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質問・条例提案

2019.06.12

本会議 池川友一都議(町田市選出)の一般質問

2019年6月12日の本会議で、池川友一都議(町田市選出)が一般質問を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和元年第2回定例会 > 6月12日をご覧ください)

★質問全文(質問原稿)です。

  1. 子どもの権利について(子どもの権利と意見表明権・校則の決め方や公開・都政への子どもや若者の参加など)
  2. 聞こえのバリアフリーについて(加齢性難聴に対する認識・補聴器購入補助の創設など)

答弁(議事録速報版より)


一、子どもの権利・子どもの意見の尊重について

 今年は、子どもの権利条約が採択されて30年、日本が批准して25年目の節目の年です。子どもの最善の利益に立って都政運営が行われるかが問われています。
Q1 子どもの権利条約は、18歳未満のすべての子どもを対象としており、条約全体を通して、子どもは権利の主体として位置づいています。知事、子どもは権利の主体として尊重する必要がありますが、いかがですか。

Q2 国連子どもの権利委員会からは、子どもの意見の尊重が、社会全体において制限されている点についてくり返し勧告が行われています。今年3月にも、「意見を形成することのできるいかなる子どもに対しても、年齢制限を設けることなく、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明する権利を保障し、かつ、子どもの意見が正当に重視されることを確保する」ことが勧告されました。知事はどのように受け止めていますか。また、今後の取り組みにどのようにいかしていくのですか。

 特に、子どもたちが一日の生活を過ごす学校で、子どもの権利や子どもの意見が尊重されることが重要です。ところが、都立高校で子どもの権利の侵害があるとの訴えを、ご本人から聞いています。
ある都立高校の生徒は、3年生に進級したときに、2年生までは何も言われかった生まれつきの髪の色について、教師から突然、「黒く染めてこい」「学校に入れさせないし、授業も受けさせない」と言われました。あまりにも理不尽だと保護者とともに抗議し、学校は謝罪しましたが、重大な人権侵害です。
Q3 学校が突然、一方的に規則を変更し違反していると授業にも参加させないようなやり方は、明らかに人権侵害であり、指導として不適切だと思いますが、いかがですか。

 また、校則の変更や制服の導入を一方的に行い、生徒が意見を言っても聞きもしないという事例も、いくつも寄せられています。
Q4 ある都立高校では、生徒の過半数が再考を求めたにも関わらず、校長が一方的に髪を染めることを禁止すると生徒心得を変更しました。生徒会と校長とのやりとりで「生徒の意見を聞かなくていいのか」という質問に対し、校長は「必要ない」と、回答しています。
 別の都立高校では、制服の導入と髪染めの禁止を内容とする校則の変更が一方的に通告され、生徒総会で「校則改定を取り消すことを求める」「生徒の学校生活に関わる重要な決定をする場合、在校生及び保護者に明確な説明なしに、決定、公表、実施をしないことを求める」という決議が上がったにも関わらず、生徒の意見に一切耳を傾けることなく、校則が変えられました。
 こうしたやり方は問題ではありませんか。

Q5 都内でも、校則や学校のルールについて、本当に必要性があるのか見直した結果、校則をなくしたり、変更した学校もあります。生徒の意見を聞き、子どもの視点から絶えず見直すことが必要だと思いますがいかがですか。

 校則をはじめ学校のあり方が、多様性を尊重するものになっているかという視点も重要です。その点で中野区などが、性別で固定された標準服を見直し、注目されています。
Q6 現在都立高校で、制服のスカートとスラックスを自由に選択できる学校は何校あるのかうかがいます。

Q7 ジェンダー平等やSOGIの視点から、学校のあり方を見直すことも必要だと思いますがいかがですか。

 先日、高校生や大学生などが参加する日本若者協議会のみなさんと意見交換し、入学前に情報提供がなく、入学した途端、決まりだから従うようにと言われるケースを改善する一つとして、校則をホームページで公開するという提言を受け取りました。
 大阪では、中学生が高校を選択する材料の1つとして、すべての府立高校がホームページで校則を公開しています。
Q8 都立高校の校則など、学校のルールについて、入学前にわかるように学校のホームページで積極的に公開すべきですが、いかがですか。

 また、子どもの権利条約を生徒手帳に掲載するなど、子どもたちが、自らが権利の主体であることを知ることができるようにすることを提案します。
 自らの存在や意見が正当に認められ、重視される学校で育った子どもたちは、自身をかけがえのない存在だと実感し、自分の権利も他者の権利も尊重できる主体的な人間に成長することができます。都立高校がそうした学校になることを強く要望します。

 都政に子どもや若者の意見を反映する仕組みを作ることも大切です。
 都は「2020年に向けた実行プラン」の策定にあたり、未来の東京を担う若者の意見を聞くことも重要だという認識から、都立高校や特別支援学校の生徒から意見を聞き、1300件を超える意見が寄せられたということです。大変重要です。
 子どもの権利委員会の勧告では、SDGsの目標の達成のための政策立案に「子どもたちの意味のある参加を確保することも促すものである」と指摘しています。

Q9 今後予定されている長期計画や、子どもに関わる「子ども・子育て支援総合計画」「子供・若者計画」の改定、旧こどもの城の活用などについて、当事者である子どもや若者が参加する機会をつくり、直接意見を聞いて反映すべきだと考えますがいかがですか。

Q10 青少年施策を抜本的に強化し、若者が主人公となって活躍できる社会としていくためには、青少年の専管組織を設置すべきだと考えますが、知事いかがですか。

 合わせて、東京の子どもたちの権利を保障するために、子どもの権利条例の制定を強く求めます。

二、聞こえのバリアフリーについて

 次に、加齢性難聴への支援と聞こえのバリアフリーについてです。
 難聴になると、家庭の中でも社会的にも孤立しやすく、会話の機会が減り、ひきこもりになりがちです。
 2017年の国際アルツハイマー病会議で、ランセット国際委員会が「認知症の約35%は予防可能な9つの要因により起こると考えられる。そのなかでは難聴が最大のリスク因子である」と発表しました。厚生労働省の新オレンジプランでも、難聴は危険因子の一つとされています。
 日本共産党都議団は、「難聴と補聴器に関するアンケート」に取り組み、504人から回答を得ました。
 「聞き返すことが多くなった」「広いところでの話し合いに参加したくない」「サークルの中で皆の話が聞こえない」「聴こえず適当に相槌を打っていることがある」など、切実な声が寄せられています。
Q1 65歳以上の2人に1人が難聴で生活の質の低下につながるという実態や難聴が認知症のリスク要因であるという指摘がある中、こうした多くの高齢者の声を踏まえて、知事の高齢社会における聞こえのバリアフリーの重要性についての認識をうかがいます。
 
 現状では、両耳聴力が70デシベル以上などかなり重い難聴でなければ障害認定による補聴器購入補助が受けられません。
Q2 WHOは、聴力が中等度難聴の41デシベル以上の場合に補聴器の使用を推奨しています。私は、慶應大学耳鼻咽喉科の小川郁教授からお話を伺いましたが、補聴器は難聴が進行してからの使用ではなく、なるべく早く使用することが必要だとおっしゃっていました。
 そこで、聴力低下がみられる方への早期からの補聴器使用の重要性について、認識をうかがいます。

 加齢性の難聴は、ゆっくりと進行するため自覚しにくく気づくのが遅れがちになります。早期の補聴器使用につなげるためには、早期発見が必要です。そのための聴覚検査が重要であり、健診メニューとして広がるよう支援することを求めておくものです。

 補聴器使用によって生活の質を改善するために重要なのは、その人に合わせて補聴器を調整することです。しかし、必要な調整が行われていない方が多いことが大きな課題です。
Q3 こうした調整を行う専門家が認定補聴器技能者です。補聴器を調整するフィッティングと脳が補聴器の音に訓練され音を聞き取れるようにするトレーニングを一体的に行うことで、本人の聞こえに合わせて聞き取れるようにしていきます。このように調整を行うことが重要だと思いますが認識をうかがいます。

 補聴器の購入費は、補聴器相談医が記入した「補聴器適合に関する診療情報提供書」を認定補聴器技能者がいる店舗に提出して購入すれば医療費控除の対象となりますが、ほとんど知られていません。また、補聴器相談医や認定補聴器技能者が少なく、1人もいない自治体があるなどの課題もあります。
Q4 専門的知見を持った、補聴器相談医や認定補聴器技能者に、都民がアクセスしやすいように都として支援すべきですが、いかがですか。

 補聴器の普及を進める上での一番の課題は、補聴器の金額が高いことです。私たちのアンケートには「購入額が高いのでまだ聞こえる耳の方は我慢して片耳のみ入れている」「価格が高いので、手が出しにくい」などの声が寄せられています。本当に切実です。
 先ほど紹介した小川教授は、特に所得の低い人への経済的サポートが普及のために必要だと強調されていました。アンケートでも補聴器を使用してみようと思う動機になるもののトップは「購入費補助制度」でした。
 都は現在、高齢社会対策区市町村包括補助により、区市町村が行う補聴器の支給や購入費助成への補助を行っていますが、この包括補助の拡充や、補聴器購入費補助の創設が必要だと考えます。
Q5 都は、補聴器使用を進めるための支援の充実にどのように取り組んでいくのかうかがい、答弁を求め、質問を終わります。

【答 弁】

★答弁は以下の順番になっています。

○知事(小池百合子君) 池川友一議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、子供の権利と子供の意見の尊重の点についてのお答えでございます。
 子供は、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在でございまして、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がございます。
 また、子供の年齢及び発達の程度に応じまして、その意見を尊重するとともに、子供の最善の利益を実現するということは重要であります。
 都は、子供・子育て支援総合計画におきまして、全ての子供たちが個性や創造力を伸ばして、社会の一員として自立する環境を整備充実することなど三つの基本理念を掲げており、子供や子育て家庭を支援する環境の整備に取り組み、今後とも、子供たちの育ちを支えられますように、施策を総合的に推進してまいります。
 青少年支援に係る専管組織の設置についてのお尋ねでございました。
 都はこれまでも、その時々の行政課題に応じまして、適宜適切な組織の見直しを行って、常に効果的、効率的な執行体制の確保を図ってまいりました。
 こうした考え方に基づいて、平成三十一年四月に、青少年施策を担当する部署におきまして、ひきこもり支援施策を他局へ移管するなどの組織改正を実施したところであります。
 現在、東京二〇二〇大会後の組織全体のあり方につきましては検討を行っているところでございまして、引き続き、都政を取り巻く環境変化を踏まえつつ、適切な執行体制の確保に努めてまいります。
 次に、高齢社会における聞こえのバリアフリーについてのご質問がございました。
 国の研究機関の調査におきますと、六十五歳以上の高齢者のおよそ半数に難聴があると推計されるなど、多くの高齢者にとりまして難聴は身近な問題、こうした方々が必要な情報を容易に入手できる環境の整備を進めていくことは重要と考えます。
 こうしたことから、都は、情報バリアフリーガイドラインを策定いたしまして、高齢者等から意見をお聞きしながら、聴力の弱い方々にとりまして聞こえやすい環境の整備を行う事業者等の取り組みを促進しておりまして、今後とも、高齢者の聞こえの支援を推進してまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 校則などにかかわる六点のご質問にお答えいたします。
 まず、校則にかかわる生徒の指導についてでございますが、校則にかかわる生徒への指導に当たっては、教員が、生徒一人一人の人権を尊重した上で、生徒に寄り添いながら、生徒の納得が得られるよう、きめ細かく指導し、生徒の学ぶ機会を確保していくことが大切であると考えております。
 次に、校則の変更についての生徒の意見の扱いでございますが、校則は生徒の状況等に応じて、必要かつ合理的な範囲で遵守すべき学習上及び生活上の規律として定めております。
 校則の変更に当たっては、学校は生徒等の意見を聞くなど、さまざまな状況を踏まえることや、生徒等に校則への理解を促す指導をすることが大切であります。
 次に、校則や学校のルールの見直しについてでございますが、校則は必要かつ合理的な範囲で定めた生徒が遵守すべき学習上及び生活上の規律であり、学校生活を送る上で重要な役割を果たしております。
 このため、生徒の意見や保護者の意識、社会状況等を踏まえ、適宜、校則の見直しを行うことが必要と考えております。
 次に、都立高校の制服についてでございますが、平成二十八年度に実施した調査によると、都立高校等百九十六校中、制服を指定している学校が百六十四校、標準服を設けている学校が十六校であります。そのうち、スカートとスラックスの選択可能な学校は九十三校であります。
 次に、学校教育のあり方についてでございますが、学校は子供たち一人一人が互いに認め合いながら、自分らしく輝いて生きていくことができるよう、人権尊重の理念に立って教育を行う必要がございます。
 ご指摘の男女平等や性的指向、性自認に係る配慮等についても、各学校では、個々の子供の実情に応じて対応を行っております。
 引き続き、子供を取り巻く環境や社会情勢の変化等も踏まえながら、丁寧に取り組んでまいります。
 最後に、都立高校の校則の公開についてでございますが、都立高校が中学生に向けて、目指す生徒像や、学校の特色を初め、学習内容、卒業後の進路先、校則を含む生活指導の基本方針など、さまざまな学校生活にかかわる情報を提供していくことは重要であり、各学校においては、入学を希望する中学生とその保護者を対象とした学校説明会等の機会を通して、これらについて説明しております。
 なお、都教育委員会は、中学生が学校を選択する際の参考となる情報の発信を充実するため、ホームページの改善を進めているところでございます。
〔政策企画局長梶原洋君登壇〕

○政策企画局長(梶原洋君) 計画等への子供や若者の意見の反映についてお答えをいたします。
 お話にもありましたが、二〇二〇年に向けた実行プランの策定に当たりましては、職員が都立学校へ出向いて出前授業を行うなど、生徒の皆様の意見を直接伺っております。
 こうした例を初め、子供や若者の意見についてはさまざまな機会を通じて伺っているところでございます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、早期からの補聴器使用についてでありますが、日本耳鼻咽喉科学会では、加齢による聴力低下があっても、早期のうちに補聴器を使用することで聞こえを取り戻すことは可能としています。
 このため、聴力低下が見られる方にとって、早期からの補聴器使用は、日常生活の質の向上を図る上で有効なものと認識しております。
 次に、補聴器の調整についてでありますが、日本耳鼻咽喉科学会では、聴力検査の結果が同じでも、補聴器をつけた状態での聞こえは一人一人違うため、聞こえ方に応じてさらなる調整を加えるとともに、適切に調整された補聴器でトレーニングを行うことが大切であるとしており、調整は重要なものと認識してございます。
 次に、補聴器相談医や認定補聴器技能者についてでありますが、日本耳鼻咽喉科学会では、補聴器の必要性や効果の判断に当たっては、聴力障害と補聴器の両方を熟知した、補聴器相談医の診察を受けることを勧めています。
 また、家庭用医療機器の一つである補聴器を安全で効果的に使用できるよう、公益財団法人テクノエイド協会は、所定の研修を履修し、試験に合格した者を認定補聴器技能者として認定しております。
 都は、国の指針を踏まえ、区市町村職員を対象とした研修の中で、認定補聴器技能者が在籍し、相談医と連携している販売店等の情報を掲載した協会のホームページ等を紹介しており、今後も情報提供してまいります。
 最後に、補聴器の使用についてでありますが、高齢者も含め、身体障害者福祉法により認定を受けた難聴者に対しましては、障害者総合支援法の補装具費支給制度に基づき、区市町村が補聴器の購入にかかる費用を支給し、国及び都がその経費の一部を負担しております。
 また、耳鼻咽喉科の受診を義務づけるなど、独自の基準を設け、低所得の高齢者等に対して補聴器の支給等を行っている区市町村を、都は包括補助で支援しており、引き続き、聞こえの支援など、区市町村の取り組みを支援してまいります。