワークを構築し、リスクに応じた役割分担と連携を進めております。
○尾崎委員 多摩地域を一つのブロックとしてネットワークグループを構築しということですが、やはり広い多摩地域ですので、多摩地域を一つのブロックから、少なくとも複数もしくは三つのブロック、さらには、本来の二次保健医療圏ごとに必要だと考えますので、医療資源の充実とあわせ、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
東村山の若い子育て中のお母さんからもこんな声があります。
二人目の子供を妊娠したけれども、今までお産をしていた病院がなくなってしまって、どこでお産をしていいのか本当に困っているんだと。市内にある多摩北部医療センターで産科があったら、そこで産みたい、こういう声も出ているんです。
多摩北部医療センターの改築に伴い、産科とNICUをふやしていただきたいと改めて強く要望します。ぜひ、検討することをお願いして、質問を終わります。(拍手)