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質問・条例提案

2020.10.08

2020年第3回定例会を終えて

 2020年第3回定例会を終えて

2020年10月8日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ

1、コロナ対策の徹底審議を求めた日本共産党都議団

今定例会は、引き続きコロナ禍で、これまで経験したことのない大変な苦難に直面している都民の命、健康、福祉、暮らし、営業をどう守るのかが問われました。

わが党は、コロナ対策を都議会で徹底審議するため、補正予算について知事と1問1答で質疑する特別委員会設置と会期の延長を求めました。また本日の本会議では、閉会中審査を行うコロナ対策特別委員会の設置を提案しました。いずれも、わが党と立憲民主党、生活者ネット、自由を守る会の4会派が賛成しましたが、都民ファースト、自民党、公明党などの反対で実現しませんでした。引き続き、都議会がその責任を果たすために、全力をつくすものです。

2、都民の切実な願いにこたえる積極的提案、都民の運動を力に都政を動かす貴重な前進

わが党は、限られた日程のなかでも、都民の切実な願いにこたえる積極的提案を行いました。都民の運動と力を合わせて都政を動かす、貴重な前進もありました。

<PCR検査> 無症状の人が感染を広げる特徴がある新型コロナの感染拡大防止と社会経済活動両立のカギは、PCR検査の抜本的拡大であることを示し、検査数を1日数万件に引き上げることを求めました。知事が、「検査体制の強化を図る」と答弁したことは重要です。6月までの「必要な検査が実施されている」という答弁から大きな変化です。高齢者や障害者の入所施設での検査への支援が予算化されたこと、区市町村と共同実施で行う検査等の対象施設に、通所施設やショートステイが含められたことは重要です。さらに医療機関や保育施設、学校なども対象にすることを求めました。

 <保健所> 多摩地域にかつて17カ所あった都の保健所は、7カ所まで減らされました。コロナ禍で保健所は多忙を極め、疲弊しています。感染症対策だけでなく地域住民の健康を守る拠点として保健所の果たす役割は重要であり、各地で保健所を増やしてほしいという運動が都内各地で広がっています。知事が保健所の重要な役割への認識を示し、今後その在り方を検討していくとしたことは、今後につながるものであり、保健所の増設・拡充を進めるよう求めました。

<営業> 廃業が増えるなど中小業者の厳しい現状への認識を知事にただし、都独自の年越し給付金の創設、家賃支援給付金の上乗せ・横出しなどを求めました。知事は深刻な影響がおよんでいることを認め、事業継続や雇用の維持への支援を展開すると答弁しました。

 <暮らし> 生活困窮で住まいを失うことのないよう、国の住宅確保給付金の改善などを求めた質問に、都は住居を確保できるよう区市と連携して対応すると答弁しました。また、深刻な収入減に直面しているひとり親家庭の実態を示して対応を求めた質問に、都は食料品などの物品支援の対象者の拡大に向け調整していることを明らかにしました。さらに国民健康保険の減免の対象拡大、大学や専門学校生が学びを諦めないための学生への給付支援などを提案しました。

 <福祉・保育> 人との接触を避ける感染防止対策のため、高齢者や障害者と家族が深刻な影響を受けていることを示し、都の対応を求めました。知事は「地域での生活の継続を望む高齢者や障害者を支援していく」と表明しました。虐待などの被害を受ける若年女性への支援である若年被害女性等支援モデル事業について、引き続き取り組むことが示されました。また知事に、認可保育園の増設で、「隠れ待機児童」も含めた待機児童ゼロの実現を求めました。

 <教育> 子どもたちの豊かな教育を保障するためにも、感染拡大防止のためにも、少人数学級の実現が求められています。国政では与党からも賛成の声が上がり、全国知事会も少人数学級編成を可能とする教員の確保などを緊急要望しています。わが党は、各自治体の実情に合わせて20人程度の少人数学級が実施できるよう都として踏み出し、正規教員を増やすことなどを求めました。

 <防災> 新型コロナ対策により、災害時の避難所受入れ人数が減少することを受け、都として新たな避難所確保にむけ、大型商業施設等の業界団体との協定の締結や都立施設の活用に向けた調整を進めてきたこと、区市町村が新たな避難所を確保できるよう都として取り組みを支援していくとの答弁を引き出しました。また、水害時の緊急避難先として、都営住宅の上層階に集会所を設置することについて、建て替え時に地元区市町等から要望があれば協議に応じていくことが明らかになりました。

3、「都民と決める」どころか、「知事が勝手に決める」小池都政の問題点が浮き彫りに

今定例会は、知事が2期目に就任して初めての定例会でしたが、「都民と決める」という2期目の中心公約をさっそく投げすてて、正反対に「知事が勝手に決める」小池都政の重大な問題点が浮き彫りになりました。最大の焦点になったのが、新型コロナ対策条例改正の専決処分です。

改正内容は、事業者が感染防止宣言ステッカーを掲示すること、都民がステッカー掲示店を利用することなどを努力義務にするものです。都民の権利制限を含む重大な条例改正であるにもかかわらず、知事は、7月の臨時議会が閉会してわずか3日後に、議会に諮ることなく、専決処分で勝手に決めました。このような専決処分の乱用は、議決機関である議会が決定し、知事を長とする行政機関が執行するという、地方自治体の二元代表制の否定につながるものです。政府の見解でも、議会を開かず専決処分する明確な根拠がない場合は、違法であるとしています。ところが、本会議および委員会の質疑を通して、専決処分する明確な根拠は、ついに示されませんでした。違法性が厳しく問われます。

また、早く効果を発生させる必要があったと言いながら、ステッカーを貼っている店で感染が発生した事例があるのか、ないのかさえ把握していなかったことを認めました。つまり、感染症防止宣言ステッカーに感染防止の効果があるのかどうか把握もせず、科学的根拠のない条例改正をしたことになります。さらに知事は、自らの責任において行った専決処分にもかかわらず、専決処分に関するわが党の代表質問に一切答えず、再質問にも立ちませんでした。あまりにも無責任です。

条例改正の専決処分をした7月30日の東京都コロナ対策審議会で、知事は、「私は7月中にすべて終えて、8月からオリンピックモードにしようというのを念頭にしていたが、なかなか、ウイルスもしつこいところがございます」「いずれにしても、この夏になんとか片付けないと、そのあとにつながらない」と発言しています。要するに知事は、都民の命を守るためではなく、早くオリンピックモードにしたいという、政治的思惑から専決処分をしたということです。

このような知事の姿勢を容認した、都民ファースト、自民党、公明党の責任も厳しく問われます。

4、都民の命、健康、福祉、暮らし、営業を守り抜く都政・都議会への転換を

今定例会開会日の知事の所信表明では、コロナ禍で、これまで経験したことのない苦難に直面している都民に心を寄せる姿勢が見られませんでした。今後4年間、どういう都政を進めるのかという熱意も感じられませんでした。日本共産党都議団は現在18議席で、都民ファースト、自民党、公明党に次ぐ第4党ですが、来年の都議選でさらに前進させていただき、都民の命、健康、福祉、くらし、営業を守りぬく都政・都議会への転換をめざします。

また、小池都政が進めている都立病院・公社病院の独立行政法人化をはじめ、この40年来つづく経営効率優先、公共サービスを切り捨てて自己責任を求める新自由主義から抜け出し、住民にあたたかい、地方自治体本来のあり方を取り戻すため、全力をつくしてまいります。

以 上