2020年第2回定例会を終えて(談話)
2020年第2回定例会を終えて
2020年6月10日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
小池知事任期最後の定例会が終わりました。今定例会は、直面するコロナ危機にどう対応するのか、またポストコロナを見据えて、どういう都政をつくるのかが問われました。
1、新型コロナ危機への対応──小池都政の問題点が浮き彫りに
感染拡大防止と経済・社会活動の再開を一体にすすめることが求められていますが、小池都政の対応はこの点できわめて不十分なことが浮き彫りになりました。
〈「必要な検査が実施されている」という知事の認識は重大─検査体制の抜本的拡充を〉
直面するコロナへの対応でも、第2波に備えるためにも、PCR検査体制の抜本的拡充と医療体制の強化が必要です。都内でも、なかなか検査が受けられず、ようやく受けた検査の結果が出る前に亡くなる例があるなど、深刻な事態がつづきました。
諸外国と比較しても日本の検査数は極端に少なく、国の専門家会議も「感染者数の急増に十分に対応できなかった」と述べています。こうした指摘も行い、わが党は「PCR検査は少なすぎると思わないのか」と質問しましたが、知事は「必要な検査が実施されている」という驚くべき答弁をくり返しました。さらに、ロードマップが示している1日1万件の検査についても期日を示しませんでした。検査問題での知事の認識の遅れと見識不足は重大です。第2波に備えるうえで、経済・社会活動再開と感染拡大抑止を両立させるため、積極的な検査体制に転換することを求めるものです。
また、医療機関の経営悪化による医療崩壊の危機が迫っていることを示し、知事の認識と対応をただしましたが、知事は答弁しませんでした。抜本的対策を緊急に実施することが必要です。
〈感染拡大防止協力金の遅れは深刻〉
感染拡大を防止するためにも、「自粛・休業と補償はセット」にすることが必要です。感染拡大防止協力金を実施したことは重要ですが、課題も明らかになっています。対象は中小企業のわずか3分の1であり、業種によって線引きされていることが分断を生んでいます。さらに、支給が進んでいないことも問題です。わが党は、支給してから審査をすればいいという提案をしましたが、支給件数が未だ45%にとどまっていることは深刻であり、一日も早く支給できるようにすべきです。
〈福祉、雇用、教育・学生、文化・芸術などに急いで必要な支援を〉
福祉-小池知事が、予算議会の施政方針で、「福祉予算」という言葉を一度も使ったことがないことを指摘し、福祉の充実を求めました。特に、保育園、学童保育、放課後等デイサービスの人員配置や一人あたり面積、職員の処遇の改善が、共通の課題となっており改善が必要です。また、コロナ危機のもとで重要な役割を発揮している、介護・福祉従事者への支援を求めました。
雇用-コロナ危機による雇用の悪化は深刻で、失業者や内定取り消しを生まない対策が必要です。企業への要請や支援、雇用調整助成金の上乗せ補助、保健・医療や教育分野をはじめとする都の正規職員の採用増、中小企業の従業員や非正規雇用者への生活費融資の金額引き上げや返済猶予期間を設けることなどを求めました。
教育・学生-3カ月の休校による学習の遅れと格差の拡大、心身のストレスは大きな問題です。3密回避と、きめ細かい教育のための少人数学級、学校給食の無償化を求めました。都は、国と区市町村の責任という冷たい姿勢を崩しませんでした。休校や自粛で帰省もできずアルバイトもない学生・院生の苦しい実態を示し、給付金の支給や、卒論などが間に合わない学生の在籍期間延長と授業料免除を求めました。都立大学で在籍期間延長と授業料免除、さらに困窮学生への給付金が実現したことは重要です。
文化・芸術-東京の文化・芸術が窮地に追い込まれている実態を告発し、すべてのアーティストや関係者に支援を行うよう求めました。「アートにエールを」の人数拡大や無観客・人数制限での公演に200万円の支援を行うことなど、一定の前進はありますが、さらに対象を広げることが必要です。文化・芸術分野への長期的で、継続的な支援が必要です。
2、ポストコロナを見据えて、これまでの都政の転換が必要
〈都立・公社病院の独法化中止〉
都立病院は、140年前にコレラやチフスなど感染症の流行に伴い開設され、新型コロナ対応にも都が直接責任をもって都民の命を守る役割を果たしています。しかし、知事は都立病院をより民間に近い経営形態にする、地方独立行政法人化をしようとしています。民間医療機関だけでは担いきれない不採算医療を担っているのが都立病院であり、競争や効率重視の新自由主義政策を自治体病院に持ち込む、独法化は今やってはならない逆噴射の政策だと厳しく指摘しました。
しかし「独法への移行準備も着実に進め」ると、この期に及んでも推進する立場を表明したことはきわめて重大であり、都民の命と健康を守る知事としての見識が問われます。わが党は、都民のみなさんとともに都立病院・公社病院の独法化中止を求めて奮闘する決意です。
〈保健所の増設と体制強化〉
歴代知事が、保健所と公衆衛生を軽視し縮小してきたことを反省し、転換することが必要です。かつて多摩地域に31カ所あった保健所、保健相談所は、統廃合でわずか7カ所にまで減らされました。現在、都が管轄している地域の保健所の保健師の定数は、この30年間で3割も減らされ、医師に至っては6割以上も減らされています。弱体化させられた中で、新型コロナ対応を行ってきたのです。しかし、驚くべきことに知事は、再編整備の過程で機能強化を図ったと事実を逆に描き、保健所の統廃合を正当化しました。知事の認識がきびしく問われます。保健所の増設と体制強化へ政策転換することこそ必要です。
〈税金の使い方の転換─命とくらし、福祉最優先に〉
さらに、税金の使い方の転換が必要です。わが党が毎年提案している予算組み替えを実施すれば、4年間で7400億円規模の財源をつくることができます。今後も、外環道整備は東名以南までふくめると総事業費3.2兆円など、巨額の経費を要する開発が目白押しです。大型開発優先の都政から命とくらし、福祉最優先に転換を行うことが、ポストコロナを見据えた財政需要にも応えていく大きな道です。
3、小池都政の4年間で都政の流れは変わらなかった。今度こそ都政の転換を
4年前、小池知事は「東京大改革」を掲げて、「反自民」の改革者として振る舞い、都民の人気を得ました。しかしその後、自ら掲げた公約を次々投げすてました。都政の大問題である、都立病院・公社病院の独法化も、カジノ誘致の検討も、羽田新ルート推進も、知事が当初掲げた「都民が決める。都民と進める」という公約と真逆のものです。
築地は守るという公約を投げすてて、大きな方向性は変わっていないと言い張り、「多摩格差ゼロ」の公約も口にしなくなりました。知事が公約した「都政の透明化」どころか、不透明な政策決定が相次ぎ、情報公開の黒塗り・ノリ弁をなくすという約束も守られていません。都営住宅の新規建設は、石原都政以来20年間ゼロが続いています。高齢者福祉も、特養ホームの待機者は3万人と高止まりしているのに、今年度、介護基盤整備予算を軒並み大幅削減しました。
小池都政の4年間で、都政の流れは変わりませんでした。都政の転換が必要です。日本共産党都議団は、都政転換を求める市民と野党のみなさんと力を合わせ、宇都宮けんじさんを都知事へと押し上げるために全力を尽くすものです。
以上