本会議 原田あきら都議(杉並区選出)の討論
12月19日の本会議で、原田あきら議員(杉並区選出)が討論を行いました。
★2018年都議会第3回定例会 討論全文(原稿)です。
日本共産党都議団を代表して、第217号議案ほか3議案に反対、その他の知事提出議案に賛成、議員提出議案第21号に賛成の立場から討論します。
まず、第201号議案補正予算は、学校体育館へのエアコン設置の支援、ブロック塀対策などを盛り込んだものであり、賛成です。
日本共産党都議団は、災害レベルの猛暑、ブロック塀倒壊の事故などを受け、知事への申し入れや、条例提案に力をつくしてきました。
わが党は、区市町村立学校の体育館へのエアコン設置について、3分の2の補助率を来年度以降も継続するよう求めました。これに知事が、「検討していく」と答弁したことは重要です。
また、国の補正予算では、全国的に学校体育館への補助金交付は認められなかったことが、答弁で明らかになりました。わが党が、都として国の交付金に相当する金額を区市町村に支援するよう求めた質問にも、「検討していく」という、前向きな答弁がありました。
すべての都立高校体育館へのエアコン設置を「3年以内に整備することを目標に検討する」と表明したことも重要です。
引き続き、区市町村の財政負担への支援を強化し、学校体育館へのエアコン設置を促進することを求めておくものです。
第215号議案中小企業・小規模企業振興条例も、日本共産党都議団が提案してきたものであり、賛成です。
条例に「小規模企業」を加えたことや「中小企業者等の意見の反映」を盛り込んだことは重要です。
同時に、わが党は、よりよい条例にするために、小規模企業に対する支援を小規模企業振興基本法に基づいて行うよう条文に書き込むなどの修正案を提案しました。条例の目的達成に向け、都や中小企業等の取り組みが進められているかの確認、検証などを適宜行っていくよう求めておきます。
来年度予算にむけて知事が検討している旧こどもの城の購入・活用について、日本共産党都議団は、石原都政のもとで廃止された東京都児童会館が果たしていた子ども支援の機能を重視するよう求めました。これに知事が、「こどもの城などが担ってきた子育ての機能や演劇関係者などにも留意しながら検討を進めていく」と答弁したことは重要であり、この答弁の具体化を求めるものです。
日本共産党都議団をはじめ4会派が共同提案した議員提出議案は、都議会議員の期末手当の引き上げをせず、現行のまま据え置く条例改正です。
都議会議員の期末手当は職員の期末手当に連動する仕組みとなっています。わが党は職員の期末手当引き上げには賛成ですが、議員の期末手当を上げることには反対です。
都民の暮らしの困難が続いており、議員報酬の2割減を全会派が賛成して実施しているなかで、議員の期末手当を引き上げることに都民の理解は得られません。
すべての会派、議員のみなさんのご賛同を、心から呼びかけるものです。
さて知事は、「食の安全・安心を守る」「築地は守る」の公約を投げ捨て、豊洲市場への移転を強行しました。
わが党は、豊洲市場の地下水から、依然として環境基準の140倍のベンゼンなどが検出されていることを指摘し、土壌汚染問題が解決していないという認識はないのかただしましたが、知事は明確な答弁ができませんでした。
また、汚染物質がいつ環境基準以下になるのかという質問にも、何の根拠を示すことなく中長期的には改善するだろうという答弁しかできませんでした。
ターレの事故や建物の揺れ、悪臭、建物のあちこちにただよい、たまっている黒い粉じんなども深刻な問題です。抜本的対策と、豊洲市場で働く人たちの健康への影響調査を、改めて求めるものです。
わが党は、知事が昨年6月の基本方針で明言した「築地は守る」の公約を守る決断を求めましたが、知事は、昨年6月の方針の主旨は「豊洲と築地の両方を活かす」ことだとすり替えました。
築地市場の建物ついて、ユネスコの世界文化遺産に関する諮問機関の日本国内委員会ワーキンググループ長を務める建築家は「骨格構造を残せば、世界遺産に登録される可能性は十分あると思う」と指摘しています。
いったいどこにオリンピックパラリンピックを招致しながら、その開催地の世界遺産候補地を破壊し、五輪の駐車場にする都市や国があるでしょうか。
築地市場の解体工事は中止すべきです。そして、仲卸業者の要望などにしっかり耳を傾け、今からでも遅くありません。「築地は守る」の立場に立ち返ることを求めるものです。
市場移転問題に、深くかかわる環境局の2つの条例案に、反対の立場から意見を述べます。
第217号議案は、これまで環境局が行ってきた環境アセス審議会での説明を、事業者が自ら行うようにするなどの前進面があります。
しかし一方で、手続き違反をした事業者の名前などを公表するとした条項に、勧告をもりこむ改定についていえば、どんなに悪質な手続き違反を行った事業者であっても、勧告にしたがって手直しさえさえすれば、公表される心配がなくなるというものです。手続き違反を抑止する効果を失わせる危険性があり、制度の重大な緩和となります。
第218号議案の土壌汚染対策に関する改定については、土壌汚染処理基準で判断するのではなく、それよりも3~30倍もゆるい新たな基準を持ち込むこと、埋め立て地では地下水を飲料水に使わないなどの理由で規制の対象から外してしまうことなど、重大な問題があります。
豊洲市場の敷地内の地下水汚染対策が引き続き求められているもとで、埋め立て地を一律、調査や処理の対象から外すことは認められません。
よって、両議案に反対するものです。
五輪経費の縮減と透明化も知事の重要公約です。公約にそったきびしい対応が必要です。
民間施設である日本武道館の改修費に対し、オリンピックを理由に、都が25億4千万円もの負担を決めた問題で、知事は「都民にわかりやすく説明できるよう整理していく」と答弁しました。踏み込んだ見直しを求めるものです。
国民健康保険料、保険税の重い負担や、自民党、公明党を与党とする安倍政権が来年10月に実施しようとしている消費税10%増税などから都民のくらしを守るため、東京都が全力をつくすことが求められています。
ところが知事は、国保料について、全国知事会がつよく訴えている「被保険者の負担が限界に近づいている」ということさえ認めず、制度の見直しは国の責任だという姿勢に終始しました。
わが党が提案したように、東京では約850億円の公費を追加投入すれば、均等割保険料をなくし、一人あたり保険料を年額2万5千円引き下げることができます。持続可能な制度に向け、この道を進むことを重ねてつよく求めるものです。
消費税についても知事の答弁は、「国会で議論されるべきテーマ」「都民生活への影響を注視していく」との答弁にとどまりました。昨年の総選挙で小池知事は、消費を冷え込ませる消費税増税を凍結させる立場を表明していました。
増税の凍結、中止を政府にはっきり要請するとともに、都民の負担増にならない対策を都として講じることを求めておきます。
最後に、安倍政権と政府与党が、東京都の税収から年間9200億円を、国に吸い上げる方針を決めたことに、つよく抗議するものです。
都民生活、都民福祉に甚大な影響を及ぼすものであり、政府と政権与党の責任がきびしく問われることを指摘して、討論をおわります。
以上