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質問・条例提案

2019.09.09

本会議 とや英津子都議(練馬区選出)の代表質問

9月9日の本会議で、とや英津子都議(練馬区選出)が代表質問を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和元年第3回定例会 > 9月9日代表質問をご覧ください)

★質問全文(質問原稿)です。

  1. 羽田新ルートについて
  2. カジノについて
  3. 東京2020大会について(暑さ対策、経費の縮減、平和と人権、スポーツ・文化振興)
  4. 長期計画について
  5. 高齢者福祉について
  6. 子育て支援について
  7. 児童虐待対策について
  8. 高齢ドライバーの事故防止と移動支援について
  9. 重度障害者の就労支援について
  10. 教育条件整備について(重度重複学級、私立高校生の学費負担軽減)
  11. 防災対策について
  12. 道路計画について(都市計画道路見直し、日本橋周辺首都高地下化)

★答弁(議事録速報版より)

★再質問(議事録速報版より)


 

一、羽田新ルートについて

Q1 はじめに羽田新飛行ルートの問題です。国が来年3月からの運用開始を決めたことに、都民の批判が広がっています。
 重大な問題は、小池知事が国の決定に感謝を表明し、所信表明では実現に向けて国に積極的に協力していくと述べたことです。
 これまで都は、新飛行ルートの実施について「地元の理解と協力が前提」だとしてきました。知事は、この姿勢をくつがえすのですか。地元の理解を得たというなら、その具体的根拠は何ですか。

Q2 大型航空機が、都心上空を低空で飛行する重大な問題です。騒音、落下物、大気汚染、資産価値の低下、墜落事故の危険など、多くの問題が未解決です。
 欧州WHOが示した航空機騒音ガイドラインを大幅に上回る騒音に、多くの都民がさらされます。騒音は、会話をさまたげるだけでなく、睡眠障害や脳卒中、心臓病を引き起こす要因になります。
 航空機からの落下物は、国内のおもな7空港だけで年間447件、一日に一度以上起きています。人口が密集する都心の上空から落下物が起きたときの危険性は明らかです。
 それでも知事は、都民の安全、健康、生命、財産を守れると、約束できるのですか。

 知事は所信表明で、東京・日本の国際競争力向上や、東京オリパラ大会の円滑な実施に欠かせないから、羽田新ルートは必要だという趣旨の発言をしました。

Q3 知事は、国際競争力向上や東京オリパラ大会の円滑な実施を理由にすれば、何でも許されると考えているのですか。

Q4 知事みずから、地域住民の批判や不安の声に直接耳を傾けるべきです。いかがですか。

Q5 知事は、騒音軽減のための国の追加対策を評価すると言いました。
 国の追加対策は、着陸時の進入角度を標準の3度から3・5度に、より急角度にするものです。しかし、パイロットや航空の専門家から、これにより着陸のやり直しが増えるなど騒音のリスクは増大する、しりもち事故などの危険性が増えると指摘されていることを、知事はどう考えているのですか。

Q6 都は、羽田空港で5本目の滑走路の増設に向け、国交省と本格的な協議に着手する方針を固め、長期計画に盛り込むとの報道がありました。このような事実を隠して、新飛行ルートの運用開始を決めたとしたら、地元自治体や住民への背信行為です。
 都が国と協議に着手する方針だというのは事実ですか。地元自治体や議会、住民の同意なしに、このような協議に入ることはしないと明言できますか。知事、お答え下さい。

 著名な航空評論家は、不測の墜落事故や落下事故が起きれば人や建物が深刻な被害を受ける危険性が高いため、世界の大空港は、都心上空の飛行はしなくなったと述べています。
 大規模空港は、安全確保、騒音防止、地域との共存を重視するのが、世界の流れです。日本共産党都議団は、羽田新飛行ルート計画の白紙撤回を、きびしく求めるものです。

二、カジノについて

 次にカジノ問題です。

Q1 知事は、統合型リゾートIRについて検討していることを認めつつ、カジノとIRは違うと発言してきました。
 しかし、日本共産党都議団の情報公開請求で開示された資料から、都が臨海副都心の青海地区北側に、カジノをふくむIR導入を、具体的に、詳細に検討していることが明らかになりました。世界各地のカジノ運営事業者からヒアリングを行い、国の基本方針発表後、事業者の公募や計画申請をするスケジュール表まで作っています。
 横浜市長は、選挙中の態度をひょう変させてカジノ誘致を表明し、市民のつよい批判をあびています。
 知事、カジノ誘致の検討を、引き続きこれまでと変わることなく続けるのですか。
 人のお金を巻き上げ、ギャンブル依存症を増やし、治安を悪くし犯罪を増やし、貧困と格差を広げるカジノ誘致はすべきではありません。知事いかがですか。

Q2 開示された文書の多くが黒塗り、のり弁状態です。知事、情報公開を進めるという公約に違反しているのではありませんか。

Q3 都の職員が都民の税金を使ってイギリスとアメリカに行き、ギャンブル依存症対策について聞き取り調査をした報告文書まで、すべて黒塗りです。カジノによるギャンブル依存症の深刻な実態が、都民の目にふれないようにするためだとしか思えません。黒塗りをはずして開示し直すべきです。知事の見解を伺います。

三、東京2020大会について

  次に、開催まで1年を切った東京オリパラ大会の成功にむけた課題について提案します。
 第一に、暑さ対策です。

Q1 昨年につづき、今年も大変な猛暑になりました。暑さ指数が「運動は原則中止」に該当した日は、オリンピック期間17日間のうち、14日間にものぼりました。
 多くの都民が「こんな猛暑のなかで競技や観戦ができるのか」「熱中症にならないか」と心配しています。アスリートや競技団体から、コースや時間の変更を求める声があがっています。
 知事は、この問題の重大さ、深刻さをどう認識しているのですか。

Q2 東京大会の立候補ファイルには、「温暖でアスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」と書かれています。知事は、これが適切な内容だったと思いますか。

Q3 競歩20キロ世界記録保持者の鈴木雄介選手は、実際にコースを歩き、ほぼ日影がなくて脱水になってもおかしくない。可能ならコースを再考してほしいと声をあげ、大きく報道されました。アスリートや競技団体の声を聞き、コースや時間の見直し、また競技の中止・延期の基準をもつなど対策が必要です。認識と対応を伺います。

Q4 マラソンなどの沿道の観戦、駅から会場までの道のり、いわゆるラストマイル、都市ボランティアの方々の暑さ対策は、都の責任です。
 観客やボランティアの暑さ対策について、私は体温調節を研究している大学教授に話を伺いました。都が推進するミストやネッククーラー、うちわなどは、冷感を得ることはできても体温は下がらず、効果はないとのことでした。
 重要なのは、日影と風、そして水を飲むことで、必要だと感じたときに遠慮なくそれらを得られる場所を十分につくること、行動を促す情報提供などの仕組み、ボランティアなど持ち場を離れにくい方々には、何かあったときに連絡できる仕組みづくりです。これらの具体化を求めますが、いかがですか。

 第二に、知事の公約でもある、五輪経費の縮減・透明化です。

Q5 五輪大会は、膨らむ経費のため、開催都市の手があがらない深刻な問題に直面しています。2020年東京大会が、持続可能なオリンピックへのモデルとなるよう、さらなる努力が必要です。知事は、どう取り組むのですか。

Q6 組織委員会が実施し東京都が費用を負担する共同実施事業では、昨年度都が負担した1800億円のうち、パートナー企業と契約した38件、622億円分の契約金額が非公開でした。
 わが党は公開できないなら、税金を投入するべきではないと主張してきましたが、この7月末に6社の15件、18億円の契約が公表されました。当然のことですが一歩前進です。
 さらに、都民の税金が投入されたものは、すべて公開するよう求めます。知事いかがですか。

 第三に、平和と人権を守る社会をめざす大会として成功させることです。

Q7 五輪大会期間中に、広島の原爆の日を迎え、閉会日は長崎の原爆の日です。東京に在住する原爆被害者の会である東友会の代表理事は、「原爆の日と五輪の式典が重なる機会はまれ。平和への思いを込めたメッセージをぜひ発信してほしい」と訴えています。東友会は、五輪開催期間中に新宿西口広場などで原爆展を開催するなどの平和の取り組みを求めています。
 知事、これらの要望にぜひ答えていただきたいと思いますが、いかがですか。

Q8 同性パートナーがいる二人の都職員がこの8月、慶弔、介護、育児に関する休暇などの福利厚生制度や職員住宅への入居などについて、異性カップルと同様に認めてほしいと声をあげました。大変な勇気のいることです。
 まず都庁が率先して、異性カップルと同様の福利厚生等を同性カップルにも適用すべきです。いかがですか。

Q9 同性カップルを自治体が正式なパートナーと認める制度は、渋谷区からスタートし、全国24自治体に広がっています。7月には茨城県で始まりました。都として同性パートナーシップ制度を確立することを求めます。見解を伺います。

Q10 9月1日の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に、知事は今年も追悼の辞を送りませんでした。関東大震災の混乱に乗じて「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「暴動を起こした」などのデマが流され、多数の朝鮮人や中国人が虐殺されました。
 にもかかわらず、「何が事実かは歴史家がひもとくべきだ」と言って、虐殺の史実を認めない知事の態度は、歴史をゆがめ、差別・偏見を助長させかねません。五輪憲章にも、都の人権尊重条例の理念にも反するものです。オリパラ大会開催都市の知事として、ふさわしい行動をとるべきです。知事の認識を伺います。

 第四に、オリパラ大会を契機に、スポーツ、文化の振興を図ることです。

Q11 神奈川県、千葉県をはじめ多くの自治体でスポーツ振興の条例が制定されています。オリンピック憲章は、「スポーツをすることは人権の一つである」とうたうっています。オリパラ大会開催都市として、都民のスポーツをする権利、施設などの条件整備をはじめとする都の責務や理念を明確にした「スポーツ振興条例」の制定に踏み出すことを求めます。知事いかがですか。

Q12 障害者スポーツの振興も重要です。2020年パラリンピックでは22の競技が実施されますが、全体では、日本障害者スポーツ協会に登録している団体だけ見ても、60をこえる競技があります。知られていない競技も少なくありません。どんな障害でも楽しめるスポーツの普及、啓発、場の確保や人材の育成などの支援を、抜本的に、大会後も継続して、強化すべきです。知事の見解を伺います。

Q13 東京オリパラ大会では障害者に配慮した施設整備や動線、情報発信の指針として「アクセシビリティ・ガイドライン」を策定しています。この指針を大会以降も、都有施設はもちろん都内の建物・施設の整備、改築、改修に生かしてほしいとの声があがっています。知事は、この要望をどう受け止め、取り組むのですか。

Q14 日本ろうあ者連盟は、ろう者のパラリンピックであるデフリンピックの日本招致を決議しています。パラリンピックには聴覚障害者の競技種目がなく、切実な願いです。そして、東京都聴覚障害者連盟は、東京都が開催地候補となることを要望しています。前向きに検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

Q15 文化活動の推進は、オリンピックの重要な使命です。
私たちがお話を伺った美大の教授は、美術に触れ豊かな感性を育てることが、考える力をつくり、生きる力につながる。若い人にこそ美術に触れてほしいと述べています。
 知事は、オリパラ大会以降のレガシーとして、都民の芸術文化に触れる機会の増大を重視していますが、とくに若者が芸術文化に触れる機会を増やすことの重要性を、どう認識していますか。

Q16 東京都美術館で開かれたムンク展やクリムト展では、高校生や大学生の無料期間を設け、多くの学生が訪れたと聞いています。観覧料の引き下げの効果を改めて感じました。若者が来場しやすくする、これらの取り組みのねらいと、その成果について、お答え下さい。

Q17 都立文化施設の常設展の入場料無料は中学生までですが、国立美術館・博物館は18歳まで無料、大学生半額です。せめて国立施設と同じ水準にすることを求めます。いかがですか。

四、長期計画について

 知事の所信表明には、第2回定例会につづき今回も、地方自治体の一番の使命である福祉という言葉が、ひと言もありませんでした。

Q1 オリパラ大会を、都民のくらし・福祉充実の中で成功させて、大会後もその流れをさらに大きくしていくことが重要です。知事の認識と対応を伺います。

Q2 知事は長期計画の論点整理を発表しましたが、多くの都民の深刻な問題になっている都営住宅の不足や、国民健康保険料・保険税の重い負担をどうするかなどに言及はなく、福祉、くらし、教育など都民生活の現場で焦点になっている問題を避けています。
 長期計画は、都民のくらしのリアルな実態から出発し、都民が具体的に困っていることを解決し、希望がもてるものにする必要があります。知事いかがですか。

五、高齢者福祉について

 次に、都民施策の充実について質問します。まず高齢者福祉です。

Q1 高齢者の人口が増える一方、孤立や貧困、低年金、介護難民などが、社会問題となっています。孤立や貧困に陥りやすい、ひとり暮らし高齢者が増えていくのも東京の特徴です。こうした問題に、知事はどう取り組むのですか。

Q2 小池都政の下で、高齢者福祉の予算はほとんど増えていません。多くの深刻な問題が山積しています。その打開に向け、高齢者福祉予算の増額・拡充が必要です。知事の認識を伺います。

Q3 なかでも急がれる問題のひとつが、特別養護老人ホーム不足の打開です。2025年度までに特養ホームを6万2千人分整備する方針ですが、そのためには年間約2000人分の増設が必要です。昨年度増えた定員は1123人分で、必要なテンポの半分にすぎません。
 建設費の高騰にみあう整備費補助の拡充、区長会が求めている用地費助成の再開、都有地・国有地活用の促進、低年金でも入れる多床室整備への支援の拡充などが必要です。知事は、どう取り組むのですか。

Q4 介護職員不足の打開も急務です。せっかく特養をつくっても、職員不足で定員の半分しか稼働できないなどの事態が広がっています。2030年問題と言われるように、今後さらに深刻化します。介護職員の賃金などの処遇改善をはじめとした緊急対策が必要です。知事いかがですか。

六、子育て支援について

Q1 認可保育園の増設は、日本共産党都議団が提案した都有地活用などにより、舛添知事の時から進み始めました。小池知事がさらに保育予算を増やして、5000人の待機児童を減らしたことは重要です。
 しかし、知事の所信表明で、今年度末までに待機児童ゼロという約束をどう実現するかという言及はありませんでした。知事、目標の実現に向け、どう取り組むのですか。

Q2 知事が掲げる待機児童ゼロが実現したとしても、ゴールではありません。「待機児童を死語にする」と言うなら、隠れ待機児童の解消もふくめ、1年中いつでも、希望どおり、質の高い保育園に入れるようにすることが必要です。知事の認識を伺います。

Q3 東京都は、保育園の給食は子どもの成長に欠かせない保育の一環だとの立場から、主食費にも補助を行ってきました。都内すべての保育園で、半世紀にわたり、食材料費を徴収したことはありません。
 ところが10月から始まる幼児教育・保育の無償化にともない、国は給食の食材費を無償化の対象からはずして実費徴収としたことに、怒りと困惑の声があがっています。
 わが党は、都内の自治体にその対応について聞き取り調査を行いました。結果は、区部の大多数が、これまでどおり実費徴収なしですが、多摩地域では実費徴収する自治体が多数となっています。
 実費徴収ゼロの自治体から、月7500円を徴収する自治体まで、大きな差が生じ、新たな多摩格差が生まれます。知事が公約に掲げた「多摩格差ゼロ」にも逆行すると思いますが、どう認識していますか。

Q4 幼児教育・保育の無償化と言いながら、給食の実費徴収が進むことを見過ごすことはできません。秋田県は、新たに食材費の助成を行うことを決めています。区長会や市長会は、都に予算措置を講じることを要望しています。
 都として区市町村への補助を行い、実費徴収ゼロを継続できるようにすべきです。いかがですか。

七、児童虐待対策について

 次に児童虐待対策です。

Q1 都が設置した児童相談所一時保護所の第三者委員会は、保護所内で不合理なルールや、子どもに対する不適切な対応があることを指摘した意見書を提出しました。
 意見書は、被虐待や非行などの児童を24時間受け入れて保護する一時保護所が、定員超過状態で運営されていることは異常な事態であり、そのことが一時保護所の運営に悪影響をおよぼしていることに、東京都が真しに向き合うことを求めています。
 知事は会見で、意見書を「重く受け止め」「改善につなげていきたい」と答えています。具体的にどう取り組むのですか。

Q2 都の一時保護所を増設し、職員を増やし、専門性を高める取り組みも強化して、ゆとりを持って対応できるようにすることが必要です。知事いかがですか。

Q3 都の児童虐待防止条例は、あらゆる場面において子どもは権利の主体であるとしています。都の一時保護所においても、この立場を守りぬくことが必要です。知事の認識を伺います。

八、高齢ドライバーの事故防止と移動支援について

 高齢ドライバーの事故防止と移動支援について伺います。

Q1 高齢者が運転する自動車の安全運転支援装置設置への補助制度を、都が創設したことは重要です。同時に、事故の原因はアクセルとブレーキの踏み間違いだけはありません。多面的な支援が必要です。そのひとつが「高齢者安全運転診断サービス」です。
 ドライブレコーダーで、運転している状況を録画し、その映像を運転者本人が見ることで安全運転指導をするものです。
バックするとき後ろを見ていないことや、一時停止しなかったことなど、録画を見てはじめて気づくことが多く、課題を客観的に把握できます。
 高齢者は運転経験が長く自信を持っている場合が多い一方、気づかないうちに運動機能などが低下し、運転に影響をおよぼしているのです。
 病気予防のための健康診断のように、こうした「安全運転診断サービス」を普及していくことは事故防止のために重要だと思いますが、知事いかがですか。

 買い物、通院などの高齢者の移動を支援するために、シルバーパスの役割は重要です。もっと使いやすく、費用負担も軽くして、より多くの高齢者に活用してもらえるように拡充することを、つよく求めておきます。

九、重度障害者の就労支援について

 次に、重度障害者の就労支援です。

Q1 重度障害者にとって、食事や排せつ、外出時などの日常生活には、介護が不可欠です。国の重度訪問介護制度では、それを支援していますが、通勤・通学時や就労中は支援の対象から外されます。この制約は、重度障害者の就労の足かせとなっています。
 都内に住む20代の人工呼吸器をつけた難病の方は「自分の稼いだお金で欲しいものを買うのが夢」だと語ります。
 知事は所信表明で、就労を希望する方が誰一人取り残されることなく、個性や能力に応じて働くことができる社会の実現に向けて検討を進め、新しい条例を提案すると表明しました。重度障害者でも働ける環境を整えることの重要性について、知事はどのように認識していますか。
 
Q2 就労中の介護費を自治体が全額負担する取り組みが、さいたま市で始まりました。
 取り組むきっかけは、「仕事中、トイレにも行けない」など、働く当事者からの相談です。相談を受けた市は、重度訪問介護を受ける人たちにアンケート調査を行い、3割以上が支援を受けて働きたいと希望していることがわかり、市独自に支援の拡充を決断しました。
 都も、重度訪問介護を受けている障害者にアンケートなどの調査を行うべきです。見解を伺います。
 
Q3 就労中の重度障害者が、重度訪問介護を受けられるようにすべきですが、知事いかがですか。

十、教育条件整備について

 特別支援学校について伺います。

Q1 障害のある子どもたちの中でも、複数の障害を併せ持つ重複障害の児童は、とりわけ手厚い、一人ひとりに合わせた教育が必要です。
 そのため義務教育標準法は、特別支援学校の小中学部は、障害が単一の場合は1学級6人の普通学級、複数の障害を併せ持つ場合は1学級3人の重複学級を標準とし、とくに必要な場合はさらに下回る人数にできるとしています。
 実際に、私が視察した千葉県の肢体不自由特別支援学校は、31学級のうち28学級が重複学級で、9割の子どもたちが、落ち着いた環境のなかで手厚い教育を受けていました。埼玉県も神奈川県も、2つ以上の障害がある子は基本的に重複学級ですというお話でした。全国的にも肢体不自由校の重複学級の在籍率はほぼ9割です。
 ところが東京都の肢体不自由特別支援学校では、児童生徒の9割が、身体と知的など2つ以上の障害を併せ持っているにもかかわらず、重複学級に入れているのは3割にすぎません。あまりにも少なすぎます。知事、早急に打開すべき問題だと思いませんか。
 保護者のみなさんから、重複学級に入ることができず十分な指導が受けられない、より障害の重い子どもが転校してきたので普通学級に移されてしまったなどの声が、繰り返しあがっています。知事、切実な問題だと思いますが、こうした声を、どう受け止めますか。

Q2 都教委は、「総合的に判断して、重複学級での教育が適切であると認定した児童生徒」を重複学級に編制していると言いますが、それは法律を勝手にゆがめていることになります。
 法律どおり、複数の障害をもつ子どもはきちんと重複学級に編制することを求めます。いかがですか。

 私立高校生の学費負担軽減も、重要課題です。
 文部科学省は、年収590万円未満の世帯の私立高校生への就学支援金の支給額を、全国の平均授業料を勘案した水準まで引き上げる概算要求を行いました。都は現在、独自に年収760万円未満の世帯に、都内平均授業料である45万6千円までの授業料無償化を行っていますが、国が制度を拡充することにより都の財源を利用した、さらなる学費負担軽減の拡充が期待されています。

Q3 福井県は、県独自に上乗せして年収910万まで授業料を無償とすることを決めました。都も独自の授業料無償化の対象を年収910万円まで拡大することを求めます。知事お答え下さい。

Q4 入学金についても補助を行うべきです。いかがですか。

十一、防災対策について

 次に、防災対策について質問します。

Q1 熊本地震では長期の避難生活の中で、災害関連死が直接の犠牲者の5倍をこえています。災害関連死を防ぐためには、避難所の抜本的な環境改善が必要です。知事はどう認識していますか。
             
Q2 「災害関連死ゼロプラン」を都として策定し、区市町村と一体になって取り組むことを求めるものです。知事いかがですか。

Q3 都は昨年度、住宅耐震改修助成を拡充しましたが実績がのびていません。2020年度に住宅の耐震化率95%という目標ですが、現状は84%です。知事は、住宅耐震化の重要性と、その遅れの重大さをどう認識していますか。

Q4 高知県は、耐震改修助成の件数を、10年間で18倍に増やしています。そのカギは、県知事が、3年間で4500件という目標実現の進ちょくを点検し、先頭に立ったことです。この経験に学ぶべきです。知事いかがですか。

十二、道路計画について

 最後に、道路計画について質問します。

Q1 都は都市計画道路の検証を行い、基本方針案を発表しました。今回、新たな基準を設けて路線を検証したのは前進です。しかし、結果として廃止・変更候補は、535キロ中12キロ、わずか3%です。
 千葉市の見直しでは、未整備の都市計画道路96キロのうち37キロ、実に4割近くの廃止・変更を提案しています。
知事は、「見直すべきは大胆に見直す」と答弁してきました。その立場にてらして、今回の見直しで十分だと思いますか。

Q2 検討の途上で、専門家のアドバイザーから、費用対効果を考えないのかという声がいくつも出されています。ところが都は、「時間や費用がかかったとしても整備は必要であるため、財政面は考慮しません」と答えています。知事、こんな姿勢でよいのですか。

Q3 わずかでも必要性があると考えれば道路を残すと判定し、道路のメリットは重視する一方、多くの道府県でやっている実現性の検証、すなわち環境やまちづくりへの影響、地元の意向といった、道路によるデメリットなどを分析する検証をしていないことも大きな問題です。
 私の地元、練馬区では優先整備路線の補助135号線と232号線が、区立大泉第2中学の敷地を3分割して大幅に削る案に対し、「校庭を削ってまで通すのか」と怒りが噴出しています。
 知事、学校を三つに分断するようなデメリットを検証せず、強行してよいのですか。

Q4 また補助172号線は検証の結果「見直しなし」でしたが、この路線を通すと南側の店の大部分が削られ、商店街は消滅するおそれがあります。商店のみなさんは、「仕事を続けたい」「他には移れない」と訴えています。
 都は、区と協議していますが、住民・商店街の意見を直接聞く姿勢がありません。国の都市計画道路見直しの手引きでも、地元の意向を尊重した他県の事例が紹介されています。
 知事、住民の意見に、じかに耳を傾けることが必要ではありませんか。

Q5 今回の見直しで、周辺に替わりになる道路がすでにある場合、新しく道路をつくる計画を見直すことができるとしたことは重要です。しかし、周辺にあるのが都市計画道路の場合、代替道路と見なさないとしたことは重大です。都市計画道路以外に広い道路は都内にほとんどないので、実際は活用できないからです。
 他県は、周辺の都市計画道路を代替道路として扱うことで、必要性が薄れた道路計画を次々廃止しています。
 知事、都市計画道路も代替道路の対象にすれば、大胆な見直しができるのではありませんか。

Q6 また、都市計画道路が公園の計画と重なっている場合、道路を優先し、公園は削るという方針です。なぜ公園より道路を優先するのですか。道路ファーストではありませんか。知事お答え下さい。

Q7 日本橋周辺の首都高の地下化について、知事は、品格ある景観を形成し、東京が成熟度を高めるひとつの象徴と述べました。しかし事実は違います。
 この周辺では、首都高地下化とセットで、5カ所も再開発事業が並行して進められ、林立する超高層ビルが昼間5時間も影をつくります。また、江戸時代から続く老舗の風格ある街並みもこわされます。
300年にわたる老舗の経営者は、「それぞれの老舗が趣向をこらした特徴ある建物が建て並ぶ日本橋らしさを生かしたまちづくりを」と訴えています。
 知事、歴史や伝統を受け継ぐ日本橋ならではの品格ある景観とは、とうてい言えないのではありませんか。

Q8 都は、日本橋区間の高架を撤去するには、大型車の迂回ルートの確保が前提だと説明しました。しかし、日本橋の首都高地下化には3200億円もの費用がかかるうえ迂回ルートは未確定で、その整備にいくら都民負担が必要かも示されていません。地下化せずに撤去する可能性について、まともな検討も、都民への説明もされていません。
 このような状況で都市計画決定をすることは許されないと思いますが、知事の認識を伺い、再質問を留保して質問を終わります。


答 弁

○知事(小池百合子君) とや英津子議員の代表質問、六十二問ございました。お答えいたします。
 羽田新飛行ルートの実施についてのご質問がございました。
 我が国の国際競争力の向上や東京二〇二〇大会の円滑な実施のため、羽田空港の機能強化は極めて重要であります。
 羽田空港の機能強化に関する決定につきまして、国は、みずからの判断、責任で実施をするとしております。今回の新飛行ルートの決定に当たりまして、国は、関係自治体等からの騒音、落下物対策、引き続きの情報提供に関する意見や要望に丁寧に対応していくということを前提といたしまして、地元の理解が得られたと判断をいたしております。
 都といたしましては、引き続き、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を求めながら、国と協力し、羽田空港の機能強化実現に向けまして積極的に取り組んでまいります。
 IRの検討と誘致についてのご質問でございました。
 現在、国におきましてIR整備法に基づく検討が進められておりまして、特定複合観光施設、いわゆるIRは、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現を目指すものとして、MICE施設、魅力増進施設、送客施設、宿泊施設、カジノ施設などで構成されております。
 都といたしましては、これまでも申し上げておりますとおり、IRにつきましてはメリット、デメリットの両面があり、総合的に検討してまいります。
 次に、大会での平和のメッセージの発信についてでございます。
 オリンピック憲章では、平和な社会の推進がうたわれておりまして、都として大会を成功させ、民族や国境を越えた平和の祭典として、次世代に引き継ぐことが重要であると認識をいたしております。そのため、東京二〇二〇大会をしっかり成功に導くことが、東京から世界に対して発信する最大の平和のメッセージになると考えております。
 なお、開閉会式の具体的な演出などにつきましては、組織委員会において検討を進めているところでございますが、平和を含め共生、復興、未来など、八つの基本コンセプトを踏まえたものと伺っております。
 次に、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典への対応についてのご質問でございます。
 これまでも申し上げておりますとおり、私は都知事として、東京で起こりました甚大な災害、そして、それに続くさまざまな事情で亡くなられた全ての方々に対し、哀悼の意を表しております。
 若者が芸術文化に触れる機会についてでございます。
 若い世代が芸術文化のすばらしさに触れ、自国の文化はもとより多様な文化の価値を理解するとともに、豊かな感性や創造力を育むことは大切でございます。
 そのため、都は、子供や青少年向けの体験事業の実施や観覧料の減免等を行いまして、若い世代が芸術文化に触れる機会を創出しております。今後とも、こうした取り組みを通じまして、豊かな心を持つ若い世代の成長を支えてまいります。
 続いて、今後の福祉施策についてのご質問でございます。
 都は、現在、安心して子供を産み育てられ、高齢者や障害者が住みなれた地域で暮らし続けられますように、さまざまな施策に取り組んでおります。二〇二〇年のその先を見据えまして、誰もが安心して暮らし、活躍できるダイバーシティーを実現するために、引き続き、大都市東京の特性を踏まえました福祉施策を展開してまいります。
 長期戦略についてのお尋ねでございます。
 都は、これまでも一貫して、人に焦点を当てて、誰もが生き生きと生活できる社会の実現に向けて、福祉、教育、住宅、雇用など、都民生活向上のためのさまざまな政策を積極的に展開してまいりました。
 今回の未来の東京への論点におきましても、人が輝くをキーワードの一つとし、目指す将来の東京のイメージと、その実現に向けました課題を提示しておりまして、これらをもとに、生活者の視点も踏まえた検討を進め、年末に策定する長期戦略ビジョンで、都民一人一人が希望を持ち、安心して生活を送る東京の姿を描いてまいります。
 次に、高齢者福祉予算についてであります。
 多くの高齢者は、たとえ介護が必要でも、住みなれた地域で暮らしたいと望んでおり、適切な住まいや医療、介護などを地域の中で一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が必要です。
 都は、昨年策定いたしました東京都高齢者保健福祉計画に基づいて、認知症対策や介護予防の推進など、ひとり暮らしの高齢者等への支援も含めまして、今後ともさまざまな高齢者施策を展開してまいります。
 次に、保育サービスの拡充についてでありますが、都はこれまで、保育所の整備促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱といたしまして、保育サービスの充実を進めてまいりました。
 今年度末までの待機児童解消に向けまして、保育の実施主体である区市町村が多様な保育サービスの拡充に取り組めますよう、引き続き支援してまいります。
 重度障害者が働くことのできる環境の整備についてのご質問であります。
 都はこれまでも、重度障害者を含めました障害者の雇用環境整備の重要性を踏まえまして、障害のある方の就労の促進と定着を支援する多様な施策を講じております。
 また、今回、都民の就労を応援する条例の基本的な考え方の中で、ソーシャルインクルージョンの考え方に立って、ソーシャルファームの創設も含め、障害のある方を初め、就労に困難を抱える方が生き生きと働ける場や活動への支援について、お示しをしたところでございます。
 今後、こうした新たな就労支援の展開も図りながら、ダイバーシティーの実現を目指してまいります。
 私立高校生の授業料の負担軽減についてでございます。
 家庭の経済状況にかかわらず、誰もが希望する教育を受けられる環境を整えることは重要であります。
 都は、平成二十九年度に授業料の負担を軽減する特別奨学金を拡充するなど、私立高校等に在学する生徒の保護者の経済的負担軽減に取り組んでまいりました。現在、国において行われております私立高校授業料の実質無償化の検討状況を注視しながら、都としての今後の対応を検討してまいります。
 都市計画道路の見直しでございます。
 都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支え、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
 これまで、都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるために、事業化計画を策定、あわせて見直しを適宜行ってまいりました。平成二十八年に策定いたしました現行の計画でも、廃止や縮小など、計画を見直すべき路線や計画内容を再検討する路線を示して、順次手続を進めております。
 今回の見直しですが、既に必要な交通機能等が確保された道路の拡幅であるとか、立体交差計画の必要性など、新たな視点に基づいて検証を行いまして、この七月、計画変更などの基本方針案を示したところでございまして、年内を目途に方針を取りまとめてまいります。
 さらに、基本方針案に示しておりますとおり、今後、都市計画区域マスタープランなどの改定を踏まえまして、地域のまちづくりに関連する道路での検証を行ってまいります。
 今後とも、見直すべきものは大胆に見直す一方で、地元の理解と協力を得ながら、必要な都市計画道路を着実に整備してまいります。
 残余のご質問は、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、肢体不自由特別支援学校における学級編制についてでございますが、重度重複学級の対象となる重複障害の認定に当たりましては、学校教育法施行令に定める障害の程度に二つ以上該当することが必要でございます。
 都教育委員会では、法の定める障害の程度に該当するか否かについて、毎年度、児童生徒の発達や行動、疾病の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象者を認定しております。また、各学校では、学習課題によって学習グループを必要に応じて編成し、児童生徒一人一人の成長に伴う状況変化に対応した指導を行っております。
 保護者の声につきましては、真摯に受けとめ、今後とも丁寧に対応してまいります。
 次に、重複の障害がある児童生徒の学級編制についてでございますが、都教育委員会は、重度重複学級の対象となる障害の程度について、児童生徒一人一人の意思疎通や日常生活の状況などを、法の規定に照らして、発達や行動、疾病等の側面から総合的に判断し、認定を行っているところでございます。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 十四点の質問にお答えいたします。
 まず、航空機からの騒音や落下物などについてでございますが、都は、これまで国に対して、騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めてまいりました。国は、騒音影響の軽減策として、飛行高度の引き上げや低騒音機の導入促進、学校、病院等の防音工事に対する助成制度の拡充などの取り組みを実施することとしております。
 落下物対策につきましては、航空機のチェック体制の強化などに加え、世界的に類を見ない落下物防止対策の基準を定め、国内外の航空会社に対して、本年一月から順次対策の義務づけを行うなど、総合的に対策を充実してきております。都としては、引き続き、対策の着実な実施を求めてまいります。
 次に、羽田空港の機能強化についてでございますが、国内外の都市をつなぐ交通ネットワークを強化し、世界の旺盛な航空需要に的確に応えなければ、厳しい国際競争の中で取り残されてしまいます。
 羽田空港は都心に近く、国内外に豊富なネットワークを有する基幹的なインフラであり、東京二〇二〇大会の円滑な実施はもとより、その後の航空需要に応え、東京、ひいては日本の国際競争力を向上させていくためには、容量拡大による機能強化が必要不可欠でございます。
 次に、新飛行経路に関する都民の意見についてでございますが、国が決定した新飛行経路について、都民にさまざまな意見があることは承知しております。
 国は、これまで五期にわたる住民説明会を実施するなど、丁寧な情報提供に努めるとともに、航空会社への落下物防止対策の義務づけなど、総合的な対策に取り組んでおります。
 都といたしましては、引き続き、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を国に求めてまいります。
 次に、着陸時の進入角度の引き上げについてでございますが、議員がご指摘したような意見を持った方もいることは承知してございます。国は三・五度の降下角につきまして、国際民間航空機関が定める国際的な安全基準にのっとったものであり、安全性は確保されるものとしております。
 次に、国との協議についてでございますが、都が滑走路の増設に向けて国と協議に着手する方針であるという事実はございません。今後の協議につきましては、仮定の質問でございますので、お答えいたしかねます。
 次に、住宅の耐震化についてでございます。
 首都直下地震の発生が懸念される東京におきましては、建築物の耐震化は喫緊の課題でございます。地震による住宅の倒壊を防ぐことは、居住者の生命と財産を守ることだけでなく、都市の防災力の向上にもつながると認識しております。
 都は、耐震改修促進計画を策定し、その中で目標を定め、かねてから整備地域内の住宅への助成や普及啓発の取り組みを進めております。昨年度からは、所有者への積極的な働きかけを行う区市町村を対象に、整備地域外にも助成を拡大しております。引き続きこうした取り組みを通じ、住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、住宅の耐震化の促進についてでございますが、耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識し、備えることが不可欠であり、所有者が主体的に取り組むよう働きかけることが重要でございます。
 都は、耐震診断や改修等に対する助成やアドバイザーの派遣など、所有者への積極的な働きかけなど行う区市町村を支援しております。今後も区市町村と連携しながら、こうした取り組みを通じ、住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、都市計画道路の見直しについてでございますが、都市計画道路は交通、物流機能の向上により、経済活動や日々の生活を支え、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤であり、着実に整備していくことが必要でございます。
 こうした考えのもと、都は、限られた財源の中で都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、事業化計画を策定し、必要性を検証した上で、優先的に整備すべき路線を選定しております。これらの路線については、整備による効果を考慮し、コスト縮減に努めながら事業化を行っております。
 今回の検討では、必要性が確認されている路線を対象に、概成道路における拡幅整備の有効性など、計画のあり方に関する新たな視点からの見直しについて検討したものでございます。
 次に、練馬区内の都市計画道路についてでございますが、補助第百三十五号線と補助第二百三十二号線は、平成二十八年三月に区市町とともに策定した第四次事業化計画におきまして、練馬区施行の優先整備路線に位置づけております。
 両路線につきまして、練馬区では、都市計画、教育等の分野の有識者で構成する委員会で検討を進めてきておりまして、本年五月に、地区の抱える課題解決には都市計画道路の整備が必要であるとして、教育環境の保全と道路整備を両立させる方策について提言を取りまとめたところでございます。
 区では、今後、この提言をもとに取り組み方針案を策定し、区民などの意見を聞く予定としておりまして、都は区に対して技術的な支援を行ってまいります。
 次に、見直しについての住民の意見についてでございます。
 現在、区市町とともに検討を進めております都市計画道路のあり方につきましては、昨年七月に、検証の視点などをまとめた中間のまとめについて、パブリックコメントを実施いたしました。それを踏まえて、概成道路における拡幅整備の有効性や立体交差計画の必要性などの検証項目を設定し、個々の路線を対象とした検討を行っております。
 本年七月には検証結果を取りまとめ、パブリックコメントを実施し、広く都民の意見を聞いており、引き続き区市町との協議を重ね、年内を目途に基本方針を策定してまいります。
 次に、都市計画道路の代替可能性についてでございますが、都市計画道路は重要な都市基盤であり、計画的かつ効率的にネットワークを形成することで、その機能が発揮されます。
 第四次事業化計画では、こうした観点から、改めて、将来都市計画道路ネットワークの検証を行い、個々の路線についての必要性を確認しております。都市計画道路の代替路の検証は、それを踏まえて実施しており、都市計画道路以外の現道をその対象としております。
 次に、都市計画道路と公園の計画の重複についてでございますが、今回の重複箇所につきましては、公園の区域を避けて道路線形を変更した場合、新たに都市計画道路の区域に含まれる箇所が広範囲にわたって発生するなど、周辺地域により大きな影響を及ぼす可能性があることから、都市計画公園を変更することを基本としました。
 変更に当たりまして、都市計画公園の開園状況も踏まえ、その公園に必要な環境保全や景観形成機能等の確保を前提に調整することになります。
 なお、開園している公園につきましては、緑や景観など、既に確保されている機能に配慮いたしまして、道路構造による対応の可能性も検討することとしております。
 次に、日本橋周辺の景観についてでございますが、日本橋を中心とした川沿いでは、中央区が策定したまちづくりビジョン等に基づき、首都高地下化と連携した周辺のまちづくりにより、川に空を取り戻すとともに、河川空間を生かしたまちづくりを進め、国際都市東京を代表する魅力的な水辺景観を形成することとしております。
 具体的には、再開発を通じて、水辺沿いでは歩行環境の充実や歴史的建造物の保全、低層の建物とオープンスペースが一体となったにぎわい空間の創出等を図ってまいります。また、中央通り沿いなどでは、歴史的な建物の高さに合わせた三十一メートルの基壇を設け、統一感と風格あるまち並み景観を形成してまいります。
 こうした取り組みにより、日本橋ならではの歴史と品格を受け継ぎ、新たな交流拠点を形成してまいります。
 最後に、首都高地下化の都市計画についてでございますが、首都高の地下化は、周辺の国家戦略特区の都市再生プロジェクト等と連携して取り組むこととしておりまして、これにより東京の都市再生を推進するため、都市計画手続を速やかに進め、先日の都市計画審議会にて了承を得たところでございます。
 この区間には、一日当たり約十万台の利用があり、国などと設置した検討会では、地下化せずに撤去した場合、例えば、永代通りの交通量が約四割増加するなど、一般道などへの影響があるということを確認しており、既に公表しております。
 また、地下化に伴い必要となる大型車の環状方向の交通機能確保策については、現在、国などとともに、実現可能性の観点から二案に絞って検討を進めております。
 今後とも、周辺のまちづくりと連携を図りながら、首都高地下化の事業化に向けて着実に取り組んでまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、開示文書についてでございますが、東京都情報公開条例に基づきまして、適切に対処しております。
 次に、出張報告書の情報開示についてでございますが、海外の依存症対策に関する調査につきましては、海外事例に関する調査分析業務委託報告書として取りまとめ、ホームページ上で公開しております。
 出張報告書につきましては、関係者との信頼関係が損なわれるおそれがあるため、一部非開示にしております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、暑さ対策の重大さに関する認識についてでありますが、東京の厳しい暑さから、アスリートや観客等の健康や安全を守ることは重要であります。
 このため、これまでも東京二〇二〇大会に向け、全庁を挙げて総合的な対策を検討してまいりました。この夏のテストイベントにおきましても、都は組織委員会と連携し、ラストマイルや競技会場において、本番を見据えたさまざまな暑さ対策を試行、検証しております。
 引き続き、来年の大会の成功に向けた運営準備に取り組んでまいります。
 次に、東京二〇二〇大会の開催時期についてでありますが、IOCは、大会の立候補受け付けに際し、オリンピック大会の開催期間を七月十五日から八月三十一日までの期間内で設定するよう定めておりました。
 これを踏まえ、立候補ファイルでは、現在の開催期間といたしました。なお、この期間は夏季休暇の期間中で、公共交通機関や道路が混雑しないことなどの理由から決定したものであります。
 暑さ対策につきましては、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、引き続きテストイベントの検証も踏まえ、組織委員会等と連携し、ハード、ソフト両面から対応してまいります。
 次に、大会の競技時間の見直し等についてでありますが、競技会場や競技時間につきましては、これまで組織委員会が、競技を熟知する競技団体やIOCの意見を十分聞きながら検討を進め、決定してまいりました。特に、競技時間につきましては、暑さ対策の観点から、マラソンや競歩などの開始時間を当初の予定から前倒ししております。
 さらに、競技の中止、延期につきましては、気象情報等を把握した上で、各競技の国際基準に基づき、組織委員会や国際競技団体、IOC等の関係者が競技ごとに適切に判断していくものと認識しております。
 次に、観客やボランティアの暑さ対策についてでありますが、都は、ラストマイルや沿道の木陰の確保等を進めつつ、テストイベントにおける休憩所や救護所の設置、対策グッズの配布等を行い、組織委員会も会場内の観客を巡回し声がけを行うなど、さまざまな取り組みを試行してまいりました。
 シティキャストは、こまめな休憩時間の確保や水分補給の徹底に加え、チームで一体的に活動し、適宜交代できる体制で検証を行っております。
 引き続き、対策の実効性の検証を進め、大会時の暑さ対策に万全を期してまいります。
 次に、大会経費の縮減についてでありますが、これまでも、IOCのアジェンダ二〇二〇なども踏まえ、都立新規恒久施設の整備費用の削減や、組織委員会と連携してIOCに対し、放送用回線の二重地下化などの要件緩和を求めるなど、大会経費の縮減に取り組んでまいりました。
 大会本番の運営など、さまざまな業務が具体化していく中で、新たな需要が発生する可能性もありますが、必要な予算は確保しつつ、引き続き効率化に向けた精査を組織委員会とともに行ってまいります。
 次に、契約金額の公表についてでありますが、共同実施事業においては、基本的に契約の相手方及び金額を公表することとしております。
 一方、スポンサー契約では、スポンサーが最低価格で商品等を提供することになっていることから、その事業上の地位を脅かすことのないよう、契約当事者双方に守秘義務が課されており、金額の公表には法的課題があります。
 こうした契約も、既に都として組織委員会に働きかけ、組織委員会が契約の相手方と個別に調整を図り、合意が得られた契約について七月末に金額を公表したところであります。残る契約についても、合意が得られたものから公表していくこととなっております。
 次に、都民のスポーツ振興についてでありますが、スポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営む人々の権利等を理念に掲げ、地方自治体は地域特性に応じた施策を実施することとしております。
 このため、都は、スポーツ振興審議会の審議を経て、東京都スポーツ推進総合計画を昨年三月に策定いたしました。同計画は、スポーツの力で東京の未来をつくるを理念として、三十の政策指針を掲げ、障害者スポーツも含めた施策を一体的に推進していくものであります。
 引き続き本計画に基づき、都民のスポーツ振興を着実に進めてまいります。
 次に、障害者スポーツの振興についてでありますが、都は、パラリンピック競技以外の障害者スポーツを含め、ポータルサイトによる情報発信や体験型のイベントの開催などを通じ、広く普及啓発を図っております。
 また、特別支援学校の体育施設を活用し、体験教室を実施しているほか、障害のある方のスポーツ施設利用を促進するためのマニュアルを作成し、環境整備の働きかけを行っております。同時に区市町村職員向けセミナー等を開催し、人材の育成も図っているところであります。
 今後もこうした取り組みを継続することにより、社会に障害者スポーツをレガシーとして根づかせるよう取り組んでまいります。
 最後に、デフリンピックについてでありますが、都は現在、来年に迫ったパラリンピックの成功に向け、全力で準備を進めるとともに、聴覚障害や知的障害のある方を含め、多くの障害者が地域で気軽にスポーツを行うことができる環境整備に取り組んでおります。
 また、今年度はパラリンピック以外の国際的な障害者スポーツ大会に関する調査も実施しております。国際大会の実施には、まずは競技団体自身による関係者間の合意や理解を得ることが必要であります。
 都としては、引き続きさまざまな取り組みにより、障害者スポーツの振興を図ってまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 十三点のご質問にお答えいたします。
 まず、原爆展についてでありますが、都は、東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例に基づき、被爆者等の福祉の増進を図るため、介護手当の支給、健康診断の実施、医療費の助成など、必要な援護措置を講じております。
 原爆展は、都内在住の被爆者の会である一般社団法人東友会が開催しているものであり、後援名義の使用承認が申請された場合には、実施内容を審査した上で承認しており、今後も申請があれば適切に対応してまいります。
 次に、アクセシビリティ・ガイドラインについてでありますが、本ガイドラインは東京二〇二〇大会時の指針であるとともに、大会を契機としたハード、ソフト両面の国際的な水準に基づくアクセシブルな環境整備の促進を目的としたものと認識しております。
 都は、本年三月の福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルの改訂時に、競技場などで車椅子使用者が観覧しやすいサイトラインの確保についての配慮など、ガイドライン等を踏まえた内容の見直しを行っております。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、都は、整備促進を図るため、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減、建築価格の高騰に対応した加算など、さまざまな独自の支援策を講ずるほか、増加定員の三〇%を上限として、多床室の整備に対しても補助を行っております。
 今年度からは、区市町村の整備用地の確保に向けて新たな支援を開始しており、今後ともニーズを踏まえながら、特別養護老人ホームの整備を進めてまいります。
 次に、介護職員の処遇改善についてでありますが、介護サービス事業は、サービス提供の対価として事業者に支払われる介護報酬等により運営されることが基本でございます。
 介護人材の確保は重要であり、都は、国に対して、事業者が介護人材の確保、定着を図り、健全な事業運営を行うことができる介護報酬とするよう繰り返し提案要求しており、国は、本年十月から、さらなる処遇改善を行うことを予定しております。
 また、都は独自に介護人材の確保、定着を図るため、キャリアパスの導入や介護職員の宿舎借り上げに取り組む事業者を支援しているところです。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、都は、本年七月、待機児童数が多い自治体を中心にヒアリングを実施し、その結果を踏まえ、今年度のさらなる取り組みといたしまして、小規模保育事業等の整備の後押しや、認可保育所の空き定員を活用して一歳児の受け入れを促進する仕組みを充実することとし、その活用を区市町村に働きかけております。
 引き続き、今年度末までの待機児童解消に向け、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
 次に、保育所等の食材料費についてでありますが、食材料費への対応は、区市町村によってさまざまでございます。
 区部、多摩地域にかかわらず、保育の実施主体である区市町村は、みずからの判断で、それぞれの地域の実情に応じて待機児童の解消や保育サービスの充実に取り組んでいるものと認識しております。
 次に、保育所等の食材料費の取り扱いについてでありますが、今般の幼児教育、保育の無償化に当たっての食材料費の取り扱いについて、国は、これまでも保育料とあわせて保護者が負担してきたこと、自宅で子育てを行う場合もかかる費用であることから、保護者が負担するという考え方を維持することを基本としております。
 一方、一定の所得に達しない世帯及び第三子以降の子供については、新たに副食費を免除することとしており、都もその経費の一部を負担いたします。
 食材料費の取り扱いにつきましては、区市町村が地域の実情に応じて対応するものと考えております。
 次に、一時保護所についてでありますが、一時保護所の運営に関する今回の意見書のご指摘につきましては、真摯に受けとめております。
 都は、児童の入所定員の拡大や職員の増配置など、一時保護所の体制強化を図っているところでございます。
 また、現在、一時保護に関しまして、職員が方針を共有するための要領の策定を進めており、専門家の意見も聞きながら、今年度中に取りまとめてまいります。
 次に、一時保護所の体制強化についてでありますが、都の一時保護所では、今年度、児童の入所定員を全体で二百三十七名まで拡大するとともに、現在、児童相談センターの一時保護所の定員増に向けた改修にも着手しております。
 職員については、国基準より厚く配置し、今年度は専門職を十六名増員したほか、職員が児童の支援に専念できるよう、補助業務を行う非常勤職員も配置してございます。
 次に、一時保護所入所児童の権利擁護についてでありますが、子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であり、あらゆる場面において、権利の主体として尊重される必要がございます。
 都は、一時保護所の職員の人権意識を高めるため、人権研修や児童の権利擁護に関する研修を実施しており、今年度は人材育成を専任で担う職員を増員してございます。
 次に、重度訪問介護の利用者への調査についてでありますが、重度訪問介護は、障害者総合支援法に基づき、重度の肢体不自由者等であって常時介護を必要とする人に対して、居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護や、外出時における移動中の介護等を総合的に行うものであり、国の告示で、通勤、営業活動等の経済活動に係る外出には利用することができないとされております。
 法に基づく障害福祉サービスの制度設計は国の役割であり、各障害者団体からヒアリングを行っていると聞いてございます。
 次に、就労中の重度訪問介護の利用についてでありますが、現在、就業時間中に重度訪問介護を利用することができず、重度障害者は、雇用主からの援助がない場合には、在宅勤務が困難になるなどの事例が生じているため、支援のあり方が課題と認識しております。
 都は、国に対して、福祉施策と労働施策との役割分担を踏まえ、障害者の在宅勤務への支援のあり方について検討し、必要な措置を講ずるよう提案要求を行っております。
 最後に、避難所の環境についてでありますが、避難所で、避難者一人一人の健康を守るためには、良好な生活環境を確保することが重要であります。
 都は、災害想定を考慮した避難所の指定や、避難者の健康管理体制の確保などについて記載した避難所管理運営の指針を区市町村向けに作成しており、昨年三月には、熊本地震の教訓なども踏まえ、改訂してございます。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、同性カップルの都職員の福利厚生等についてでございますが、休暇や福利厚生など職員の勤務条件は、地方公務員法に基づき、国や他団体との均衡を踏まえることが原則となっております。
 今後策定される東京都性自認及び性的指向に関する基本計画に基づき、国や他団体の状況、法令の整備状況等を注視するとともに、現行制度の目的や趣旨、法令等との整合性、さらには制度の適用に当たっての客観的な確認方法等、制度上、実務上両面から課題を研究してまいります。
 次に、いわゆる同性パートナーシップ制度についてでございますが、同性パートナーシップ制度は婚姻関係のあり方そのものにかかわるものであり、戸籍制度や住民基本台帳制度との整合などの課題もあることから、広範な国民的議論が必要な問題であると認識をしております。
 都としては、人権尊重条例に基づき、多様な性の理解を推進し、多様性を尊重する都市の実現に向け、引き続き必要な施策を展開してまいります。
 最後に、災害関連死に関する取り組みについてでございますが、災害関連死を含め、災害による犠牲者を一人でも減らすことは重要な課題であり、都はこれまで、地域防災計画とこれに基づくセーフシティ東京防災プランを策定し、建築物の耐震化の推進や医療救護対策などの強化に取り組んできております。
 また、「東京くらし防災」などを活用し、日常生活における備蓄や発災時の避難所における過ごし方などについて、広く都民に啓発を行っており、引き続き区市町村など関係機関と連携し、東京の防災力向上に努めてまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都美術館における観覧料免除についてでございますが、東京都美術館の特別展であるムンク展やクリムト展におきましては、若者の芸術文化に触れる機会を拡大するため、共催者と協議の上、一定期間、高校生や大学生等の観覧料の免除を行いました。
 その結果、高校生や大学生等の無料期間における一日当たりの観覧者数は、通常の期間の二倍を超えており、若い世代の鑑賞機会の増加につながったものと考えております。
 続きまして、都立文化施設の常設展入場料についてでございますが、都立文化施設の常設展では、高校生や大学生に対して通年で割引料金を適用しておりますが、それに加えて、夏休み期間の金曜日を中心に特別夜間開館を実施し、学生の観覧料を無料にするだけでなく、ミステリーラリーと同時開催するなどの工夫を行っております。
 今後とも、若者が興味を持てるイベントと組み合わせるなど、都立文化施設に足を運んでいただくきっかけづくりを行ってまいります。
 最後に、私立高校生の入学金負担軽減についてでございますが、都は、入学支度金制度や育英資金制度により、入学金等の学資金について無利子で貸し付けを行っております。
 また、低所得世帯を対象に、授業料以外の教育負担を軽減するため、奨学給付金を支給しております。
 さらに、私立高校に対し経常費補助を行うことにより学校納付金を抑制することで、保護者の教育費負担を軽減しております。
 今後もこうした施策により、誰もが希望する教育を受けられる環境を整えてまいります。
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 高齢運転者の事故防止についてでございますが、都は、高齢運転者による交通事故を一件でも減らすため、これまで継続的に交通安全啓発活動を実施してまいりました。
 加えて、昨年度からは、加齢に伴う身体機能の低下や、みずからの運転の振り返りなどをテーマとした高齢ドライバー交通安全セミナーを実施しております。さらに、本年七月には、緊急対策として高齢者安全運転支援装置設置補助制度を開始いたしました。
 今後ともこうしたさまざまな取り組みを行い、高齢運転者の交通事故防止に努めてまいります。


再質問

○五十八番(とや英津子君) カジノ誘致について知事に再質問します。
 パネルを見てください。昨年十月二十四日、港湾局が知事に報告したIRに係る国の自治体意向調査への都の回答です。
 検討しているということだけ開示して、何について検討しているのかは全て黒塗りです。朝日新聞は、この、国の調査は、カジノを含むIR誘致に関する意向調査だったと報道しています。
 知事は、回答について港湾局から報告を受けて、意見なしで了承をしています。
 知事、報告を受けて了承したのですから、回答した内容を当然ご存じですね。何について検討していると国に回答したのですか。カジノを含む統合型リゾート、IR誘致を検討していると回答したのではありませんか。知事、違うなら違うとお答えください。
 二問目です。
 都はこの数年、毎年カジノ誘致の委託調査をしています。ことし二月には、委託した調査会社がつくる報告書に、カジノの高い収益性とか五輪後の起爆剤の可能性など、カジノの利点を強調する表現に変更するよう求め、報告書が都の要求どおり書きかえられました。知事は、この事実をご存じでしたか。知っていたのか知らなかったのか、簡潔明瞭にお答えください。
 次に、羽田新ルート問題です。
 八月二十三日付の東京新聞社説は、羽田新ルートについて、東京都心を旅客機が低空で飛ぶことに地元の合意が調ったとはいいがたい、影響が大きい品川、渋谷区の区議会は、全会一致で計画の再考を求める決議や意見書を可決済みだ、市民団体の反発も根強いと書いています。この指摘を知事はどう受けとめていますか。
 以上三問、知事がはっきり答弁をしてください。(拍手)
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) IRの誘致についてでありますが、先ほど知事が述べたとおり、現在、国においてIR整備法に基づく検討が進められておりまして、IRは国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現を目指すものとして、MICE施設、魅力増進施設、送客施設、宿泊施設、カジノ施設などで構成されております。都としては、これまで述べてきたとおり、IRについてはメリット、デメリットの両面があり、総合的に検討していくものであります。
 次の、報告書の修正についてのご質問でありますけれども、調査委託事業者との打ち合わせの中で、報告書を充実するよう求めたものであります。また、メリットの面だけではなく、例えば反社会的勢力の排除の記述については文言の加筆を求めるなどデメリットの面についても指示しており、利点のみを強調するものではありません。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 新飛行経路に関するさまざまな意見があるということは、先ほど申し上げたとおり承知してございます。
 羽田空港の機能強化に関する決定につきましては、先ほど知事が申し上げたとおり、国はみずからの判断、責任で実施するというふうにしておりまして、今回の新飛行ルートの決定に当たりまして、国は、関係自治体等からの騒音、落下物対策や、引き続きの情報提供に関する意見、要望に丁寧に対応していくということを前提に、地元の理解が得られると判断しております。
 都といたしましては、都民の理解がさらに深まるよう、引き続き丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を求めながら、国と協力して、羽田空港の機能強化実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

以 上