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質問・条例提案

予算特別委員会 和泉なおみ都議(葛飾区選出)の代表総括質疑

3月12日の予算特別委員会で、和泉なおみ議員(葛飾区選出)が代表総括質疑を行いました。

★質問全文(都議会速記録速報版より)

  1. 豊洲市場の黒い粉塵について
  2. 市場移転問題について
  3. 国民健康保険について
  4. 都営住宅について

○和泉委員 私からは、初めに豊洲市場の黒い粉じんの問題について伺います。
 我が党は、昨年の第四回定例都議会で豊洲市場の黒い粉じんの問題を取り上げ、働く人たちの健康影響を調査し、抜本的な防止対策をとるよう求めました。
 その後、都として粉じんの成分や働く人への健康影響などを調査したのでしょうか、伺います。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場における、今お話のございました粉じんに係る空気環境測定でございます。建築物衛生法等に基づきまして、昨年の十月と本年一月に実施しております。
 同法に規定されます建築物環境衛生管理基準は、高い水準の快適な環境の実現を目的といたしました基準とされておりまして、都が実施した調査結果では、浮遊粉じんの測定値は、その法令の定める基準値〇・一五ミリグラム・パー・立方メートルですけれども、この数値を、この基準を大きく下回っております。
 こうした測定結果から、豊洲市場の衛生環境は良好に保たれているものと認識しておりまして、引き続き、定期的に空気環境測定を行うなど適切に対応してまいります。

○和泉委員 それでは、どんなものが検出されたのか、それをお答えいただけますでしょうか。

○村松中央卸売市場長 繰り返しになりますけれども、測定日は、昨年の十月二十六日と本年の一月八日の二日でございます。
 全ての測定ポイントにおきまして、建築物衛生法等の基準値以下となっております。
 十月二十六日の測定値は、〇・〇〇二ミリグラム・パー・立方メートルから〇・〇四〇ミリグラム・パー・立方メートル。一月八日の測定値につきましては、〇・〇〇一ミリグラム・パー・立方メートルから〇・〇一二ミリグラム・パー・立方メートルでございまして、大気中の浮遊物の調査を行っております。

○和泉委員 私は、その浮遊物からどんな物質が検出をされたのですかということをお聞きしたんです。
 この黒い粉じんですけど、--聞いていませんよ、黒い粉じんですけれども、今も市場の中に多く残っているんですよ。これは九日の日、水産仲卸売り場棟で採取したものです。このような粉じんが滞留している中で仕事をされている、そういう方たちの健康が本当に何よりも心配です。
 私たちは、十二月に仲卸棟の一カ所で採取された粉じんについて、東京農工大環境資源科学科の渡邉教授に調査を依頼しました。
 皆さんにお配りしてあります資料の三ページをごらんいただきたいと思います。
 この三ページは、自然界にある金属の量、それと豊洲市場の粉じんに含まれる金属の量を種類ごとに表にしたものです。赤い数字は、自然界の金属の量の何倍かということを示しています。銅が六・九倍、亜鉛が九十六倍、カドミウムは十二倍、すずが十三倍、そしてアンチモンは何と百七十倍、ビスマスが七倍、こういうふうになっているんです。
 これを棒グラフにしたものが、このパネルです。配布資料では五ページになります。
 豊洲市場の粉じんに含まれる重金属の汚染の度合いを種類ごとに示しています。黄色は明らかな汚染、赤は強い汚染、そして黒は非常に強い汚染を示しています。
 ごらんいただいたらわかるように、銅、亜鉛、そしてカドミウム、すず、アンチモン、ビスマス、これが黒い色で示され、非常に強い汚染だということがわかります。
 分析した学生さんが、余りに高い数値なので実験ミスを疑ったほどだということです。しかし、同じように調査を依頼した農民連食品分析センターの調査でも同様の結果が出ていて、この数値が実験ミスなどではなく現実であるということが裏づけられました。
 知事、豊洲市場の粉じんの中に重金属がこれほど高い濃度で含まれているということをどう受けとめられますか。

○村松中央卸売市場長 先ほど来申し上げておりますけれども、我々は法令に基づきます、具体的にいいますと建築物衛生法に基づいて適切に調査をしております。
 その結果、基準値から、基準値を超えているデータはございません。大幅にその基準値を下回っております。

○和泉委員 先ほど来そういうふうにおっしゃいますけど、どんな試薬を使ってどんな物質が検出されたのか、それは一切お答えにならないじゃないですか。
 知事、いかがですか。このような重金属が高い濃度で検出をされている。知事にお聞きしています。この数値をどういうふうに受けとめられますでしょうか。

○村松中央卸売市場長 先ほど来から、先生、金属の話とかいろいろお話をされておりますけれども、我々は、何度も申し上げていますように、法令にのっとった、大気中の浮遊物質の調査を法令にのっとってやっております。
 また、お話の粉じんにつきましては、ターレ等のタイヤがコンクリートの床面とすれることで発生しておると考えておりまして、都では、その施設の利用状況に即しまして、床やスロープの洗浄方法を改善しております。
 この清掃につきましても、業界と連携して、ずっと充実しながら対応しているところでございます。

○和泉委員 では、逆に伺いますが、その法令にのっとった調査で重金属を示す、そういうような検査はあるんですか。

○村松中央卸売市場長 あくまで大気中の浮遊粉じんの調査でございますので、その物質等のデータはございません。ただ、これは、先ほど来申し上げますように、法令にのっとった調査でございます。
 なお、清掃については、清掃回数を増加するなど適切に対応しているところでございます。

○和泉委員 結局、重金属が含まれているかどうかの検査はやっていないということじゃないですか。
 そして、掃除しているといいますけれども、現に九日の時点で、これ、たった一カ所ですよ、積もっているんですよ。
 こういう状態を調査もしない。働く人の健康に対して、一体どういう責任を感じているのかといわざるを得ないですよ。
 これらの物質は、主に道路粉じんとしてもよく見られる、そういう物質だそうですけれども、道路粉じんと比較しても豊洲市場の粉じんが突出して高い。これが配布資料の六ページに示してあります。赤い数字で示している亜鉛、カドミウム、すず、アンチモン、ビスマスです。
 道路粉じんというのは、戸外の開放された空間ですけれども、豊洲市場のような屋根のある閉鎖的な空間で、道路粉じんよりも高い濃度で重金属が滞留しているんですよ。
 知事、私はこれは深刻な事態だというふうに思います。ぜひとも知事の所見をお聞かせいただきたい。お願いいたします。

○村松中央卸売市場長 お話の粉じんにつきましては、ターレ等のタイヤがコンクリートの床面とすれることで発生しておると考えられております。
 そのために、我々、これは対応の方が重要でございますので、対応として、清掃回数の増加など、その対応を充実させているところでございます。
 例えば、水産仲卸売り場の通路につきまして、毎日、散水清掃を実施し、適切に衛生管理を行っております。
 また、昨年十一月には、業界の実施する七街区三階の卸売り場の清掃について、週三回の定期清掃とするよう調整を進めるとともに、ターレスロープにおいて、週一回の高圧洗浄機等による清掃も開始いたしました。
 また、今月からは、天井等の日常清掃が困難な場所につきましても、業務や商品等への影響がないように配慮しながら、清掃に着手する予定でございます。
 こうした取り組みに加えまして、清掃用の散水栓の改良工事や、ターレスロープにおける清掃効率を向上させるための電源増設工事なども順次進めているところでございまして、引き続き、豊洲市場の良好な衛生環境の確保に努めてまいります。

○和泉委員 道路粉じん比較で八・一倍と、こういう高い数値を示すアンチモンは毒性が極めて強いというふうにいわれています。慢性毒性では、肺炎、気管支炎、胃腸障害や生殖障害などを引き起こすとなっているんです。
 カドミウムは、イタイイタイ病の原因として知られていますけれども、腎臓障害の原因となります。
 毒性の高い物質が高い濃度で出ているんです。これは重大だと思います。
 この検査を行っていただいた渡邉教授は、常時このような物質がたまっていることは、一定の期間で慢性疾患を起こす可能性があると指摘しているんです。
 知事には、豊洲市場で働く方たちの健康を守る責任があります。その責任を果たすためにも、直ちに調査し、実態を把握していただきたい。知事、いかがですか。

○小池知事 先ほど来、市場長からお答えをしているとおりでございますが、豊洲市場の建物内における粉じんの発生状況については、市場当局から報告を受けております。
 適切に対応するように指示をしているところでございます。

○和泉委員 きちんと調査を行って、そうしなければ、実態を把握することなしに適切な対応なんかとれるわけがないじゃないですか。
 何とか商売を軌道に乗せようと、皆さん、必死になって頑張っているんですよ。その健康を守るために、少なくとも調査を直ちに行い、対策をとるべきじゃありませんか。知事、いかがですか。

○村松中央卸売市場長 先ほど来申し上げてございますが、対応といたしまして、私ども、清掃作業の充実だとか、清掃に必要な施設整備だとか、そういった対応に必要な取り組みを十分にやってきてございます。
 こうしたことを今後も業界と連携して対応することで、この粉じんの発生を抑制するという方向で対応してまいりたいと考えております。

○和泉委員 そんなの働いている人に対する健康に責任を果たしているといわないんですよ。きちんと調査をして、必要な手だてをとって、そうして安心して働いてくださいというのが、本来の東京都の責任ではないんですか。本当に厳しくその点については指摘しておきたいというふうに思います。
 到底今のような答弁は納得するわけにいきません。私は、まことに無責任な対応だというふうに思います。
   〔村松中央卸売市場長発言を求む〕
   〔発言する者あり〕

○村松中央卸売市場長 ですので、先ほど来申し上げております、法に基づく調査も複数回実施しております。そのために必要な清掃作業も充実させております。
 きちんとした調査と対応の充実に努めてまいります。
   〔発言する者あり〕

○和泉委員 もう一度聞きますよ、知事。豊洲市場への移転を決断したのはあなたです。だったら豊洲市場で働く人たちの健康を守る責任も知事にあるんではないですか。これほど高い濃度の重金属が検出をされているのに、ご自分では一切それを正面から受けとめようとしない。市場の検査は重金属の検査ではないんですよ。重金属の検査が必要だと私は申し上げている。
 知事のお言葉で、もう一度お答えください。

○小池知事 先ほど来お答えいたしておりますが、豊洲市場の建物内における粉じんの発生状況、市場当局から報告を受け、適切に対応するよう指示をいたしております。また、適切な掃除の実施といった都としての対応策、それから、空気環境測定の結果についても報告を受けております。
 引き続き、施設内で良好な衛生環境が確保できますよう、また、今お話ございましたように、業者の方々は一生懸命、豊洲で、今、現場になれようとご努力をされているという、そのご発言をいただきました。ともに業界と連携をしながら、適切な衛生環境の確保が務められるように、適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上です。

○和泉委員 何が適切な対応かは調査しなければわからないということを先ほどから申し上げています。そこに重金属は含まれていないんです。
 そして、私たちの検査では、データの開示も許可をいただいて、これは東京農工大の教授が責任を持って調査をしていただいた数字です。その数値に、その検査で重金属が出ているんです。高い濃度だと、学生がびっくりするほどだということも、私、先ほど申し上げました。
 働いている方たちの健康を何よりも大事にしようと思うんだったら、何が適切な対応なのか、何をしなければいけないのか、しっかりと市場の開設者として責任ある対応を強く求めておきたいと思います。

○和泉委員 この間の質疑を通じて、市場移転に関する基本方針、築地のまちづくりをめぐって、知事の公約違反ははっきりしたにもかかわらず、知事は、いまだに方針転換ではないという態度をとり続けています。
 多くの都民、新聞、テレビ、さまざまなメディアでも、知事のいっていることは変わったという見方が圧倒的です。誰の目から見ても方向転換は明らかなのに、知事だけが変わっていないといい張っている、まったく驚くべき態度だといわざるを得ません。
 再度、この問題で改めて知事に伺ってまいります。
 経済・港湾委員会で知事への一問一答の質疑が行われた三月四日、傍聴に見えた築地女将さん会の方々から陳情書を受け取りました。書き出しは、私たちは東京都知事小池百合子さんにだまされたと思っていますという厳しいものです。
 知事、この厳しい批判をどのように受けとめますか。

○小池知事 女将さん会の皆様方からの要望書と申しましょうか、お手紙については拝読をさせていただきました。これからも仲卸業者のご意見については、豊洲市場の運営状況を見きわめながら、引き続き丁寧に対応して、また、業界の、業者の方々の声をしっかりと聞いてまいりたいと、このように考えております。
 大きな方向性は何ら変えておりません。

○和泉委員 では、一時的に豊洲市場に移るかもしれないが、築地市場に戻してあげると公的に発言されたにもかかわらず、これでは公約違反としかいえませんというふうにも指摘しています。これはどう受けとめますか。

○小池知事 豊洲市場におきましては、十月十一日に開場をし、そして、円滑な取引が連日行われているところでございます。
 都民に生鮮食料品を安定的に供給する卸売市場の役割が果たされており、また、そこで働く方々のご努力もあり、豊洲市場の運営はおおむね順調に行われているものでございます。
 これからも市場運営を的確に行うとともに、豊洲市場を日本の中核市場として育んでいくということについては変わっておりません。
 以上でございます。

○和泉委員 陳情書は、築地移転後の計画に関する勉強会が開催されたときには、市場問題プロジェクトチームの小島座長が、一旦は築地をオリンピック駐車場にするため豊洲に移転し、五年後には必ず築地に戻り、新たな築地市場が開設されると明言されたというふうにいっています。
 きょう発売の週刊SPAという週刊誌は、女将さん会の皆さんは、全員が築地に戻るつもりでいたと。知事の発言を信じて、女将さん会の皆さんは戻れるというふうに信じていたんですよ。これが、先ほどいった、一旦は築地をオリンピック駐車場にする、けれども、五年後には必ず築地に戻り、新しい築地市場が開設される、これが基本方針の本当の姿なんじゃありませんか。
   〔小池知事「どういうご質問と受けとめていいんでしょうか」と呼ぶ〕

○伊藤(ゆ)副委員長 和泉委員、もう一度質問されますか。

○和泉委員 築地市場を再開する、そして、築地市場に戻す、それが基本方針発表当時の本当の姿ではありませんかというふうに聞いています。

○小池知事 そもそも、私は、基本方針におきまして、築地が培ってきた大切なものを発展させていくという意味での、築地を守るということを申し上げたところでございます。約二年半前に移転の延期を決断し、一連の検証を進め、そして、それ以前の都庁の中での--いいですか。
 築地ブランドをこれまで培ってこられた方々が育んでこられた東京の食文化を担う多くの方々の努力で、長い歴史の中で育まれた築地ブランド、そして、都民の貴重な財産、これをしっかり守っていくという意味でも、築地を守ると申し上げたところでございます。
 そのため、一昨年の六月の基本方針におきましては、豊洲市場への移転のことについて申し上げ、また、当時はまだ安全対策が行われていない中でございましたが、その後、豊洲市場への移転が実現をして、仲卸業者を初め事業者の皆様方が日々業務に邁進しておられる中で、まずは豊洲の事業を軌道に乗せていくことができるように後押しをするなど、引き続き事業者に寄り添っているところでございます。
 築地の食文化を生かしていくという中で、築地での事業を希望する人がいる場合にはどのような支援ができるかということを考えてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 以上です。

○和泉委員 食のテーマパークからMICE、国際会議場ですね、MICEへの方向転換は都議選での公約違反だといわざるを得ない、このことは私たちの切なる希望であった五年後の築地市場での復帰継続に希望を抱き、都知事を信じた多くの方々への約束をほごにしたことになりますと訴えているんですよ。知事、幾ら大きな方向性は変わらないといっても、その説明を直接聞いてきた方たちが公約違反だ、だまされた、そういうふうに感じていらっしゃるんですよ。
 知事、戻れることを信じて移転した業者の皆さん、女将さん会の皆さん、そして、築地市場を守ることを託した多くの都民に謝罪するべきじゃありませんか。

○小池知事 これまでも市場業者の皆様のご意見、ご要望、当局から報告を受けているほか、さまざまな機会を設けまして、業界の方々からのお声は直接伺っております。
 改めて申し上げますと、十月十一日に豊洲市場への移転が行われ開場をし、そして、今、半年に満たないという状況の中で、事業者の皆様方へは、まずは豊洲での事業を軌道に乗せていただくように後押しをしているところでございます。
 開設者として業界団体とも連携しながら、円滑な市場運営に全力を挙げているところでございまして、そして、築地再開発の中におきましては、豊洲市場が完成し移転をした今、都として中央卸売市場を整備することはないと、このことを申し上げているところでございます。
 また、まちづくり方針の素案において、水産仲卸業者の団体に対しても説明も行ったところでございます。
 それから、水産仲卸の団体の方からは、中央卸売市場が豊洲市場である以上、仲卸として事業を営むのは豊洲だと、築地に戻ることについて組織だって関与することは考えていないとの旨の話があったと、このように聞いているところでございます。
 こうした状況を踏まえつつ、仲卸業者のご意見については、豊洲市場の運営状況を見きわめながら、引き続き丁寧に対応していきたい、このことを繰り返し申し上げているところでございます。

○和泉委員 答弁は端的にお願いしますよ、限られた時間で質疑しているわけですから。
 謝罪する、謝罪しない、当事者からだまされたと、公約違反だと、そういわれているのにもかかわらず謝罪しない。知事は大きな方向性は変わっていないというふうにいいますけれども、市場で働く皆さんにとって、市場機能を残す、築地に戻れる、これこそが一番大きな方向性じゃないですか。一番大きな基本の基本、市場の方たちにとってはそうではないんですか。
 知事が基本方針を発表した翌日の主要な新聞は、各社とも築地に市場機能を残し市場両立、そういう受けとめを一面トップで報道しています。例えば産経新聞は、小池氏、市場両立目指すと書いています。読売新聞は、豊洲移転、築地は再整備、五年後市場両立と書いています。これは誤報だったということでしょうか。

○小池知事 一昨年六月に基本方針をお示しさせていただきました。その際、築地と豊洲の両方を生かすという大きな方向性でございます。そして、日本の新たな中核市場としての可能性を持つ豊洲と、都心に近くてさまざまなポテンシャルを有する築地、この両方を生かすということでございます。
 東京全体の価値を高めていくものと、このような基本方針の方向性は今も何ら変わってはおりません。
 そして、基本方針の中で、築地の歴史やポテンシャルなどを踏まえまして、再開発の一つの考えとして、例えば食のテーマパークなどのさまざまな内容をお示ししたところでございます。貴重な都民の財産である築地の市場跡地をしっかりと生かしていくべきだということも申し述べたところでございます。こうした個別の内容につきましては、都としてさまざまな議論を重ねて、その具体化を進めてきたものでございます。
 そして、豊洲市場が今、既に開場、営業をしている中で、都が卸売市場そのものを改めて築地に設けることはないと、築地が培ってきた食なども踏まえながら、引き続き築地に思いを寄せる方々に寄り添いながら検討を進めていくということを申し上げているところでございます。
 当時におきましては、安全性の問題、そしてまた豊洲についての追加対策工事などなど、さまざまな議論があった中での基本方針でございます。

○和泉委員 聞かれたことにちゃんと答えていただきたいと思うんですけど、まさに、基本方針の肝である市場機能を残す、戻れるように支援していく、そうはいわない。決して今の時点でそれは口にしない。そして、市場はもうつくらない、築地にはつくらないとはっきりおっしゃった。それが方向転換だっていうんですよ。それを市場の方たちも厳しく批判しているんですよ。
 知事は、基本方針、六月二十日の基本方針です、この一五ページで何ていっているかといいますと、築地再開発のために豊洲に移転する理由として、現地再整備案、営業しながら改修は困難だと、建てかえの有効な地として豊洲市場を生かすというふうに書いているんです。
 さらに、二一ページでは、豊洲への移転、築地への復帰というふうに書いているんですよ。復帰に伴う業者、特に仲卸業者への経営支援について検討すると明確にこう書いているんです。
 築地への復帰、そのための仲卸への支援と明確な方針を出しているんです。これ、パワーポイントの資料です。間違いないはずですよ。大きな基本方向として変わっていないといいますが、はっきり書いているじゃないですか。
 豊洲を種地にして築地を再整備し、五年後に築地市場に戻ってくる、市場の方も、新聞も、そういうふうにこの基本方針を見て、あるいは知事の冒頭発言を聞いて、そう受けとめたのではないんですか。

○小池知事 何度もお答えいたしますが、基本方針でお示しをいたしましたのは、豊洲と築地の両方を生かすということ、その趣旨を大きな方向性としてお示しをしたものでございます。これまで歩んできた築地の歴史やポテンシャルを踏まえた再開発の一つの考えでございます。
 また、これまでも、一昨年七月に行いました市場移転に関する関係局長会議に築地において民間主導で再開発を進めていくとして、その後、有識者の意見も聞きながら検討を重ねてきたものでございます。
 改めて申し上げますが、今、築地から豊洲への移転が、大移動が、業界の関係者の協力も得て無事に終わり、そしてまた、半年まだたっておりませんけれども、豊洲における営業に日々皆さんご努力をされているところでございます。よって、豊洲市場につきましては、中央卸売市場として、事業者の皆様とともに、日々の運営をおおむね円滑に行っている最中でございます。
 そこで、都が築地に再び卸売市場を整備するということはないということをお伝えしているところでございます。
 豊洲市場が安全に開場する、その前と後では事情も違ってくるということでもございまして、中でも、食文化などの歴史的、文化的なストックは十分に生かすことをお示ししているのが築地を守るという言葉でもございます。

○和泉委員 豊洲の開場前と開場後では事情が変わったんだと、だから、基本方針のときには市場機能を残す、築地に戻ってこれるようなお手伝いをすると、そういったけれども、その事情が変わったために、もう今は違うんだと、築地に市場はつくらないと、こういうふうにおっしゃるわけですね。
 市場で働く方たちにとっては、市場機能を残す、築地に戻れる、先ほどもいいましたけど、これこそが、一番大きな方向性だったはずなんですよ。だからこそ、女将さん会の方たちはみんなが築地に戻る、そのつもりでいたというふうにいっているわけです。本当に、そういう方たちのことをどう思っているのかといわざるを得ませんよ。
 知事は、一昨年六月二十日の記者会見の冒頭発言で、築地は市場がブランドになった希有な存在だと、その核が仲卸の皆さんで、その目きき力がブランドの宝の部分というふうにいっています。築地ブランドは市場があってこそだということを、基本方針の発表のときには、知事は十分に認識していたはずです。
 そして、築地のあとは築地、豊洲への移転、築地への復帰、それぞれの選択だが、仲卸業者への経営支援については検討してまいりたいと、このように話しているんです。
 また、記者の質問に答えて、築地は市場としての機能が確保できるための方策を考えていくと明確におっしゃっています。業者の皆さんはこれを聞いて戻れるというふうに信じたんですよ。
 実は、知事が基本方針を発表して間もなく、小島顧問が建物をある程度残し、五年後を目途に築地市場を再開発するために豊洲を種地にする、五輪後、都の条例による独自の市場をつくるという話をしていたという情報が入ってきています。
 知事の基本方針も、築地市場を五年後を目途に再開発し、豊洲市場は総合物流拠点にする、築地の再開発、豊洲市場利用の具体案を、事業者及び都民とのオープンな場を設け、広く情報公開しながら検討するとなっているんです。
 築地市場として再開発し、豊洲市場は使い道を考えていく、小島顧問が語っていたとされる内容と符合します。
 知事、築地に市場機能を残す、やはり、これが基本方針の真実の姿だったのではありませんか、重ねて伺います。

○小池知事 市場というのは、産地から生鮮食料品を集めて、競りなどの取引を通じて価格を形成、そして小売業者や買い出し人の需要に応じて商品を仕分けして、それを届けるなどなど、さまざまな機能があるということでございます。生鮮食料品の流通拠点として、こうした市場機能を有して、そして法に基づいて設置されるのが卸売市場。
 都といたしまして、豊洲市場を中央卸売市場として移転をした今、継続的に運営していく方針でございまして、都が改めて卸売市場を整備することはないということを申し上げております。
 そして、築地にとりましては、食文化は重要な要素でございます。例えば、場外市場との連携、そして豊洲市場からの新鮮な食材を提供する、それから鮮魚の小売りなどなど、民間ベースで食にまつわるさまざまなビジネスが生まれる可能性はございます。そして、民間の知恵を活用した再開発の中で、こうした築地のポテンシャルをどのように生かしていくのか、これについて考えたいと存じます。
 改めて申し上げますが、豊洲市場への移転が実現した今、仲卸業者を初め、事業者の皆様が日々の業務に邁進しておられるわけでございます。そして、先ほども申し上げましたように、卸売業界の団体の皆様方は、市場は豊洲なんだから豊洲で頑張るんだということを申しておられるというふうに伺っております。
 築地の食文化を生かしていくという中で、これからも何が一番都民のためになるかを考えて、このような形になっているところでございます。
 以上でございます。

○和泉委員 明確に市場機能を残すというふうに基本方針でいったのにもかかわらず、今その同じ口で市場はつくらないという、そして、それが方向転換ではないという、本当に私は、これでは女将さん会の方たちがだまされたというのはいたし方ない、当然だというふうに思いますよ。
 二〇一六年に築地ワンダーランドという映画がつくられています。そこには、築地で働く仲卸、すし職人さんなどが、築地市場でどのように密接につながり合いながら食文化を守り育んできたか、とても丁寧に描かれています。
 仲卸が提供する情報と知識が魚の価値を決める、自分のお得意さんの店に適した好みのものを買い付けて提供する、お得意さんはその目ききにほれ込んで食材を買いに行く、どれ一つとっても欠くことのできない職人のわざの連関と信頼関係で築地は二代、三代と日本の食文化を担い、その歴史を培ってきたんです。その職人たちが大切に育ててきた目ききのわざと信頼、市場業者の皆さんは、その信頼を知事の築地を守るという言葉に託したんです。
 私は、この信頼を裏切った責任は余りにも重いということを強く指摘しておきます。
 三月八日の都政新報三面のニュースの視点は、都民欺く古い政治と見出しを打って、知事を厳しく批判しています。知事の方針転換に、公約とは何かと問いかけ、選挙に勝利すれば後はどうなろうとごまかすのみ、そんなことがまかり通れば、選挙とはいかに有権者を欺くかということになってしまう。
 私も全く同感です。築地市場をどうするのか、豊洲をどうするのか、判断しないまま都議選を戦うことは許されない、そういう状況のもとで、都議選告示の三日前に発表した基本方針は、実質、知事が都議選を戦う上での選挙公約です。公約というのは、政治家が政治生命をかけて守らなければいけない有権者への約束です。
 知事の政治家としての根本的な資質が厳しく問われているということを重ねて指摘し、公約を守るという立場に徹することを強く求めておきたいと思います。

○和泉委員 次に、国民健康保険について伺います。
 今年度から国民健康保険制度が変更されて、都道府県も保険者となりました。これによって、都は財政運営の責任主体となり、国保運営に中心的な役割を担う、このことが国民健康保険法に明記され、東京都国民健康保険運営方針にも示されているところです。
 ですから、三百万人が加入する東京の国保にとって、都の果たす役割は非常に大きいと思います。その立場から伺います。
 税や社会保険料の負担によって生活が成り立たなくなることは、本来あってはならないことです。そのため、負担は能力に応じたものでなくてはなりません。ところが、国民健康保険には、基本的に所得にかかわらず、被保険者一人一人に同じ額がかかる均等割という仕組みがあります。まさに人頭税のような仕組みです。軽減はありますが、例えばひとり暮らしの場合、所得が約八十万までしか対象になりません。
 所得がなくても保険料がかかります。この均等割保険料が低所得の世帯にとって重い負担になっているんです。
 しかも、この二十年間でどれほど均等割保険料が上がっているか。二十三区における均等割額の、平成十年度、二十年度、そして、三十年度、それぞれ保険料が幾らになっているか、お答えください。

○内藤福祉保健局長 二十三区におけます均等割保険料でございますが、平成十年度は二万六千百円、平成十五年度は二万九千四百円でございました。
 平成二十年度から、高齢者医療を社会全体で支えるため、後期高齢者医療制度が開始されたことに伴いまして、新たに後期高齢者支援金等賦課分が賦課されたこととなりまして、従来からの基礎賦課分と合計した均等割保険料は、平成二十年度は三万六千九百円、平成二十五年度は四万一千四百円でございました。
 平成三十年度から制度改革が始まったわけでございますが、特別区の基準保険料率を参考に、各区が独自に保険料率を設定することも可能とされまして、今年度の保険料は、ちなみに千代田区が四万八千四百円、中野区が四万九千五百円、残り二十一区が五万一千円となってございます。

○和泉委員 平成十年度が二万六千百円でした。そして、平成三十年度、千代田区、中野区を除いて、ほかの二十三区、二十一区になりますか、五万一千円ということです。ですから、二倍近くに上がっているんです。
 近隣の政令市の平成三十年度の均等割保険料と比較しても、さいたま市は三万六千九百円、横浜市は四万三千六百円、川崎市は四万五千六百六十四円、これに対して、二十三区は五万一千円ということですから、近隣の政令市と比較しても高いということがわかります。
 所得のない子供にかかる分も含めて、そもそもの均等割保険料がこんなに上がっているんです。これが国保の加入者を苦しめる結果になっています。
 なぜ国保には、所得がない人にまで均等割保険料が設定されているんでしょうか。

○内藤福祉保健局長 国民健康保険は、国民健康保険法に基づく全国統一の制度でございます。制度上の課題につきましては、制度設計者である国が責任を持って検討すべきものでございまして、均等割の仕組みについても、そうした中で定まっているものと考えております。
 ただ、都といたしましては、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、子供にかかる均等割保険料軽減措置を講じるよう国に求めておりまして、今後とも、国に必要な要望を行ってまいりたいと考えております。

○和泉委員 制度設計が国ということを聞いているんじゃないんですよ。なぜ国保には所得がない人にまで均等割保険料が設定されているんでしょうかというふうにお伺いをいたしました。

○内藤福祉保健局長 重ねてご答弁させていただきます。
 国民健康保険におきまして、被保険者数に応じた均等割保険料が賦課されることにつきましては、国は国保におきまして全ての被保険者がひとしく保険給付を受ける権利があり、被保険者全体の相互扶助で支えられているため、応分の保険料を負担していただく必要があると説明してございます。

○和泉委員 所得のない人に応分も何もないじゃありませんか。
 では聞きますけれども、国保、後期高齢者医療制度以外に、所得のない人に賦課される均等割と同じ性質の保険料を設定している公的医療保険というのはほかにありますか。

○内藤福祉保健局長 国民健康保険と後期高齢者医療制度の保険料につきましては、法令により経済的負担能力に応じた所得割に加えまして、世帯の被保険者数に応じた均等割を賦課することとされております。
 国民健康保険と後期高齢者医療制度以外の医療保険制度といたしましては、協会けんぽ等の被用者保険がございますが、その保険料は被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額に保険料率を乗じて算定することとされておりまして、被保険者や被扶養者の人数に応じた保険料は設定されてないものと認識してございます。

○和泉委員 ないんですよ。所得のない人にまで保険料を掛けるという公的医療保険制度というのはないんです。
 先ほど知事、均等割があることについての国の説明について、国保においては全ての被保険者がひとしく保険給付を受ける権利がありと述べられました。
 しかし、協会けんぽも健保組合も各種共済組合も保険給付を受ける権利は被保険者はもちろんのこと、保険料を払う必要のない被扶養者にもひとしく保障されています。
 けれども均等割はありません。国の説明は成り立っていないんです。さらにいえば、国保が相互扶助だというのも法律のどこにも書いていないことです。ましてや法律に唯一、社会保障と明記している国保が相互扶助で、ほかの保険は違うなどということはあり得ないことです。
 先ほど述べたとおり、都は国保運営の中心的な役割を担うわけですから、主体的に考えて対応することが必要だというふうに思います。
 この均等割はゼロ歳の赤ちゃんにもかかるんです。これを改善すべきだというのは、立場を超えた一致点に今やなっています。
 特に、子育て支援の観点からも、せめて所得のない子供の保険料の負担軽減をという声が広がっているんです。
 特別区長会は、東京都への平成三十一年度都の施策及び予算に関する要望の中で、国保運営の中心的な役割を担う都として、子供に係る均等割保険料の軽減や多子世帯に対する保険料軽減策、これを求めています。
 都は、これにどのように応えるんでしょうか。

○内藤福祉保健局長 先ほどもお答えした部分もございますが、国民健康保険は、国民健康保険法に基づく全国統一の制度でございます。
 その制度上の課題につきましては、制度設計者である国が責任を持って検討すべきものと考えております。
 都道府県、東京都におきまして、東京都が中心的な役割を担うと、そういうことから、まさに都は子育て世帯への経済的負担を軽減するための、国に対する均等割保険料軽減措置を講じるよう求めているものでございまして、こうした形で役割を果たしてまいりたいと考えています。

○和泉委員 国に対して要望しているということは、その必要性を認識しているということですよね。全国知事会と連携して、国に要望していくというふうにお答えになりました。
 その必要性を認識しているということでよろしいでしょうか、知事、いかがですか。

○内藤福祉保健局長 先ほど来からご答弁させていただいているんですが、まさに先ほどご答弁したように、この制度自体は国の全国的統一制度でございます。
 それに対して、その制度設計をどう考えるのか、これは国の責任でございます。
 都といたしましては、まさに中心的な役割を果たすという意味を持って、国に対して軽減措置等をとるよう求めているものでございまして、これについては今後とも行ってまいりたいと考えております。

○和泉委員 必要性のないものを国に要望するはずがないのでね、必要だと思うから要望しているんですよねということを私は知事にお伺いしました。
 福祉保健局長、先ほど先回りして手を挙げられましたけれども、知事、改めて伺います。いかがですか。

○小池知事 ただいま局長がお答えしたとおりでございます。

○和泉委員 もう本当にこのぐらいきちんと答えてもらいたいと思いますよ。
 必要でなければ要望しない、国の対応はもちろん私たちも必要だと思いますけれども、だからといって、都がやらなくていいということにもならないんじゃないでしょうか。区長会も、国と都の両方に子供の均等割の軽減を求めているんです。
 この間、都は、国保の制度設計は国の責任、今も繰り返し答弁していますけれども、昨年の予算特別委員会では、国民健康保険法第七十五条を使えば、都も区市町村に補助できると答弁しているじゃありませんか。
 この第七十五条による補助や公営国保の保険料の賦課、それから減免、これは法定受託事務ですか。それとも、自治事務ですか。

○内藤福祉保健局長 自治事務でございます。

○和泉委員 自治事務なんですから、自治体が法令の範囲で自主的に責任を持って処理できるんですよ。
 住民の命、暮らしを支えるのは自治体の基本的な役割です。住民の命、暮らしを支える、その立場で、実際に独自に子供の均等割の軽減に踏み出す自治体は都内でもふえてきています。
 自治体からも求められている、都民も高過ぎる保険料に苦しんでいる、都は国任せにせず、都としてできることをやるべきです。
 せめて、子供の均等割保険料は軽減するべきではありませんか。
 知事、いかがでしょうか。

○内藤福祉保健局長 委員から重ねての子供の均等割保険料についてでございますが、一部自治体で減免等を行っているやのご指摘をいただきました。
 この子供の均等割保険料については、法令では災害等の特別の理由や事情がある場合、区市町村の条例の定めるところによりまして、保険料、保険税を減免することができるとされております。
 子供の均等割の減免の必要性につきましても、各区市町村が条例に基づきまして、個々の世帯の状況を踏まえて必要と判断された場合、そうした対応をしているものと認識してございます。

○和泉委員 ですからね、特別の理由等がある、ここを援用して子供の均等割保険料の軽減に踏み出しているんですよ。区市町村は使えるあらゆる手だてを使って、住民の負担を減らそうと努力しているんです。
 七十五条を使えば、東京都もその立場に踏み出すことができる、それが必要ではありませんかというふうに私は伺っているんです。知事、いかがですか。

○内藤福祉保健局長 再三繰り返しのご答弁になりまして恐縮でございますが、この国民健康保険制度は、あくまでも全国統一の制度でございます。
 その中で、都として都道府県という位置づけの中で何を果たしていくか、必要な、もしも、先ほど出た均等割の軽減措置につきまして、それ自体が子育て世帯にとって経済的困窮している場合にとって、必要だと思っているからこそ国に対して措置の要望をしているわけでございまして、これが東京都の中心的役割だと思っております。

○和泉委員 ですからね、必要だと思っているんだったら、七十五条で直接、東京都が区市町村を補助して、保険料の引き下げに足を踏み出しなさいということをいっているわけですよ。
 暮らしを守る、都民がひとしく医療を受ける権利を守る、その立場を貫いて子供の均等割保険料の負担軽減など、都としてでき得る手だてをちゃんととるべきだと思います。
 地方自治体は住民の福祉の増進を図ることが基本なんですから、国保の重い負担を軽減するという点でも、その役割を都はしっかり果たしていただきたい。改めて求めておきます。
 私は、この間、国保料滞納者への対応について、繰り返し常任委員会でも、この予算特別委員会でも取り上げてきました。
 昨年の予算特別委員会でも、福祉保健局長は保険料の滞納処分については差し押さえの禁止、あるいは執行停止等が規定をされており、都は、保険料の収納事務に係る区市町村職員向けの研修等を通じて、滞納処分に関する法令の規定や判例等について周知をしておりますと答弁をされました。
 改めて、その内容について確認をしておきたいと思いますが、国は生活を窮迫させるおそれがある場合、滞納処分の執行を停止する、納付相談を行い、分納の相談などきめ細かな対応、これを周知していると国会で答弁しています。
 この内容について、都は、区市町村にどのように指導しているんでしょうか。

○内藤福祉保健局長 都は、滞納者に対する督促や納付相談、財産があるにもかかわらず保険料、保険税を納付しない場合の差し押さえ、滞納処分の執行停止等の滞納整理事務が適切に行われるよう、区市町村の職員に対しまして、テーマ別研修や実地支援を行うなど、国が示した徴収業務におけます留意事項等を初め、必要な知識の習得を支援してございます。

○和泉委員 けれども、実際には差し押さえはふえているのが実態なんです。
 国会答弁の内容がきちんと周知されているのか疑問を持たざるを得ません。住民の生活を追い詰めない対応の徹底を改めて強く求めておきます。
 さらに都は、これまでも区市町村が新規で差し押さえを行った件数などに応じて交付金を交付し、差し押さえをあおってきました。
 私はこのようなことに調整交付金を使うのはやめるべきだと繰り返しただしてきましたが、今年度の国保交付金、交付基準においてはどのようになっているでしょうか。

○内藤福祉保健局長 都は平成二十九年度まで保険料の収納率の実績や差し押さえの実施状況等の基準に基づきまして、都調整交付金の一部を交付し、区市町村の収納率向上の取り組みを支援してまいりました。
 今年度からの制度改革に伴いまして、国は都道府県及び区市町村の医療費適正化や、収納率向上の取り組み等に応じて交付金を交付する、保険者努力支援制度を創設したところでございます。
 この制度では、区市町村の収納率が全国上位であることに加え、区市町村が収納対策として、滞納者が再三の督促等にもかかわらず、納付に応じない場合に差し押さえ等の滞納処分を行う方針を定めることなどが評価の対象となってございます。
 こうした国の制度や区市町村の収納対策の状況等を踏まえまして、今年度から、差し押さえ件数等に応じた基準を廃止するなど、交付基準の一部を見直したところでございます。

○和泉委員 要するに廃止したということで、この点は重要だと思います。
 一方で、収納率に応じた交付は引き続き行われており、是正が必要だと思います。
 一人一人の生活実態に即して丁寧に対応すること、何よりも住民の生活を支えるという立場で対応することこそ自治体に求められています。都がこの立場にしっかり立つことを求めておきます。
 国庫負担率の問題です。
 東京都は、国保について制度設計は国だと繰り返すわけですけれども、では、国への意見も十分なものを出しているかということをただしていきたいというふうに思います。
 国保は医療費が高い高齢者や失業者など低所得の世帯が多いという構造的問題を持っているということは、先日の代表質問で知事も答弁なさいました。
 高い医療費を低所得の方々の保険料で賄おうとすれば、負担が高過ぎるものになるということです。
 事業主負担分がないわけですから、国保を根本的に持続可能なものにするためには、公費で相当程度賄う必要がある、ここが大事なんです。だからこそ、全国知事会も国庫負担率の引き上げを要望しています。知事は、これをどのように認識しているでしょうか。

○小池知事 全国知事会のお話がございました。
 全国知事会では、国に対して医療保険制度間の公平、そして今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の確立を図るよう、さまざまな財政支援の方策を講じるように求めているところでございます。
 今、ご指摘の国の定率負担の引き上げについても、こうした方策の一つとして挙げられる、このように認識をいたしております。

○和泉委員 私は方策の一つだという認識は余りにも軽い扱いだというふうに思います。
 構造的問題があるということは、特別の理由のある保険者だけが大変だということではありません。
 だから全体の引き上げになる国の定率負担の引き上げ、これが必要なんです。都も全国知事会と連携するというのであれば、国の国庫負担の引き上げが必要だという立場に立つべきです。知事、いかがですか。

○小池知事 先ほど答弁をした要望と同様に、都といたしましても国に対して、この制度改革後も引き続き制度の運営状況を検証した上で必要な措置を講じるように、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の強化を図る、このように要望をいたしております。

○和泉委員 知事会は被保険者の負担が限界に近づいているとまでいったんです。根本的な見直しが必要なのは明らかです。
 都民の命、暮らしを守る立場に立って、制度の持続可能性を探れば、国の定率負担分の引き上げはどうしても必要だと思いませんか。
 この立場に立って、国に国庫負担引き上げこそ必要だと求めるべきではありませんか。知事、いかがですか。

○小池知事 先ほどお答えしたとおり、国に要望をいたして、全国知事会とともに国に対しての要望を行っているところでございます。

○和泉委員 私は国の定率負担分の引き上げ、これが必要だという立場で国に求めるべきではありませんかというふうに伺いました。
 改めて、もう一度聞きます。知事、いかがですか。

○小池知事 先ほどご答弁したわけでありますが、国に対しては今般の制度改革後も引き続き制度の運営状況を検証、そして、その上で必要な措置を講じるように、また今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の強化を図るように要望をいたしております。
 改めて、お答えいたしたところでございます。

○和泉委員 国保制度が抱える構造的矛盾を解消するための、最も根本的な課題である国の定率負担分引き上げ、ここについては結局、言を左右にしてうやむやな答弁しかしない。国庫負担引き上げが必要だということは一言も答弁をされないんですよ。
 区市町村に対しては、国に求められるまま、一般会計からの繰り入れを減らすことを求める、これは保険料を値上げしなさいということです。都民の暮らしの実態が見えてないといわざるを得ません。
 国保事業の運営に中心的な役割を担うことになったのであれば、都民の命、暮らしを守る立場に立って、ふさわしい役割を果たすべきだということを強く求めておきます。

○和泉委員 最後に、都営住宅の問題について伺います。
 民法が改正されたことを受けて、国土交通省は民間の賃貸住宅の標準契約書、これを改定しました。それによって、これまで賃貸契約中でも賃貸人が修繕するべき附帯設備、これがふえました。
 UR住宅では、この標準賃貸契約書に沿って修繕費用負担の区分が見直されましたが、公社住宅、都営住宅ではどのようになっているでしょうか。

○佐藤都市整備局長 公社住宅につきましては、今般の民法改正や国土交通省の賃貸住宅標準契約書の改定に伴い、修繕費用負担区分の見直しにつきまして、現在、URの取り組みや国の考え方などを参考に、実施体制や財源を含め、可能な限り早期に取り組みが開始できるよう検討が進められております。
 一方、都営住宅の修繕費用につきましては、公営住宅法等に基づき、構造上主要な部分や設備については都の負担とされ、それ以外は居住者の負担となっております。
 都営住宅は、お話のUR住宅や公社住宅と家賃体系が異なっていることもございまして、その修繕費用負担区分につきましては、国や他の自治体の動向を注視してまいります。

○和泉委員 UR住宅の修繕見直しでは、現在自己負担とされている八十一項目の修理項目の八割がURの負担とされて大きな歓迎を受けています。
 特に歓迎されているのが、ぼろぼろになっても、黒ずんでも使っていて費用がかさばるから我慢せざるを得なかった畳床やクロス天井、壁部分の塗りかえです。
 ただいまの答弁で、公社住宅ではUR住宅の改善を参考にするとのことでしたから、こうした畳床やクロスの天井、壁の修繕もぜひ参考にするというふうにしていただきたいというふうに思います。
 都営住宅は、都の住宅セーフティーネットの中核として位置づけているわけですから、民間賃貸住宅やその他の公的賃貸住宅よりも修繕費用負担が重いということでは困ります。
 公営住宅法で構造上、主要な部分や設備以外は居住者負担と定めているわけでもなく、公営住宅の標準的な管理のあり方を示した国の通達でも、国の示した範囲を超えて修繕を行うことは法令上、要求されるところではないが、むしろ望ましいことといっているぐらいなんですから、ぜひ都として、全国にも先駆けて、居住者の負担を軽減する方向での修繕負担区分の見直しを行っていただきたい。
 また、浴槽や風呂釜についても、昭和五十六年以前に入居した居住者に関しては、更新が自己負担となっています。
 我が党の白石議員は、この問題、繰り返し取り上げて、都に求め続けてきました。
 年金生活者や低所得者も暮らす都営住宅の浴槽、風呂釜は生活の安定の上でも昭和五十七年以降の入居者と同様に、都の負担で更新するべきだと思いますが、いかがですか。

○佐藤都市整備局長 都営住宅のうち、お話の昭和五十六年度以前に建設された住宅につきましては、当初の建設時には、都は浴室の設備を設置しておりませんでした。
 これらの住宅への入居に際しては、居住者みずからが浴槽、風呂釜を設置いたしまして、維持管理や更新を行うということについてご理解をいただいております。
 都が建設当初に浴室の設備を設置していなかった都営住宅には、建てかえや空き家修繕の機会を捉えまして設備を設置することによって、この十年間で、約十二万一千戸から約六万八千戸まで減少してきております。
 一方、居住者が入居中にみずから設置した設備を、都が更新することにつきましては、多額の財源の確保、あるいは住棟全体におけるガスの供給能力の検証などのさまざまな課題がございます。
 今後、引き続き、建てかえや空き家修繕の際に設置を求めていくとともに、入居中の設備の更新について、計画的、効果的な進め方を検討してまいります。

○和泉委員 住宅セーフティーネットとしての都営住宅の役割、しっかりと果たしていただくよう求めて質疑を終わります。(拍手)