本会議 藤田りょうこ都議(大田区選出)の一般質問
12月11日の本会議で、藤田りょうこ都議(大田区選出)が一般質問を行いました。
動画(都議会ホームページです。令和元年第4回定例会 > 12月11日一般質問をご覧ください。質問翌日から配信されます。)
★質問全文(質問原稿)です。
★答弁(議事録速報版より)
一、水害対策について
初めに、台風19号の被災者支援と水害対策についてです。
Q1 私の地元大田区では、都内最多の630棟もの世帯が一夜にして浸水被害にあいました。中でも被害が集中した田園調布4・5丁目は、高齢者世帯が多いために、ご近所同士で助け合いながら、使い物にならなくなった家財や畳の処分、泥まみれになった玄関や床下などの泥のかき出し作業を行っていました。
長年住んできた方でも「浸水は未経験」という地域であり、住宅が損傷し、多くの家財道具がダメになったことに、たくさんの方がたいへんなショックを受けています。2か月たった今も元の生活には戻っていません。
知事は、こうした都民の困難にどのように向き合っていくのですか。
Q2 住宅の応急修繕を行わなければ、暮らしを再開することはできないため、少なくない方が自ら業者に依頼して、修繕をすませました。都が今回の台風被害で、国の対象にならない一部損壊住宅に対する補助を補正予算に計上したことは重要ですが、この補助が、すでに自力で修繕を終えた住宅にも適用してもらえるのか、国の対象となる住宅でも、すでに修繕ずみの住宅が補助の対象となるか住民はそれぞれ不安を抱えています。応急修繕の補助については、自分で業者に依頼して修繕をすませた被災者へも支援の対象とするなど、柔軟で弾力的な措置をとるべきですが、いかがですか。
高齢のご夫婦が営む和菓子屋さんは、お店やお勝手が床上浸水しました。食べ物を扱うため営業再開には消毒が欠かせませんが、区による消毒のメドが立たず、自ら業者に依頼せざるを得ませんでした。作業が終わるまでの1か月間、収入がない中で代金を支払いました。何とかお店を再開させたものの、浸水でゆがんだ床はまだ修理ができていません。
Q3 都は昨年制定した、中小企業・小規模企業振興条例で、「小規模企業の振興は、事業の持続的な成長発展につながるように推進されなければならない」としましたが、台風19号被害にあった商店の事業継続の重要性について、どのように考え、支援していくのですか。
Q4 浸水したお宅は床下にも庭にも膨大な量の泥が流れ込み、それをかき出し、洗浄するため水道を大量に使わざるを得ませんでした。浸水被害にあった家庭への料金軽減を求めますがいかがですか。
Q5 今回の浸水は、様々な要因が複合的に重なったとされています。それだけに、今後の対策を正確に立てるためにも、原因を究明することが求められています。都として、大田区や世田谷区と連携しシミュレーションするなどして原因究明すべきだと思いますがいかがですか。
今回の浸水被害は、国の管理する多摩川が河川整備計画以上の水位や水量となったことが大きな要因です。このため、多摩川からの逆流による氾濫や、逆流防止のために水門を閉めたことによる内水氾濫が起きたのです。
Q6 都として国に対し、計画の水量や水位の変更、水位を下げるための土砂の浚渫や不要な堰(せき)の撤去や改修、小河内ダムの治水活用など、現在の多摩川河川整備計画を改定し、拡充を求めるべきですが、いかがですか。
都としても対策を緊急に進めることが重要です。
Q7 多摩川の逆流は、手動である樋門に職員が到達できず、閉鎖できなかったために起こりました。多摩川の下水道の樋門操作について、都は遠隔化をどのように進めるのですか。
Q8 大田区などの多摩川流域一帯は、都内でも唯一雨水管の未整備地域が多く残っています。雨水管の整備は、内水氾濫を起こさないようにするためにも一定の効果のある対策だと思いますが、これまでどのような考え方で整備を進めてきたのですか。
Q9 上沼部雨水幹線の50ミリ対応は早期に完成させることが必要ですが、進捗と完成の見通しを伺います。
二、精神保健福祉について
次に、精神保健福祉についてです。
生きづらさや困難を抱える方が、生きていてよかったと思える社会の実現を目指して質問します。
Q1 精神疾患は、都の医療計画でもがんや脳卒中と同様に中心的に取り組むべき疾病とされています。行政や社会が的確に取り組めば予防や早期治療を進められ、病気になったときも地域で自分らしい人生を送ることができます。
一方で、精神障害者の本人も家族も、社会のなかの根強い偏見の中で日々苦しんでいて、精神疾患への偏見をなくしていくことは大切です。
本人も周囲の人も、精神疾患への正しい理解があれば、前兆となる症状が出たときも発病時も事実を受け入れやすく、早期の発見や治療につながります。
知事は、精神疾患への取り組み、特に偏見をなくしていくことの重要性をどう認識していますか。
私と22年間一緒に暮らした叔母は、統合失調症でした。若い頃に発病してから数年間、治療につながらないまま悪化して、措置入院となり、大好きだったアニメの仕事も続けられませんでした。精神疾患を最も発病しやすいのは10代から20代です。10代から精神疾患についての知識を学べることが、早期発見・早期支援のためにとても大事だと思います。そうなっていれば、叔母ももっと自分らしく生きられたのではないかという思いがぬぐえません。
Q2 2022年から使用する高校の新学習指導要領の保健体育に「精神疾患の予防と回復」の項目ができました。生徒たちが精神疾患について知ることは、早期発見、早期治療のためにも重要であると考えますが、認識をうかがいます。
Q3 また、授業などで精神疾患の当事者や家族会、専門家の方にお話をしてもらいたい場合に紹介できるようにするなど、学校で精神疾患について教えることへの支援を行うことを求めますが、いかがですか。
Q4 都は2015年に精神保健についての啓発パンフレット「こんなときどうしたらいいの?」を発行し、都内の公立中学校で配布しました。こうした取り組みは重要であり、今後も行うことを求めますが、いかがですか。
その後、叔母は退院しましたが通院したがらず、家族は保健所や、いくつもの病院に行って相談しましたが、有効な手立てにつながらないまま困り果てていました。そうしたときに助けとなるのが、自宅を訪問して支援するアウトリーチです。
Q5 練馬区では2011年度からアウトリーチ支援事業を行っています。この間、精神保健福祉士を増員し、昨年度は4人で約540件の訪問を行いました。これにより、相談を受けてから対応するまでの期間の短縮や、支援回数の増加など、支援の充実が進んでいます。練馬区のようなアウトリーチの取り組みを広げるため、支援を強化していくことを求めますが、いかがですか。
Q6 精神障害者が地域で自立して暮らしていくためには、グループホームが非常に重要です。しかし都では、おおむね3年間で一人暮らしに移行するとされる通過型グループホームが多数です。高齢化の進行などにより、一人暮らしの困難な方も増えていることから、期限なく入居できる滞在型グループホームをより積極的に増やしていく必要があると思いますが、いかがですか。
Q7 四六時中、精神障害者の本人と家族が一緒にいる中で、状況が悪化し、距離を置くために家族が一時的に家を出たほうが良い場合もあります。調布市では、家族が一時宿泊できる場所の確保への支援を行っています。こうした支援を広げていくことが重要であり、積極的に取り組むことを求めますが、いかがですか。
三、特別支援学校の看護師確保について
最後に、特別支援学校の看護師確保について伺います。
都立特別支援学校では、吸引や経管栄養、人工呼吸器などの医療的ケアが必要な子どもたちが、保護者の付き添いなしに学べるよう、校内での医療的ケア体制の整備をすすめ、昨年からは看護師が同乗したスクールバスの運行も開始しました。
スクールバスで通学を始めたA君は、自分から「先生おはよう」など積極的に話すようになりました。「ママがいなくても1人で乗れた」という経験が、子どもの自信と自立につながっています。お母さんの体調の悪い日も学校に通えます。
Q1 都立特別支援学校における医療的ケアの実施は、医療的ケアの必要な子どもたちにとって、学校で学ぶ上で、重要な役割を果たしています。知事の認識を伺います。
医療的ケアの要は看護師です。しかし、その確保と定着に苦労している学校が少なくありません。私の地元、大田区の城南特別支援学校では、今年度初めには4名が欠員でした。早朝のスクールバスの看護師確保はさらに大変です。
看護師が頻繁に入れ替わる状況は子どもにとっても良くありません。
Q2 医療的ケア児とかかわる看護師が、安定して配置できることは重要であると考えますが、いかがですか。
子どもたちの人生を支え、成長に携われることは看護師の喜びです。同時に、
Q3 医師のいない学校での最新の医療機器を操作してのケアは、高度な判断と医療技術が求められ、難しいと感じる看護師もいます。
雇用促進と安心して働くために、研修の充実が要望されています。いかがですか。
病院とは異なる学校での医療的ケアの特徴を、学生のうちに知ることも重要です。
Q4 都立看護専門学校において、学校での医療的ケアについての教育を充実させるべきですが、いかがですか。
的確なケアには、看護の時だけでなく子どもの生活全体の理解が必要です。
Q5 看護師が子どもたちの1日の様子を把握し、教員と共同しながら心理面や家庭でのことなど、総合的に子どもたちをとらえてケアができることが、子どもたちの利益にもつながります。そのためにも、雇用が安定し、看護の継続が可能となる常勤看護師を増やして対応できることが最も効果的であると考えます。いかがですか。
答弁を求め、質問を終わります。
答 弁
○知事(小池百合子君) 藤田りょうこ議員の一般質問にお答えいたします。
被災した都民への向き合い方についてでございます。
今回の一連の台風では、各地に記録的な大雨や暴風をもたらしました。都内でも河川の氾濫、道路の崩落、ライフラインの寸断など大きな被害が発生をいたしました。改めてお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
被災後、私自身、直ちに被災現場を訪れまして、被害の状況を確認し、被災者からも直接お話を伺ったところでございます。
こうした状況を踏まえまして、一部損壊住宅に対する都独自の支援、緊急に対応すべき事業につきまして、補正予算を編成、風水害全般について検証を行って、三十五の対策を取りまとめているところでございます。
引き続き、被災者の皆様に対しまして的確な支援を行うとともに、防災対策を着実に進めることで、セーフシティー東京の実現に取り組んでまいります。
次に、精神疾患についてのご質問でございます。
精神疾患につきましては、いまだ理解不足、そして偏見があって、治療が必要な方が受診をためらったり、地域生活が円滑に進まないことがございます。
患者やその家族が地域で安心して生活を送れるようにするためには、医療提供体制の確保、精神疾患についての正しい理解の促進に取り組むことが重要であると考えております。
次に、医療的ケア児の学校での学びでございます。
障害のある子供たちが適切な医療的ケアを受けて学校で学べる機会を整えることは重要であります。
都は、保護者の付き添いなく学校に通えるよう、医療的ケア児のための専用通学車両の運行や人工呼吸器の管理モデル事業を実施するなど、医療的ケアが必要な子供の学ぶ機会を拡充いたしております。
今後も教育委員会と連携して、生命と安全の確保を第一としながら、障害のある子供たちの教育の充実を図ってまいります。
残余のご質問は、教育長、関係局長からとさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕
○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
初めに、高等学校における精神疾患に関する学習についてでございますが、学校における健康教育では、生徒が精神疾患に関することを含め、心身の健康に関する正しい知識を身につけることが重要でございます。
高等学校の新たな学習指導要領等におきましては、鬱病、統合失調症、不安症、摂食障害などの疾患は若年で発症することが多く、誰もが罹患し得ること、また、早期に心身の不調を発見し、治療や支援を開始することによって回復可能性が高まることなどを理解できるようにすることとなっております。
今後とも、都教育委員会は、保健体育科主任連絡協議会等で精神疾患の予防と回復に関する指導の必要性を周知するなど、適切に指導が行われるよう学校を支援してまいります。
次に、外部人材を活用した精神疾患に関する授業等を行う学校への支援についてでございますが、都教育委員会は、都立高校等の希望に応じて精神科専門医を派遣し、生徒の心の健康に関する教職員からの相談対応や生徒向けの講演会等を実施しております。
今後とも、協力いただける専門医の確保等に取り組み、教職員や生徒が精神疾患に対する理解を深めることができるよう学校を支援してまいります。
次に、医療的ケア児にかかわる看護師の配置についてでございますが、児童生徒が心理的に安定した状態で医療的ケアを受けるには、看護師が医療の専門家としての役割を果たすとともに、各学校が看護師の担当する児童生徒の受け持ちを決めて、安定した配置をすることが重要でございます。
次に、看護師の研修の充実についてでございますが、都立特別支援学校で実施する医療的ケアは高度複雑化しており、看護師に求められる知識、技術が年々高まっております。
都教育委員会は、従来の研修に加え、平成三十年度から人工呼吸器管理、今年度は気管カニューレ再挿入等の緊急時対応に係る実技研修など、最新の医療情報に関する研修を実施しております。
今後も引き続き、看護師の専門性の向上に取り組んでまいります。
最後に、医療的ケアを実施する体制についてでございますが、都教育委員会は、医療的ケア児の安全な学校での受け入れが可能となるよう、これまで配置してきた常勤看護師及び非常勤看護師に加え、平成三十年度から、一日を通じて勤務する主任非常勤看護師を配置しております。
障害の状態等が異なる児童生徒に対して医療的ケアを安全かつ適切に実施するためには、医療的ケアの内容や程度、頻度に応じた体制を構築する必要がございます。
そのため、都教育委員会は、医療的ケア全般の管理を担う常勤看護師、常勤看護師を補佐する主任非常勤看護師、医療的ケアの主たる実施者である非常勤看護師それぞれが役割に基づき、教員等と連携しながら、医療的ケアを実施できる体制を整備しているところでございます。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕
○住宅政策本部長(榎本雅人君) 一部損壊の住宅への支援についてでございますが、今回の都の制度について、区市町村からは、既に工事が完了し、その代金を支払い済みの場合も支援の対象とするよう要望が出ております。
そのため、国の応急修理制度を準用しつつ、区市町村の意向も踏まえ、国の制度の対象も含め、支払い済みのものも対象といたします。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕
○産業労働局長(村松明典君) 中小企業の事業継続についてですが、中小企業は産業活動の基盤としての役割を担う重要な存在であり、その持続的な成長発展を後押しすることが必要でございます。
都は、被災した中小企業に対する事業再建のための融資制度を迅速に立ち上げました。また、国においても復旧支援策を明らかにしたところであり、引き続き、国と連携を図りながら適切に対応してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕
○水道局長(中嶋正宏君) 浸水被害世帯に対する料金の軽減についてでございますが、水道料金の減免は、受益者負担の原則を踏まえ、事業の独立採算制及び使用者間の公平性の観点から、慎重かつ限定的に実施する必要がございます。このため、料金減免は社会福祉施設など、条例や議会の決議に基づき実施しております。
今般の台風浸水被害に関しましては、他都市に減免の実例があることは承知しておりますが、当局としましては、災害に遭われた被災者の方々への配慮の意義は理解するものの、負担の公平性及び企業経営の観点から、対象地域及び世帯の特定や水量算定方法などの課題があり、料金軽減の検討につきましては、慎重な対応が必要であると考えております。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕
○下水道局長(和賀井克夫君) 四点のご質問にお答えします。
初めに、区と連携した浸水被害の原因究明についてでございますが、今般の台風被害を受け、大田区では十月に、台風十九号に伴う浸水被害等の対策会議を設置し、シミュレーション等により浸水の原因究明等を実施することとしており、下水道局は、河川管理者など関係機関とともに参画をしております。世田谷区でも同様の会議体を今月末までに設置する予定と聞いております。
今後、下水道局では、関係機関とも連携し、これらの会議等を通じて技術的な助言や情報提供を行ってまいります。
次に、樋門の遠隔化についてでございますが、樋門は、閉鎖することにより内水氾濫のおそれがあり、操作は河川水位等さまざまな状況を把握しながら行うため、現地の操作盤等で行う構造が基本となっております。
大規模風水害検証会議におきまして、樋門の安全対策について検証した結果、堤防より宅地側からでも樋門の操作を行えるよう、遠隔化を検討することとしたところでございます。
次に、大田区等の多摩川流域一帯の雨水管の整備についてでございますが、この地域は分流式下水道により整備しており、トイレの水洗化や多摩川などの水質改善を早期に図るため、汚水管を先行して整備してまいりました。
内水氾濫を防ぐためには、雨水管の整備は重要であり、放流先の河川や雨水管を埋設する道路の整備状況と整合を図りつつ、くぼ地や坂下などの浸水の危険性が高い地域を優先して整備しております。
最後に、上沼部雨水幹線についてでございますが、本幹線は、五十ミリ施設整備の重点地区であります大田区田園調布地区の浸水対策として、直径最大一・八メートル、延長約七百十メートルの下水道管をシールド工法等により施工するものであります。
本地区は、多くの住宅や社会福祉施設などが立地する閑静な住宅街であるとともに、狭い道路に水道管やガス管などがふくそうする厳しい施工環境でございます。
平成二十六年度から立て坑の用地交渉や、道路管理者、埋設企業者などとの協議を進め、平成二十九年度に工事に着工いたしました。平成三十年度は、世田谷区玉堤一丁目に位置する深さ約十六メートルの発進立て坑を整備したところでございます。
今後も、地元の皆様のご理解をいただきながら、令和二年度中の完成を目指して事業を推進してまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕
○建設局長(三浦隆君) 多摩川の河川整備計画の改定、拡充についてでございますが、国が平成二十九年三月に策定いたしました多摩川の直轄管理区間における河川整備計画では、堰への対策や築堤などを行うこと、小河内ダムを治水目的で有効に利用することなどが記載されており、都は、河川整備計画に対する関係都県への意見照会時や、国の予算編成に対する提案要求時におきまして、治水事業の推進を要望しております。
国では、台風第十九号を踏まえ、河川整備計画の見直しの必要性について検討中であると聞いており、今後、国の動向を注視してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕
○福祉保健局長(内藤淳君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、精神保健に関する普及啓発についてでありますが、都は、患者を早期発見し、治療や社会復帰に結びつけられるよう、本人や家族等が加入する団体に委託し、精神保健福祉に関する普及啓発事業を実施しており、相談機関等を掲載した冊子の発行や、精神疾患の早期発見、早期治療等に関する講演会の開催などを行っております。
お話の中学校へのパンフレットの配布は、その一環として実施したものであり、引き続き、啓発の対象やパンフレット等の作成など、効果的な啓発の方法を広く検討してまいります。
次に、区市町村のアウトリーチへの支援についてでありますが、精神科の未受診や治療の中断等により地域生活に困難を来している精神障害者を必要な医療や支援につなげるためには、住民に身近な区市町村が、きめ細かなアウトリーチを行うことが重要でございます。
今年度は、国の事業を活用して、十の自治体がアウトリーチを実施しており、都といたしましては、精神保健福祉センターで、アウトリーチの立ち上げ支援や個別事例の検討会での助言、関係職員を対象とした研修等を実施するなど、引き続き、区市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、精神障害者のグループホームについてでありますが、都では、障害者グループホームの指定に当たり、単身生活への移行を目指す通過型と、必ずしも単身生活への移行を目指すものではない滞在型の二つの類型を設けており、この滞在型は、通過型とともに地域居住の場として重要でございます。
これらのグループホームの設置に当たりましては、運営主体である事業者に対して、区市町村に地域の利用見込みを確認するよう求めており、引き続き、地域のニーズを踏まえた整備が進むよう働きかけてまいります。
次に、家族の一時宿泊場所についてでありますが、家族との関係等により本人の精神症状が悪化し、地域生活の継続に危機が生じている際には、本人と家族の生活の場を離すことが必要となる場合がございます。
こうした場合の家族の一時的な宿泊場所の確保は、区市町村が独自に取り組むものであり、都は包括補助で支援しているところです。
今後とも、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを支援してまいります。
最後に、都立看護専門学校における医療的ケアの教育についてでありますが、都立看護専門学校の教育課程には、特別支援学校における医療的ケアに必要な、口腔内等からの吸引や経管栄養の援助、人工呼吸器の管理など、基礎的な看護技術の習得などが盛り込まれております。
本年十月に国が取りまとめた看護基礎教育検討会報告書では、教育内容等の見直しのポイントとして、看護の対象や療養の場の多様化への対応、多職種連携のための内容の充実等が示されており、都は現在、この報告書を踏まえ、教育課程の検討を進めております。