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質問・条例提案

予算特別委員会 大山とも子都議(新宿区選出)の締め括り総括質疑

3月26日の予算特別委員会で、大山とも子議員(新宿区選出)が締め括り総括質疑を行いました。

★質問全文(都議会速記録より)

  1. 公衆浴場の活性化について
  2. 福祉施設整備のための都有地貸付料減額制度について
  3. 待機児解消について
  4. 聞こえのバリアフリーについて
  5. 市場移転問題について
  6. 岸記念体育会館について

公衆浴場の活性化について

○大山委員 日本共産党都議団を代表して、締めくくり代表総括質疑を行います。
 まず、都民施策の充実について質問します。公衆浴場の活性化です。
 公衆浴場活性化検討会が設置され、検討結果が二月末に発表されました。公衆浴場を活性化する社会的意義を明らかにし、アンケート調査などにより、公衆浴場の現況分析を行い、情報発信や入りやすい店舗づくり、地域特性などを踏まえた事業展開、外部人材の活用、異業種とのコラボの実施による人づくり、看板商品づくりなど、活性化の方向性を示した極めて重要な内容です。
 知事は、公衆浴場組合の皆さんと直接会って、予算要望のヒアリングをしていますが、都が発表した公衆浴場活性化策の重要性を知事はどう認識していますか。また、この活性化策を今後どのように具体化していくんですか。

○小池知事 公衆浴場、いわゆるお風呂屋さん、銭湯でございますが、江戸時代から引き続く伝統的な生活文化でございます。銭湯はこうした文化的な価値のみならず、地域の交流、そして高齢者の見守りの場となっております。加えて、東京を訪れる外国人が日本の歴史、文化を体験する場ともなるなど、さまざまな役割を担っております。
 私は常々、江戸以来の、この東京の伝統ある銭湯を守りたいという思いを持ってまいりましたが、公衆浴場組合の役員の方々とのヒアリングなどを通じまして、その思いをより強くしたものでございます。
 そこで、今年度、有識者によります会議体を設けました。利用者の拡大、経営の安定化について幅広い見地から検討いたしまして、活性化策をまとめました。特に事業承継でございます。早急に取り組むべき課題でございまして、来年度には、公衆浴場の後継者、参入希望者などに向けて、経営ノウハウを実践的に学ぶ場の提供、そして、浴場への専門家派遣などに取り組んでまいります。
 今後とも、この公衆浴場の活性化に向けて、先頭に立って取り組みを進めてまいります。

○大山委員 先頭に立って、銭湯の活性化、お願いします。

福祉施設整備のための都有地貸付料減額制度について

○大山委員 次に、福祉施設整備のための都有地貸付料減額制度についてです。二〇一四年度に拡充され、期限は二〇一七年度までとなっていました。我が党は、第四回定例会で、新年度以降も継続し、対象を広げるなどさらに拡充するよう求め、都は検討中との答弁でした。検討の結果、来年度以降、どのように対応するのか伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、福祉施設整備を促進するため、平成十五年度から、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業により、未利用の都有地を五〇%減額して貸し付けてまいりました。
 また、平成二十六年八月からは、都内公示地価平均を超える部分につきまして、減額率を九〇%にまで拡大をしております。この措置は今年度末までの時限でございましたが、既に必要な手続を経て、平成三十二年度まで三年間延長することといたしております。また、対象施設につきましては、これまでも区市町村のニーズ等を踏まえて拡大しており、今後とも必要に応じて見直してまいります。

○大山委員 三年間は延長するということですね。同時に、さらなる減額措置の拡充とか、対象施設の拡大はもちろんのこと、国有地を都が取得して、都有地としてこの制度が適用できるようにするなど、さらなる拡充を求めておきます。

待機児解消について

○大山委員 次に、待機児解消についてです。
 東京都が行った保育ニーズ実態調査では、保護者が身近にある認可保育園や幼稚園など、希望するものを複数回答で全て回答した結果、公立保育園を希望していた方は五二%に上り、最も多くなっていました。しかし、実際に利用できているのは一七%にすぎません。
 第三回定例会で知事は、私の質問に、それぞれの自治体が地域の実情を踏まえながら、公立保育所も含めてさまざまな保育資源を活用して、保育サービスの整備を進めていると答弁しました。
 この答弁を踏まえて、知事は、公立保育園の利用希望が非常に多いという今回の調査結果をどう受けとめていますか。需要と供給のミスマッチを解消するためにも、都として、公立保育園整備を待機児童解消の重要な方策として位置づける必要があると思いますが、いかがですか。

○小池知事 ご質問の今回の保育ニーズ実態調査でございます。保護者が身近にある認可保育所や幼稚園など希望する複数のサービスを全て回答することができるというシステムになっておりまして、その関係からも、お話の公立保育所も含めて、ほとんどの教育、保育サービスで、希望と利用しているサービスに差が生じたものと認識をいたしております。
 また、この調査では、育児休業の取得期間が希望よりも短いこと、また、保育料が上がれば保育ニーズが下がるということも明らかになっております。
 調査で得られましたこうした保育の現場のニーズや、育児休業の取得希望などを踏まえまして、都は待機児童の解消に向けて、二〇一九年度末までの三年間で、保育サービスを六万人分拡充する目標を設定いたしております。
 保育サービスというのは、保育の実施主体である区市町村が、公立保育所も含めまして、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 都は今後とも、待機児童の解消に向けまして、多様な保育サービスの拡充に取り組んでいく、そのような区市町村を支援してまいります。

○大山委員 東京都自身が保育ニーズ実態調査をして、実態や保護者の希望などを把握したのですから、今度はそれを受けて、実態や保護者の要望に応えるときです。回答者が希望する保育サービスを複数回答したとしても、公立保育園を希望する保護者は五二%と最高であり、反面、利用できているのは一七%でしかないということは実態なんですね。
 圧倒的に公立保育園が足りないということは明白です。みずから行った調査結果を率直に受けとめ、生かすことを求めておきます。

聞こえのバリアフリーについて

○大山委員 そして、次は、都民施策の充実の最後ですけれども、聞こえのバリアフリーについてです。
 難聴者は人口の五%というWHOの算定値によれば、全国で六百万人と推計され、実際は二千万人に及ぶのではないかとも見られています。都内では、六十万人から二百万人もの難聴者がいることになります。
 とりわけ七十歳以上の高齢者のおよそ半数は加齢による難聴と推定されており、超高齢社会を迎える中、今後さらにふえていくことは確実です。難聴になると、家庭の中でも社会的にも孤立しやすく、人との会話や会う機会が減り、ひきこもりになりがちです。認知症につながることも心配されています。
 ところが、国も都も、難聴者への支援は極めて不十分です。
 知事は、誰もが輝くことができるダイバーシティーを重視し、今定例会の施政方針でも、オリンピック・パラリンピックを見据え、バリアフリーのまちづくりに総合的に取り組んでいくと表明しました。
 都として、難聴者支援を拡充強化するとともに、聞こえやすい環境の整備、改善を推進する、聞こえのバリアフリーに取り組むことが重要だと思いますが、知事の認識を伺います。

○小池知事 ご指摘いただきましたように、私は誰もが生き生きと活躍できる、輝けるダイバーシティーの実現に向けまして、障害者が生き生きと暮らせる社会を政策の一つの柱といたしまして、取り組みを進めております。
 これまでも、聴覚障害者の意思疎通を支援するために、手話の普及啓発や手話通訳者、要約筆記者の育成などにも取り組んでまいりました。
 また、情報バリアフリーのガイドラインを作成いたしまして、事業者などの取り組みを促進するとともに、会議室やイベントホールなどに聴力を補う設備である磁気ループなどを導入する区市町村を包括補助で支援してまいりました。
 現在策定中の障害者・障害児福祉計画におきましても、障害者が多様な情報伝達方法によって情報を得て意思疎通ができるように、情報バリアフリーの充実に向けました施策を盛り込む考えでございます。
 そして、東京二〇二〇大会やその後も見据えまして、聞こえのバリアフリーに取り組んで、聴覚障害者への支援を推進してまいります。

○大山委員 聞こえのバリアフリー、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

市場移転問題について

○大山委員 次に、市場移転問題について伺います。専門家会議についてです。
 豊洲新市場の地下水から、依然として環境基準を大きく超える発がん性物質、ベンゼンが検出されています。最大百六十倍です。環境基準では検出されてはならないとされている猛毒のシアンが全街区で検出されています。これに対し、多くの市場関係者、消費者、都民から不安の声が出されているのは当然のことです。
 ところが、小池知事は、専門家会議で法的、科学的な安全が確保されていると確認されているという答弁を繰り返しています。しかし、専門家会議にそれほど絶大な信頼を置くことができるのでしょうか。
 そもそも専門家会議は、石原元知事が設置したものです。当時のメンバーは、現在の平田座長を初め五人でした。そして専門家会議の提言に基づいて、八百六十億円もの巨額を投じて土壌汚染対策を実施しました。
 そこで、知事に伺います。石原都政時代の専門家会議が提言した豊洲新市場の土壌汚染対策は成功したのですか。

○小池知事 平成十九年から二十年にかけて設置されました専門家会議でございます。敷地の全面にわたる調査を実施した上で、遮水壁の設置、土の入れかえ、地下水の浄化などを含む総合的な対策が提言されております。
 都はその後、技術会議からの提言なども踏まえて、土壌汚染対策工事を実施してまいりました。
 こうした取り組みで、豊洲市場の用地におけます土壌汚染は大幅に改善、そして一昨年の九月に再設置した専門家会議におきましても、豊洲市場用地において、法的、科学的な安全性が確保されていると確認をしております。
 一方で、かつて都が掲げておりました環境基準以下の目標は達成できていない現状、これを真摯に受けとめまして、無害化にかわる新たな方針も定めたところでございます。
 都といたしましては、この方針に基づいて、専門的、科学的で妥当な対策を講じるとともに、正確な情報発信を通じまして、都民の理解と納得を求めていくことといたしました。
 今後、追加対策工事、こちらを着実に実施いたしまして、その取り組み状況などを正確に発信をすることで、豊洲市場の安全・安心を確保してまいりたいと考えております。

○大山委員 成功したとはいえないわけです。八百六十億円もつぎ込みながら、土壌も地下水も環境基準以下にするという目標は達成することはできませんでした。専門家会議の提言は成功しなかった。はっきりいって、失敗したということです。
 小池知事が、絶大な信頼を置いている専門家会議は、今はわずか三人で、平田座長を初め、みんな石原都政時代からのメンバーです。
 失敗に終わった提言をまとめた専門家会議の責任を問うことも、原因を究明することも、原因を解明することもしないで、知事は、同じ専門家会議に新たな追加対策工事の提言をまとめてもらって、今度は大丈夫だ、専門家会議が大丈夫だといっているから大丈夫だといい張っています。
 知事、これで市場業者や都民が納得できると思っているんでしょうか。

○村松中央卸売市場長 かつて東京都が、都民や市場業者の皆様にお約束いたしました、いわゆる無害化が達成されていない、そういう状況につきましては真摯に受けとめまして、無害化にかわる新たな方針を定めたところでございます。
 従来、環境基準以下という数値を一つの目標として掲げておりましたけれども、今後はそうした数値によらずに、専門的、科学的に妥当な取り組み、また徹底した情報公開、こうしたことを徹底しまして、都民や事業者の理解を求めていくこととしているところでございます。

○大山委員 市場関係者や、都民の皆さんは納得できませんよ。
 知事は、地下ピットへのコンクリートの敷設と、地下水管理システム機能強化の追加対策工事を七月に完了し、その工事の有効性をこれまた専門家会議に検証してもらうと述べています。
 時間の関係で、きょうは地下水管理に絞って伺います。
 専門家会議に、地下水管理の専門家はいるんでしょうか。

○村松中央卸売市場長 専門家会議は、豊洲市場における土壌汚染対策の検討という会議の目的に照らし、土壌、地下水、環境、衛生といった分野の専門性を有する委員で構成されております。
 同会議では、豊洲市場においてさまざまな測定調査を行った上で、地下水の現状を踏まえて、地下水管理システムの機能強化対策等について、提言していただいたところでございます。
 なお、同システムの機能強化工事を実施するに当たりまして、専門家会議にも相談した上で、現場の土質等の状況に即した設計や施工とする必要がございますことから、地盤工学等を専門として、また、地下水の流動にも詳しい専門家にも、設計内容等について相談するとともに、適宜、現地で施工状況を確認していただいております。

○大山委員 専門家会議に地下水管理の専門家はいないわけですね。
 今、ご答弁の中で、詳しい専門家に相談しているといわれましたけれども、それはどなたですか。

○村松中央卸売市場長 地下水管理システムの機能強化工事の実施に当たりましては、岡山大学の西垣名誉教授の助言をいただいております。
 同先生は、地盤工学等を専門とし、地下水の流動に詳しい方で、都が設置する土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会の委員でもございまして、専門的知見を有し、豊洲市場用地の現状にも明るいことから、助言をお願いしたところでございます。

○大山委員 岡山大学の名誉教授ですね。この方は、一貫して地下水管理システムの助言をしてきた方です。設計を担当した日水コンへの助言も担当していました。
 この方は、地下水管理システムが稼働する少し前の二〇一六年六月二十八日、今おっしゃっていた第七回土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会で、どういう発言をされているでしょう。
 これは議事録です。台風、地震、津波など災害が重なった場合など、いろんなケースをある程度考えて都の方で設計されていますので、もっと声を大にして世界中にアナウンスをして、ちゃんとした仕事をきっちりやっているというのを表面に出してもらいたい、我々、物すごくすばらしい仕事をさせていただきましたので、都はどんどん胸を張って発表していただければいいんじゃないか、こういう発言をされているんですね。これは公表されている議事録に記録されています。
 知事に伺います。地下水管理システムは、胸を張れるような結果が出ているんでしょうか。知事に伺います。(村松中央卸売市場長発言を求む)知事に伺います。答えられないでしょうか。

○村松中央卸売市場長 地下水管理システムにつきましては、現在、地下水位が管理基準に到達していないと。三街区の平均で大体AP二・五メートルぐらいの水準にございますが、それを早期に管理水準まで水位を下げると、そういったことで、当初どおり期待された効果をもたらすものと考えております。

○大山委員 胸を張れるどころか、地下水管理システムがまともに機能していないことはもう誰の目にも明らかです。その原因も解明できていないのに、追加対策工事をやれば大丈夫だ、専門家会議が大丈夫だといったから大丈夫だといわれても、到底信用できません。
 その上、地下水管理システムを絶賛していた専門家に相談しているから大丈夫だといわれても、安心できないのは私だけではないと思います。
 豊洲新市場は、東京ガス工場の跡地です。石原元知事は、土壌汚染の調査を拒んでいましたが、都民の強い批判を受ける中、二〇〇八年に渋々調査をした結果、環境基準の四万三千倍ものベンゼンや、八百六十倍ものシアンが検出されるなど、世界でも類を見ない深刻な土壌汚染の存在が明らかになりました。
 そこで、石原元知事が設置したのが専門家会議です。ところが、専門家会議は、立ちどまって引き返す最大のチャンスを生かすこともなく、あろうことか、対策をとれば何とかなるという提言をまとめて、ゴーサインを出したんです。そしてその提言に基づく対策は失敗に終わりました。
 今回、小池知事が再招集しましたが、今回も引き返す絶好のチャンスを生かすことなく、追加対策工事をすれば大丈夫だろうという提言をまとめて、ゴーサインを出しました。石原都政時代の提言に対し、日本環境学会の専門家などから、絵に描いた餅だなどの厳しい批判が寄せられてきました。今回の追加対策にも、ばんそうこうを張るようなものだと多くの批判が寄せられています。
 わずか三人の専門家会議だけに依拠するのはやめて、多くの科学者や市場業者、消費者、都民の声に耳を傾けるべきです。
 そして、豊洲新市場への移転中止、築地市場の現在地再整備を強く求めるものです。
 それでは次に、岸記念体育会館について伺います。(村松中央卸売市場長発言を求む)日本体育協会、日体協の本部ビルである……
   〔発言する者多し〕
   〔大山委員「聞いていませんよ。時間とめてください。時間とめてください」と呼ぶ〕
   〔「委員長が指したんだよ」と呼び、その他発言する者多し〕
   〔大山委員「指していません」と呼ぶ〕

○両角委員長 いや、指しています。指しています。
   〔大山委員「速記とめてください。速記とめてください」と呼ぶ〕

○村松中央卸売市場長 専門家会議では、豊洲市場における空気や地下水につきまして(大山委員「聞いていませんよ。速記とめてくださいよ」と呼ぶ)さまざまな測定結果を実施して、豊洲市場の現状を専門的、科学的な見地から分析した上で、必要な追加対策を提言していただいております。
   〔発言する者多し〕
   〔大山委員「聞こえませんよ。聞こえませんよ」と呼ぶ〕

○両角委員長 ご静粛に願います。

○村松中央卸売市場長 さらに追加対策の工事の実施に際しましては、換気の方法やコンクリート打設の施工方法、揚水井戸の設置位置等について、他の専門家にも助言をいただくとともに、適宜現場の施工状況についても確認いただくこととしております。
 加えまして、追加対策工事の完了後は、その有効性について専門家会議に確認していただくこととしておりまして、都といたしましては、将来のリスクにも備えた追加対策工事を着実に実施することで、豊洲市場の安全性はさらに向上するものと認識しております。

○大山委員 答弁も求めていないのに、やめてください。そもそも失敗したでしょうというのは、もう今、証明したじゃないですか。

岸記念体育会館について

○大山委員 次に移ります。岸記念体育会館について伺います。
 日本体育協会、日体協の本部ビルである岸記念体育会館は原宿駅前にあります。五階建てで、日本レスリング協会を初め、全国レベルのスポーツ団体やJOCの事務所が入っています。
 前回の東京オリンピックのときに建てたもので、その建てかえは、日体協とその名誉会長を務める森喜朗元首相の悲願とされています。
 ところが、代々木公園に隣接していて、将来、都立公園にする都市計画の網がかかっているので、現在地で建てかえようとしたら、原則二階建てまでしか建てることができません。
 そのため、森喜朗元首相が乗り出して、何とか現在地建てかえを進めようとしましたが、結局うまくいかず、平成二十四年、二〇一二年ごろから、神宮外苑への移転に方針転換しました。
 こうした経過の全体像が、我が党のこの間の調査、情報公開請求や質疑を通して、ようやく明らかになってきました。
 まず、オリンピックと岸記念体育会館移転との関係について伺います。
 私たちは情報公開で、平成二十七年、二〇一五年三月四日付、都市計画代々木公園における事業着手の必要性について(案)という、これですね、都市整備局の文書を入手しました。ここにあります。
 この文書に、国立代々木公園競技場は、競技会場(ハンドボール、車椅子ラグビー)であり、オリ・パラ開催を踏まえ、隣接する代々木公園において、オープンスペースなどのレクリエーション機能を拡充する必要性がある、大会運営に必要な仮設施設や駐車場等が設置可能となるオープンスペースの確保が必要である、渋谷駅側からの歩行者動線上に入場者をコントロールするためのたまり場の確保が必要であると書いてあります。
 こうしたことを、オリ・パラ準備局として意思決定したのはいつですか。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 お尋ねの文書は、都市整備局が独自に作成したものと私どもは認識しておりまして、当局に記録は残っておらず、確認はできませんでした。
 当時の当局及び組織委員会の担当者に確認しましたところ、時期については不明でありますが、都市整備局から代々木会場の整備計画の検討状況につきましてお問い合わせがあり、その際、代々木競技場のみでは、大会運営用地に活用できる敷地が不足していること、周辺に適当な用地が見当たらないことは伝えていたとのことでございます。
 お尋ねの文書は、そのようなやりとりを踏まえ、記述しているものと思われ、当局としては意思決定したものではございませんというふうに考えております。

○大山委員 それでは、平成二十七年三月四日付、都市整備局作成、都市計画代々木公園における事業着手の必要性について(案)の文書をオリ・パラ準備局が見たのはいつですか。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 来年度予算案に代々木公園の用地取得費などが計上されるに当たりまして、経緯について、法律の専門家などを含めての検証が行われるとのことで、その際、都市整備局から資料として提出をする旨、当局に情報提供がございまして、本年一月中旬ごろだと思いますが、その存在を知ったところでございます。

○大山委員 オリ・パラ局は、二〇一八年、ことしの一月中旬にその存在を知ったということですね。要するに、オリンピックのために、岸記念体育会館の敷地を使う必要がある。そのために急いで公園の事業化を進める必要があるというのは、都市整備局がつくり上げたものであり、オリ・パラ局から出た話ではないということが明らかになりました。
 オリンピックのために使うというのは、ますます岸記念体育会館のために考えた後づけの口実といわざるを得ません。百二十三億円かけた敷地購入、移転補償の大義名分は、いよいよ揺らいでいます。
 そこで、今、文書を配らせていただきましたけれども、なぜ、岸記念体育会館の敷地を購入することが進められたのか、その経緯、真相の究明が求められます。
 知事に伺います。平成二十四年五月十五日、衆議院議員会館で森喜朗衆議院議員と面接した記録、神宮外苑の再整備について、同年五月十日のV2V4レク議事メモ(部長からの聞き取り)、そして、同年二月二十八日の霞ヶ丘競技場の建替えについて(萩生田元代議士と情報交換)の三つの文書を代表総括質疑で明らかにし、その後、三月十六日になって、やっと情報公開条例に基づいて、黒塗りなしで公開、開示されました。
 知事はこの三つの文書を見ていますか。内容はよく読んでいらっしゃいますか。

○小池知事 今、ご審議いただいております来年度予算案を練るに当たりまして、そして、代々木公園の用地の取得費を計上するに当たって、この過去の経緯について、所管局から説明を受けております。十二月のことでございます。
 その中で、経緯を説明するという中で、お尋ねの文書も見たということでございます。

○大山委員 見ているということなんですけれども、知事は読まれましたか。どうですか。

○小池知事 その説明を受けたということでございます。

○大山委員 見て、見ながら説明を受けられたんでしょうかね。経緯を検証する上で大事な文書です。よく読まれる必要があると思います。
 代表総括質疑で知事は、来年度予算案に代々木公園用地の取得費などを計上するに当たりましては、法律の専門家などを含めて、経緯も含めての検証を行っておりますと答弁しました。知事はどういう検証をしたのか、具体的に、丁寧にお答えください。

○多羅尾総務局長 来年度予算案に代々木公園用地取得費等を計上するに当たりまして、神宮外苑地区及び代々木公園の整備に関する歳入額及び歳出額を計上するに至った経緯並びにそれぞれの額の算定の考え方及び金額について、弁護士等による検証を行いました。

○大山委員 私は知事に答弁を求めたのに、総務局長の今のご答弁は、代表総括質疑の知事答弁と全く同じです。どのような検証をしたのか、具体的、丁寧に答えることはできないのですね。
 知事は、十三日の代表総括質疑で、来年度予算案に代々木公園用地の取得費などを計上するに当たりましては、法律の専門家などを含めて、経緯も含めての検証を行っておりますと答弁しました。
 ここにその調査報告書があります。これですね。ことし一月二十三日付です。弁護士さんや不動産鑑定士さん五人による特別調査チームによるものです。我が党は、情報公開請求で入手しました。
 主な調査対象は、土地代の算定が妥当かどうかということに限定されています。それ以外の点については、明らかな法令違反、またはその疑いがあるかどうかにとどめ、裁量権行使、つまり政策的判断の妥当性などは検討の範囲外だと明記されています。
 経緯について、外部関係者に対する問い合わせもヒアリングもしていません。結局、経緯についてのまともな検証はやっていないと指摘せざるを得ません。
 そこで、今回開示された文書などをもとに、経緯にかかわる問題について知事にお聞きします。
 日本共産党都議団は、三月一日の代表質問で、日本体育協会元会長の森喜朗氏から岸記念体育会館の移転について、東京都または都の職員に何らかの相談や働きかけ、接触はありませんでしたかと質問しました。
 これに対し、邊見技監が、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転について、森氏から都に相談や働きかけがあったとの記録は見当たりませんと答弁しました。十三日の代表総括質疑でも、邊見技監は見当たらないと答弁しています。
 代表総括質疑の後、平成二十四年、二〇一二年五月十五日、衆議院議員会館で森喜朗衆議院議員と面談した記録、お配りした中の一番最初、神宮外苑の再整備についてという文書が情報公開されました。
 この記録によれば、この日、当時の佐藤副知事と安井技監が、神宮外苑の再整備について、東京都として考えているイメージを説明するために、森喜朗衆議院議員を訪ねています。
 東京都が持参した図面をもとに、森氏にNAASH本部と--NAASHというのは、現在のJSC、日本スポーツ振興センターです、日本青年館の移転先として、NAASH所有のテニスコートを想定していることなどを説明しています。
 そこで、森氏が、ここに、NAASH所有のテニスコートに日体協も移転させるといい、どのぐらいの規模が建つのかと発言しています。
 知事、お配りした文書を見てください。真ん中辺ですね、ここに日体協も移転させるといい、NAASH所有のテニスコートに日体協も移転させるといいと岸記念体育会館の移転の話を切り出したのは、森衆議院議員です。そして、どのぐらいの規模が建つのかと森氏は尋ねて、佐藤副知事が、高さ等の規制緩和が可能と答えています。
 知事に伺います。
 知事は、これが森氏からの相談や働きかけ、接触に当たらないと判断しているんでしょうか。知事、文書を見て、説明も受けているんですから、きちんと答えてください。知事、ご答弁お願いします。
   〔邊見東京都技監発言を求む〕
   〔大山委員「知事が手を挙げているでしょう」と呼ぶ〕
   〔発言する者あり〕

○小池知事 まあまあ、ちゃんとお答えいたしますので、よくお聞きいただきたいと思います。
 お話の文書につきましては、局から、神宮外苑全体の再整備について、都から説明に行った際の記録だと聞いております。岸記念体育会館の移転を都から日体協に提案した後のやりとりでございまして、内容的にも、森氏からの働きかけといえるような記述とはなっておりません。
 ということで、以上の要素を考えますと、働きかけには当たらないと、このように聞いているところでございます。

○大山委員 知事までそのような答弁をするんでしょうか。そんな説明では誰も納得しませんよ。
 知事、東京都から説明したのは、外苑再開発についてです。その中で、日体協の移転の話を持ち出したのは森氏です。これ東京都の資料ですよ。ここに日体協も移転させるといい、どのぐらいの規模が建つのか、森氏から東京都に対するこの発言が、日体協の移転についての相談でも働きかけでもない、そう知事もいうんでしょうか。
 しかも、重大なことは、森氏と佐藤副知事のやりとりどおりに、その後、事が進んだことです。
 パネルも用意してきましたので、見てください。それからさっきの資料にもあります。資料の一枚目は、森氏と佐藤副知事のやりとりです。二枚目がその後の都の対応、結果を示しています。
 森氏の発言の翌年、二〇一三年六月と二〇一六年十月の二回にわたって、まさにNAASH所有のテニスコートとその隣接地が、佐藤副知事がいったとおりに規制緩和されて、高さ制限が十五メートルから八十メートル、大幅に引き上げられたわけです。さらに、容積率も三〇〇%から四五〇%に緩和されました。
 そして、森氏が発言したとおり、その場所にJSC、日本青年館と並んで、日体協が移転することになりました。
 これも知事に伺います。
 高さ制限と容積率の緩和で、日体協は格段に大きなビルを建てることができることになりました。これは日体協に対する特別の優遇策ではありませんか。知事、そう思いませんか。
   〔邊見東京都技監発言を求む〕
   〔大山委員「知事に聞いているんです」と呼ぶ〕
   〔小池知事「技監が答えます」と呼ぶ〕

○邊見東京都技監 都市計画で定めております地区計画、これは都市計画審議会に諮り、手続を経て定めてございますが、その中で、地区計画の目標に照らして、さらに運用基準に基づいて、歩行者ネットワークの形成などを評価して、都市計画を緩和しているものでございます。協会のために便宜を図っているものではございません。
 なお、先ほど、働きかけがあったとの記録が見当たらないというご答弁を従前させていただいておりますが、あわせて、私の方では、説明に伺ったことはある、このことも否定をせず、答弁をさせていただいてございますので、あわせて、つけ加えさせていただきます。

○大山委員 結果として、森氏と佐藤副知事のやりとりどおりに物事が進み、日体協に大きな利益をもたらした事実は否定できません。来年度予算案に岸記念体育会館の土地を東京都が買い取り、移転補償費まで日体協に支払う予算、百二十三億円が計上されています。
 都立公園用地にするための日体協の岸記念体育会館に立ち退いてもらうので移転補償費を出すとしていますが、そもそも移転したいのは日体協です。その事実をごまかして、あたかも東京都の都合で移転するかのように見せかけるため、佐藤副知事と安井技監を中心に、何年にもわたる用意周到な手はずがとられてきました。
 しかも、移転先まで東京都が用意し、規制緩和で大きなビルが建てられるようにしたんです。来年度予算案には、移転先の都有地を日体協が買い取る予算、歳入予算七十億円が計上されています。
 日体協は百二十三億円と七十億円の差額の五十三億円を手に入れることになります。岸記念体育会館建てかえの悲願を実現し、今よりずっと大きな新築ビルをわずかな負担で手に入れるんです。こうした経過を隠し通すために、虚偽答弁を繰り返してきたわけです。
 情報公開された一連の文書で、森首相を初め、先ほども、政治家にといいましたけれども、何人かの政治家の名前が出ていますが、全て自民党の政治家でした。
 例えば、平成二十四年、二〇一二年二月二十八日、霞ヶ丘競技場の建替えについて、お配りした資料の二つ目です。萩生田元代議士と情報交換という文書です。場所は、自民党控室となっています。登場人物は、萩生田元代議士と東京都の安井技監の二人です。
 当時、民主党政権で、萩生田氏は落選中です。萩生田氏が別図を広げながら、日建設計がこんな案を検討していると発言。安井技監が、承知しており、私の局が中心に副知事と相談しながら内々検討している、私も日建と会い、検討作業の方向を確認している。萩生田氏、日建もそういっていた、実現するときは自民党政権に戻っている、今の機会しかここの整備はできない。
 知事、この文書もごらんになっているはずです。自民党の元代議士と東京都の技監が自民党の控室でこういう情報交換を行うのは、私は重大な問題があると思いますが、知事はどう考えますか。知事、どう考えますか。

○小池知事 今も改めて文書を拝読いたしているところでございます。そのようなやりとりが行われたのかなと、このように認識しております。

○大山委員 まさにそのようなやりとりがあったんです。そして、日体協、萩生田氏と安井技監の間で、霞ヶ丘競技場の建てかえに伴う再開発についてのやりとりをした最後に、萩生田氏が岸記念体育会館について口を開きます。ところで、日体協は岸記念体育会館の現地での建てかえは財務省との関係で難しいので、霞ヶ丘に移ってNAASHと一緒のビルに入りたいといっている。これを受けて、安井技監は、NAASHが誘っているのではなく、日体協が望んでいるのかと質問して、萩生田氏が、日体協が望んでいるようだ、こう答えているんです。
 萩生田氏は、この文書の最初の方で、森元首相から、君が文科省、NAASH、都を横断的に調整してくれといわれていると発言しています。
 この情報交換に、いわば森元首相の名代として臨んでいるのであり、日体協の要望とは、すなわち日体協の名誉会長である森元首相の意向だと安井技監が受けとめたのは自明のことだと思います。指摘しておきます。
 さらに、平成二十四年五月十日、V2V4レク議事メモ(部長からの聞き取り)という文書があります。以前、佐藤副知事から、内田顧問、森元首相に岸記念体育会館の移転の話をした経緯あり。さらに、佐藤副知事と森元首相との会談後、早目に内田顧問及び高島顧問に会う方向で調整する(森元首相と内田顧問の間はあけない)と記録されています。
 内田顧問は、自民党の内田茂氏で、当時、落選中です。知事、東京都の副知事と、当時は落選中の自民党の元都議会議員内田茂氏が、このような密着した関係にあることをどう考えておられるでしょう。東京都の執行機関の対応として不適切と考えますが、どうですか。知事、どうですか。知事、どうですか。

○邊見東京都技監 改めて申し上げますと、東京都としては、政策としてスポーツクラスターの形成ということをかねてから掲げておりまして、それに合致するという方向でさまざま検討しております。
 そもそも国立競技場の建てかえにあわせて(大山委員「委員長、そんなこと聞いていませんよ」と呼ぶ)さまざまな取り組みを都としてしていくのは当然のことでございまして、それに向けてさまざまやってきてございます。(大山委員「委員長」と呼ぶ)あと……(大山委員「質問に答えてもいないでしょう。知事に聞いているんです。委員長」と呼ぶ)日体協への提案は、そもそも……
   〔発言する者多し〕

○両角委員長 答弁中です、答弁中。(大山委員「速記とめてくださいよ」と呼ぶ)答弁中ですよ。

○邊見東京都技監 都から提案したものでございます。改めて申し上げますと、いずれも政治家からの働きかけがあったということではありませんし、必要に応じて説明に伺うということはかねがね申し上げてございます。いずれも事実に基づいて説明しておりまして、事実に基づいて、ご理解いただきたいと考えます。

○大山委員 政治家にといいますけれども、協力してもらえる方といいますけれども、みんな自民党の政治家、しかも落選中の代議士や都議ばかりではありませんか。とんでもありませんよ。
 知事の都政の透明化、東京改革といった政治姿勢はどこに行ったのかといわざるを得ません。これだけ大問題、問題になっています。
 重大なことは、一部の政治家の意を酌んで都政がゆがめられていたこと、その陰で、地方自治体として一番に考えなければならない都民の命と暮らしが踏みにじられていたんです。
 今まで質疑した、情報開示で出された文書の中に、都営霞ヶ丘アパートに関する記述がたくさんありました。二〇一一年には上野部長が、霞ヶ丘アパートの土地はあくことになる、二〇一二年には佐藤副知事が、霞ヶ丘アパートの住民は移転してもらうために国策として進めることが大事と発言しています。
 住んでいる住民に何の相談もなく、霞ヶ丘アパートを廃止して国立競技場の関連敷地にする。国策だからと有無をいわさず、六割が高齢者、八十一歳以上が六十五人も住んでいたのに、長年培ってきた地域に、地域コミュニティを壊し、生活圏も全く違う住宅に転居を迫る。私が把握しているだけでも、引っ越ししてからわずか七カ月の間に、六人もの方々が引っ越し先で亡くなっているんです。
 霞ヶ丘アパートに隣接するJSCのテニスコートを代替地にしてほしいという住民の切実でささやかな要望さえも、全く歯牙にもかけず、日体協の移転を優先したんです。こんなことは許されませんよ。
 こうやって詭弁を使ったりしている中で、本当に都政改革は絵に描いた餅といわなければなりません。
 我が党は、引き続き全容の解明を続ける決意を表明して、質問を終わります。(拍手)