本会議 里吉ゆみ都議(世田谷区選出)の討論
12月18日の本会議で、里吉ゆみ都議(世田谷区選出)が討論を行いました。
動画(都議会ホームページです。令和元年第4回定例会 >12月18日(水曜日)本会議(議案の議決など)をご覧ください)
★2019年都議会第4回定例会 討論全文(原稿)です。
日本共産党都議団を代表して、知事提出の第204号議案ほか6議案に反対し、その他の知事提出議案に賛成、また議員提出の全議案に賛成する立場から討論を行います。
はじめに台風被害への対策についてです。
巨大台風が相次いで首都東京を襲ったなか、都が、被災者に寄り添った可能な限りの生活と生業の再建支援、豪雨被害への備えの緊急対策の抜本的強化をどのように進めるかが問われました。
日本共産党都議団は、昨年度の決算剰余金だけでも約700億円を補正予算に充てることができたことを示し、災害対策のさらなる拡充を求めました。
抜本的な予算の増額の表明はなかったものの、被災者支援においては、一部損壊住宅の応急処理への補助について、すでに自力で応急処理し、代金支払い済みの工事についても、国の制度対象のものも含めて補助すると明らかにしたことは重要です。さらに一部損壊住宅の応急処理への補助の全体について、補助額の拡充を求めるものです。
また、台風などの災害で浸水した住宅の清掃にかかった水道料金の減免は、神奈川県や長野県をはじめ、多くの自治体で実施されています。都として実施するよう求めたわが党の質問に、「他都市に減免の実例があることを承知しており」「被災者への配慮の意義を理解する」との認識が示されたことは重要です。減免の実施にぜひ踏み出していただくよう求めておきます。
避難所の質の向上について、「避難者一人一人の尊厳、健康を守り、安全・安心を確保することは重要」との認識が示されました。国際的基準とされるスフィア基準も参考にして、避難所の質の改善を図るとともに、大幅に数も増やすよう要望します。
浸水被害の原因究明やシミュレーションを行うこと、樋門の操作の遠隔化を進めることが表明されたことも重要です。河川の氾濫対策については、土砂の堆積や樹木の詳細な調査を被災した河川を中心に実施し、対策を検討する意向が示されました。
東京と日本を襲う台風や豪雨は年を追うごとに激甚化しています。直下型地震をふくめた防災対策について、あらゆる面で、風水害の備えの面でも、これまでの枠を徹底的に検証し、抜本的な対策を講じることを改めて強く求めるものです。
15日に閉幕したCOP25では、温室効果ガス削減量の国際取引などについての合意が先送りとなり、多くの人々の期待を裏切ることになりました。
知事は、2050年までにCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を表明しましたが、気候変動の危機的な状況を踏まえ、実効的な施策を進めること、そのためにも気候非常事態を宣言することを改めて求めるものです。
知事は今定例会の所信表明で、都立病院の独立行政法人化の方針を突然打ち出しました。
これに対し、全国各地の独立行政法人化された病院で、経営の効率化や採算性などが強調され、公的に担う医療の重大な後退などにつながっている、いくつもの事例を、わが党の代表質問で示しました。そして、「知事は、こうした事例を知らないのですか」という質問に知事は答えることができず、全国の状況をよく把握しないまま今回の方針を表明したことが浮き彫りになりました。
方針の決定過程も不透明です。わが党の代表質問に対して病院経営本部長が、知事の発言内容を知ったのは、3日の本会議の場だと答弁したことからも、この方針が唐突に出されたことは明らかです。知事も、この方針を東京都として、いつ、どこで意思決定したのかという質問に答えることができませんでした。
このような独立行政法人化方針は、白紙撤回するしかありません。
一方、年間約400億円の都立病院への一般会計からの繰入について、採算の確保が困難な行政的医療を提供するために不可欠な経費であり、赤字補てんではないという明確な答弁があったことは、きわめて重要です。
不採算部門も含め都民の命を守るために必要な医療を提供するために、都立病院は直営を堅持して拡充すべきことを、厳しく指摘しておきます。
次に、都民の就労支援の推進とソーシャルファームの創設促進に関する条例について述べます。
就労を希望するすべての都民、なかでも様々な理由で困難を抱える方の就労を応援し、総合的施策を実施するという条例の理念や目的は重要であり賛成です。
しかし条例は、ソーシャルファームの創設支援が都の責務だとし、その施策への協力を都民や事業者、区市町村の役割としているにもかかわらず、肝心のソーシャルファームとは何かという定義がありません。重大な欠陥がある条例です。条例化するにふさわしい、都民の共通認識も形成されていません。
また産業労働局は、条例が成立していない段階から「ソーシャルファーム支援事業」に22億円もの予算要求をしています。一方、「就労困難者特別支援事業」は4千万円にすぎません。条例の中身も、ソーシャルファームに偏重しており、すべての都民の就労支援は抽象的です。
以上のことから、第215号議案に反対し、希望するすべての都民への就労支援を拡充すること、ソーシャルファームについては地に足のついた施策に取り組むことを求めるものです。
児童相談所条例の一部改正について、3つの特別区が児童相談所を設置することには賛成です。しかし、本条例案には、世田谷区内にある東京都の児童相談所の廃止が盛り込まれています。
東京都の児童相談所1か所当たりの人口は全国的にも多く、都の児童相談所は増やしていくことが必要であり、第209号議案は反対です。
水道局の浄水場の排水処理業務委託での談合と、長年にわたる情報漏えい問題では、談合した4社のみを指名した入札や、都側に技術がなく民間依存となっていたことなど、都自らが作ってきた不正を生みやすい構造の改善を改めて求めます。
さらに4社のうち、水ing株式会社に天下りしていた局長級を含む元都職員が、談合発覚直後に退職しているのに、都は退職理由を調べもせず、天下り自体も問題ないとしているのは看過できません。
都庁全体の法令順守を担当する総務局が、この問題について、総務委員会に報告しようとしなかった姿勢も、厳しく問われるものです。
都の発注企業への「天下り」はやめる方向で見直すほか、小池知事が先頭にたって全庁を点検し、汚職等の防止に全力をあげることを求めておきます。
私立高校の都独自の授業料無償化を年収910万円の世帯まで拡大することについて、わが党が代表質問で求めた翌日に、都はその方針を固めたと報道されました。大いに歓迎するものです。
保護者からは「私学の負担は依然大きく、どの子も通えるようにしてほしい」と要望が寄せられています。ぜひその方向で予算編成していただくことを再度要望します。あわせて低所得世帯の入学金補助も実現を求めるものです。
最後に議員提出議案です。
議員の期末手当据え置き条例は、わが党と、生活者ネットワーク、自由を守る会の共同提案です。
議員報酬の2割削減を実行中ですが、都職員の勤勉手当に連動して議員の手当てを引き上げるべきではありません。
次に、日本共産党提案の若者の美術館料金を引き下げる条例提案は、若い世代が芸術文化のすばらしさにふれる機会を増やし、豊かな感性や想像力をはぐくめるよう、現代美術館など4館の常設展について、高校生および18歳未満の観覧料を無料に、18歳以上26歳未満を半額にするものです。
わが党が条例案の提出を発表した後、小池知事は、議会答弁で、春休み期間に18歳以下の方まで常設展、企画展とも観覧料を無料にすると表明しました。知事も各会派のみなさまも、若者を支援したいとの思いを同じくされていることと思います。こうした取り組みは、条例でしっかり位置づけてこそ、保障され推進されます。
議員提出議案への、みなさまのご賛同を心よりお願いして、討論を終わります。