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質問・条例提案

予算特別委員会 里吉ゆみ都議(世田谷区選出)の討論

2018年第1回定例会 予算特別委員会討論 3月27日

 里吉ゆみ(世田谷区選出)

 日本共産党都議団を代表して、知事提出の第一号議案、平成30年度東京都一般会計予算および第十九号議案中央卸売市場会計予算外十一議案に反対し、第一号議案の編成替えを求める動議および第十九号議案修正案に賛成の立場から討論を行います。
 都政最大の焦点となっている市場移転問題について、この1年間に大きな転換がありました。
 1年前、小池知事は、築地市場の豊洲移転を立ち止まって再検討する姿勢をとっていました。ところが、昨年7月の都議選直後、小池知事は移転推進にカジを切りました。都議選では、「都民の食の安全・安心を守ります」「築地は守る」と都民に公約したにもかかわらず、その公約を投げ捨てました。本委員会で、市場移転について、築地市場で働く労働者の合意は得られていないことが明らかになりました。都民の理解と納得が得られていると表明することもできませんでした。
 豊洲新市場の地下水から、環境基準の最大160倍もの発がん性物質ベンゼンが検出され、環境基準では検出されてはならない猛毒のシアンが全街区から検出されているにもかかわらず、土壌と地下水の汚染を解決する展望も根拠も示されませんでした。
 小池知事は、わずか3人のメンバーによる専門家会議が大丈夫だと言っていると繰り返していますが、石原都政以来、一貫して東京都の意を汲んで豊洲移転推進にお墨付きを与えてきた専門家会議に依拠することなどとうていできないことを、わが党は明らかにしました。
 また小池知事は昨年12月、指名停止中の大手ゼネコン大成建設と追加対策工事の特命随意契約を行いましたが、東京都をのぞくすべての道府県が、指名停止中の事業者との随意契約を原則禁止していることが、わが党の質疑で明らかになりました。
 こうしたことから、わが党は、中央卸売市場会計予算に反対し、豊洲移転経費を削除し、築地市場を守るための修正案を提出するものです。
 都民への公約に立ち返り、豊洲移転は中止し、築地を守り、現在地再整備を進めることを、つよく求めるものです。

 来年度一般会計予算は、都政最大の焦点である市場移転問題について、このような都民への公約違反、背信行為が行われるもとで提案されました。
 その内容は、わが党の提案・要望や都民要求に応える施策が少なからず盛り込まれる一方、石原都政以来の大型開発偏重の基本構造は変わっていません。
 一般会計予算には、築地市場の敷地内に大型道路・環状2号線を通すための用地取得費約100億円が計上されています。築地市場の廃止を前提としたものであり、認めることはできません。
 1メートル1億円の外かく環状道路建設、住民の反対の声が広がり5件もの裁判が起こされている特定整備路線などの巨額の道路建設予算が、引き続き計上されています。
 実際にどれぐらいの寄港があるかという見通しもない大型客船用のふ頭整備に、116億円も計上されています。

 また、わが党は、日本体育協会(日体協)の本部ビルである岸記念体育会館の移転にかかわる予算の問題点を、きびしくただしました。
 質疑をとおして、岸記念体育会館の移転・建て替えには、森喜朗元首相をはじめ複数の自民党政治家が深く関与していたことが明らかになりました。その関与の結果、日体協に特別の優遇がされる計画が周到に進められてきました。
 これまで、岸記念体育会館の敷地はオリンピックの運営用地として必要だという説明をしてきましたが、しめくくり総括質疑で、その理由も崩れました。ところが小池知事は、この都政のヤミに切り込む姿勢を見せませんでした。
 来年度予算には、岸記念体育会館の敷地購入費94億円、移転補償費29億円の合計123億円、および日体協に新事務所ビル敷地の都有地を売却する歳入予算70億円が計上されています。特定の団体を優遇する予算は、削除、凍結すべきです。

 わが党が求めた国民健康保険料の負担軽減について、東京都の答弁は、きわめて冷たいものでした。
 今年4月から制度が変わり、都道府県も区市町村とともに国民健康保険の財政運営の主体となります。ところが、これを機に東京都が区市町村による一般会計からの繰り入れを解消する方針を示したため、保険料・保険税の値上げでその穴埋めをする動きが広がっています。
 わが党は、繰り入れがなくなった場合、最も上がり幅の大きい自治体は1.5倍以上の大幅値上げになることを明らかにし、都の方針を撤回して、負担軽減への支援を強化するよう求めました。
 とりわけ区市町村からの要望が強い、低所得者、多子世帯への負担軽減策に、都として取り汲むことを改めて強く求めるものです。

 また質疑の中で、特別支援学校に通う重度障害の子どもが増えている中で、教員の定数が国基準を309人も下回っていることが明らかになりました。障害の有無や程度に関わらず、ひとりひとりの発達を保障する教育を推進するためにも、教員増をはじめ、さらなる教育環境の改善を求めておきます。

 一方、来年度予算には、施策の貴重な前進も少なくありません。
 保育サービス、学童保育、NICU、特別養護老人ホームの整備目標が引き上げられ、なかでも特養ホーム整備費補助が今年度予算に比べ倍増されたことは重要です。待機児童対策、少子高齢社会対策にむけ、さらなる整備促進を求めるものです。
 住宅耐震化助成制度の対象地域拡大や、こども食堂への運営費補助の新設、医療的ケアを必要な子どもたちの通学保障の拡充、市町村総合交付金の増額なども、わが党が一貫して求めてきたものです。
 公衆浴場の活性化、福祉施設整備のための都有地・国有地の活用促進、難聴者に対する聞こえのバリアフリーの取り組み、病院で治療を受ける子どもたちや家族のストレス軽減に効果のあるアニマルセラピー、ファシリティドッグの都立病院への導入検討など、本委員会の質疑の中でも、重要な答弁がありました。

 来年度東京都予算の規模は、一般会計で7兆460億円、全会計では14兆4,440億円という、スウェーデンの国家予算に匹敵するものです。
 本格的な少子高齢化社会の到来で医療費や介護等の社会保障関係費はますます増大する中で、不要不急の大型開発を抜本的に見直して、都民のくらし・福祉最優先の予算編成に転換することが求められています。
 この立場から、わが党は、一般会計予算の編成替えを求める動議を提案しました。一般会計予算の組み替えの規模は、全体の2.9%ですが、国民健康保険料の減免やシルバーパスの拡充をはじめ74項目のくらし、福祉、教育施策を拡充できます。中央卸売市場会計の修正案と合わせて、各会派の皆さんの賛同を心からよびかけるものです。

 最後に、自民党、かがやけTokyoが提出した一般会計予算の編成替え動議は、予算の本質問題ではありません。また市場会計予算の編成替え動議は、豊洲移転を推進するためのものです。
 よって、両議案には反対であることを表明し、日本共産党都議団の討論を終わります。

以上