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質問・条例提案

2018.12.19

2018年第4回定例会に提出した文書質問

2018年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 河野ゆりえ

質問事項
一 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」について

一 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」について

 今年11月7日、東京都建設局は「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」を発表しました。この基本構想は、「葛西臨海水族園のあり方検討会」が公表した“海と人をつなぎ、海を守る水族園をめざして”のサブタイトルがついた報告書に基づき、策定されたと考えます。葛西臨海水族園は、1989年の開園から約30年が経っています。今後のあり方について、様々な角度から検討が深められたことは貴重です。
 ラムサール条約の登録湿地となった葛西海浜公園や木々の緑が豊かな葛西臨海公園の東に広がる鳥類園など、多様な自然に恵まれた環境の中に立地する葛西水族園が、生物多様性を守り、持続可能な社会への一拠点になることを願って、以下、質問します。

Q1 葛西臨海公園の開園面積は80.6ヘクタールです。1970年代初めに、東京都が施行者となって、江戸川区葛西地域を中心とした住民が所有していた水没民有地など約380ヘクタールを、埋立事業と区画整理事業を行なって土地をうみだし、造成したのが葛西臨海公園です。その後も、地元の人達の大きな協力によって、海と陸の自然が豊かに息づく公園になりました。
 また、葛西沖の海は、1950年代まで豊富な漁場としても知られ、食文化の発展にも貢献してきた歴史があります。
 地元住民は、水族園に「葛西」という名称がついていることに誇りを持っています。明治時代に上野動物園内に設置された日本初の水族館「観魚室(うをのぞき)」を起源とする葛西臨海水族園ですが、1989年開園の際、「葛西」の名称を入れてネーミングしたことについて、ご説明をお願いします。

Q2 葛西臨海水族園が更新の時を迎えた際、もし新しいネーミングを検討することがあった場合には、これまでの歴史を踏まえて「葛西」の名称を残していただくよう求めます。現在の英語表記(Tokyo Sea Life Park)にも「葛西」の地にある水族園であることがわかるネーミングを望みます。いかがですか。

Q3 葛西臨海水族園は、展示生物数は約600種・約4万3,000点、飼育生物数は940種・8万5,000点の展示・飼育生物を有し、交通もJR葛西臨海公園駅から徒歩数分の所にあり、立地条件に恵まれているなどのことから、年間平均150万近い人が訪れています。重要なのは、幼児から中学生まで、子ども達の自然学習の場として、大きな役割を果たしていることです。
 現在、入園料は、一般700円、中学生250円、65歳以上は半額の350円、小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料となっています。同じ都立の上野動物園や井の頭自然文化園と比較すると、いくらか高い料金ですが、来園者にとっては、経済負担感が少ない料金設定であると思います。
 現在の入園料は、どのような考え方に基づいて設定されているのか、ご説明ください。

Q4 「葛西臨海水族園のあり方検討会 報告書」には、「葛西臨海水族園は都立の社会教育施設で、安価(小学生以下及び都内在住在学の中学生は無料)で健全なレクリエーションの場として、非日常空間を多くの人に提供している」とあります。こうした役割をはたしていることに鑑み、更新した場合にも、経済的負担については十分な配慮が必要と考えます。現行の入園料のしくみを維持されるよう求めるものですが、いかがですか。

Q5 葛西臨海水族園は、開園当時から、ドーナツ型の大水槽にクロマグロが周遊し、その迫力が話題になっていました。その他、多種類の魚類だけでなく、フンボルトペンギンやウミガラスなどの鳥類の繁殖も取り組み、希少種の保全にも力を入れて来ました。今後も、こうした取り組みを続けるとともに、展示のあり方も来園者に自然の生態系がよくわかる工夫をしていただくよう求めます。いかがでしょうか。

Q6 葛西臨海水族園は、静かな環境の中で淡水生物の観賞ができるので好評です。現在は、海洋魚などの展示場所と少し離れた場所にあるせいか、訪れる人が少ないと感じます。静かな環境を守りつつ、より多くの人が、淡水生物に親しめるような展示の工夫もしていただきたいと感じます。「川と海の結節点」にある葛西の地にふさわしい水族園になるよう、更新にあたって検討を要望するものですが、いかがでしょうか。

Q7 今年10月18日、葛西海浜公園がラムサール条約の登録湿地になりました。また、葛西臨海公園には水族園に隣接して鳥類園があります。淡水の「上の池」、汽水の「下の池」があり、数多くの鳥類が飛来し、生息しています。東京都がこれまでも、努力されてきたことは承知していますが、水族園と鳥類園が連携して生物保全の取り組みを進めていただくことが必要と考えます。そのためにも、やはり老朽化が進んでいる鳥類園の保全・改修や、淡水の上の池の水の浄化の努力を求めるものですが、いかがでしょうか。

Q8 葛西臨海公園の開園面積は80ヘクタールを超え、その中に位置する葛西臨海水族園は8.6ヘクタールの広さです。訪れる人が誰でも、葛西臨海水族園の内外で自然に親しみ楽しめるように、バリアフリー、ユニバーサルデザインの観点で整備を進めることが望まれています。水族園の更新に向けて、設計などについてのお考えをお示しください。

Q9 「葛西臨海水族園」は、江戸川区南端の海辺に面しており、太陽の光に恵まれています。更新にあたっては、景観に配慮しつつ、太陽光を中心とした自然エネルギー導入を進めていただくよう求めるものです。自然エネルギー導入促進については、どのような検討を進めているでしょうか。伺います。

Q10 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想 素案」はパブリックコメントが行なわれましたが、今後、都の「基本構想」策定にあたっては、専門家はもとより、より丁寧に地元自治体や、地域住民の意見、要望を聞き取っていただくよう求めます。いかがですか。

河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

一 「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想素案」について

A1 葛西臨海水族園については、葛西臨海公園内の有料施設として、東京都立公園条例第3条第4項に基づき、名称を葛西臨海水族園、設置年月日を平成元年10月10日と告示しています。

A2 葛西臨海水族園の名称検討については、現時点では未定です。
 「Tokyo Sea Life Park」という英語による表記については、屋内の水槽展示に加え、園地に池や川の自然を再現した「水辺の自然」を整備することによって、様々な環境に生息する生き物と出会えることなどから、採用しています。
 現在では、世界各国の水族館等との交流に使用するなど、広く親しまれています。

A3 入場料は、受益者負担の考え方に基づき、施設の維持に必要な経費などによって算定した原価を基本として、社会情勢の変化、教育的な配慮や他公共団体の同種施設の料金などを参考に設定しています。

A4 受益者負担の考え方に基づき、施設の維持に必要な経費などによって算定した原価を基本として、社会情勢の変化、教育的な配慮や他公共団体の同種施設の料金などを参考に、新たに入場料を設定します。

A5 基本構想は、外部有識者によるあり方検討会の報告書に基づき作成したもので、新たな理念や機能の再構築など、今後の水族園像を示したものです。
 この中で、収集・飼育・繁殖、環境保全への貢献、展示・空間演出などを水族園の機能としており、これらの機能が有機的につながるよう取り組んでいきます。

A6 葛西臨海水族園は、荒川と旧江戸川の河口付近で東京湾に面するといった立地特性を有しています。
 基本構想では、淡水と海水の結節点という立地を生かし、河川や湖沼を含め、海の文化や歴史を伝えられるよう、取り組むこととしています。
 淡水生物を含めた展示水槽については、今後、検討していきます。

A7 鳥類園は、平成6年の開園以来24年が経過し、ウォッチングセンターの老朽化が目立ってきています。
 そこで、平成30年度には、ウォッチングセンターの老朽化調査を実施しており、この調査結果に基づき、対応していきます。
 また、上の池については、平成29年度に泥土除去を行い、現在、定期的に水質調査を実施しています。

A8 葛西臨海水族園は、子供から大人までの幅広い世代が、国籍や障害の有無を問わず楽しむ施設であり、バリアフリー等のアクセシビリティを確保することが重要です。
 新たな水族園が、誰もが使いやすく魅力的な施設となるよう、取り組んでいきます。

A9 基本構想においては、再生可能エネルギーの導入等、環境負荷の低減に効果的な対策を講じることとしています。

A10 基本構想は、外部有識者によるあり方検討会の報告書に基づき、お寄せいただいた都民意見も参考にしながら策定しました。
 今後とも、地元をはじめ、都民に対し丁寧に説明をしながら進めていきます。

以 上

 

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