2018年第3回定例会に提出した文書質問
2018年第3回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 和泉なおみ
質問事項
一 都立水元公園の管理改善について
二 風疹の緊急対策について
一 都立水元公園の管理改善について
水元公園は水郷景観のある都内唯一の都立公園です。豊かな自然と都市型公園の機能を併せ持ち、多くの都民に愛されてきました。その広さは96ヘクタール広大で、江戸時代につくられた小合溜に沿うこの公園には、中央広場のような明るく開けた草原、メタセコイアやハンノキなどが生い茂る樹林、水辺や菖蒲田、ガマ田などの湿地、バードサンクチュアリなど、さまざまな環境があることで、植物、昆虫や鳥類などの種類がとても豊富です。絶滅危惧種に指定されているものも多く観測されています。しかし、近年アサザも、オニバスも急激に減少し、売店前の広場にある噴水はもう4年以上水が止まっています。
水元公園のもう一つの特徴は、都内最大の都市型公園でもあるという点です。散歩やバーベキューを楽しみ、お弁当をひろげてくつろぐ姿、子どもが元気に遊ぶ姿にあふれ、この公園がいかに多くの都民に愛されているかを物語っています。
だからこそ、さまざまな世代の都民から意見や、要望が寄せられます。私は、葛飾区民の誇りであり、都民の宝である水元公園の豊かな自然が守られ、広く都民から愛される公園としてあり続けるために、公園管理について、以下質問します。
Q1 噴水広場の噴水が4年以上も止まったままです。今では土が敷かれ植栽のようになっています。公園正面の入り口であり、水元公園を象徴するような噴水が、訪れる人たちを迎えていたのに、見る影もない現状に、多くの区民が噴水の再開を求めています。水郷景観を象徴していた噴水の再開を待ち望む地域住民の声に都として、応えるべきだと思いますが、見解を伺います。
Q2 菖蒲祭りは、毎年区のさまざまな団体が協賛し、同時期に開催される堀切菖蒲園の菖蒲祭りとともに、地域の重要なイベントとなっています。しかし、今年6月の菖蒲まつりでは13ある菖蒲田のほとんどで花が咲いておらず、多くの区民と来訪者をがっかりさせることとなりました。一方で堀切菖蒲園の菖蒲は、今年も見事な花を咲かせ、来園者の目を楽しませました。都として、菖蒲田の管理を堀切菖蒲園に学び、水元公園の菖蒲田を復活させることを求めますが、いかがですか。
Q3 水元公園の豊かな自然環境を守るためには、専門的知識を持った職員が必要です。江戸金魚の水槽の保全、洋式トイレの速やかな整備、拡張された東金町8丁目との一体的整備や加用水の解決など、課題が山積しています。都として公園管理のあり方を抜本的に見直すべきではありませんか。都の見解を伺います。
二 風疹の緊急対策について
風疹の感染が関東地方を中心に拡大しています。国立感染症研究所の感染症疫学センターによれば、今年第1週から第38週までの風疹患者累積報告数は770人になり、2008年の全数届出開始以降、2013年、2012年についで3番目に多い報告数となり、首都圏を中心に感染が広がりつつあります。
東京都感染症情報センターによれば、都内の風疹報告数は、今年第1週から第38週までで239人に上っています。
2013年の大流行時には全国で14,344人の患者が報告され、この流行に関連した先天性風疹症候群が45人確認されています。先天性風疹症候群は、妊娠20週ぐらいまでの妊婦が風疹にかかると、おなかの赤ちゃんにもウイルスが感染して起こる病気で、難聴や白内障、心臓病といった深刻な影響が出るおそれがあります。
風疹の拡大を防ぐためには、社会全体で免疫を持っている人の割合を高くする必要があります。
しかし、予防接種法に基づく感染症流行予測事業の2017年度の調査結果でも、30代から50代の男性の抗体保有率が低くなっています。これは、この世代のワクチン接種が十分に行われなかったためであり、感染者数もこの世代で多くなっていることから、特に対策が必要です。
しかし、東京都から区市町村への予防接種費用の補助は、妊娠を予定または希望する女性を対象とする場合に限られており、対象の拡大が必要です。
以上を踏まえ、風疹の感染拡大と、それに伴う先天性風疹症候群を予防するために、以下質問します。
Q1 国立感染症研究所は、「女性は妊娠前に2回の風疹含有ワクチンを受けておくこと、妊婦の周囲の者に対するワクチン接種を行うことが重要である。また、30代から50代の男性で風疹に罹ったことがなく、風疹含有ワクチンを受けていないか、あるいは接種歴が不明の場合は、早めにMRワクチンを受けておくことが奨められる。」としています。風疹は、ワクチンで予防可能な感染症であり、男性も含めた30代から50代のすべての成人に対してMRワクチン接種への助成をできるよう、区市町村への補助を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
Q2 1のほか、医療関係者、教育、保育関係者、妊婦の同居家族なども感染の拡大を予防するために重要です。必要とするすべての人への予防接種費用について区市町村への補助を行うべきですが、いかがですか。
Q3 また、居住地以外で接種した場合に、「償還払い」が受けられない区市町村もあります。区市町村に積極的に働きかけ、居住地以外でも費用の心配をすることなく予防接種ができるようにするべきだと考えますが、都の見解を伺います。
Q4 MRワクチン接種への費用助成は、抗体検査をすることが前提となっているのが現状です。しかし、国立感染症研究所は、抗体検査なしでワクチン接種をしても差し支えないと、述べています。感染の拡大を抑え、先天性風疹症候群を防止するためにも、希望する人には抗体検査なしでもワクチン接種の助成を行うべきですが、都の見解を伺います。
Q5 国と連携し、各種のワクチンで近年繰り返されている供給不足の実態・原因を分析・評価し、ワクチン供給体制の問題点を具体的に明らかにしてワクチン供給不足への対策を早期に行うべきです。都の見解を伺います。
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書
一 都立水元公園の管理改善について
A1 水元公園は、埼玉県と東京都の県境に位置し、小合溜に沿って、広々とした水郷の景観が広がる約96ヘクタールの公園です。
水元公園の噴水施設については、平成29年度までに設計を完了しており、平成30年度及び平成31年度に改修工事を実施する予定です。
引き続き、水元公園の特性を生かした公園整備に努めていきます。
A2 水元公園の菖蒲田は、水郷景観の象徴であり、約9,000平方メートルに約100品種、約20万本のハナショウブが植えられています。
指定管理者である公益財団法人東京都公園協会は、これまでも、花付きの悪いハナショウブの植替えや、菖蒲田に繁茂しやすい雑草の除去など、開花率の向上に取り組んできました。
引き続き、指定管理者と協力しながら、更に見応えのある美しい菖蒲田の実現に努めていきます。
A3 水元公園は、メタセコイアが1,800本も林立する「メタセコイアの森」やバーベキュー広場、水郷景観を象徴する菖蒲田や水生植物園などがあり、四季を通じて散策や自然観察を楽しめるとともに、様々な魅力を有する大規模な公園です。
指定管理者である公益財団法人東京都公園協会は、これまでも水郷景観の保全や、アサザ、オニバス等の水生植物の保全など、専門的な知識を生かして維持管理業務に取り組んできました。
今後とも、希少な水生植物の保護増殖や外来種の駆除等の取組を強化するなど、水元公園の特性を踏まえた維持管理を行っていきます。
加用水の公園化など様々な課題については、引き続き、地元区や関係機関と連携するなど、取組を進めていきます。
二 風疹の緊急対策について
A1 風しんは、免疫を持たない妊婦が妊娠20週頃までの妊娠初期に感染すると、胎児が、難聴、白内障、先天性心疾患を特徴とする先天性風しん症候群にかかるおそれがあることから、都は、妊娠を予定又は希望する女性を対象に抗体検査と予防接種を一体的に行う区市町村を、包括補助で支援しています。
平成30年7月以降、風しん患者が急増している状況を踏まえ、都は緊急対策として、同年10月から、抗体検査と予防接種の対象を、妊婦の同居者、妊娠を予定又は希望する女性の同居者にも拡大しました。
また、今般の流行において患者の多くを占めている働く世代の感染予防として、職場で風しんのり患歴や予防接種歴の確認を行うよう呼び掛けるほか、従業員への普及啓発や、抗体検査と予防接種の促進等に取り組む企業を支援するなど、職域における風しん対策を推進しています。
A2 予防接種に必要なワクチンは、法律に基づく定期予防接種の対象者を中心に需要を見込み、計画的に生産されています。
急激な需要の増加に対応し、短期間に生産量を増加させることは難しいことから、効果的かつ効率的な予防接種の実施が求められます。
都は、風しん対策における最優先の課題である先天性風しん症候群の発生防止対策として、妊娠を予定又は希望する女性を対象に抗体検査と予防接種を一体的に行う区市町村を、包括補助で支援しています。
また、今般の流行状況を踏まえ、妊婦や妊娠を予定又は希望する女性の同居者についても、平成30年10月から抗体検査と予防接種の対象に加え、積極的に検査を受け、必要な場合には接種を受けるよう、区市町村や関係機関と連携して呼び掛けています。
A3 区市町村が実施主体となって行われる予防接種は、通常、その区市町村が委託した医療機関で実施されています。
区市町村の委託先ではない医療機関で実施された予防接種の取扱いは、実施主体である区市町村の判断によるものと考えます。
A4 予防接種に必要なワクチンは、法律に基づく定期予防接種の対象者を中心に需要を見込み、計画的に生産されています。
急激な需要の増加に対応し、短期間に生産量を増加させることは難しいことから、効果的かつ効率的な予防接種の実施が求められます。
国が策定した風しんに関する特定感染症予防指針によれば、風しんにり患したことがないと認識している者でも、一定の割合で風しんの免疫を保有していると考えられており、国民の8割から9割程度が既に抗体を保有している状況を踏まえると、必要があると認められる場合には積極的に抗体検査を実施することで、より効果的かつ効率的な予防接種の実施が期待できるとされています。
A5 都は、都内でワクチンの偏在が生じた場合などに、区市町村、医師会、医薬品卸業団体等の関係機関と連携して、必要なワクチンを円滑に供給するための体制を構築しており、国に対しては、ワクチンの安定供給対策を十分に講じるよう提案要求しています。
以 上