本会議 星見てい子都議(目黒区選出)の一般質問
2月27の本会議で、星見てい子都議(目黒区選出)が一般質問を行いました。
★質問全文(質問原稿)です。
★答弁(議事録速報版より)
1、学校図書館の充実について
学校図書館について質問します。
15年ほど前、私の子どもが通っていた目黒区立中学校は、文部科学省の「国語力向上モデル地域・国語教育推進校」に指定されました。学校は、教科の充実とともに図書活動も位置付けましたが、当時、学校図書館には司書の配置もなく、蔵書の整理もできず、活用できる状態ではありませんでした。学校はやむなく区立図書館と連携して、廊下などに学年文庫を設置し、生徒が自由に読める工夫をしました。
このような状況は目黒区だけではなく、当時、都内の多くの小中学校で学校図書館に鍵がかかっていることなどが問題になり、学校図書館のありかたが問われていました。
一方、国際社会では、1999年に、ユネスコ学校図書館宣言が、第30回ユネスコ総会で批准されました。「学校図書館は、今日の情報や知識を基盤とする社会に相応しく生きていくために基本的な情報とアイデアを提供し、児童生徒が責任ある市民として生活できるように、生涯学習の技能を育成し、想像力を培うものである」と高らかに宣言し、学校図書館の使命や目標、運営などが明らかにされています。
Q1、知事は、ユネスコ学校図書館宣言が述べている学校図書館の役割をどのように受け止めているのか、うかがいます。
この宣言では学校司書についても、その重要性や教育上の役割が示されています。日本でも2014年に学校図書館法が改正され、学校司書が初めて法律に位置付けられました。
Q2、都は、学校司書の役割をどのように考えていますか。
法改正をうけ、国は学校司書や図書の充実をめざす新たな5か年計画を推進し、都内区市町村でも努力が始まっています。国は財源を交付税措置にしていますが、まだまだ足りません。西東京市議会は、昨年12月、「東京都独自に小・中学校の学校図書館の充実を求める意見書」を都に提出しました。目黒区でも現在は小中学校に学校図書館支援員を配置していますが、有償ボランティアのため、開館日数や時間も限られ、充実が望まれています。
Q3、公立小中学校の学校図書館活用を促進するために、学校司書配置と資料費充実の補助制度を創設すべきです。いかがですか。
都立高校でも学校図書館の活用は重要です。
私は鳥取県の図書館行政を視察しました。県では「とっとり学校図書館活用教育推進ビジョン」をつくり、幼児から高校生まで一貫した情報活用能力を養うために、学校図書館等の活用を進めています。
県立高校全校に正規職員の学校司書が配置され、学校図書館を活用した授業が活発に行われています。視察した授業は、イギリスのEU離脱を入り口に、イギリスの歴史、政治、経済、文化などの課題を整理して発表するものでした。グループに分かれた生徒たちは、学校司書と教員が協力して作ったワークシートを元に、県立図書館から大量に貸し出された関連書籍を次々と選び、取り組んでいました。この高校では年間210時間、各クラス平均10時間程度、各教科で学校図書館を活用した探求型の学習を行っているとのことでした。
校長先生は「以前は学校司書が非常勤で、本の貸し出しと管理だけが仕事でした。正規職員になってからは、司書が職員会議に出席し、教科ごと教材開発や学習内容に合わせた提案などをして、教員と対等な立場で授業を支援しています」と話されました。
学校司書のあり方で、こんなに学校が変わるのかと驚きました。
Q4、教育活動に学校図書館を活用するには、学校司書が学校の一員として、教員と直接、対等な関係で、お互いの専門性を生かしながら、協力・連携することが欠かせないと思いますが、いかがですか。
都立高校もかつては学校司書を全校に配置していました。石原都政以来の司書の退職不補充により、現在は119校、63%が民間委託になっています。委託先の多くは、清掃やビルメンテナンスの会社で、図書館の専門的知識を持つところではありません。
この学校図書館業務の民間委託は、2015年に教員が司書に直接仕事の指示をしていたことから、是正指導をうけました。つまり委託では、日常的な教育活動には関われません。教員と連携した学習支援や発達障害の生徒への対応、生徒の心のケアや様々な相談などの幅広い役割からすれば、本の貸し出しと管理など極めて狭い業務しかできないのです。
民間委託の職員については、文科省も国会で、「学校図書館法上の学校司書には該当しない」と答弁しています。
Q5、都立高校の学校司書の削減と民間委託の拡大は、ユネスコ学校図書館宣言にも、学校図書館法の学校司書の位置づけにも逆行しています。すべての都立高校に学校司書を配置する方針に転換すべきです。見解を伺います。
また、都立の特別支援学校には、廊下の一角に図書コーナーしかない学校が少なからずあり、学校司書は1人もいません。
鳥取県では、通常の教科書が使えない特別支援学校でこそ、学校司書と教員が、子どもたちに応じた図書教材の工夫をし、大きな力を発揮していると聞き感嘆しました。
Q6、特別支援学校での学校図書館活用を促進するために、学校司書を全校に配置するべきです。また児童・生徒の必要に応じたきめ細かな図書の整備を進めるべきです。いかがですか。
鳥取県のこうした活動の要が、県立図書館に設置した「学校図書館支援センター」です。専任担当者は司書教諭の指導主事です。県立図書館が教材として「図書セット」を学校図書館に貸し出しながら、現場に直接赴き、経験の普及や相談にあたる活動をしています。
Q7、東京都でも学校図書館を活用した学校教育の充実を系統的に推進する計画作成とともに、学校現場や区市町村教育委員会を支援する、学校図書館活動支援センターなどを創設するべきです。いかがですか。
こうした学校図書館の活性化のためには、教育方針での総合的な位置づけが必要です。
Q8、第4次の「東京都教育ビジョン」などに、学校図書館を位置付けることを求めます。いかがですか。
2、動物愛護について
次に、動物愛護について伺います。
私の家には猫1匹、犬1匹がいます。猫は近所の多頭飼いで崩壊した家の猫です。犬は、飼い主が高齢で亡くなり、引きとりました。私は、こうした経験から、動物の命が大切にされる共生社会の推進が重要だと実感しています。
Q1、知事は選挙で「ペット殺処分ゼロ」を公約しました。都が集計している「殺処分」は、今年度、ゼロが続いています。一方で、苦痛からの解放や著しい攻撃性、衰弱や感染症などにより動物福祉などの観点から致死処分した動物が、1月末時点で、犬が4頭、猫が126頭いると聞いています。このような動物も飼育環境を工夫すれば、飼育や譲渡に繋げることができる可能性があり、最大限の取組みを進めるべきです。動物愛護相談センターでも攻撃性のある動物に対してトレーナーを活用するなど、譲渡に向けた努力が始まっています。
知事が、公約として掲げた「殺処分ゼロ」の根源である命の大切さと動物愛護への知事の思いをお聞きします。
動物愛護相談センターへの猫の持ち込みは、この間激減しました。背景には、地域猫ボランティアの活動があります。
目黒区の自由が丘商店街では、かつて200匹以上の野良猫がいて、路地は汚れ、子猫が増え続けていました。地域の方が、猫の避妊・去勢を始めてボランティア活動が発展し、商店街に猫との共生への理解が広がり、地域猫にして管理する中で、20年かけて、昨年ついに野良猫はいなくなりました。
「殺処分ゼロ」を実現し、継続するためには、こうしたボランティアの支援・育成が必要です。
Q2、地域猫ボランティアは、野良猫の避妊・去勢のための捕獲や地域猫のえさなど夜の行動が多いことから、住民に不審者に間違えられたり、警官に職務質問されるなど苦労が絶えません。このため、ボランティア講習会を受けた方などに、身分を示す地域猫支援のボランティア証などを発行してほしいとの要望があります。
また、動物愛護相談センターから譲渡した生後まもない子猫の飼育支援として猫粉ミルク等を提供していることは歓迎されている一方、地域猫のボランティアは、病気や怪我ですぐには譲渡できない猫の治療費が大きな負担になっています。
都として、区市町村と協力して、猫のボランティアに対する更なる支援に努めるべきと考えます。いかがですか。
最後に、災害時のペット対応についてです。
国は、東日本大震災後に「防災基本計画」を修正し、避難所や応急仮設住宅でのペットの受入への配慮を明記しました。環境省は、昨年に、「人とペットの災害対策ガイドライン」を改訂し、今年度の震災や豪雨災害では、道や県などに「仮設住宅へのペットの受入れ配慮について」の通知を出しました。
熊本地震の直後に、県の担当者と一緒に市町村を回ったという国の担当者にお話を伺いました。応急仮設住宅にペットを同行できない場合、「ペットと共に危険な家屋に戻ったり、車での寝起きにつながり2次被害が広がる」また「ペットを放置した場合、動物愛護上の問題に加え、野生化した動物による被害が起きる」と話されていました。熊本県では、応急仮設住宅を建設した市町村全てがペットとの同居を認めたとのことです。
Q3、国の位置づけの強化を受け、知事は、災害時のペット対応を平時から進めることの重要性をどのように認識していますか。
Q4、環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」には、都道府県の対策の例として、応急仮設住宅でのペットの同居への対策が示されています。都は、応急仮設住宅でのペットの同居について、どのように取り組むのですか。
被災者は、避難所や応急仮設住宅から安定した住宅に移る必要があります。復興公営住宅などでもペット飼育ができる方針の整備を要望し、質問を終わります。
以 上
【答 弁】
★答弁は以下の順番になっています。
- 知事(小池百合子君)
- 教育長(中井敬三君)
- 福祉保健局長(内藤淳君)
- 都市整備局長(佐藤伸朗君)
○知事(小池百合子君) 星見てい子議員の一般質問にお答えいたします。
まず、ユネスコ学校図書館宣言についてのご質問でございます。
学校図書館は、子供たちの知的好奇心を喚起して、生涯にわたり学び続けようとする意識、そして態度を育む場として欠くことのできない大切な施設でございます。
ユネスコ学校図書館宣言には、学校図書館の役割といたしまして、子供たちが責任ある市民として生きていくことができるよう、想像力を培うことなどが掲げられております。
この宣言が採択されて二十年、学校図書館に期待される役割は今も変わることはない、このように考えております。
動物愛護についてでございますが、動物は、私たちの生活に潤いや癒しを与えてくれる大切な存在であります。飼い主にとりましては家族の一員でもあります。
そうした考えのもとで、飼い主への終生飼養の啓発、地域の飼い主のいない猫対策を推進するほか、保護された動物の譲渡を進めるために、都独自に動物譲渡促進月間を定めまして、譲渡事業のPRイベントや広報を実施してまいりました。
また、保護されました動物を譲渡に適した状態で新たな飼い主に引き継げるように、職員の専門的な能力や動物を飼育する環境の向上に努めておりまして、引き続き、動物の殺処分ゼロを目指して、動物愛護の取り組みを推進してまいります。
また、災害時におけるペット対策についてのご質問でございます。
災害発生時におきましても、飼い主がみずからの責任のもとで、ペットを適切に飼い続けることは基本であります。
そのため、都は平時から、ペット防災リーフレットなどによりまして、飼い主に対して、災害に備えることの重要性について啓発を行うとともに、区市町村に対しましては、避難所などにおけます飼養場所の確保などを地域防災計画に位置づけるように働きかけております。
今後とも、災害時に飼い主、そしてペットが安全に避難できるように、区市町村とも連携をいたしまして、体制づくりを進めてまいります。
残余のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 学校図書館に関する七点のご質問にお答えいたします。
まず、学校司書の役割についてでございますが、文部科学省が定める学校図書館ガイドラインでは、学校司書は、学校図書館を運営していくために必要な専門的、技術的職務に従事するとともに、学校図書館を活用した授業やその他の教育活動を司書教諭や教員とともに進めるよう努めることが望ましいとされております。
その具体的役割は、児童生徒や教員に対する間接的支援と直接的支援、さらに、教育目標を達成するための教育指導への支援の三つの観点に分けられるとされております。
次に、小中学校の学校司書配置等に係る補助の創設についてでございますが、小中学校の図書館の整備については、設置者である区市町村が、その経費を負担することとされております。学校図書館の図書整備、学校司書の配置等に必要な経費については、平成二十九年度から平成三十三年度まで、国の学校図書館図書整備五か年計画により地方財政措置が講じられているところでございます。
次に、学校図書館における協力連携についてでございますが、都教育委員会では、学校図書館に関する職務を、司書教諭の資格を有する教諭に校務分掌として担当させております。教育活動への学校図書館の活用については、司書教諭を中心とした学校の全教職員の協力体制のもとで行われるべきものと考えております。
次に、都立高校の学校図書館管理業務委託についてでございますが、都立高校における学校図書館の運営は、業務委託の導入により、開館時間、開館日数の拡大や、長期休業期間中の開館が可能となるなど、利便性の向上が図られております。
また、この間、業務委託の契約方法についても、総合評価方式や長期継続契約等の導入により、業務の質の改善を図ってまいりました。
都教育委員会は、今後も、学校図書館ガイドラインなども参考にしながら、適切な図書館運営に努めてまいります。
次に、特別支援学校の学校図書館の充実についてでございますが、都教育委員会は、都立特別支援学校が計画的に行っている障害の種類や程度、発達の段階に応じた蔵書の整備に対し、毎年度必要な図書購入費を措置しております。
また、各学校に配置している司書教諭が、全教職員の協力体制のもとで、従来から学校図書館の活用等に取り組んでおります。
今後とも、都立特別支援学校の学校図書館を活用した教育活動を推進してまいります。
次に、学校図書館を活用した学校教育の系統的な推進についてでございますが、都教育委員会は、生徒の言語能力の向上を図るため、全ての都立高校において、総合的な教育計画である教育課程の重点項目に、学校図書館を積極的に活用した読書活動の推進を位置づけるよう指導しております。
各学校では、この教育課程に基づき、司書教諭が中心となり、読書月間の設定や書評合戦の校内予選の実施など、学校図書館の機能を活用した教育活動の充実に組織的、計画的に取り組んでおります。
都教育委員会は、各学校が学校図書館の機能を十分に活用できるよう、関係部署において適切に支援してまいります。
最後に、東京都教育ビジョンにおける学校図書館の位置づけについてでございますが、現在、各学校では、児童生徒の主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善や主体的、自発的な学習活動等の充実を図るため、学校図書館を計画的に利用し、その機能を活用しております。
また、都教育委員会が策定している教育ビジョン第四次案では、全ての都立学校の学校図書館等に複数の新聞を配置することなどを主な施策展開として示し、生徒が社会の諸課題を多面的、多角的に考察する学習を展開できるようにしております。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕
○福祉保健局長(内藤淳君) 動物愛護ボランティアへの支援についてお答えいたします。
都内の区市町村では、地域の飼い主のいない猫対策として、不妊去勢手術の実施、地域住民の理解と協力を得るための会議の開催や普及啓発などの取り組みをボランティアと協力して実施しております。
都は、こうした区市町村の取り組みを包括補助で支援しており、今年度は四十七の区市町村が取り組んでいるところでございます。
今後とも、区市町村に対しまして、ボランティア登録証の発行や用具の貸し出しなどの支援事例の紹介や、地域住民等に飼い主のいない猫対策への理解を広げるためのリーフレットの提供及びガイドブックの配布等を行いまして、より多くの区市町村において、ボランティアと連携した取り組みが進むよう支援してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕
○都市整備局長(佐藤伸朗君) 応急仮設住宅でのペットの同居についてでございますが、環境省のガイドラインでは、災害発生時の応急仮設住宅での暮らしは、限られた空間での共同生活であるため、避難した方々とペットとの距離が近くなり、鳴き声やにおい、害虫による衛生の問題などの苦情が出ることが予想されるとされております。飼養のルールづくりや飼養のためのスペースの確保などの課題が想定されます。
現在、都は、発災時の住宅確保について、区市町村と連携して検討を進めており、今後、ガイドラインに示された課題についても、動物救護の所管部署や応急仮設住宅の入居者管理を担う区市町村と情報交換などを行ってまいります。