本会議 とくとめ道信都議(板橋区選出)の代表質問
9月26日の本会議で、とくとめ道信議員(板橋区選出)が代表質問を行いました。
★質問全文(質問原稿)です。
- 市場移転について
- 高齢者福祉について
- 児童虐待防止対策について
- 教育条件整備について
- 中小企業・小規模企業振興条例について
- 海洋プラスチック汚染対策について
- 防災対策について
- 猛暑対策について
- 調布飛行場について
- 横田基地へのオスプレイ配備について
- 社会資本整備の見直しについて
- 人権条例について
★答弁(議事録速報版より)
- 知事(小池百合子君)
- 教育長(中井敬三君)
- 東京都技監(西倉鉄也君)
- 中央卸売市場長(村松明典君)
- 福祉保健局長(内藤淳君)
- 産業労働局長(藤田裕司君)
- 環境局長(和賀井克夫君)
- 下水道局長(小山哲司君)
- 総務局長代理次長(榎本雅人君)
- 都市整備局長(佐藤伸朗君)
日本共産党都議団を代表して、質問します。
まず市場移転問題です。
小池知事が、「食の安全・安心を守る」「築地は守る」との公約を破り、土壌汚染が残る豊洲市場への移転を強行していることに、わが党は強い怒りをもって抗議するものです。
Q 知事は7月末に、豊洲市場の「安全宣言」を行いました。その後、東京都は、豊洲市場で地盤沈下による、およそ幅10メートル、高さ5センチの舗装のひび割れ、段差が生じていることを発表しました。ひび割れは、10数カ所にわたり確認されています。
市場当局は、1年前に把握していたにもかかわらず、知事にも、専門家会議にも、市場業者にも、認可申請した際に農水省にも報告せず、隠していたことが明らかになっています。
地盤沈下は当初から想定していた、ひび割れは補修するので開業に影響しないと言いますが、土壌や建築の専門家から、原因の科学的究明が必要だとの声があがっています。市場業者の中には、「本当に大丈夫か」という不安、情報隠しへの怒りが渦巻いています。
にもかかわらず知事が所信表明で、この問題にひと言もふれず、説明責任を放棄したことは、驚くべきことです。
地盤沈下によるひび割れの事実を1年前に知りながら、市場業者や都民に公表しなかった都の対応が、知事は、適切だったと考えているのですか。市場業者や都民に謝罪すべきではありませんか。
Q 豊洲市場用地は、東日本大震災の際、108カ所で液状化が起こった軟弱地盤です。都はこの時も、目視で確認しただけで、具体的調査はしていません。
液状化対策を実施済みだと言いますが、地盤沈下を起こすような軟弱地盤では、直下型地震があれば、大規模な液状化が起きると考えるのが当然のことです。知事はどう認識していますか。
Q 都は、地下水のくみ上げが原因ではない、盛り土は沈下していない、盛り土より下にある粘土層が時間をかけて圧縮され、徐々に沈下したことで地盤沈下が生じたと説明しています。しかし、その科学的根拠は示していません。
地盤沈下の範囲や進み方の正確な把握、ボーリング調査による地盤の状態の確認など、科学的調査をきちんとやり、原因を解明する必要があります。知事、そう思いませんか。
Q しかも、盛り土より下にある粘土層というのは、都が水を透さない地層だと説明してきた有楽町層です。
有楽町層が圧縮されて沈下するような地盤であれば、これまでの土壌汚染対策の前提も、環境アセスの前提も崩れ去ることになります。根本から土壌汚染対策の検証をやり直す必要があります。知事の見解を伺います。
Q 7月に発表された地下水調査で、ベンゼンは環境基準の170倍が検出され、環境基準で出てはならない猛毒のシアンも検出されています。いまでも雨が降れば、地下水の水位は上がっています。追加対策をしても汚染物質を完全に封じ込めることはできません。「安全」などと言う根拠はありません。
知事は、専門家会議が豊洲市場の安全性を確認したと言いますが、都の設置要綱にもとづく専門家会議は、昨年6月以降開かれていません。
知事、偽りの「安全宣言」は撤回すべきです。答弁を求めます。
Q 豊洲市場への移転中止を求める声は、いまも広がっています。日本の伝統食文化を考える会・東京連絡会有志の方たちは、1カ月で5千人分の署名を集めて知事に提出しました。
日本科学者会議東京支部は、「安全性の徹底的な検証なしの豊洲市場への移転の中止を求める」要望書を知事に提出しました。
市場業者などによる移転差し止めを求める裁判も起こされました。
知事は、豊洲市場への移転について、市場業者や都民の合意がえられていないことを、どう認識しているのですか。
Q 築地女将さん会は、この1年間に4回の公開質問状と要請を知事に行いましたが、何ひとつ返答はありません。
築地の仲卸の方から「毎晩つらくて眠れない日が続いています」「移転先の安全は、将来にわたって担保されていません。食の安全は命の問題であり、商売の基本です」と言われました。知事は、この思いにどうこたえるのですか。
知事は、わが党の質問に、「反対する方々がいらっしゃるのは知っている。寄り添って丁寧な対応に努める」と答弁しました。この約束を、どう実行するのですか。
Q 豊洲市場は、大手スーパーや外食産業向けの冷凍品や加工品の物流センター、配送センターの機能が中心となるのではありませんか。そうなれば、ひとつひとつの商品の鮮度や品質を見極める、水産仲卸の目利きの力が生かされない危険があります。知事は、どう認識していますか。
Q 都が農水省に提出した事業計画に、収支の計画は入っていません。豊洲市場を開場すれば、毎年100億円の赤字が見込まれています。知事には、巨額の赤字を解決できる見通しがあるのですか。
農水省の認可書が交付されても、問題は何も解決していません。豊洲市場への移転、築地市場の解体を中止することを、強く求めるものです。
都に求められているのは、都民施策の充実に全力をあげることです。
まず高齢者福祉です。
Q 東京の高齢者の国民年金平均受給額は、月額わずか5万4508円です。年額で65万4千円。わずかな年金でくらしている高齢者は、少なくありません。
知事は、今後、高齢者が急増し、物価も住宅費も高い東京で高齢者のくらしを支える課題に、どう取り組むのですか。
知事は、「低所得で暮らす方がいることは私も十分認識しております。そうした高齢者の方々にとりましても、東京を安心してくらせるまちにしていきたい」と答弁しています。この答弁を、どう具体化するのですか。
Q 特別養護老人ホームの整備促進も緊急課題です。
東京は、特養ホームの整備率が全国最低水準です。昨年度までの整備目標の達成率も61%、東京近県の中で最も低いと報道されています。知事は、特養ホーム整備のこの現状を、どう認識し、どう打開するのですか。
認可保育園の整備は前進が始まりました。特養ホーム整備についても、さらなる追加対策が必要です。知事いかがですか。
Q 老朽化した特養ホームを建て替える際の一時移転施設を、都は多摩地域に整備を進めています。23区内では、板橋区内に整備する計画ですが、どう具体化するのですか。
Q 特養ホームの居住費は、多床室では月およそ1万円です。しかし、最近増えているユニット型個室は、低所得の人でも月およそ2万5千円から4万円です。それに加えて、食費や介護サービス費なども必要です。国民年金では、ユニット型個室には入れません。特養ホームに入りたくても、居住費が高くて払えない高齢者が増えています。このような現状を、どう認識していますか。
都が行っている多床室の整備費補助の拡充、ユニット型個室の居住費への助成をはじめ、国民年金でも安心して、特養ホームに入れるようにする必要があります。いかがですか。
Q 団塊の世代が75歳を迎える2025年には、東京で介護人材が3万5千人も不足すると推計されています。
いま本格的対策に着手しなければ、介護難民が続出します。特養ホーム整備も、介護人材確保なしには進みません。この問題を、知事はどう認識していますか。そして、どう対応するのですか。
国も都も介護職員の処遇改善のための制度や、職員宿舎借り上げ支援などの人材確保策を行ってきましたが、さらなる賃金の改善をはじめとした追加対策が必要です。知事いかがですか。
Q 認知症への支援は切実な課題であり、知事が認知症診断を無料にすると言明したことは重要です。しかし、認知症と診断された後の支援の充実と合わせて進めることが重要です。認知症が初期のうちは、介護サービスを使うことはなく、支援の空白が生じています。認知症の診断にショックを受け、不安で家に閉じこもりがちになるケースもあります。
認知症診断の無料化と同時に、診断直後に専門家が訪問し、生活支援などの調整を行う「リンクワーカー制度」や、認知症の当事者同士が支え合う「ピアサポート」など、切れ目なく支援する取り組みが必要です。知事いかがですか。
次に、児童虐待防止対策です。
Q 特別区が児童相談所を設置することができるようになり、世田谷、江戸川、荒川の3つの区は2020年度の開設をめざし、その他の区も準備に入っています。
区立児童相談所は、区が実施している子育て支援事業や、小中学校、幼稚園、保育園との連携がとりやすいことなどが、期待されています。
一方で、児童福祉司をはじめとする専門職員の確保、児童養護施設や、一時保護所との広域的連携、都の児童相談所と区立児童相談所との情報共有など、課題も山積しています。これらの課題の解決が、区立児童相談所の前提です。都が役割を発揮して、全力で支援する必要があります。
知事は、区立児童相談所をめぐる課題について、どう認識し、対応するのですか。
Q 児童虐待への東京都の対応力強化にむけ、児童福祉司などのいっそうの増員、都の児童相談所、一時保護所の増設・拡充、社会的養護の体制強化などが必要です。知事いかがですか。
次に、教育条件整備について伺います。
Q 今年、多くの小中学校で、新年度が始まる4月に「担任がいない」「先生が足りない」という、深刻な事態が起きました。
新規採用教員が不足し、学校が必死に教員免許をもつ人を探しまわる状況です。教員探しで副校長先生が、100件以上電話をかけるのは普通のこと。4月からそんな状況ですから、年度途中で産休に入る先生の代わりを、見つける見通しがないと悲鳴があがっています。
板橋区のある小学校では、3月末に1学級増えることがわかりました。ところが都教委から先生が配置されず、学校でも新しい先生を見つけられず、結局、校長先生がクラスの担任に入りました。その後、何とか先生を見つけることができましたが、今度は隣のクラスの先生が産休に入ったため、校長先生が、そのクラスの担任をしている状況です。
先生が足りないことによる学校の負担と、子どもたちへの影響は、図り知れません。
このような教員不足は、あってはならない事態だと思いますが、知事の見解を伺います。
Q また、今年の年度当初、東京全体での教員の欠員は何人でしたか。
Q 教員配置は都教委の仕事であり、学校に負担をかけないよう責任をもって行うべきです。教員が不足した原因をどのように分析し、どのように改善を図るのですか。
Q 教員を確保し、教員不足をなくすには、教員志望の若者を増やすこと、定年前に退職する教員や、高止まりする精神疾患を含めた、病気休職者を減らすことが必要です。ブラックといわれる教員の働き方を改善し、熱意や専門性を生かせる職場にしていくために、定数改善や少人数学級の拡大、教員の仕事の思い切った削減などが必要です。いかがですか。
Q わが党は、義務教育の無償という点からも、食育や子育て支援、子どもの貧困対策という点からも、小中学校の給食費無償化を求めてきました。全国でも給食費無償に取り組む自治体が広がっています。
知事は、学校給食の意義と無償化について、どう認識していますか。
Q 給食費無償にむけて区市町村を支援すべきです。知事いかがですか。
次に、中小企業・小規模企業振興条例について伺います。
Q 第4回定例会への提出にむけ、条例案が検討されていることを、歓迎するものです。全国の優れた条例に学びながら、現場の実態と要望を反映させることが大事です。
たとえば、長野県の条例の前文では、中小企業の役割を明確にしたうえで、「中小企業が挑戦し、中小企業が発展していく物語は、未来を担う子どもたちに夢と希望を与えるに違いない」「中小企業者が未来への希望を持ち、新たな挑戦を行うことにより、一層発展することを目指して、この条例を制定する」と宣言しています。これが関係者を激励し、歓迎されています。
中小企業・小規模企業の役割について地域の一員としての役割を具体的に明確にして、応援する都の姿勢を具体的に示し、実際に役立つ、魂の入った条例にするべきです。知事の認識を伺います。
Q 条例を検討している有識者会議で、「中小企業が生産性を向上させても、公正な取引慣行の確立がなければ、経営の安定成長にはつながらない」という発言がありました。中小企業・小規模企業の共通する思いです。
公平・公正な取引を脅かす状況に対する知事の指導権限を、条例に盛り込むべきです。いかがですか。
次に、海洋プラスチック汚染対策です。
Q 2050年には海洋プラスチックごみの総重量が、世界中の海の魚の総重量を超えると試算され、人体にも自然環境にも深刻な影響を与えることが懸念されています。
G7首脳会談で、この問題の打開にむけ海洋プラスチック憲章が提唱されましたが、日米両首脳は署名を見送りました。これに対し、小池知事が憲章への支持を表明したことは重要です。
海洋プラスチック憲章は、期限と目標を定めて、プラスチックの削減、再使用、リサイクルを進めることを、重視しています。日本で主流のサーマルリサイクル・焼却処分は、EU諸国ではリサイクルと認識されていません。憲章でも代替手段のない場合に限定されています。
都として、憲章にそった施策の立案・推進が必要です。知事いかがですか。
Q 東京湾や島しょ近海で、海洋プラスチックごみの量、種類、形状などの継続的な実態調査を行うべきです。また、水再生センターの放流水に含まれているマイクロプラスチックの調査も必要です。見解を伺います。
Q プラスチックの使用削減に、知事はどう取り組むのですか。微生物により分解されるプラスチックや、紙製などを含めた代替材料の開発・製造の奨励、支援も必要です。知事いかがですか。
この間、大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震など、大規模災害が相次ぎました。亡くなられた方々にお悔やみと、被害者のみなさんにお見舞いを、心から申し上げるものです。
まず、豪雨水害対策について伺います。
Q 的確で迅速な避難のため、「いつ」「誰が」「何をするか」に着目した防災行動計画タイムラインの早期策定と普及促進が重要です。
知事は、区市町村のタイムラインや、個人や家庭のマイタイムラインの策定を呼びかけ、支援を表明しましたが、具体的にどう進めるのですか。
実効性あるタイムラインを早くつくることが必要です。認識と対応を伺います。
Q 雨水浸透マス、各種貯留施設、透水性補装などにより、川や下水道に流れ込む雨水の量を減らす、総合治水対策が重要です。世田谷区が取り組むグリーンインフラも注目されています。都内全域で総合治水対策が進むよう、都の予算を大幅に増やし、区市町村への支援をさらに拡充することが必要です。いかがですか。
Q 避難所や老人ホームなどの要配慮者利用施設のなかには、土砂災害警戒区域内に建てられているものが少なからずあります。都として早期に警戒区域内の避難所や要配慮者利用施設の有無などについて調査を進め、対策を講じる必要があると思いますが、いかがですか。
次に、震災対策です。
Q 都内区市町村では、住宅のブロック塀の倒壊防止、撤去、生け垣の設置などへの助成の拡充、創設が広がっています。都として財政支援すべきですが、いかがですか。
Q 知事は、地震による通電火災防止への感震ブレーカーの有効性を、どう認識していますか。都内の自治体でも助成制度が広がっています。都として設置への補助制度を創設すべきです。知事いかがですか。
Q 災害のたびに問題になる、避難所の不十分な環境について、知事はどう認識していますか。
1人あたりの面積、トイレの数などを定めた、避難所の国際基準が重要です。すでに徳島県は、避難所設置運営指針に国際基準の一部を盛り込みました。
国際基準にもとづく避難所設置運営指針の改善と区市町村への支援が必要です。知事いかがですか。
Q 災害時の電力確保のためにも、豪雨災害の根底にある地球温暖化を防止するためにも、小規模分散型の再生可能エネルギーの普及と活用が求められます。知事の認識と対応を伺います。
次に、猛暑対策です。
Q 知事は所信表明で、学校におけるさらなる暑さ対策に取り組むと表明しましたが、具体的にどう取り組むのですか。
なかでも学校の体育館の冷房化は、待ったなしの課題です。知事はどう認識していますか。
来年の夏に間に合わせるため、補正予算を組むことも含めて、直ちに取り組むことが必要です。知事いかがですか。
東京2020大会の開催時期見直しも必要です。
Q 1964年の東京オリンピックは、「盛夏の時期は、選手にとって最も条件が悪いうえに、多数の観衆をいれる室内競技場のことを考えると最も不適当」だとして、10月中旬に開催されました。
近年の猛暑は、当時と比較にならない深刻なものです。「こんなに暑い時期にやるのは、アスリートファーストと言えるのか」「観客もボランティアも熱中症で倒れてしまう」など、心配の声があがっているのは当然のことです。
知事は、猛暑の時期の開催が、アスリートファーストの五輪の開催時期としてふさわしいと考えているのですか。率直な認識を伺います。
Q この夏は、朝7時でも熱中症指数が「厳重警戒」、朝9時には「運動は原則中止」のレベルになる日が相次ぎました。競技の開催時間を早くするなどの対策は、焼け石に水です。
IOCが開催時期を夏と決めたのは、アメリカのテレビ会社の放映権料のためだと言われています。今後、オリンピック・パラリンピックを健全に発展させていくためにも、酷暑になることが想定される開催都市・東京都が、開催時期の見直しという問題提起をすべきです。知事いかがですか。
Q 調布飛行場における自家用機の運行自粛要請を都が解除したことに、批判が広がっています。地元の市議会では、「あまりにも拙速」などの声が相次ぎ、市民から「飛行機の音がするだけで、3年前の事故を思い出す。安心して暮らせない」との声があがっています。被害者の家族は、「都からの謝罪がない。まだ解決していない」と発言しています。この声をどう受け止めますか。自家用機の自粛要請解除を撤回すべきです。知事の答弁を求めます。
Q 米軍は、CV22オスプレイを10月1日から横田基地に正式配備すると、一方的に通告してきました。すでに、とき、ところ構わず訓練が繰り返されており、不安が広がっています。
沖縄の普天間基地周辺では、相次ぐ落下物の事故などを受け、米軍機が学校上空に接近する度に、児童が校庭から走って校舎に避難する異常な事態となっています。
横田基地も周辺3キロ以内に、学校が30校以上あります。CV22オスプレイは、特殊作戦のための危険な訓練を繰り返すため、事故率が特別に高い欠陥機です。住宅密集地で事故が起きれば、取り返しのつかない事態となります。都と基地周辺の5市1町は、「安全性への懸念がぬぐえない」と表明しています。
知事は、横田基地にCV22オスプレイが正式配備されることの危険性を、どう認識していますか。
Q 度重なる無法な訓練に対し、5市1町だけでなく、清瀬市や埼玉県なども抗議の声をあげています。こうした自治体と力を合わせて、横田基地へのオスプレイ配備撤回を、国および米軍に、つよく迫るべきです。知事いかがですか。
Q 地元自治体の同意もなくオスプレイの配備を強行し、事前説明もなく訓練や飛行を繰り返す、こんなことを続けさせるわけにいきません。知事はどう考えますか。
全国知事会が、全会一致で日米地位協定の抜本的見直しを求める決議をあげたことは、きわめて重要です。不平等な日米地位協定の見直しにむけ、知事はどう取り組むのですか。
次に、社会資本整備の見直しについて伺います。
Q 7月に、「都市計画道路の在り方に関する基本方針」の「中間まとめ」が発表されました。その前書きに、「社会経済情勢や道路に対する都民ニーズは、日々変化」「多様化」しているため、都市計画道路の検証を不断に行っていく必要があると書かれたことは重要です。
都市計画道路について知事は、わが党の代表質問に対し「見直すべきものは大胆に見直す」と答弁しました。知事は今後、「大胆な見直し」に、具体的にどう取り組むのですか。
Q 一方、「中間まとめ」の本文は、前書きの考え方をふまえているとは言えません。
見直しの柱は、「おおむねできている道路を、計画の幅までさらに広げるべきか」「道路計画が、都市計画公園など他の都市計画と重なっている場合、計画通りでよいのか」などに限定されています。社会経済情勢の変化や都民ニーズの変化・多様化の観点はありません。
全国の道府県の見直しでは、そのほとんどで、商店街への影響、地域コミュニティの分断、住民の意向、自然環境への影響などの観点を設け、「実現性」があるかどうかを、検証しています。
ところが都は、過去4度の都市計画道路の見直しで、一度も「実現性」について検証していません。
今回の見直しでは、商店街やコミュニティへの影響や住民の意向など、「実現性」に関する検証を取り入れることが必要です。いかがですか。
Q 見直しの対象から、認可済みの道路や、優先整備路線を除いていることも大問題です。
板橋区を通る補助26号線は、認可がおりていますが、全国有数の商店街である大山ハッピーロードを分断し、東武東上線と平面で交差するため渋滞もひどくなるという計画で、反対の声が強く、用地取得も進んでいません。
立川市の立川3・3・30号線は、優先整備路線ですが、苦労してつくってきた地域のコミュニティを分断することから、反対の声が広がっています。
見直しの対象を、認可済み路線や、優先整備路線にも広げるべきです。いかがですか。
Q 知事が所信表明で、首都高日本橋区間の地下化の具体化を表明したことは重大です。
全国紙でも、「費用と効果の見極めを」と、慎重な対応を求める社説が出されています。
今回の計画は、事業区間1・8キロで、事業費3200億円と見込まれています。1メートルあたりの事業費1億8千万円。外環道の1・8倍です。八重洲線の補強など、現在の事業費に含まれていないものもあり、費用は今後さらにふくらみます。
知事、このような事業は、立ち止まるべきではありませんか。
Q 「日本橋に青空を」という40万人を超える署名運動が、地下化計画の出発点のひとつとされています。しかしこの署名は、地下化でなく、「首都高の補強やつくりかえの在り方を検討し、首都高環状線の撤去をふくむ抜本的な対応策の確立」を求めています。
署名に取り組んだ住民の方は、「地下化を望んだわけではない」と話しています。
住民の願いを逆手にとるような地下化でなく、首都高の補強や造りかえの在り方を検討して、その撤去を含む抜本的な対応策を確立する検討を、都民参加で行うべきです。いかがですか。
最後に、今定例会に提出された人権条例です。
日本共産党都議団は、よりよい条例にするために、憲法を据えること、啓発だけでなく教育を位置づけること、都民参加による推進、差別禁止を明記する必要性、などを提案してきました。これらが条例案に反映されたことを、評価するものです。
また第4条に、「都、都民及び事業者は、性自認、及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない」と位置づけられたことも重要です。
条例案のヘイトスピーチ規制について、質問します。
Q ヘイトスピーチへの規制は、憲法が保障する言論・表現の自由を守る立場を堅持するとともに、ヘイトスピーチ規制法にもとづいて規制対象を明確にすることが重要です。見解を伺います。
Q 条例案の第11条で、「知事は、公の施設において不当な差別的言動が行われることを防止するため、公の施設の利用制限について基準を定める」とされています。
一方、地方自治法第244条2項は、「地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」としています。
知事が定める基準は、この法の規定を厳格にふまえることが必要です。いかがですか。
また基準を定める際、条例で設置される審査会の意見を聞く必要があると思いますが、見解を伺います。
Q 知事は、関東大震災における、朝鮮人虐殺犠牲者追悼式典への追悼文送付をとりやめ、今年も送付しませんでした。多くの都民の批判と失望を呼んでいます。
知事は、関東大震災における朝鮮人虐殺は、歴史の事実であり、重大な人権侵害だと認識していますか。
こういうことを繰り返さない決意を示すことこそ、人権尊重条例の前提ではありませんか。今でも災害が起きるたびに、SNSへの悪意のある書き込みなどが行われており、過去の問題ではありません。知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。
【答 弁】
〇知事(小池百合子君) とくとめ道信議員の代表質問、三十問にお答えをいたします。
水産仲卸売場棟の西側バースのひび割れについてでありますが、建物周りの地盤が徐々に沈下したことで生じたものと報告を受けております。
このような沈下は、盛り土を行った場合には一定程度生じるもの、そして時間の経過とともに収束すると聞いております。今後、大幅な沈下、そして突然の陥没等につながるものではなく、安全性の問題や市場業務への影響は生じないものと考えております。
市場当局は、安全性や市場業務に支障がないとして、業界の方々に情報提供しなかったとしておりますが、市場業者の方々から心配の声も寄せられております。利用される方々の目線に立って、丁寧な対応を行うよう、改めて指示をしたところでございます。
都といたしましては、市場業者の安心に資するという観点から、開場までに必要な補修を実施する予定でございまして、こうした方針につきましては、市場業界にもご説明をしたところでございます。
豊洲市場の用地における地盤沈下につきましては、過去に調査も行われており、この結果を踏まえて工事が進められてきたところであります。
今回のような沈下は、盛り土を行った場合、一定程度生じるもので、時間の経過とともに収束するとされております。
沈下に伴うひび割れで、安全性の問題や市場業務への影響が生じることはなく、都として改めて調査をする考えはないということでございます。
豊洲市場の用地について、改めて設置した専門家会議におきまして、安全宣言は大気や地下水の客観的データなどを踏まえて、詳細に調査、検証していただき、法的、科学的な安全性が確認されました。
その上で、専門家会議の提言を踏まえて、地下ピットの換気、床面のコンクリートの敷設、地下水管理システムの機能強化といった追加対策工事を実施してまいりました。
追加対策工事の有効性につきましては、専門家会議に工事の施工状況や空気測定結果などのデータを確認していただいた上で、将来のリスクを踏まえた安全性が確保されたと確認したと評価いただいたところでございます。
これらを踏まえまして、豊洲市場は安全であり、安心してご利用いただける旨を私からお伝えしたものでありまして、先日には農林水産大臣の認可も受けたところでございます。
現状の検証、必要な対策、確認という一連のステップを経ることで、豊洲市場のさらなる安全性の向上が図られたものと考えております。
豊洲市場への移転につきましては、築地市場の抱える老朽化や狭隘化等の課題を踏まえまして、長年にわたるさまざまなご議論、調整を経て、多くの関係者のご理解、ご協力をいただいた上で実現をするものでございます。
私自身、知事就任以来、食の安全・安心の確保が最重要課題との認識のもとで、豊洲市場の現状の検証、必要な対策、その確認という一連のステップを一つ一つ着実に前に進めてまいりました。
また、築地市場をしばしば訪問いたしまして、市場業者の方々のご意見を直接お伺いするなど、業界の方々には真摯に向き合いながら、移転問題に取り組んできたところでございます。
こうした過程を経ることで、多くの市場業者や都民の皆様のご理解をいただけたものとして、十月十一日、豊洲市場を安全・安心な市場として開場してまいります。
そして、市場業者の中には、移転につきましてさまざまな思いを抱いている方々がおられることは承知をいたしております。
こうした方々の食の安全・安心への不安を払拭するためにも、検証、対策、確認というステップを経まして、安全・安心な市場として開場するための条件を整えた上で、農林水産大臣への認可手続申請を進め、そして先ほど申し上げましたように、今月十日、認可を得たところでございます。
築地市場に私も訪問をいたし、市場業者の方々の声、直接伺うとともに、市場当局におきましても、移転に向けたさまざまなご相談の対応、そして支援策に取り組むなど、真摯に向き合ってきたところでございます。
引き続き、市場業者の方々に寄り添いながら、移転に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
卸売市場は、卸売業者が全国から生鮮食料品等を集荷して、仲卸業者が適切に評価して買い受け、小売店等の実需者ニーズに応じて小分けするなどの機能を持つ生鮮食料品流通の基幹的インフラでございます。
豊洲市場は、こうした機能を有し、高度な衛生管理、効率的な物流を実現する目的で整備をいたしました。
したがって、豊洲市場におきましても、これまで築地市場で培ってまいりました水産仲卸業者の目ききの力や、卸売業者の集荷力といった役割が適切に発揮されるものと考えております。
これまでの築地市場の伝統をしっかりと引き継いで、豊洲市場を日本の中核市場として育てていきたいと考えております。
次に、高齢者の暮らしについてのご質問がございました。
低所得で暮らす方がおられることは十分認識をいたしております。
高齢者の誰もが、可能な限り住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるようにする、そのためには適切な住まいや医療、介護、生活支援サービス等を地域の中で一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が必要でございます。
都は、本年策定いたしました高齢者保健福祉計画に基づいて、介護サービス基盤の整備、認知症の施策や介護人材対策の一層の推進など、低所得の方への支援も含めまして、さまざまな高齢者施策を展開いたしております。
特別養護老人ホームの整備についてでありますが、都は、特別養護老人ホームの整備目標を高齢者人口の将来推計、区市町村のサービス見込み量を踏まえて定めているところでございます。
本年策定いたしました第七期の高齢者保健福祉計画では、二〇二五年度までの整備目標を六万二千人へと引き上げております。
都は、独自の施設整備費の補助、土地賃借料の負担軽減など、さまざまな支援策を講じておりまして、区市町村のニーズを踏まえながら、特別養護老人ホームの整備を進めてまいります。
安心して介護サービスを利用できるようにしていくためには、人材の確保、定着、育成が大きな課題であると認識をいたしております。
都は、これまで介護人材の確保を図るため、職場体験、資格取得支援など、取り組みを実施しておりまして、今年度からは介護事業者が職員宿舎を借り上げる場合の補助を地域密着型サービス事業者にも拡大をするなど、施策の充実を図っているところでございます。
本来、介護事業というのは、サービス提供の対価として事業者に支払われる介護報酬などにより運営されることは基本でございます。そのために、都は国に対しまして、事業者が介護人材の確保、定着を図って、健全な事業運営を行うことができる報酬とするように、繰り返し提案要求をしているところでございます。
認知症は、早く気づいて治療を開始すれば、進行をおくらせたり、病状を改善することが可能な場合があります。早期の対応や治療に向けた取り組みが重要であります。
そのため、都といたしまして、認知症の疑いのある方を訪問し、早期に医療や必要なサービスにつなげる認知症支援コーディネーターの配置をしたり、認知症の方とそのご家族が交流をして、医師などに相談できる拠点づくりに取り組む区市町村の支援をしております。
今後とも、認知症になりましても地域で安心して暮らすことができるように、施策の充実を図ってまいります。
児童相談でございますけれども、特別区の児童相談所の設置で、都といたしまして、子供に対するさまざまな相談に対し、児童相談所と区市町村の子供家庭支援センターが連携、協働して対応しているところでございます。
児童相談所につきましては、平成二十八年の児童福祉法の改正によりまして、市と同様に特別区も設置できるようになっております。
都は、特別区の求めに応じて特別区職員の研修派遣を受け入れる、そのほか児童相談所の運営に関する勉強会を開催しております。また、今年度から、都区間で児童養護施設や一時保護所などの広域利用についての協議を開始いたしております。
現在、各区で人材の確保や育成、一時保護所の運営等を初めとした設置に係る課題についての検討が行われておりまして、今後とも子供たちの安全・安心の確保の観点から、特別区の取り組みを支援してまいります。
児童虐待に関してでございますが、深刻化する児童虐待に的確に対応するため、児童福祉司等の増員、一時保護所の定員拡充など、児童相談所の体制の強化に取り組んできております。今般の緊急対策におきましても、児童福祉司等十九名、年内に確保することといたしております。
また、さまざまな事情で親元で暮らせない子供さんたちを支援するために、養育家庭や児童養護施設などへの独自の支援も行っております。
今後とも、こうした取り組みを進めて、児童虐待への対応力の強化を図ってまいります。
教員不足の点でありますが、未来をつくる子供たちの成長のためには、学校における良好な学習環境を整えることは極めて重要でございます。そのためには、教員の確保が必要となります。
今年度当初、小学校におきまして、児童数の変動などによって必要な教員数が増加したため、教育委員会では、区市町村教育委員会や学校と連携を図りながら、期限つき任用教員を広く募集したと聞いております。
今後とも、教育委員会と力を合わせまして、教員を目指す若者にとって、東京の公立学校が魅力あるものとなるように取り組んでまいります。
小中学校の学校給食の意義と無償化についてのご質問がございました。
栄養バランスのとれた学校給食というのは、子供たちの健やかな成長に資するとともに、生産者の思いやマナーを学ぶ食育の機会でもございまして、食に対する正しい理解や望ましい食習慣の形成等にとっても重要であります。
現在、学校給食費は、法に基づいて保護者の負担とされております。学校給食実施者である区市町村が、保護者負担の軽減策なども含めて決定をいたしております。
続いて、中小企業に関してでありますが、都内の企業数の九九%を占める中小企業や小規模企業は、東京の経済や雇用を支えて、地域に活力をもたらす重要な役割を担っております。
経済のグローバル化やIT技術等の進展で、産業構造の大きな転換が予想される中で、こうした中小企業の一層の振興を図るため、その理念を示す条例の制定や、中長期的な取り組みを盛り込みましたビジョンの策定に向けて、現在、有識者会議でさまざまな議論を重ねているところでございます。
それぞれの委員からは、それぞれの立場から、中小企業は事業活動を通じて地域社会の発展や住民生活の向上に貢献する不可欠な存在だとの意見が数多く出されておりまして、そうした内容を条例の中にしっかり反映していくことが必要でございます。
現在、条例の基本的な考え方につきましては、都民から幅広く意見を募っておりまして、引き続き有識者会議でも議論を行って、その内容に磨きをかけまして、中小企業の一層の発展を目指してまいります。
次に、海洋プラスチックの汚染対策でのご質問でございます。
憲章に沿った施策の立案、推進、プラスチックの使用削減の二点でございますが、四方を海に囲まれた島国である我が国にとりましては、海洋プラスチック問題は極めて重要な課題であり、都として、いち早く海洋プラスチック憲章を強く支持する旨を表明したところでございます。
この問題に関しましては、国では、中環審、中央環境審議会において検討が始まったほか、来年度の概算要求におきまして、プラスチックの代替素材等の開発について、産業界と連携した実証実験を予定していると聞いております。
これに対して、これまでもレジ袋などの削減に取り組んできた都として、プラスチック問題を広く都民とともに考えていくため、プラスチックストローの削減につながりますアイデアの募集を広く行っているほか、先月は、廃棄物審議会にプラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方について諮問したところでございます。
今後は、国内のみならず、世界的な動向も見ながら、使い捨てプラスチックの削減やリサイクルの推進など、都独自に講ずべき対策につきまして、審議会において広く検討を進めるなど、総合的なプラスチック対策に取り組んでまいる所存でございます。
感震ブレーカーは、地震発生時の電気火災防止には一定の効果があると認識をいたしておりますが、一方で、揺れと同時に電源が遮断されることで、特に夜間の避難に必要な照明等が確保できないものもございます。在宅医療の機器を使用している場合などは、設置に際し、その機器の特徴を十分理解しておく必要がございます。
また、火災の被害を防止するためには、初期消火力の強化や木造住宅密集地域の不燃化など、延焼を防止する対策とあわせた多面的な取り組みが重要となってまいります。
都としては、「東京くらし防災」などにおいて、感震ブレーカーを漏電遮断器や消火器の備えつけなどとあわせまして設置するよう周知を図るなど、引き続き震災時の防火対策を推進してまいります。
小規模分散型の再生可能エネルギーについてでありますが、東京の低炭素化の面からも、また、防災力の向上の面からも有効と考えます。
このため、都といたしまして、東京ソーラー屋根台帳を活用して、都民、事業者に対して、既存の建物への太陽光発電などの普及を進めているところであります。
また、事業所への自家消費型の再生可能エネルギー設備の導入、バス停へのソーラーパネルの設置を支援するとともに、区市町村が行います防災拠点等への再生可能エネルギーの導入などに対する支援をこれまで行っております。
今後とも、こうした取り組みで、スマートシティーはもとより、セーフシティーの実現の観点からも、再生可能エネルギーの普及とその活用を図ってまいります。
学校体育館についてでございますが、体育の授業や学校行事、部活動など、子供たちが安全に活動を行う場であるとともに、避難所としての役割も担っております。猛暑による熱中症への対策として、体育館に空調設備を整備する必要があると認識をいたしておりまして、今後、都立高等学校の体育館への整備を速やかに進めてまいります。
また、公立小中学校の体育館につきましても、国や区市町村との役割を踏まえつつ、体育館への空調設備の整備が進むよう、補正予算を編成するなど緊急的な対応を行い、区市町村を支援してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、学校の特別教室につきましては、都はこれまで、国や区市町村と連携しながら、空調設備設置を行ってまいりましたが、今後も設置対象となる特別教室についての整備の推進には努めてまいります。
東京二〇二〇大会の開催時期についてご質問がございました。
IOCは、大会の立候補受け付けに際しまして、オリンピック大会の開催期間を七月十五日から八月三十一日までの期間内で設定するように定めておりました。
東京が立候補するに当たりまして、夏季休暇の期間中で公共交通機関や道路が混雑しないこと、そしてボランティアや子供たちなど、多くの人々が参加しやすいなどの理由から、現在の七月二十四日から八月九日を開催期間としたものであります。
IOCからも、二〇二〇年大会招致に際して、十月開催を提案し、落選した都市に対する意見として、七、八月は人々が余暇に充てる時間が十分で、多くの観客に見ていただける、一方で、十月の開催は、他の大規模スポーツイベント等と競合するなどの見解が示されております。
なお、都といたしましては、暑さ対策が最重要課題の一つであると認識をいたしておりまして、オール都庁で取り組むべく、副知事をトップに全庁的な検討チームを立ち上げまして、断熱性舗装や街路樹の緑陰拡大などを引き続き進めるとともに、ラストマイルにおける取り組みなど、ハード、ソフトの両面から一層の対策を講じてまいります。
開催時期の見直しについてでございますが、ただいまご答弁させていただいたような理由から、IOCによって決められたものでございます。
また、既に世界の主要なスポーツイベントは、オリンピックの開催時期との重複を避ける形で日程が組まれておりまして、開催時期の変更は国際的に及ぼす影響も大きく、極めて困難との認識を持っております。
調布飛行場の自家用機の運航についてでありますが、調布飛行場は、島しょと本土を結ぶ離島航空路の重要な拠点となっております。一方で、市街地に立地をしておりますので、その運営に当たりましては、地元住民の理解、協力が極めて重要であるとの認識を有しております。
平成二十七年の小型自家用機の墜落事故以降、都は、事故原因が究明され、それに伴う再発防止策が図られるまでの間、自家用機の運航自粛を要請することとし、これまで継続をしてまいりました。
この間、都は、国の運輸安全委員会の報告で明らかになった事故原因を踏まえまして、再発防止等に必要な安全対策を整備いたしまして、また、万が一の墜落事故に備えまして、住宅の建てかえ等に必要な資金についての支援をする制度も創設をいたしました。
こうした都の取り組みをもとにして、地元市等との協議も踏まえて、自家用機の運航自粛要請を継続しないことといたしましたが、今後とも被害を受けられた方の生活再建に向けて真摯に対応していくとともに安全対策に万全を期しまして、地域住民の不安解消、理解促進に努めてまいります。
オスプレイの安全性でございますが、安全保障に関することは、そもそも国の専管事項でございます。オスプレイを含む米軍機の安全確保は、国が責任を持って行うべきことと考えております。
米軍機に事故や緊急着陸が発生しているほか、正式配備の前からオスプレイが飛行を繰り返していることなど、基地周辺住民の皆様が不安を感じていることは承知をいたしております。
このため、都は、オスプレイの配備に当たりまして、地元自治体とともに安全対策の徹底を国と米軍に対して要請しております。
国は、オスプレイの機体につきまして、十分な安全性が確保されているとした上で、横田基地への配備に当たり、米側に対しまして、安全面に最大限の配慮をすることや、地元に与える影響を最小限にとどめることなどを求めていくこととしております。
今後も都民の生命、安全・安心を守る立場から、国や米軍に対しまして必要なことを申し入れをしていく考えでございます。
そして、横田基地への配備についてですが、アジア太平洋地域の安全保障環境は、依然不透明な状況が続いております。そうした中で、日米安全保障体制は、我が国のみならず、地域の平和と安定のために重要な役割を果たしており、横田基地もその一翼を担っているものでございます。
米軍基地につきましては、国の安全と周辺地域の安全、その両方を考える必要がございまして、安全保障に関することは国の専管事項ではございますが、米軍の運用に当たっては、周辺住民の生活に最大限の配慮が払われなければなりません。
このため、都は、オスプレイの横田基地への配備計画が発表された後、地元の自治体とともに、安全対策の徹底、生活環境への配慮などを複数回にわたって国、そして米軍に要請をしております。
昨日も、十月一日の正式配備に向けまして、訓練などに関する情報提供や安全対策の徹底などにつきまして改めて要請を行っております。配備後も、引き続きこのような必要な働きかけを行ってまいります。
そして、日米地位協定でありますが、安全保障に関すること、改めて国の専管事項であると申し上げますが、米軍の運用に当たりましては、周辺住民の生活に最大限の配慮が払われなくてはなりません。
このため、都といたしまして、米軍の運用につきましては、日米地位協定の見直しなどを含めて、他の自治体とも連携しながら、国、米軍に要請を行ってまいりました。
そして、ことしの七月ですが、全国知事会議におきまして、環境法令など国内法の適用や、事件や事故のときの自治体職員の立ち入りの保障など、日米地位協定の見直しを含めました米軍基地負担に関する提言を全会一致で決議をいたしております。
米軍基地所在の都道府県で構成いたします渉外知事会におきましても、日米地位協定の見直しを特別要望として国に要望しております。
今後も、知事会などを通じまして、他の自治体と連携しながら、日米地位協定の見直しを国に要請してまいります。
都市計画道路の見直しについてでありますが、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支えて、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
これまで、都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるために事業化計画を策定いたしまして、あわせて見直しを適宜行ってまいりました。
平成二十八年三月に策定いたしました現行の計画でも、廃止、縮小など計画を見直すべき路線や、計画内容を再検討する路線を示しております。このうち補助第九八号線など複数の路線について廃止の手続を進めております。
現在、優先的に整備すべき路線を除きます未着手の都市計画道路を対象として、そのあり方についての検討を進めているところであります。本年の七月には、中間のまとめといたしまして検証の視点などを公表して、パブリックコメントも行っております。
今後、これを踏まえまして、個々の路線を対象とした検証を実施いたしまして、計画変更等の方針を示していく。
今後とも、見直すべきものは大胆に見直す一方で、地元の理解と協力を得ながら、必要な都市計画道路を精査した上で、着実に整備を進めてまいります。
首都高でありますが、日本橋周辺の首都高の地下化は、いわゆるインフラの見えない化でございます。品格ある都市計画の形成や歴史、文化、さらには水辺を生かした都市の顔づくりなど、東京の価値を高める一つの象徴と考えます。
都は、本年七月、国、地元区、首都高速道路株式会社とともに地下化の計画案を取りまとめて、実現に向けて大きな一歩を踏み出しております。
今後は、関係者とともにコストを精査しながら、計画の具体化を進めまして、日本橋周辺が国際金融拠点にふさわしいまちに生まれ変わるように取り組んでまいります。
関東大震災におけます朝鮮人虐殺に関してでございますが、この件はさまざまな内容が史実として書かれていると承知をいたしております。何が事実かにつきましては、これまで申し上げてきたとおり、歴史家がひもとくべきだと考えておりまして、私は東京都知事として、東京で起こった甚大な災害と、それに続くさまざまな事情で亡くなられた全ての方々に対しまして、哀悼の意を表するところでございます。
オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例制定の意義でございますが、多様性が尊重されて、温かく優しさにあふれる東京の実現には、人権を尊重するということが必要であります。
こうしたことから、東京二〇二〇大会の開催都市として、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民に浸透した都市としていくために、今般、条例を制定して必要な取り組みを推進することといたしました。
この条例化を通じて、人権尊重の理念の浸透を加速させまして、東京に集う多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重され、誰もが認め合う共生社会を実現していくという考えでございます。
以上、三十問でございますが、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕
〇教育長(中井敬三君) 四点の質問にお答えいたします。
まず、今年度当初の教員の欠員についてでございますが、教員の欠員は、病気休職等さまざまな事由により日々発生しており、その都度、補充の承認に係る申請が区市町村教育委員会から提出され、同時に、各区市町村において欠員補充のための採用面接や、その後の内申等の任用手続も並行して行われている状況にございます。
このことから、特定時期における正確な不足数の把握はできませんが、ことし四月六日の時点で、正式な任用手続中の者も含め、小中学校合わせておおむね二百八十人の不足が出てございました。
なお、その後、新たな欠員も生じておりますが、六月ごろにはおおむね平年ベースの数となったところでございます。
次に、今年度当初に教員が不足した原因等についてでございますが、今年度に必要とする教員数は前年度の十月に推計を行い、不足分を新規採用教員で確保しております。
しかし、今年度当初は推計の算定要素となる児童生徒数が増加し、また、再任用者数は予想を下回る等の変動が大きかったため、実際の必要数と乖離が生じたものでございます。
今後、必要な教員数の推計に当たっては、区市町村教育委員会から詳細な情報を収集し的確な予測に努めるとともに、年度途中に欠員が生じた場合には、期限つき任用教員制度の活用を図り、適切に対応してまいります。
次に、教員確保に向けた今後の取り組みについてでございますが、都教育委員会では、これまで、東京都の教員採用選考の受験者を拡大するため、東京会場のほか、他県三会場での第一次選考の実施、東京の教員として働く魅力を現役教員の声でつづる東京都公立学校教員採用案内五万部の作成、教員志望の若者の相談へきめ細かく応じる個別相談会の実施など、さまざまな方策を講じてまいりました。
また、昨年度には、学校における働き方改革推進プランを策定し、教員の心身の健康保持の実現と、誇りとやりがいを持って職務に従事できる環境整備に取り組んでおります。
今後とも、受験者拡大のための取り組みの充実や、働き方改革の推進などを通じて教員の確保を図ってまいります。
最後に、学校給食費に関する区市町村への支援についてでございますが、学校給食法では、学校給食は学校の設置者である区市町村が実施し、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされております。
小中学校における学校給食の実施方法や学校給食費は、区市町村が地域の実情や特性を考慮して決定しており、就学援助を含む保護者負担の軽減策等についても、区市町村の判断により行っております。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕
〇東京都技監(西倉鉄也君) 土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の生命を守るためには、住民の避難行動につながる土砂災害警戒区域等の指定に加えまして、土石流を防止する砂防事業等を着実に進めていくことが重要でございます。
都は、砂防事業につきましては、区部、多摩部の警戒区域等の指定が完了いたしました箇所ごとに避難所や二十四時間滞在型の要配慮者利用施設の有無などを調査し、優先度をつけまして計画的に実施してございます。
今後とも、土砂災害対策を着実に進めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕
〇中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、液状化対策についてですが、豊洲市場用地では、敷地全域で砂やコンクリートによる締め固め等の液状化対策を実施しておりまして、市場問題プロジェクトチームにおいて、大地震に対しても効果があることが確認されております。
なお、地盤の液状化は、締め固められていない砂地盤で生じやすく、粘性土層では生じにくいのが一般的でございます。豊洲市場用地における液状化判定におきましても、圧密沈下を想定している有楽町層の粘性土層でございますYc層では、基本的に液状化しない、もしくは、しにくいとの結果となっているところでございます。
次に、地盤沈下による土壌汚染対策の再検証でございますが、豊洲市場用地の地盤につきましては、平成十八年に沈下量等の地盤解析も行っておりまして、調査結果はホームページで公表しております。
豊洲市場用地では、こうした解析結果等を踏まえまして土壌汚染対策を実施しており、今回の沈下によって安全性等への影響は生じていないことから、検証し直す予定はございません。
最後に、豊洲市場開場後の収支についてでございます。
豊洲市場の認可に当たっては、開設に要する費用並びにその財源に関する計画、また企業債の償還計画などを国に提出してございます。
また、今後の中央卸売市場の運営につきましては、徹底したコスト削減に努めるとともに、施設の有効活用などの収入確保策にも取り組みまして、開場後の豊洲市場を含め、十一市場の安定した事業運営を行っていくこととしております。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕
〇福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、特別養護老人ホームの建てかえについてでありますが、都は、老朽化した区部の特別養護老人ホームの建てかえを促進するため、平成二十年に策定いたしました板橋キャンパス再編整備基本計画に基づき、健康長寿医療センターの旧建物解体後の跡地を活用して、事業者が交代で使用できる代替施設を整備し、貸し付ける事業を進めることとしており、現在、地元区を初め関係者と調整しているところでございます。
次に、特別養護老人ホームのユニット型での整備についてでございますが、国は、入居者の尊厳を重視したケアを実現するため、個室で構成されるユニット型での整備を基本としております。
都は、特別養護老人ホームの整備に当たりまして、ユニット型での整備を基本としつつ、地域の実情に応じて区市町村が必要と認める場合には、増加定員の三〇%を上限に多床室の整備に対して補助を行っております。また、国に対し、低所得者もユニット型特別養護老人ホームを利用できる仕組みを構築するよう提案要求しております。
最後に、避難所の管理運営についてでありますが、お話の国際基準は、紛争や災害の際の避難所の環境に関する最低基準として国際赤十字等がまとめたものであります。
都は、近年の大規模災害における避難所の運営状況等を踏まえ、良好な生活環境が確保されるよう、東京都地域防災計画に基づき、災害想定を考慮した避難所の指定、女性や子供への配慮やトイレの確保等について記載いたしました避難所管理運営の指針を区市町村向けに作成しております。
今後とも、区市町村が地域の特性や実情に応じて避難所を運営できるよう、さまざまな知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働きかけてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕
〇産業労働局長(藤田裕司君) 中小企業の振興に関する条例の内容についてでございますが、都内中小企業の持続的な成長を図るためには、多様な取引を通じて適正な利益を確保できる仕組みのもとで、会社の事業の効率を高めていくことが重要であります。有識者会議での議論におきましても、委員から、公正な取引慣行を確立することにより、生産性の向上などの努力が経営の安定した成長に結びつくとの意見が出ているところでございます。
こうしたことを踏まえ、条例の中に、中小企業が経済の活性化や地域の発展に貢献する重要な存在であることへの理解を広げる必要性などを理念として盛り込むことを検討してまいります。
今後とも、取引のより一層の適正化を図り、効果的な中小企業振興を進めてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕
〇環境局長(和賀井克夫君) 海洋プラスチックの実態調査についてでありますが、都では、プラスチックを含む海ごみに関する調査を平成二十六年度に東京港で実施いたしました。その結果、海ごみの多くは陸域からのものであったことから、都では、ポスター、リーフレット、ショートムービー等により海ごみの発生抑制について普及啓発を行ってまいりました。
島しょ部においては、海岸漂着物の回収、処理事業を実施しており、回収量については環境省に報告をしているところでございます。
今年度は、流入経路に関する情報収集を行うこととしており、今後も海ごみに関する調査研究を行っている環境省等と情報共有を図ってまいります。
〔下水道局長小山哲司君登壇〕
〇下水道局長(小山哲司君) 下水道におけるマイクロプラスチックの調査についてでございますが、マイクロプラスチックはプラスチック製品のほか、多くの製品に由来すると考えられておりまして、下水道における調査に当たって技術的に統一した方法が確立されていないという状況にございます。
現在、さまざまな研究機関が独自の測定方法を用いて調査を行っており、下水道局といたしましては、情報収集に努めているところでございます。
〔総務局長代理次長榎本雅人君登壇〕
〇総務局長代理次長(榎本雅人君) 三点のご質問についてお答えいたします。
まず、タイムラインの作成についてでございますが、風水害の発生のおそれがある場合、住民が適切な避難行動に移れるようにするには、区市町村及び都民一人一人が時間軸に沿ってみずからの行動を整理したタイムラインを作成し、活用することが有効でございます。そのため、今般、防災事業の緊急総点検の取りまとめにおいて、タイムラインの普及拡大を掲げました。
今後、都としては、区市町村のタイムラインについては、地域や自治体の特性に応じた作成が可能となるよう支援してまいります。また、個人が作成するマイタイムラインにつきましては、幅広い世代が簡単に作成することができるよう、工夫を重ねてまいります。
次に、ヘイトスピーチの解消に向けた取り組みについてでございますが、本条例案は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消を図ることを趣旨としており、不当な差別的言動とは、条文上、いわゆるヘイトスピーチ解消法第二条に規定するものをいうと明確に定めております。
また、ヘイトスピーチの解消に関する規定の適用に当たりましては、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならないと規定しております。
最後に、条例で定める公の施設の利用制限の基準についてでございますが、この条例の適用に当たりまして、ご指摘の地方自治法第二百四十四条第二項の規定は、当然踏まえるべきものと認識しております。
また、公の施設の利用制限は、施設利用の観点から、集会の自由など基本的人権の制限とも密接にかかわることから、学識経験者等からの意見も伺いながら慎重に検討し、基準を策定してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕
〇都市整備局長(佐藤伸朗君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、総合治水対策についてでございますが、都は、平成二十六年に改定した東京都豪雨対策基本方針に基づき、河川や下水道の整備を着実に推進するとともに、雨水の流出を極力抑制する貯留浸透施設の設置などの流域対策や、降雨や水位を初めとする情報提供の充実など、都内全域での総合的な治水対策を進めております。
このうち流域対策については、さらなる促進を図るため、今年度から学校や公園などの公共施設に貯留浸透施設を設置する際の工事費の補助要件を緩和しております。あわせて、住宅の敷地に浸透ますなどを設置する際の補助率を引き上げ、地元自治体の取り組みを支援しております。
今後とも、ハードとソフトの両面から総合的な治水対策を推進してまいります。
次に、民間のブロック塀対策についてでございます。
住宅を含む民間のブロック塀につきましては、所有者による安全対策の取り組みを支援するために、都は、耐震改修に係るパンフレットを活用するなどして普及啓発を行ってまいりました。これに加え、大阪北部地震後には、ブロック塀の所有者による自己点検のチェックポイントや、区市町における助成制度及び相談窓口の一覧などを都のホームページに掲載し、広く情報発信いたしました。
今後、さらなる支援策についても検討するなど、ブロック塀の安全確保を図ってまいります。
次に、都市計画道路の見直しの視点についてでございますが、平成二十八年三月に策定した事業化計画においては、優先整備路線を選定する一方で、廃止や縮小など計画を見直すべき路線や、地形地物の状況を踏まえた事業の実現性などの観点から、計画内容を再検討する路線を示しております。これを踏まえて、現在、複数の路線について廃止の手続を進めております。
加えて、これらの路線以外の未着手の都市計画道路は、事業着手までに期間を要することなどから、社会経済情勢や都民ニーズの変化などを踏まえ、そのあり方について検討を進めております。
今後とも都市計画道路の不断の検証を行う一方、必要な都市計画道路は、地元の理解と協力を得ながら、着実に整備を進めてまいります。
次に、優先整備路線などについてでございますが、事業中の路線や優先整備路線は、東京が目指すべき将来像の実現に向け、都市の活力や防災性の強化、安全で快適な都市空間の創出などの観点から、重要性、緊急性が高い路線として選定しております。
今後とも、地元の理解と協力を得ながら、これらの路線の整備に取り組むとともに、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路のあり方について検討を進めてまいります。
最後に、首都高の地下化に係る対応についてでございますが、首都高は首都東京の大動脈として社会経済活動を支える極めて重要なインフラであり、適切に維持更新を行い、その機能を確保していくことが重要でございます。
日本橋周辺の首都高については、これまで有識者等によりさまざまな議論がなされ、地下化案を最も有力な案として推奨することや、高架橋を撤去し地下化などを含め再生を目指すことなどが提言されております。
今回の地下化は、これらの提言や地元区などからの要望も踏まえて、首都高の交通機能を確保することを前提に、大規模更新と周辺まちづくりが同時に進められる機会を捉えて取り組みを進めるものでございます。
今後、地域のまちづくりを含め関係者間で緊密な連携を図り、地下化の実現に向けて取り組んでまいります。
【再質問と答弁】
〇百三番(とくとめ道信君) 知事に二問、市場長に一問再質問します。
まず、豊洲市場の地盤沈下によるひび割れ問題について、知事に再質問します。
知事は、地盤沈下は時間の経過とともに収束する、安全性の問題は生じない、だから、原因究明の調査はしないと答弁しました。調査をしないで、なぜ地盤沈下は収束するといえるのですか。なぜ安全性に問題が生じないと断言できるのですか。誰もが納得できる明確な証拠を示してください。知事の答弁を求めます。
次に、東京都は、一年前に地盤沈下を把握していたのに、実際に地盤のどこがどのように沈下しているのか、調査はしていません。具体的なデータも何ら把握していません。
豊洲市場の問題は、これまでうそとごまかしが繰り返されてきました。まともな根拠を示せずに、安全だ、大丈夫だといって、調査もしないという知事の答弁、これまでと同じ誤りを繰り返すものです。
市場の運営に影響を与える重大な地盤沈下が起こった場合、知事、あなたはどう責任をとるのですか。お答えください。
以上、二問、知事の答弁をお願いします。
最後に、市場長、一問再質問いたします。
豊洲市場では、数日前、六街区でマンホールから水が噴き出す事態が発生しました。なぜ水が噴き出したのですか。噴き出した水に汚染物質が含まれていないか調査をしたのですか。この事故について把握している事実を明らかにしてください。
以上、知事に二問、市場長に一問の再質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
〇知事(小池百合子君) 先ほどお答えしたとおりでございますが、水産仲卸売り場棟の西側バースのひび割れについて、建物周りの地盤が徐々に沈下したことで生じたものとの報告を受けております。こうした沈下につきましては、盛り土を行った場合、一定程度生じる、また時間の経過とともに収束すると聞いております。
今後、大幅な沈下、突然の陥没等につながるものではなく、安全性の問題や市場業務への影響は生じないものと考えております。
都といたしまして、市場業者の安心に資するという観点から、開場までに必要な補修を実施いたします。また、こうした方針について、市場業者の方々にもご説明をしております。
また、地盤沈下の調査についてでございますが、豊洲市場の用地における地盤沈下については過去に調査も行われておりまして、この結果を踏まえた上で工事が進められてまいったわけでございます。
そして、沈下に伴うひび割れで、安全性の問題や市場業務への影響が生じることはないと考えておりまして、よって、都として改めて調査をする考えもないということでございます。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕
〇中央卸売市場長(村松明典君) 豊洲市場に関する再質問にお答えいたします。
六街区の北側のマンホール一カ所における溢水の関係でございますが、今回の件は、地下水管理システムの送水管の中から空気を抜くための弁に付着物が挟まったために水があふれたものでございます。
局所的、短時間でおさまっておりまして、発見後、速やかに空気弁を締めておりまして、既に対処は完了しております。現在は空気弁が閉じた状態にあるため、同様の事象が生じることはございません。
こうした内容につきましては、業界団体にも説明しております。
また、今回の水の量等の範囲は限定的であります。毎週の公定分析の結果から、下水排除基準を超過する状況にもございません。周辺環境や市場業務に影響を与えることはございません。
これらの内容について、申し上げましたが、業界団体にも説明しておりまして、都としても、今後とも地下水管理システムの適切な運用に努めてまいります。