本会議 とや英津子都議(練馬区選出)の「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と成功 に関する決議案」に対する討論
2020年10月8日の本会議で、とや英津子都議(練馬区)が「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と成功に関する決議案」にたいする討論を行いました。
動画(都議会ホームページです。令和2年第3回定例会 >10月8日(木曜日)本会議(議案の議決など)をご覧ください)
★討論全文(原稿)です。
ただ今、上程されました、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と成功に関する決議案について、討論を行います。
私たち日本共産党東京都議団は、2021年へと1年延期された東京2020大会について、開催のみを大前提とした決議案には賛成することは出来ません。
もちろん、言うまでもなく、オリンピックは、スポーツの最高のパフォーマンスの場であり、平和の祭典です。オリンピックがスポーツを通して国際交流を深め、国の政治的立場を超え相互理解を深めることや、平和に大きく貢献してきたと思っています。
また、多くの関係者の方々が開催にむけて懸命に準備されてこられたことは十分理解していますし、真摯な努力を続けてこられた方々に心からの敬意を表すものです。
しかし、現時点において、新型コロナウイルス感染症の地球的規模でのパンデミックの収束の見通しが立っていません。
何よりも命と安全を最優先に、開催できない事態も想定に入れた対応と、開催自体の可否を、誰が、何を基準に、いつまでに判断するのかを明確にすることこそ必要です。そしてその判断の基準や時期は、感染症の専門家やアスリートの意見を踏まえたものであるべきです。
五輪のマークは、5つの大陸の団結、すなわち人類が相互に連帯し、つながり合うことをイメージしています。パンデミックのために大会に参加できない国、選手が生まれる可能性もあります。
オリンピックが夢と希望を与えるものであるからこそ、命を最優先にした慎重な判断が必要です。
また、この間、IOCとの調整会議が何回か開かれています。報道によれば、延期や感染症対策に伴い、削れる額は300億円、追加で係る費用は3000億円とされています。しかし、具体的な数字や、追加経費はだれが負担するのか、検討内容については、都民にも都議会にも説明されていません。
都議会としてやるべきことは、その全容を明らかにさせて議論することです。そして、どのような結論になるにせよ、都民や国民の理解を得ながら進めることが必要です。
加えて、決議案では、東京2020大会を通じて、震災から力強く復興した被災地の姿を全世界に示せるとしていますが、実際には原発事故により、今もふるさとに帰りたくても帰れない被災地の方々がいます。
仕事をなくし、生活を壊され、今も困難を抱えている方たちが、たくさんいます。多くの被災者にとって復興は、いまだ道半ばです。配慮を欠いた表現だと言わざるを得ません。
この決議案は、手続きにも大きな問題があります。
本来、意見書や決議は、常任委員会を通じて、全会派一致で調整がついたものを本会議に上程するのが、都議会のルールです。
しかし、今回の決議案は、常任委員会に提出することが可能であったにもかかわらず、その手続きを省いただけでなく、議会運営委員会理事会で、上程するべきでないという、わが党の主張を数で押し切って、上程を決めました。都議会の、意見書、決議は全会派一致、という原則を踏みにじるものです。
都議会としての決議を、全ての会派の合意を得ずに進めるやり方に断固抗議し、反対討論を終わります。