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質問・条例提案

2018.12.19

2018年第4回定例会に提出した文書質問

2018年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 米倉春奈

質問事項
一 日本語指導が必要な生徒への支援について

一 日本語指導が必要な生徒への支援について

 日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は、毎年増加し、2016年度の調査では、都内に小学生1564人、中学生814人、高等学校生526人となり、2年前の調査と比べて都内だけでも約600人増加している状況です。また日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒も、同年度の調査では、小学生800人、中学生191人、高等学校生80人で、前回調査よりも増えています。
 都教育委員会は現在、都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)案を公表し、今年度中には策定する予定ですが、今後も、日本語の支援が必要な児童生徒は増加することが見込まれる中、子どもたちの語学力に見合った日本語支援と就学の機会を保障する計画とすることが求められています。
 まず、都立高校の入学者選抜制度についてです。
 日本語の支援が必要な子どもたちにとって、日本語で日常会話ができることと、日本語で教科書を読んだり授業を受けたりして内容を理解することや、日本語の試験を受けることには大きな差があります。
 これまで都立高校では、在京外国人対象の入学枠を設け、その対象校と定員数を拡充してきたことは重要ですが、倍率は2倍をこえる状況の中、さらなる定員拡大が求められています。
 また、入国後の在日期間が入学日現在3年以内の外国籍の方に対しては、一般の入学者選抜の学力検査問題と在京外国人生徒対象の入学者選抜の検査問題にひらがなのルビを振る措置と、辞書の持込と時間延長を認める措置がとられています。しかし、子どもたちの語学力を踏まえると、この措置が在日期間3年以内に限られることは厳しく、子どもたちを支援する関係者や保護者からは、年限の引き上げが求められてきました。そうした実態を受けて2019年度入学者選抜からは、在日期間を6年以内へ拡充し、また国籍を問わず日本国籍の生徒についても、日本語指導が必要な方は対象とするとしたことは重要です。
 同時に、入学者選抜の内容についても関係者からは要望が出ています。現在、在京外国人対象の入学選抜方法は、日本語か英語の作文と面接です。本来、日本語が不十分な生徒のための枠ですが、この選抜方法では英語圏出身者と滞日期間が長く日本語の習得が進んだ生徒が有利になり、来日後の時間が短い生徒は、学力があっても合格が困難になるという指摘もあります。作文と面接または学力試験のどちらかを選ばせてほしいとの声もあります。

Q1 在京外国人枠の入試選抜について、英語、数学での学力試験を行うことを求める要望がありますが、都教育委員会はどう考えていますか。

Q2 平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書でも、在京外国人生徒対象の選抜に関する課題等のまとめとして、検査の内容について「面接等に加えて、学力検査の実施について、日程、教科等、更に十分な検討が必要である」と記載していますが、都教育委員会は今後どのような検討をするのですか。
 保護者等の都合により、日本語の準備をする間もなく突然に外国から日本に移転せざるをえない子どもにとって、日本の高校へ入学することは、非常に困難な状況となっています。現地の高校から都立高校へ編入する場合、国語、数学、英語の試験を受けなければなりません。こうした子どもたちの支援をする関係者から、現地ではきわめて優秀な学業成績を収めているにもかかわらず、単に言葉の問題で入学できないケースもあると聞いています。

Q3 新実施計画(第二次)(案)の中でも、「在京外国人生徒等のニーズに対応した教育環境を整備していくことが重要」、「都立高校に入学した外国人生徒等が、学校生活を円滑に送るため、引き続き適切な支援を行っていく必要があります」と指摘されています。
 都立高校に、外国の高校から編入する場合に、入試が日本語のみとなると、子どもの高校教育を受ける機会がなくなる危険性が生まれますが、都教委はどう考えているのですか。

Q4 外国の高校から都立高校へ編入する外国人生徒については、日本語での試験ではなく、中国語や英語などでの入学試験の機会を提供してほしいという支援に携わる方々からの要望について、都教委はどう考えていますか。

 都立高校に入学した後の支援も大切です。

Q5 都立高校には日本語指導が必要な生徒はどのくらいいるのですか。外国籍及び日本国籍の最新の生徒数について、それぞれ伺います。

Q6 日本語指導が必要な生徒に対してどのような支援をしているのですか。

Q7 来日したばかりの生徒を都立高校に受け入れ、入学後に集中的に日本語教育を行うことや、日本独自の知識が要求される歴史や日本の文化などを集中的に教える仕組みの整備が必要ですが、都はどう認識し取り組んでいくのですか。

Q8 在京外国人枠が設置されている都立高校では、日本語指導が必要な生徒数に対して、教員が1人加配されますが、それだけでは生徒一人ひとりの状況に応じた支援は限られます。せめて小中学校の日本語学級並みの教員配置が必要だと考えます。支援の拡充のために教員加配などの検討が必要ですがいかがですか。

Q9 在京外国人入試枠がない都立学校にも、日本語支援が必要な生徒は多数在籍しています。しかしそうした学校には、在京外国人入試のある学校で行われている教員の加配や、国語などの授業時間を日本語指導にあてる取り出し授業も行われていません。在京外国人入試を行う学校と同様の支援をすべきですがいかがですか。

 生徒たちの入学や学校での日本語などの支援とあわせて、学校と生徒・保護者とのコミュニケーションを支援することも重要です。
 三重県では児童相談所で24時間多言語に対応する電話通訳を導入し、日本語の話せない外国人からの相談内容を正確に把握することで体制を強化しました。

Q10 学校と生徒や保護者間のコミュニケーションと意思疎通が必要となる場合に、多言語の通訳支援がうけられるようにする必要がありますが、都教育委員会はどう取り組んでいくのですか。
 同時に、学校からの文書などをウェブ上で日本語に限らず多言語で周知し、必要な情報を保護者等に伝える支援も必要ですがいかがですか。

米倉春奈議員の文書質問に対する答弁書

一 日本語指導が必要な生徒への指導支援について

A1 在京外国人生徒の入学者選抜については、一般の入学者選抜とは別に特別募集枠を設け、学ぶ意欲を重視し、学力検査を行わず、日本語又は英語の面接及び作文により選抜を行っています。
 また、当該都立高校長が必要と判断した場合は学力検査を実施することができることとしています。

A2 都教育委員会は、毎年、検討委員会を設置し、前年度の都立高校入学者選抜を評価・検証した上で、次年度以降の入学者選抜の改善を図っています。
 在京外国人を対象とした選抜に関しては、平成28年度に特別部会を設置し、応募資格など受検に関する様々な課題について検討し、平成29年度には、事前の応募資格確認の機会を都教育委員会が主催するなどの取組を行いました。
 また、平成30年度には、ルビを振る措置の対象を入国から6年以内の者に拡大するなどしました。
 現在、検討委員会の中で、学力検査の実施等を含めた課題について継続的に検討を進めています。

A3 転学・編入学募集は、各学校が定員を充たしていない場合に行うこととしており、外国籍を有する生徒の編入学については、第一学期転学・編入学募集を毎年3月に実施しています。
 外国の現地校から編入学を希望する生徒については、志願者の修得単位数に応じて相当の学年に出願することができます。
 編入学は全日制課程、定時制課程及び通信制課程の多くの都立高校で実施しており、入学後に適切な指導や配慮ができるよう日本語能力を把握し、生徒の高校教育を受ける機会の確保に努めています。

A4 編入学の実施方法については、国籍を問わず、国語、数学、外国語(英語)及び面接を原則として、各都立高校長が適切に定めるとしています。
 実施方法の決定に当たっては、必要に応じて検査教科の厳選や作文等他の検査への差し替え、専門教科を課すなど、受検者の編入学後に必要な学力等を適切に測ることができる検査としています。
 現在、検討委員会の中で、学力検査の実施等を含めた課題について継続的に検討を進めています。

A5 文部科学省では、日本語指導が必要な児童・生徒の受入状況等に関する調査を隔年で行っており、平成28年度の調査では、都立高校における日本語指導が必要な外国籍の生徒数は526人、日本国籍の生徒数は80人です。
 また、都教育委員会では、文部科学省の調査が行われない年度に、日本語指導が必要な外国籍の児童・生徒について独自に調査を行っており、平成29年度の調査では、都立高校における日本語指導が必要な外国籍の生徒数は736人です。

A6 都教育委員会は、日本語指導の必要な生徒が、早期に授業内容を理解することができるよう、日本語の習得に向けた支援を実施しています。
 具体的には、生徒の状況等に応じて、授業中に、教員が別室で学習内容の理解や日本語習得のための指導を実施したり、外部人材が生徒の母語を介して授業内容の理解を促すための補助を行ったりしています。
 また、放課後や夏季休業日等には、教員や外部人材が、日本語の習得のための個別指導を実施しています。

A7 日本語指導が必要な生徒に対する日本語指導の際に、日本固有の生活文化様式や歴史的出来事を題材とするほか、学校生活の様々な場面においても、生徒が円滑な学校生活を送れるよう支援しています。
 今後とも、日本語指導が必要な生徒のニーズに対応した日本語指導や学校生活を円滑に送れるための支援に努めていきます。

A8 都教育委員会では、在京外国人生徒対象枠を設定した都立高校に対して、教員1名を加配しており、平成30年度は6校6名の加配を行っています。
 また、各校の実情に応じて、日本語指導等のために必要な時間講師も配置しており、引き続き、適切に対応していきます。

A9 在京外国人生徒対象の入学者選抜がない都立高校では、外部人材を活用して、授業中に、生徒の母語を介して講義内容の理解を促すための補助を行ったり、放課後や夏季休業日等を活用して日本語の習得のための個別指導を実施したりしています。
 今後とも、日本語指導が必要な生徒のニーズに対応した日本語指導ができるような教育環境の整備に努めていきます。

A10 在京外国人生徒対象募集枠を設置している都立高校については、翻訳機能を使用して、生徒や保護者とのコミュニケーションの際に活用できるよう、タブレット端末を配備しています。
 また、高等学校等就学支援金の支給手続に係るリーフレット等について、英語、中国語、韓国語及びタガログ語の4言語に翻訳し、学校が必要に応じて保護者等への説明に活用できるようにしています。
 今後とも、学校と日本語指導が必要な生徒や保護者との間で、円滑なコミュニケーションが図れるよう、必要な改善に努めていきます。

以 上

 

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