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質問・条例提案

2020.09.30

本会議 河野ゆりえ都議(江戸川区選出)の一般質問

2020年9月30日の本会議で、河野ゆりえ都議(江戸川区選出)が一般質問を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和2年第3回定例会 > 9月30日一般質問をご覧ください)

★質問全文(質問原稿)です。

  1. 東部低地帯の水害対策について
  2. 避難所・福祉避難所について/在宅の人工呼吸器使用者の支援について
  3. コロナ禍の中での建設労働者のくらしと仕事の支援について

★答弁(都議会会議録速報版より)


 今年も梅雨期から全国各地で豪雨被害が発生し、9月も大型台風が相次いで襲来しました。「気候変動による政府間パネル(IPCC)」の第五次報告書では、気候システムの温暖化については疑う余地がないとし、気象庁は、このまま温室効果ガスの排出が続いた場合、短時間強雨の発生件数は現在の2倍以上に増加する可能性があり、降雨強度のさらなる増加と降雨パターンの変化が見込まれるとしています。激甚化、頻発化している豪雨災害の対策を強めることは急務です。

1、東部低地帯の水害対策について

Q1 私が住んでいる江戸川区を含め東部低地帯は、ハザードマップ通りに浸水すると2週間水が引かず、250万人に及ぶ人が被災するリスクを負っています。都の「地域防災計画風水害編」においても、その冒頭、「計画の目的及び前提」に、荒川の氾濫や高潮といった東部低地帯に特徴的な水害が記されています。
 知事は所信表明で「災害に強い都市の実現」を掲げましたが、東部低地帯の防災対策の必要性について、知事はどう認識していますか。

 今年第1回定例会のわが党の京成本線・荒川橋梁架け替えについての質問に、小池知事は「江東5区からの要望も踏まえ着実な前進を国に求める」旨の答弁をしました。その後、国が2022年度から工事着工の予定を明らかにしたことは重要です。

Q2 工事期間は、15年~16年かかると言われています。周囲より3.7m低い堤防に、住民は常に不安を持っています。完成を早めるよう国に強く求めていただくことを知事に求めます。いかがですか。

Q3 現在、京成電鉄荒川橋梁部分は、地盤沈下によって周囲の堤防より3.7m低く、今後の豪雨で堤防より水位が上がった場合、越水を防ぐことは困難です。都民の安全のために、都として堤防強化など水位上昇時の対策に取り組むことを求めます。いかがですか。

Q4 今月9日、国と都で構成する「災害に強い首都『東京』の形成に向けた連絡会議」が、水害に備えて高台まちづくりを推進する考えを示しました。河川沿いの区域をかさ上げして国の高規格堤防、都規格のスーパー堤防を建設することや公園の盛り土、高層建築物の創出で避難路、避難場所の確保につなげるとしています。これに対して各自治体からは、「小規模な住宅が密集している場合、現実性がない」、「ハード的な整備には相当の時間を要する」、「盛り土した地盤の強度不足や沈下への懸念」、「沿川自治体との協議が必要」など、厳しい意見や懸念が続出です。「かさ上げで移転しなくてはならない住民との関係、合意が課題」との報道もあります。
 江戸川区で、高規格堤防が建設された地域では、区画整理事業後、従前居住者の相当数が地区外に移転となりました。裁判を起こした住民達が「私の故郷はどこに行ってしまったのか。」と告発した事実は消えません。地盤の強度不足もありました。さらに、計画通りに荒川、中川、江戸川の両岸・総延長44.3kmを高規格堤防、補助スーパー堤防を作るには、整備期間200年、事業費計2兆7000億円と試算されています。高台まちづくりは、自治体から非現実的という意見が出るのも当然ではないでしょうか。気候変動・災害の激甚化、対策の迅速化が言われる中、真剣な見直しが必要です。
 知事は、ご自身の視察がこの「連絡会議設置へのきっかけとなった」と述べていますが、高台まちづくりについて、各自治体から疑問、懸念が表明され、住民との関係が指摘されていることをどう認識していますか。見解を伺います。

Q5 国は今年2月に「河川堤防に関する技術検討会」を立ち上げました。昨年の台風19号で全国142カ所の堤防が決壊した主要因の86%が越水であったことを踏まえて、「越水した場合でも決壊しにくい『粘り強い河川堤防』を目指すことが位置付けられました。我が党も要望してきましたが、堤防の天端や裏法面を強化するアーマーレビー堤防などにあらためて光があてられています。
 完成まで数百年の時間と巨額の費用を要する国の高規格堤防などの計画に都がしがみつくのではなく、「粘り強い堤防」作りなど現実的な対策に切り替えることを真剣に検討すべきではないですか。お答えください。

Q6 下水道整備による浸水対策についてです。東部低地帯の荒川左岸沿いは土地が低く、江戸川区内では、道路冠水や床下浸水の被害が発生しています。都の「豪雨対策下水道緊急プラン」で、江戸川区西葛西1丁目・北葛西2丁目を小規模緊急対策地区として下水道管バイパス管設置などを実施し、以後、浸水被害は起きていません。しかし、江戸川区役所周辺をはじめ、まだ浸水被害地域が残っています。こうした地域に道路管理者などとも協力して対策を講じること、また、浸水リスクが大きい東部低地帯を75ミリ対策地域とすることを求めます。それぞれ、お答えください。

 次に、災害時の避難に関して質問します。

Q7 東部低地帯では、垂直避難の備えが必要です。足立区など3自治体では、都営住宅の空き住戸を緊急避難先にする協定が結ばれました。都内全ての自治体で結ばれるよう、都の努力を求めます。都営住宅建て替えの際は、集会所を高いところに設置すること、またその集会所に防災備蓄物資の保管スペースを確保することを求めます。いかがですか。

2、避難所・福祉避難所について/在宅の人工呼吸器使用者の支援について

Q8 昨年の台風19号では、都内各地で障害者、高齢者が避難できない、避難所が満員で入れない事態がおきました。避難所では、何人もの障害児が情緒不安定になり家に帰ったという話も伺いました。要配慮者の避難について、都としてどのような取り組みを行っているのか伺います。

Q9 高齢者施設や障害者施設と合わせて、福祉避難所の中にはいくつかの都立特別支援学校も含まれています。円滑な開設にむけて教育庁の取り組みを伺います。

Q10 避難所、福祉避難所ともに、状況に応じて早めの開設ができるということだと思いますが、いかがですか。

Q11 人工呼吸器や吸入器を使って生活している障害者にとって、災害時の電源確保は生命を維持する大問題です。自家発電装置などへの補助が望まれています。都は、包括補助事業として、在宅人工呼吸器使用者への支援を行っていますが、実績は8自治体にとどまっています。包括補助ではなく都の支援事業として拡充することを求めますが、いかがですか。

3、コロナ禍の中での建設労働者のくらしと仕事の支援について

 次に、コロナ禍のなかでの建設労働者のくらしと仕事についてお聞きします。

 建設労働者の組合の一つである東京土建江戸川支部は、約500人の組合員に実態調査のアンケートを取り組みました。今年の5月~8月末の調査では、収入が減ったとの回答が55%を超え、収入への対応は預貯金の取り崩しが約3割、対策なしという人は4人に1人の割合です。コロナ禍のなかで、懸命に働き生活を維持している現状がアンケートの回答から浮かびあがってきます。都には、都内の建設業を支えている職人、労働者の実態を把握することを求めます。

12 国は、建設業の下請の人達は、弱い立場にあり、様々なしわ寄せを受けることが起きやすいと認識し、配慮が必要であるとの判断で通知が出ています。都も、フォローアップ事業で適正な下請け代金の支払いなど実態把握に努めるとしています。改正品確法の運用指針でも、実態把握の必要性が言われています。東京都発注の工事契約について、都が行うとしたフォローアップ事業の進捗状況はどのようになっていますか。

13 国は新型コロナウイルス対策の一つに国保料減免の補正予算を決めました。保険料減免申請の件数は想定よりも多く、ある国保組合では7月、8月の減免申請件数は900件弱だったのが9月半ば時点で1500件になり、当初予想の1000件を超えてしまい、国からの国保組合への財源が増えないと国保会計が圧迫されるとしています。都として国に対し、確実に減免額全てを支援することを求めていただくこと。また国が全額支援を行わない場合は東京都としても財政支援を行うよう求めます。いかがですか。

14 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関への受診控えがおきています。国保中央会が8月に公表した国保の5月の医療費は、前年比で14.1%減、国保組合は16.8%減です。このことが、建設国保の財政運営に影響することが心配されています。ケガや病気の時、建設労働者の命を守る建設国保の重要性を都はどのように認識していますか。都として建設国保のこれまで果たしてきた役割や機能を十分に発揮していただくことを求めます。見解を求め私の質問を終わります。


【答 弁】

○知事(小池百合子君) 河野ゆりえ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、東部低地帯の防災対策の必要性についてでございます。
 この地域は、大型台風による荒川、江戸川の氾濫や大規模な高潮などで、広範囲の浸水被害が想定をされ、一たび発生すれば、都民の生命と財産が脅かされるとともに、都市機能も大きな被害を受けます。
 都はこれまで、浸水被害に備えました護岸や防潮堤などの施設整備を推進するとともに、早期の自主避難の周知や、都立施設を活用した新たな避難先の確保など、区市町村と連携をして、さまざまな施策を展開してまいりました。
 引き続き、ハード、ソフトの両面から、風水害への対策を着実に進めてまいります。
 次に、高台まちづくりについてでございます。
 東部低地帯の災害リスクの軽減を図り、都民の命を守るために、水害に対して安全性の高い高台まちづくりを進めることが有効でございます。
 本年一月に国とともに設置した会議には、私も赤羽国土交通大臣とともに参加をいたしまして、これまで東部低地帯の水害対策などについて検討を重ねて、先般、具体的な取り組み方策を公表したところでございます。
 その間、区からは、高規格堤防等や公園の高台化の推進を図られたいなどの意見をいただいているところでございます。
 今後、都民の意見を聞いた上で、年内にも最終取りまとめを行いまして、さらに、国や地元区などと連携をし、高台まちづくりを進めてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 都立特別支援学校における福祉避難所の運営についてでございますが、現在、特別支援学校は施設がバリアフリー化されていることから、その多くが、主に高齢者や障害者などの配慮を要する方を受け入れる福祉避難所として、区市町村と協定を締結しているところでございます。
 都教育委員会は、福祉避難所の円滑な運営を図るため、学校に対して、区市町村と日常から連携体制を整えるよう指導しており、各学校においては、区市町村と開設方法や受け入れ対象者の確認、運営時の役割分担などの協議を行っているところでございます。
 今後とも、各学校において、区市町村との連携が進むよう支援をしてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 水害対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、京成本線荒川橋梁かけかえ促進に向けた取り組みについてでございますが、東部低地帯に住む都民の命と暮らしを守るため、本橋梁のかけかえにより、荒川水系河川整備計画に位置づけられた堤防高さを確保することは重要でございます。
 都は、本橋梁のかけかえによる堤防のかさ上げなど、国が管理する大河川の氾濫を防止する治水対策の着実な推進について継続して要望しております。
 引き続き、東部低地帯の安全性の向上に向け、事業の着実な推進を国に求めてまいります。
 次に、京成本線荒川橋梁部における水位上昇時の対策についてでございますが、今後、本橋梁のかけかえの着実な推進に向けた継続的な働きかけに加え、応急対策の検討も国に求めてまいります。
 最後に、国の高規格堤防から粘り強い堤防への切りかえについてでございますが、荒川などの治水対策は、河川管理者である国の責任において実施されるものでございます。
 都は、国に対して、首都圏の洪水や地震に対する安全性を高め、まちづくりにも寄与する高規格堤防事業の着実な推進を引き続き要望してまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 下水道による浸水対策についてでございますが、下水道局では、区部全域で時間五十ミリ降雨への対応を基本とし、早期に浸水を軽減するため、地区を重点化し、施設整備を推進しております。
 お話の江戸川区役所周辺では、二カ所で貯留量合計二千五百立方メートルの貯留管を整備し、浸水被害の軽減を図ってきたところでございます。
 現在、区部において、流出解析シミュレーション技術を活用し、時間七十五ミリの降雨があった際の検証を進めており、今後とも、検証結果や浸水実績等を踏まえ、着実に対策を進めてまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 都営住宅活用による水害時の緊急避難先等についてでございますが、都は現在、足立区、八王子市及び清瀬市と、都営住宅の上層階の空き住戸を緊急避難先として一時的に活用する協定を締結しておりまして、引き続き、地元区市町の意向を踏まえ対応してまいります。
 また、建てかえ時における集会所の上層階への設置につきましては、構造上設置可能な規模が制限されることなどの制約を踏まえた上で、地元区市町等から要望があれば協議に応じていくこととしております。
 防災備蓄物資の保管スペースにつきましては、平成二十七年度の建てかえ住棟から、原則として三層ごとの共用廊下に確保しておりまして、今後とも同様に設置してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、要配慮者の避難の支援についてでございますが、都は、高齢者や障害者などの要配慮者が災害時に福祉避難所へ円滑に避難し、適切な支援を受けられるよう、要配慮者ごとの個別避難計画の策定や、福祉避難所の運営マニュアル作成などに取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
 また、各区市町村の担当者を対象とした研修会を毎年開催し、福祉避難所の設置運営訓練や要配慮者への支援を担う人材の育成などの先行事例を紹介しているほか、福祉避難所への介護職員の派遣に関する調整なども行うこととしております。
 次に、在宅で人工呼吸器を使用する方への支援についてでございますが、難病患者についての自家発電装置等の整備は、国の制度の一環としての難病医療拠点、協力病院での整備に加え、都は独自に、対象となる医療機関を拡大し、補助事業を行っております。
 難病患者以外の方については、区市町村が、災害時要支援者対策の一環として自家発電装置の貸与等を実施しており、都は、区市町村の取り組みについても包括補助により独自に支援しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みにより、災害発生時における在宅人工呼吸器使用者への支援を進めてまいります。
 次に、国民健康保険組合の保険料減免についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が一定程度減少した方等については、保険者の判断で保険料を減免することが可能となっております。
 国の通知によると、国が示す基準により、令和二年二月一日から令和三年三月三十一日までの間に納期限がある保険料の減免を行った場合には、国が、その全額を財政支援する予定であるとしており、都は、その確実な実施を働きかけております。
 最後に、国民健康保険組合への支援についてでございますが、建設国保組合など国民健康保険組合は、都道府県及び区市町村が行う国民健康保険事業を補完する役割を担うとともに、被保険者の健康保持増進に尽力しております。
 都は、国民健康保険組合に対し、法令に基づき必要な指導及び助言を行うとともに、組合が行う事業の円滑な運営を図るため、独自の財政支援を行っております。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 避難所や福祉避難所の開設についてでございますが、都の地域防災計画では、避難所の指定、開設、管理運営に係る都や区市町村の役割を定めております。
 このうち、避難所や福祉避難所については、区市町村が気象情報等を踏まえ、発災前の情報連絡期から開設、運営することになってございます。
〔財務局長潮田勉君登壇〕

○財務局長(潮田勉君) 建設労働者の処遇についてでありますが、建設労働者の処遇の確保のためには、現場での下請契約が適正に行われることが重要であります。
 都は、工事契約に係る元請企業に対しまして、下請契約の適正化を要請しており、そのフォローアップ調査において、適正な下請代金の支払いなど、実態の把握に努めることとしておるところでございます。
 具体的な調査方法などは、現在検討中であり、準備ができた段階で調査を実施してまいります。