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質問・条例提案

予算特別委員会 原のり子都議(北多摩第4選出)の討論

★討論の原稿です。

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2020年第1回定例会 予算特別委員会 討論

2020年3月25日
日本共産党都議会議員団
原のり子(北多摩第4選出)

 日本共産党都議団を代表して、第一号議案、令和2年度東京都一般会計予算ほか10議案に反対し、第一号議案等の編成替えを求める動議に賛成の立場から討論を行います。
 小池知事の任期最後の予算案ですが、都民の福祉とくらしを守るべき予算案として、重大な問題点があります。高齢者福祉施設、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、認知症グループホームや地域密着型サービスなどの整備費等は軒並み削減されています。知事は、「長寿」を強調しながら、実際には介護基盤サービスの拡充に背を向けていることは重大です。
 また、毎年値上げが続く国民健康保険料・保険税についても、新たな対策がとられず、後期高齢者医療保険料値上げに対する負担軽減策もありません。日本共産党都議団は、国民健康保険料・保険税における、子どもの均等割ゼロ条例の提案を行いました。後期高齢者医療保険料については、財政安定化基金の活用で保険料の抑制を提起する申し入れを知事に行いました。今、都民がかかえている困難に寄り添い、解決する予算案になっていないと指摘せざるをえません。

 都政の3つの大問題についても、その深刻さが浮き彫りになりました。
 まず、都立病院・公社病院の独立行政法人化問題です。独法化のための予算を6億円計上していますが、進め方も、内容も多くの問題があります。
 白石委員の質疑で、独法化後10年になる神奈川県立病院機構の事例を紹介し、県が財政支援を大幅に減らし、18年度決算では収支が25億円マイナス、繰越欠損金は94億円を超え、経営が危機的な状態になっている事実を示しましたが、病院経営本部長は、「どのような経営形態をとっていても共通」だと答弁しました。
 さらに、独法化方針案へのパブリックコメントは1511人もの都民から寄せられ、その多くが独法化に反対の意見であったこと、しかし、このパブコメ中にも、独法化準備契約の入札を粛々と進めてきたことが明らかになり、重大です。独法化方針は既定の事実で、パブリックコメントは形式的なものだということです。このような進め方は許されません。
 また、私の質問に対しても、公社病院も独法化するとの検討はいつから始めたのかも答えられず、公社病院の地域運営協議会に報告すらしていません。これで強行することは許されません。

 羽田新飛行ルート問題では、予算案に、羽田空港機能強化の調査費が計上されています。国と知事が一体となって強行する羽田新飛行ルートは、落下物を防ぐことはできず、騒音は都民の暮らしに甚大な影響を及ぼすレベルです。都が評価した進入角度を引き上げて騒音を軽減する対策は、世界の航空会社が加盟する国際運送協会や国際パイロット協会が、騒音の軽減にはならない上、事故の危険性が増大することを指摘するように、文字通り世界で最も危険な飛行ルートになります。
 国は、本格実施の直前に実機飛行の結果を取りまとめましたが、これまでの国の最大騒音レベルを上回った地点は2割に上ったことが明らかになりました。
 ところが、その理由も原因も曖昧な説明にとどまり、夏にはさらに騒音が高くなる可能性があるとしています。それにも関わらず、住民説明会は実施せず強行しようとしていることは重大です。
 また、新型コロナウィルス感染症の影響により、国際線も国内線も大幅な減便と運休が相次いでいるもとで、3月29日からの本格実施の必要性はなく、都として羽田新飛行ルートをきっぱりと国に中止することを求めるべきです。

 さらに、小池知事はカジノ誘致の調査検討予算を計上しています。大山委員の質疑で、都の職員がカジノ事業者と接触していたことも明らかになりました。知事は、メリット・デメリットの検討と言い続けていますが、一方で、ギャンブル依存症の深刻さにも言及されました。カジノはギャンブル依存症を生み出すことで、高い収益をあげるビジネスモデルです。不幸を生み出すカジノは、きっぱり中止すべきです。

 知事は、「都民が決める。都民と進める」と公約したにも関わらず、この三大問題、都立・公社病院の独法化、羽田新ルート、カジノ誘致のいずれの問題も、都民不在であることが明白になりました。キッパリと中止することを重ねて指摘しておきます。

 質疑では、都民のくらしを応援する観点からの質問もしました。
 都営住宅については、都道府県別の公営住宅の応募倍率全国平均3・8倍に対し、東京は20倍にもなっているのに、新規建設をおこなわないからくりを、星見委員の質疑で明らかにしました。

 保育園待機児童対策では、大山委員の質疑で、知事は「四半世紀ぶりの水準に達し、3690名まで減少した」と発言したことについて、待機児童が少なくなるように定義が変わっていることを承知していながら、発言したことを認め、四半世紀前の定義にすれば現在の待機児は22884人にものぼることが明らかになりました。にもかかわらず、都が、来年度からの保育整備目標を引き下げようとしていることは重大です。いわゆる「隠れ待機児童」を含めた待機児童ゼロに向け、認可保育園の増設が必要であることを強く指摘します。

 日本共産党都議団は、新年度予算案を不要不急の大型開発を抜本的に見直して、都民の暮らし、福祉最優先の予算編成に組み替えるため、動議を提案しました。一般会計予算の1・7%を組み替えるだけで、80項目1542億円を予算化、拡充することができます。各会派のみなさんの賛同を心からよびかけるものです。

 また、立憲民主党・民主クラブの付帯決議案については、IR・カジノの調査委託について執行を見合わせるとしていることは重要であり、賛成です。ただ、職員定数に言及している部分については、職員の必要な配置、増員の抑制につながる懸念があり、付帯決議案については反対いたします。

 最後に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 都民の命と健康を守ることに最大の力を注がなければなりません。ウイルス検査や医療体制強化、マスクや消毒液の確保・供給が急務です。また、このままでは暮らしていけないという都内の中小、小規模事業者、非正規労働者、フリーランスなどの方々の悲痛な声に応えなければなりません。
 質疑では、都税や、国民健康保険料・保険税、後期高齢者医療保険料などの緊急減免、滞納に対する緊急猶予対策など、都民のくらし支援の都独自対策も必要ではないか、と求め、知事は、国の動向を注視しながら、都として適切に対応していく、と答弁されました。確実に実行することを求めます。
 長期化しているなかで、感染拡大を防ぎながら、子どもたち、高齢者、障がい者の生活をどう支えるのかもますます重要になっています。ほかにも学校の再開をはじめ、多くの課題があります。
 日本共産党都議団は、都民のみなさんの声をうかがい、しっかり反映できるよう引き続き全力を尽くす決意です。
 あわせて、延期が決定された東京オリパラ大会については、アスリートをはじめ、直接、間接の関係者に与える影響、被害を最小限にすることが必要です。また、東京だけが開催見直しに伴う追加費用を負担させられるのではという報道もあり、都民は懸念しています。懸案事項を公開しての議論を行い、都民が納得できる結論を得ることを求め、討論を終わります。