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質問・条例提案

2019.03.28

2019年第1回定例会を終えて(談話)

2019年第1回定例会を終えて

2019年3月28日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 大山とも子

1 都議会史上例のない異常な議会運営と、多くの会派の共同

今議会は、小池知事が提案した築地市場跡地への対応をめぐって紛糾し、知事与党が議会運営のルールを乱暴にふみにじる、都議会史上例のない異常な議会となりました。
都議会では、「各会派間の協議を尽くすことを基本とする」「委員会は原則として各会派から1名以上の委員が出席しなければ、会議を開くことができない」という議会運営のルールが、長年にわたってきずきあげられてきました。
ところが、知事与党の都民ファーストの会と公明党は、予算特別委員会や財政委員会で、このルールをまもろうとせず、数の力にまかせた理事会、委員会運営をくりかえしました。
この暴挙に対し、都議会自民党、日本共産党都議団、都議会立憲・民主クラブ、維新・あたらしい・無所属の会、生活者ネットワーク、自由を守る会の6会派は、議会運営のルールを尊重した理事会、委員会運営をおこなうよう、くりかえし、つよく要望しました。
こうした、多くの会派の共同の力により、本日の閉会本会議でおこなわれた予算特別委員会委員長報告で、「委員会は原則として各会派から1名以上の委員が出席しなければ、会議を開くことができない」との認識が、表明され確認されました。
今議会の開会日には、知事与党の都民ファーストの会と公明党が、理由も言わず議会運営委員会理事会を長時間にわたって欠席し、議会を空転させるという、前代未聞の事態もおきました。
都民ファーストの会と公明党は、一連の議会運営を深く反省し、今回のようなことを二度とくりかえさないよう、きびしく求めるものです。

2 市場移転問題をめぐる知事の公約違反が、多くの人の共通認識に

築地市場跡地への対応をはじめ市場移転問題は、今定例会の大きな焦点になりました。
小池知事は2017年6月20日、都議選告示3日前に発表した市場移転問題の基本方針で、「築地は守る」「市場機能を残す」と約束しました。ところが、今年1月の「築地まちづくり方針(素案)」で、この約束は消えてしまいました。知事の公約違反は明白であり、多くの人の共通認識になりました。
仲卸業者でつくる築地女将さん会のみなさんが「だまされた」と怒りの声をあげ、多くの市場関係者も「知事に裏切られた」と、きびしい批判の声をあげています。
にもかかわらず、「考え方は変わっていない」と強弁し、方針転換を認めない知事の態度はゆるされません。都民と市場関係者に謝罪し、公約である「築地は守る」の立場で、築地まちづくり方針を一から検討しなおすことを、あらためてつよく求めるものです。

3 豊洲市場で働く人の健康を守るため、黒い粉じんの調査・抜本対策を

わが党は、豊洲市場で発生している黒い粉じんから、アンチモンやカドミウムなど有害な重金属類が、一般の道路粉じんにくらべ、はるかに高濃度で検出されたことを明らかにし、都として粉じんの成分分析などの調査をおこない、働く人の健康を守る抜本対策をとるよう求めました。また、豊洲市場では、開場直後からほこりや粉じんが発生し、のどの痛みなど体調不良、健康への影響が心配される事態が生じていたことを明らかにしました。
市場長は、ターレのタイヤ改善などの、新たな対策の必要性は認めました。しかし、知事も市場長も、「豊洲市場の衛生環境は良好」という答弁をくりかえし、黒い粉じんの調査は拒否しました。
豊洲市場で働く人の健康を守る立場に立とうとせず、良好な環境だと言いはって調査・分析すらしない小池知事の姿勢は、「食の安全・安心を守る」という公約を投げすてて、土壌と地下水の汚染が残る豊洲市場の安全宣言をおこない、移転を強行したことと共通する問題であり、都民のきびしい批判は免れません。

4 2019年度一般会計予算案に対案を示して反対

① 「都政大改革」の公約とほど遠く、石原都政以来続く大型開発推進の予算配分

来年度東京都予算の規模は、一般会計で7兆4,610億円、全会計では14兆9,594億円で過去最高となりましたが、東京オリパラ大会経費および関連経費で5,330億円、今年度の2倍になっています。
組織委員会との共同実施事業1,593億円の中身は極めて不透明で、予算執行後も多くの部分の契約金額が明らかにされない可能性があります。国が責任を持つべき新国立競技場整備にも都負担395億円が計上されています。
外かく環状道路や外環の2、住民が強く反対している特定整備路線などの大型道路建設がひきつづき推進されています。大型クルーズ客船の埠頭整備は、どのくらい寄港があるのか見通しもしめさないまま、昨年度につづき83億円の予算が計上され、カジノの調査費用も計上されています。「都政大改革」の知事の公約とほど遠く、石原都政以来続く大型開発推進の予算配分は変わっていません。
今年10月に予定されている消費税10%を前提に上下水道料金、都営交通の運賃など47億円余の負担増が予算案にもりこまれました。国民健康保険料(税)は、重い負担が大問題になっているにもかかわらず、新たな負担軽減策はありません。
以上の理由から、2019年度一般会計予算案や公営企業会計予算案に反対しました。
一方、2019年度予算案には、わが党が提案してきた公立学校へのエアコン設置、市町村総合交付金の10億円増額、児童虐待防止対策として児童相談所の職員の増員、幼児教育無償化にともなう認可保育園、私立幼稚園・幼稚園類似施設を利用する世帯への都独自の負担軽減など、全会計でスウェーデンの国家予算をこえる都の予算規模から見れば端緒的ですが、重要な前進面もあります。

② くらしと福祉を守る予算への組み替えを提案
 不要不急の大型開発を抜本的に見直して、都民のくらし・福祉最優先の予算編成に転換する立場から、わが党は一般会計予算の組み替え提案をおこないました。
新国立競技場、環状2号線、特定整備路線などの歳出削減をおこない、国民健康保険料(税)の子どもの均等割無料化やシルバーパスの拡充、学校給食費助成、大学生むけ給付制奨学金の創設、都営住宅の新規建設4000戸分など、85項目のくらし、福祉、教育施策を拡充する内容です。
予算全体の2.9%を組替えるだけで、多くの都民要求が実現できることを具体的にしめした提案であり、この方向こそ都民の願いにこたえるものだと確信しています。

5 子どもの均等割国保料負担軽減条例など3つの条例案と2つの修正案を提出

今議会に提出した、国民健康保険の子どもの均等割保険料の負担軽減条例案は、区市町村が子どもの均等割保険料の減免をおこなった場合に、その額を都が補助するものです。
そもそも、所得のない子どもに保険料を払えというのは、おかしな制度です。わが党は、代表質問や予算特別委員会でも国保料(税)の負担軽減についてとりあげ、この20年間に特別区の均等割保険料は2倍にもあがっている実態をしめし、せめて子どもの均等割保険料の軽減が必要ではないかとただしました。
都が、子どもの均等割保険料の負担軽減が必要だという認識を示したことは重要です。ひきつづき、保険料引き下げのために力をつくします。
また、中小企業・小規模企業振興条例の制定にあわせて、中小企業振興対策審議会の名称を変更し、年1回以上の開催を求める条例改正案を提出しました。わが党は、審議会が石原都政以来14年間、開かれていないことを指摘し、知事から、審議会開催の必要性について検討するよう指示したという答弁をひきだしました。
都議の期末手当を引下げる条例案は、わが党と維新・あたらしい・無所属の会、生活者ネットワーク、自由を守る会の4会派共同で提出。都民ファーストの会、公明党、自民党などが反対しました。
さらに、知事が提出した児童虐待防止条例、マンション管理条例には、いずれも賛成しましたが、条例をよりよいものとする立場から修正案を提案しました。

6 都民要望の実現へ、多くの貴重な成果

日本共産党都議団は、18人の力を大いに発揮して、議会の論戦をとおして、都民要望の実現へ、多くの貴重な成果をえることができました。
国民健康保険について、「医療費が高い高齢者や失業者などの低所得者のしめる割合が高く、保険料の確保が困難であるなど、構造的な問題がある」ことを知事が認めました。
都は、国保料(税)滞納者への新規差押の件数をふやした区市町村ほど、交付金の額をふやす制度をつくっていました。生活が苦しくて払いたくても払えない人をさらに追いつめる、とんでもない制度であることを、わが党はきびしく批判し、廃止するよう求めてきました。今議会の質疑で、滞納処分に応じて交付額をふやす基準について、2018年度から廃止したことが、確認されました。都民の世論・運動と日本共産党都議団がきりひらいた、貴重な成果です。
都営住宅の浴槽や風呂釜の更新の都負担について、都は入居中の設備の更新について計画的、効果的な進め方を検討していくとの答弁がありました。昨日、住宅供給公社が、公社一般賃貸住宅の修繕費の居住者負担軽減を明らかにしたことも重要です。
高齢者施策の充実をはかっていくとの知事の答弁をひきだし、認知症の人が住みやすいまちづくりについて都は、国内外のさまざまな知見も参考としてとりくむと答弁しました。また、知事が、聞こえのバリアフリーにとりくみ、高齢者の聞こえの支援を推進すると答弁したことも重要です。
小中学校の給食について、知事は、重要な学校教育活動であると認め、憲法26条は義務教育無償化を規定していると答弁しました。教員の働き方改革の問題では、知事は教員の負担軽減と教育の質の向上のために、教育委員会と一体となってとりくんでいくと答えました。
わが党の質疑を通して、羽田空港の機能強化にともなう新飛行ルートは、国が住民説明会で最大瞬間騒音レベルを示していた計算値よりも実測値が6.4倍もの大きな騒音が観測されていることが、明らかになりました。
米軍基地対策では、横田基地で起きたパラシュート降下訓練の事故について、知事が、人命にかかわる事故であり、あってはならないと答弁し、都は、横田基地、大和田通信基地、赤坂プレスセンターなど都内の米軍基地について整理、縮小、返還にむけてとりくむと表明しました。
わが党は、都民の切実な要求を実現するため、ひきつづき全力をつくすものです。

 以上