2018年第2回定例会に提出した文書質問
2018年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 原のり子
質問事項
一 学校のブロック塀などの安全対策について
二 通学路の安全対策について
三 障害者グループホームの都加算制度の見直しについて
四 放課後等デイサービスの報酬変更について
一 学校のブロック塀などの安全対策について
震度6弱の揺れを観測した6月18日の大阪北部地震で、高槻市の小学校のブロック塀が倒れて9歳の女の子が亡くなったことに、多くの方が心を痛めています。この高槻市の小学校の場合、鉄筋が塀の上部に達していなかったことなどがわかり、詳しい点検が必要になっています。改めて、地域の学校施設などの耐震や安全性について、心配する声が広がっています。学校施設については、文部科学省が耐震性について毎年調査を行なっているものの、ブロック塀や屋外プール、その他の屋外工作物は調査の対象外になっています。学校施設の耐震性について、文部科学省は6月19日、学校の安全点検等を行うよう通知し、都教委は6月20日に区市町村に依頼をしました。早急に点検と結果の公表、対応を求めます。
東久留米市立久留米中学校は、小金井街道沿いにあり正門の横には高い万年塀がたっています。小金井街道は交通量も多く、騒音や排気ガス対策としてもこの万年塀が設置されてきました。しかしかねてから、近隣住民から、危険ではないかと指摘があります。万が一、道路側に倒れた場合、歩道も人のすれ違いがやっとという狭さであり、全く逃げ場がありません。このことについて、2015年の市議会定例会において、当時市議であった私も質問しました。当時は、久留米中学校に難聴学級を設置したことから、防音対策としてもブロック塀をなくす考えはない、というのが市教委の見解でした。
しかし、このたびの事故がおき、改めて検討しなおすことが求められていると思います。都道の騒音と排気ガスの対策をとる必要があるという点からは、東京都としても対応が求められているのではないでしょうか。よって、以下の点について質問します。
Q1 学校のブロック塀をはじめとする工作物の詳細かつ、内部も含めた安全点検を、国、区市町村と協力して速やかに行い、結果を公表してください。
Q2 耐震性が十分でないブロック塀などが発見された場合は、早急に補強やフェンス、生け垣への転換などの対応がはかれるように、区市町村に対し、技術的・財政的支援を行なってください。
Q3 東久留米市立久留米中学校について、点検調査の結果、フェンスや生け垣などへの転換を図る場合、騒音や排気ガス対策を講ずることが必要です。騒音・排気ガス対策も考慮し、十分な検討を行い対応してください。
二 通学路の安全対策について
東久留米市金山町の市道1062号線と都道24号線(練馬所沢線)が交差する、第6小学校の通学路部分についての改善を求め、質問します。
この場所はかねてから、車と歩行者が接触するなどの事故がくりかえされており、いつか大きな事故が起こりかねないと住民から大変心配されています。2018年の東久留米市議会第一回定例会でもこのことが質問されています。都道側にも、カラー舗装を行なう、注意喚起の看板等をわかりやすく表示する、などの要望が出されています。市からも要望していくとの答弁がありましたが、通学路であることから、東京都として早急に以下の点について対応を求めます。
Q1 子どもたちの通学路だということがわかるように都道側にも看板設置や、カラー舗装などをおこなってください。
三 障害者グループホームの都加算制度の見直しについて
東京都は、今年の10月から、都加算制度を見直すとしています。障害者自立支援法により、国がグループホーム・ケアホームを制度化するなかで日割り制度を実施したもとでも、東京都は利用していない日は基本単価を補てんするという都加算制度で、法の欠点をカバーしてきました。これにより、グループホームの収入が安定し、グループホームが増えてきました。地域の中で過ごす、という当たり前のことが実現できるようになりつつありました。ところが、今回の都加算の見直しが行われれば、利用していない日は一日当たりの単価を下げられてしまうため、事業所の運営、そして何より、障害者の暮らしに大きな影響を及ぼすことになります。
グループホームを利用している方々の状況はさまざまです。重度の障害者が、週末は実家に帰って過ごすことで安定して暮らせるという方もいますし、常時ホームで過ごす方もいます。誰もが地域で安心して暮らしていけるように、都加算制度を後退させないよう、強く求めます。
Q1 今回の見直しにより、都内のグループホームに、実際にどのぐらいの影響が出るのか調査し、公表してください。答弁を求めます。
Q2 東京都では事業所に対する説明会をおこなっていますが、疑問と不安の声はますます大きくなっています。10月実施を前提にせず、現場および利用者家族の声を十分に聞き取る必要があると考えますが、いかがですか。
四 放課後等デイサービスの報酬変更について
放課後等デイサービスは、学齢期の障害児が放課後や長期休暇中において、生活能力向上のための訓練や自立促進、また居場所づくりとして必要不可欠なものです。障害児が安心して利用できることが重要です。
今年度から、区市町村が行う判定に該当する児童の割合に応じて、事業所の報酬区分が決まることになりました。国は判定の基となる指標について、障害児の状態像を勘案したものとしています。該当する児童が半数を超えると区分1、それ以下であれば区分2となります。とくに区分2になった場合、報酬の大幅引き下げ、人員配置加算(児童指導員等加配加算)も一人しか認められず、多くの事業所が減収になり存続の危機に見舞われています。判定は区市町村が行いますが、それぞれの自治体で対応に差もあり、国が示した判定における指標についても問題が指摘されています。特別支援学校に通う、重度判定をされている肢体不自由児でも非該当になっており、保護者の間でも混乱が生じています。正しい判定にもとづき、支援を行なうことができるのか、関係者からも問題を指摘されています。
今回の変更は、放課後デイサービスの事業所が増加するなか、国としても「利潤を追求し支援の質が低い事業所」への対策としています。しかし、すでに、「利潤追求」型の事業所は、今回の改定により、利用者への対応も不十分なまま早々と撤退したり、報酬が相対的に高い区分1にするために、利用者を選別するなどの動きをみせています。そうしたなか、良心的な事業所は、区分2になってもこれまでどおり利用者を大事にした運営に努力をしていますが、年間数百万円の減収になると見込む中、事業所を存続できる見通しがない状態です。よって、以下の点について質問します。
Q1 厚労省通知(2018年2月13日)では、指標の判定に準ずる状態について区市町村が判断するにあたり、「障害児の状態を判断するにあたり、利用中の放課後等デイサービス事業所に対してヒアリング等を行うことは差し支えない」としています。また、3月2日の通知では「報酬区分の導入当初の措置として、平成30年3月31日時点において現に存する事業所にあっては、平成30年4月1日時点の在籍者数(契約者数)に占める指標該当児の割合により報酬区分を判定すること。また、導入後3月経過後は、3月における障害児の延べ人数により算出すること」としています。
これにもとづき、区市町村が事業所のヒアリング等を実施したのか、当初の時点と3か月後でどのような対応がなされたのか、都として実態を調査し、把握してください。そして、公表してください。
Q2 放課後等デイサービスの報酬、および、区分の指標の見直しを国にはたらきかけてください。
Q3 良質な事業所が撤退しないよう、都としての放課後等デイサービスへの支援を検討してください。
原のり子議員の文書質問に対する答弁書
一 学校のブロック塀などの安全対策について
A1 学校施設の維持管理については、文部科学省の平成27年10月30日付27文科施第375号「学校施設の維持管理の徹底について(通知)」に基づき、学校設置者が実施しています。
今回のブロック塀等の緊急点検は、6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震によるブロック塀倒壊事故を受け、都教育委員会が区市町村教育委員会に対して、同月20日から同月29日までの間でブロック塀等の安全点検を行い、結果を報告するよう依頼したものです。その結果については、取りまとめて7月5日に公表しました。
また、6月29日には文部科学省から、外観に基づく点検に加えて設計図書等による内部の点検も行い、その結果を報告するよう依頼がありました。これを受けて、区市町村教育委員会に対し、改めてブロック塀等の安全点検の実施と結果報告を依頼し、取りまとめて文部科学省へ報告しています。
今後とも、国や区市町村教育委員会と連携し、学校施設の安全対策に努めていきます。
A2 公立小中学校における学校施設の安全管理等は、設置者である区市町村が実施することとなっています。
ブロック塀等の対策につきましては、国とも連携しながら、対応を検討していきます。
A3 公立小中学校については、安全点検の結果、塀の危険性を指摘された場合は、設置者である区市町村が対応しています。
今後とも、学校施設の安全対策について、国や区市町村教育委員会と連携していきます。
二 通学路の安全対策について
A1 都は、通学路において学童の安全を確保するため、カラー舗装等による歩行者部分の明示や、防護柵の設置による歩車道の分離、注意を促すための看板の設置などに取り組んでいます。
東久留米市金山町の市道1062号線と都道24号線が交差する交差点については、これまでも、市や交通管理者などと調整し、注意喚起の看板設置など、安全対策に取り組んでいます。今後も引き続き関係機関と協議しながら、安全性の確保に努めていきます。
三 障害者グループホームの都加算制度の見直しについて
A1 都は、障害者グループホームの事業者が、質の高いサービスを提供できるよう、国の報酬に加え、都独自の補助を実施しています。
今回の見直しは、障害者の高齢化や障害の重度化等を踏まえ、事業者が職員を手厚く配置し、充実した支援を行えるよう、補助単価を変更するとともに、質の向上のための国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものです。
事業所の収入への影響は、利用者の障害の程度、職員体制、国や都の加算の取得によって異なるため、事業者説明会においては、知的障害、身体障害、精神障害の障害種別ごとにモデル的なケースを想定し、現行の収入と見直し後の収入を提示しています。
A2 今回の見直しに当たっては、東京都社会福祉協議会の身体障害者福祉部会や知的発達障害部会のほか、東京都精神障害者共同ホーム連絡会などの関係団体へのヒアリングを、平成29年8月から12月にかけて、合計13回実施しています。
また、事業者を対象にした説明会を、平成30年1月から8月にかけて合計4回開催しており、その中で、今回の見直しは、国加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものであることや、その取得要件などを説明するとともに、個別の事業者からの問合せに対しても対応しています。
さらに、利用者の状況や事業運営の状況等について、事業者から聞き取りを実施しています。
なお、見直し実施時期については、事業者が職員配置や国加算取得のための準備期間を十分に取れるよう、平成31年1月に変更することとし、平成30年7月に区市町村及び事業者へ周知しています。
四 放課後等デイサービスの報酬変更について
A1 国は、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定において、これまで一律の単価設定だった放課後等デイサービスの基本報酬について、新たに障害児の状態像を勘案した指標による報酬区分を設定しました。
障害児の状態像の指標による判定に関しては、区市町村が実施するものですが、平成30年4月1日までに、利用する全ての障害児に対する指標による判定を行うことは困難であるため、国の通知において、平成31年3月31日までは、行動援護の利用者である場合など、区市町村が認めた場合も指標の判定に準ずる状態として、指標対象児とみなすことができるとされています。
事業所が国の報酬改定に基づき、平成30年4月以降3か月間の児童利用延べ人数による報酬区分の再申請を行う際に、区市町村が障害児の状態像の指標による再判定を行うかどうか、また、事業所にヒアリングを行うかどうかなども、事業の実施主体である区市町村の判断により行われるものとなっています。
放課後等デイサービス事業所に係る平成30年度報酬改定の影響については、平成30年5月、国が調査しています。
A2 都は、平成29年11月に、平成30年4月の報酬改定に向け、放課後等デイサービスについて、「障害の程度や特性に応じた支援内容を適切に評価し、サービス提供の実態に即した報酬単価とすること」等を、国に緊急要望しました。
報酬改定では、放課後等デイサービスについて、新たに障害児の状態像を勘案した指標による報酬区分が設定されましたが、肢体不自由のある児童や比較的重度の障害のある児童等の受入れを更に促進していくため、都は、平成30年6月に、「肢体不自由のある児童や重度の障害のある児童等の受入れに対する評価を更に充実するなど、サービス提供の実態に即した報酬水準となるよう一層の改善を行うこと」等を、国に対して要望しています。
A3 放課後等デイサービスは、国の法令に基づく全国一律のサービスであり、基本的には、国の給付費により運営されるものです。
都としても、引き続き、事業者が安定した事業運営を行うことができるよう、国に要望していきます。
以 上