予算特別委員会 とや英津子都議(練馬区選出)の一般総括質疑
3月14日の予算特別委員会で、とや英津子議員(練馬区選出)が一般総括質疑を行いました。
★質問全文(都議会速記録速報版より)
○とや委員 石川委員長、お戻りになりましたので、一言いわせていただきます。
質問に先立ち、本日の特別委員会及びそれに先立つ理事会の運営について、石川良一委員長の、都議会が長年にわたって築いてきた議会運営のルールと議会制民主主義を無視した暴挙に対し、厳しく抗議をするものです。
そもそも理事会は、委員会の構成する全ての会派が参加して開くことが原則です。ところが、石川委員長は、各会派の理事会開催の合意もない上に、自民党と我が党の理事が参加していないにもかかわらず、強行に理事会を開催したことは、理事会運営のルールを踏みにじるものであり、厳しく抗議をするものです。
また、理事会の協議を伴わないのに、予算特別委員会の開会を強行したことも断じて許されません。
○とや委員 それでは、質問に入ります。
教員の働き方改革について伺います。
東京都の教育委員会は、昨年の二月に学校における働き方改革推進プランを作成し、教員の長時間労働の縮減に取り組んできました。
異常な長時間労働を解消し、教師一人一人がみずからの専門性を発揮し、子供としっかり向き合える時間を確保できるようにすること、子供たちの成長、発達を保障する教育環境を築いていけるようにすることは、喫緊の課題です。
改めて、小中学校の教員の苛酷な労働実態と働き方改革の必要性への認識、また、この一年間の取り組みと成果について伺います。
○中井教育長 昨年度、都が実施した都内公立学校教員の勤務実態調査においては、週当たりの在校時間が六十時間を超える、いわゆる過労死ライン相当にある教員が多数存在するなど、小中学校教員の長時間労働は看過できない状況にあると認識しております。
このため、都教育委員会は、平成三十年二月に策定した学校における働き方改革推進プランにおいて、過労死ライン相当にある教員をゼロにすることを当面の目標として掲げまして、教員の意識改革や専門スタッフ等の配置、部活動の負担軽減などに取り組んでまいりました。
その結果、小中学校教員の在校時間の状況には一定の改善が見られておりますが、さらなる取り組みが必要と考えて、今後とも取り組んでまいります。
○とや委員 一定の改善が見られるもののさらなる取り組みが必要だということです。
発表資料でも、平均在校時間も過労死ラインを超えて働いている教員の割合も余り変わっておりません。中学校では、まだ半分の先生が過労死ラインを超えて働いている状況です。
実際に、小中学校の先生たちがどのような働き方をしているか、改めて紹介したいと思います。ごらんください。
先生は、朝起きて、朝学習プリントの作成と授業の準備、七時には出勤、八時に主任の打ち合わせ、全体や学年の打ち合わせを終了させて教室へ行き、また朝学習、休み時間も教員は全員、廊下で生徒を見守ります。六時間目が終わると、午後三時二十分から補習があり、四時から生徒の個別指導となります。本来、三時四十分から四時二十五分までは休憩時間ですが、とれません。五時に学年主任と管理職への報告をして、五時二十五分から部活動支援、六時にやっと下校指導です。六時十分に保護者への連絡、七時に生徒指導報告書の作成、その後も保護者からの連絡や個別対応、教育委員会へのいじめ報告書の作成や、翌日の準備はようやく夜の九時半からになります。十時三十分にやっと退勤で、十時四十五分にはやっと帰宅ができました。何と十八時間働いて睡眠三時間という勤務がたびたびあるわけです。
教師の一日の労働実態がいかに苛酷であるかがわかります。
教師からは、忙し過ぎて夕方までトイレに行けない、藥を飲む暇がない、ちょっとした休憩をとりたいなどの声が届いております。
教員の長時間労働の解消は、教育委員会だけでなく、知事としても責任を持って取り組むべき課題だと思いますが、知事、いかがでしょうか。
○小池知事 教員の長時間労働を解消する、そのことは、教員自身の心身の健康はもとより、教育の質にも直結するものでございます。新たな時代を担う子供たちの育成に向けましても重要な課題と存じます。
そのために、今年度から、スクールサポートスタッフ、そして部活動の指導員などの配置を進めてまいりまして、また、ICT化を推進するなど、教員の負担軽減を図ってきたところでございます。
さらに、来年度からでありますが、これまでの取り組みを拡充するとともに、先般の総合教育会議での議論なども踏まえまして、経験豊富な教員OB等を活用いたしましたワークシェアリングなどに係る予算も充実をさせたところでございます。
これに加えまして、教員の働き方改革に資する財団法人を設立するなど、教員の負担軽減と教育の質の向上のために、今後も教育委員会と一体となって取り組んでまいります。
○とや委員 知事から、今後も教育委員会と一体で取り組むというお答えをいただきました。大変重要だと思っています。
教育委員会が働き方改革プランに掲げた学校現場の要望、最も強いものがございます。それは、教育委員会からの調査の削減です。都教委は、教育庁各部の調査について、具体的な数値目標を設置し縮減を図るとしていますが、現在の取り組み状況を伺います。
○中井教育長 学校に依頼する調査の縮減につきましては、学校における働き方改革推進プランに基づきまして、実施年度の隔年化、対象校の抽出化、調査項目の大幅な削減による簡略化など、この間、精力的に取り組んできているところでございます。
これとあわせまして、今後のさらなる取り組みに向け、都教育委員会内にプロジェクトチームを立ち上げまして、各部が実施している調査の内容を改めて分類、整理をしているところでございます。
これらを踏まえまして、各部が調査を発出する際の新たな留意点などを、今年度中に教育庁調査ルールとして取りまとめることとしております。
○とや委員 都教委として学校に幾つかの調査を依頼してきたといっていますけれども、これまで全体を把握できていなかったわけですけれども、今年度集約をされたら、約三百ぐらいにも上がったというお話も聞いております。
学校にしてみれば、毎日一つ以上の調査をしている計算になります。今年度削減できたのは、たった二つしかないとも聞いております。率直にいって、もっとスピードアップをしていただきたいなと思っています。
先生たちは、無駄な書類、会議の多さ、合間に授業をしている二十年間、悪くなるばかりだといっていらっしゃいます。何よりも、半数以上は学校基本調査のような法令に基づくものではなくて、都教委独自の政策的な目的による調査と聞いています。思い切って削減をして、学校の負担軽減を図ることを強く求めておきます。
学力向上などの政策や取り組みが、学校の過大な負担を招いていることも重大です。
教員の長時間労働の大きな原因は、学校が週五日制になった、学習指導要領改訂により一日の授業時間がふえているのに、教員をふやしてこなかったことにあります。
これは国の責任も非常に大きいと思いますけれども、加えて東京では、多くの学校が学習指導要領が定めた時間数、標準時数といいますが、かなり多く授業時間を設定しています。パネルをごらんください。ピンクのグラフが東京都、青いのが全国平均であります。比較が可能な資料で作成しましたけれども、これは、小学校において学習指導要領で定められた年間の総授業数をどのくらいの自治体が実施しているか、全国平均と東京都を比較したグラフです。
全国では平均二七・九%、約三割が標準時間どおりに授業時数を設定していますが、東京は、小学校一年生でたった一割にしかなっておりません。今年度も、学習指導要領より六十時間も多く授業時間を設定している学校が、小学校では六割にも上っております。
一方、文科省は通知で、標準時数を大きく上回った授業時数を見直しの対象としています。中教審答申がことし一月に出ましたけれども、ここでも、指導体制を整えないまま標準時数を大きく上回った授業時数を実施することは、教師の負担増加に直結するものであることから、このような教育課程の編成、実施は行うべきではないとしております。
多過ぎる授業時間の設定は見直すべきではないでしょうか。見解を伺います。
○中井教育長 お答えする前に、先ほど委員のお話の中で、調査の縮減について二件しか行えていないというお話がございましたが、ここに用意してございますが、ご紹介するのは時間がかかりますので、二件とかそういう次元の数字ではございません。念のため申し上げておきます。
標準時数の問題でございますが、各学校では、校長の権限と責任のもとに、例えば台風とか大雪などのそういった警報発令などが出たときとか、それとか、インフルエンザ等の感染症、そういったもので年間の中で休校をとるということが毎年起こるものでございますので、そういったものを見据えて授業時間を適切に設定しているというところが、まず一点ございます。そういったことについては、当然、不測の事態に備えるという意味で必要があるというふうに認識しているところでございます。
また一方で、都教育委員会や区市町村教育委員会におきましては、所管の小中学校及び中等教育学校等が編成した次年度の教育課程を受理する際に、必要に応じて授業時数等について指導、助言を行っているところでございます。
○とや委員 感染症による休校だとか、いろいろあるから、時間が足りなくならないように多目に設定しているといっておりますが、理由はそれだけじゃありません。
東京では多くの区市町村で、学力向上策として一年生から毎日五時間授業です。二学期制を導入して、始業式、終業式の日数を減らしたり、夏休みを短縮したり、土曜授業、また運動会を秋から春に回して簡素化するなどのことで授業時間がふやされてきました。
自治体によっては一割増、大体百時間ですよね。中学校では、授業時間の確保のために五教科の中間テストを一日で終わらせたり、期末テストの日も午後に授業をするなどのことが行われております。子供も大変だし、先生は採点の時間もとれません。
都として、なぜ、こうしたことが起きるのか、どうしたら改善できるのか、根本的なところに踏み込んで考えていただきたいと思っております。
しかも、学力向上のために、授業だけでなく、さまざまな取り組みが学校生活の中でぎゅうぎゅう詰めで行われております。
例えば、ある小学校では、子供たちは八時二十分までに登校したら、朝礼のない日は、まず、十五分間のパワーアップタイムというのがあって、そこで読書などをして、十二時二十分に四時間目が終わり、給食を食べて、昼休みはたったの十五分、その後清掃をして、次にまた十五分間のパワーアップタイム、漢字や計算ドリルをするそうです。五時間目が始まるのは十四時近くで、帰れるのは十五時四十分、土曜日も月一回は授業があります。子供も先生もへとへとです。
しかも、私がお聞きしたこの時間割、週二回は、放課後、十五時四十分から三十分程度の補習授業となっています。これも担任の先生が指導をします。小学校の先生の場合、給食も昼休みも子供たちへの指導がありますから、労働法上の昼休み休憩は、本当だったら十五時四十五分からの四十五分間ですけれども、その時間割は休憩すらとらせないんですよ。まさに違法状態で先生を働かせるものになっています。
子供たちに学力をつけさせるためだとしても、こんな違法状態の時間割を組むのは問題ではないでしょうか。
○中井教育長 授業時数というのは、先ほども申し上げたとおり、各学校がそれぞれの学校の状況、子供の状況、保護者の意向等々も踏まえまして設定しているものでございます。
そういう中で、教員の多忙化ということが、私どもとしても大きな課題であるという認識は持っているということは先ほども申し上げたとおりでございまして、業務の創意工夫、そしてまた、教員の意識改革、そして、非常勤職員の配置、スクールサポートの配置、外部人材の登用、そういったもろもろのことを重層的に実施しながら、勤務時間の改善に努めていきたいと、そのように考えているところでございます。
○とや委員 いや、違法状態で働かせること自体が問題ではないかと、私、聞いたんですね。教育長、そこをちゃんともう一回お答えください。
○中井教育長 個々の状況ということについて、先ほどお話があったことについて、私どもが直接把握しているわけではないので、その件についてここでコメントするというわけにはまいりませんが、先ほどから申し上げておりますとおり、今の状況から、勤務時間の縮減をしていこうという取り組みを既に行っておりますし、今後とも、その改善に努めていくということでございます。
○とや委員 わからないんだったら、ちゃんと調べていただきたいというふうに思いますね。
何でこういうふうになっているかといいますと、やっぱり競争教育なんですよ。東京都は独自の学力テスト、体力テストを行っています。学力テストをすれば、それだけで授業が一日とられてしまいます。
特に東京都の学力テストは七月に実施され、採点は各学校で行うことになっています。先生方は夏休みに一生懸命、時間をかけて丸つけします。中学校は、夏休みに総出だというふうに聞いております。都教委に提出するための集計のエクセル入力も学校で行う、子供に返す個別の結果表もエクセルで先生が作成をいたします。大変な労力であります。
こうしたことをやめるだけでも、教員の負担をかなり減らすことができると思いますが、いかがですか。
○中井教育長 ただいま、学力テスト、そして統一体力テストの件にも若干触れられておりましたが、都独自の学力調査、そして東京都統一の体力テストは、それぞれ都全体の児童生徒の学力や体力、運動能力の実態を把握し、指導の工夫、改善を図るための取り組みとして推進をしているものでございます。
各学校におきましては、自校採点により児童生徒の学力の実態を即時に把握できるというメリットがございます。また、結果を児童生徒に返却するわけでございますが、それによって、みずからの課題をそれぞれの子供が把握できるというようなことで、大きなメリットがあると、そのように考えているところでございます。
○とや委員 役に立っているんだということですけれども、現在、小中学校では、国と東京都、それから区市町村独自と、三つの悉皆の学力テストを行っております。そうした自治体が少なくありません。同じようなテストを三つもやる必要はないのではないかと思います。これはちょっと答弁は求めません。
学習状況の分析なら、抽出の調査で十分だと私は思います。各学校の子供たちの状況は、都のテストをしなくても、授業や定期テストで十分先生たちは日々把握をしているわけであります。
学力向上のかけ声で、都が独自の学力テストを始めた二〇〇二年ごろから、多くの都道府県も独自の学力テストを実施しましたが、継続的に実施することは減少して、今年度は新たに六県が中止をしております。東京都も中止することを強く要望しておきます。
教員の長時間労働を解消して、子供たちにきめ細かい教育をしようと思ったら、正規雇用の教員をふやすしかありません。
私どもは、この間、代表質問や委員会質疑で、一クラスの児童数が三十一人以上より三十人以下の方が、教員の労働時間が短いという文科省のデータも示して、その質問をしてきました。
ところが教育長は、一クラス三十一人以上と三十六人以上では労働時間に差がないといっている。そうしたことをもって、担任の児童数が一定数を超えたところでは、学内勤務時間に大きな差はないという、かみ合わない答弁をされております。
ここでちょっとお聞きしておきたいんですけれども、子供が少なければ教員の労働時間が短くなることは明らかですよね。確認させてください。
○中井教育長 子供の数と教員の勤務時間の関係につきましては、具体的な、統計的なデータについて、私どもは、今、把握をしているところはございません。
○とや委員 いや、教育長、代表質問でこれ答えていただいているんですよ。きちんと答えてください。
文科省のデータによる質問に対して、教育長は、一人の教員が持つ子供の数が一定数を超えたら余り変わらないじゃないかっていっているじゃないですか。だけど、少なくなれば少なくなるほど、教師の負担は減る、労働時間が減るという文科省のデータがあると。ご存じないですか。もう一度お答えください。
○中井教育長 教員の勤務時間がどの程度になるかというのは、さまざまな要素が絡み合って出てくるものでございますので、ちょっと正確ではないかもしれませんが、文科省の方で出しているものも、要は、さまざまな要因があるということで、子供の数だけでその因果関係が論じられるものではないということでいっているのではないかと、そのように認識をしております。
○とや委員 そんな、いっているのではないかなんていう、予想でいわないでください。きちんと文科省のデータがあるんだから。
私たちは、やはり子供の人数を減らして、教育環境をよくする、教員の定数をふやす、それが根本的な解決になると思っております。
全国では、結構、少人数学級が広がっております。文科省のデータによると、少人数学級を実施している都道府県、小学校三年生以上では三十四府県、中学校二年生以上では二十五府県にも上っています。
私は、この間、沖縄に話を聞いてきました。小学校全学年で、ことし、全て三十五人学級を実現しました。現場の教師からは、子供たちに目が行き届く、指導がしやすくなった、授業の準備にゆとりが持てる、給食指導や保護者への連絡もしやすくなって、子供の生活習慣の改善にもつながっていると、そういう関係者、自治体の声を聞いてきました。
そして、何よりも、少人数学級の実施は、知事の決断で一気に全学年進んだということであります。
少人数学級は予算もかかります。知事の決断なしには進みません。
知事は、初日の質問で、教育は未来への投資とおっしゃいました。だとするならば、知事が、長時間労働の解消と子供たちの教育の充実のために、教員をふやすことを柱に据えて少人数学級を実現していただきたいと思います。知事、いかがでしょうか。
○中井教育長 少人数学級を拡大すべきではないかというお話でございますが、学級編制のあり方につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から国の責任が大きいと考えており、引き続き、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
なお、都教育委員会は習熟度別指導、少人数指導等が可能となる教員加配や、スクールカウンセラー等、専門人材の配置などを行っております。
さらに、小一問題及び中一ギャップの予防、解決のため、小学校第二学年及び中学校第一学年において、学級規模の縮小とチームティーチングの活用、少人数指導を各学校の実情に応じて選択できる柔軟な制度を導入しているところでございます。
○とや委員 小池都知事にお聞きします。知事は、先ほどのご答弁で、教員の長時間労働が解決できて、教育の質向上ができるよう、教育委員会と一体で取り組むとお答えになりました。根本的な解決が必要だとは思いませんか。知事、お答えください。
○小池知事 先ほど来、教育長がお答えしているとおりでございます。教育の質、そして教員の心身の健康などなど、総合的に勘案して判断すべきものと考えております。
○とや委員 総合的に勘案すると。やっぱり、全国を見ても、私、思うんですけれども、東京は子供たちも多いですから、予算もかかります。知事の政治判断です。その政治姿勢が問われるわけですよ。東京都全体の予算をどう使うのか、道路に使うのか、再開発に使うのか、それとも将来にわたって本当に財産となるような主権者を育てる、子供たちを育てるのか、それがかかっているというふうに思います。ぜひ、ご決断をお願いしたいと思っております。
先ほど、教員定数の話、この間やってきたんですけれども、学校で忙しいのは一般教員だけではございません。一番忙しいのは副校長先生です。さらに多忙な実態があるということは、知事も教育長もご存じだと思っております。これは私も要望をさせていただきますけれども、現在、東京都は、国の標準法に基づく定数と比較した場合、来年度の都の定数は二十八人も下回ります。そうした意味で、いろいろやったとしても、副校長先生、また養護教諭の負担も非常に大きいと聞いております。
これは要望にとどめますけれども、やはり、こうした副校長先生についても、きちんと定数をふやしていただきたいと要望して終わります。(拍手)