2018年第2回定例会に提出した文書質問
2018年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 白石たみお
質問事項
一 日本体育協会本部の移転、神宮外苑のまちづくりについて
一 日本体育協会本部の移転、神宮外苑のまちづくりについて
日本体育協会(現日本スポーツ協会、以下、日体協)の本部である岸記念体育会館の移転に対しては、都が都市計画公園整備を名目に敷地を購入し、移転費用を支払う、移転先も神宮外苑のスポーツクラスター形成にも資するなどとして都有地をあてがい、容積率や高さ制限も大幅に緩和するなど異例の優遇をおこなってきた。この問題について都と、森喜朗元首相をはじめとした自民党政治家との協議の記録が次々と明るみになり、特定の政治家によって都市行政がゆがめられたのではないかという疑惑が高まっている。
日本共産党都議団は、今年の第一回、第二回定例会でこの問題について都にただしてきたが、そのなかで疑問がますます強くなっている点、これまで時間の制約から質問できていなかった点についてお尋ねする。
Q1 わが党の情報公開請求で、岸記念体育会館の移転、神宮外苑のまちづくりに関する政治家との協議について、5月11日に新たな文書が都から提出された。そのなかには、森氏との2度目の面談記録、内田茂・高島直樹自民党都連顧問との面談記録がふくまれていた。この三つの文書について都は、執務室内に未整理の状態で保管されていたファイルの中にとじられており、3月29日以降に発見されたと考えられるとしている。一方、森氏との最初の面談記録(2012年5月15日付)や、内田・高島氏と間をあけずに会う予定であることが記録されていた文書(同10日付)は、予算案に公園の用地取得費等を計上するにあたって整理をして把握したということである。
森氏との最初の面談記録や内田・高島氏と間を開けずに会う予定であることを記録していた文書は、どのような状態で保管されていたのか。
整理されていたのか、未整理の状態だったのか。ファイルに保管されていたのか。ファイルに保管されていた場合、そのファイル名は何か。それぞれお答えいただきたい。
Q2 3月の都市整備委員会の質疑において、上野雄一都市整備局技監は「国策」を実現するためには働きかけは当然だとの答弁をされたが、この国策とはいったい何を指しているのか。また、その「国策」とは、いつどのようにして決まったのか。
Q3 上野技監の言う「文部大臣を経験された方」は森元首相、「文部大臣の政務官を経験された方」は萩生田光一氏をさすのでよいか。「文部大臣を経験された方」に相談する必要性は何か。また、「文部大臣の政務官を経験された方」に相談する必要性は何か。
Q4 内田氏に、岸記念体育会館の移転や神宮外苑のまちづくりについて説明、相談していたことの理由として、国政への提案や要求などで重要な役割を果たす自民党都連の幹事長という立場だったということをあげている。自民党都連の幹事長が行う「国政への提案や要求」は誰に対して、どのように行われるのか。また、政府に対しておこなうのか、それとも自民党などの国会議員に対して行うのか。
Q5 神宮外苑のまちづくりは、国立競技場の建て替えが契機である、と都はしている。それならば、都と国立競技場を所管する文科省が協議を進めればよいと考えられるが、なぜ、自民党政治家の協力や理解が必要なのか。
Q6 神宮外苑のまちづくりについて、森元首相、萩生田光一元代議士(当時)、内田・高島自民党都連顧問は、それぞれどのような「協力」をしてもらったのか。
Q7 神宮外苑のまちづくりについて、森元首相、萩生田光一元代議士(当時)、内田・高島自民党都連顧問にはなぜ「理解」してもらわなければならないのか。理解しなければ不都合となる理由について、それぞれお答えいただきたい。
Q8 6月8日の都市整備委員会で、佐藤都市整備局長は、神宮外苑のまちづくりについて「事前の協議調整」を行ってきたとしている。森氏、萩生田氏、内田・高島氏との話し合いも、「協議調整」ということでよいか。
Q9 6月8日の都市整備委員会で、佐藤都市整備局長は、「都市整備局では、今回の神宮外苑に限らず、羽田空港の国際化、3環状道路の整備など、重要な政策の案件を常に抱えているが、特に重要な案件については国などとの理解、協力が不可欠という場合が多々あり、そのときは、必要に応じて、案件が固まらない時点でいろんな方を巻き込んで、多くの方々に理解を求め、協力を求める」のが実態だということだが、自民党都連幹事長に対して、現在もこのように理解と協力を求めることをやっているのか。また今後もやっていくのか。
Q10 神宮外苑以外に、特に重要な案件で、国などとの理解、協力が不可欠なため、案件が固まらない時点で自民党都連幹事長に理解を求め、協力を求めて説明した課題があるのか。ある場合は、その課題をお答えいただきたい
Q11 羽田空港の国際化、3環状道路の整備では、自民党都連幹事長に理解と協力を求めて説明しているのか。
Q12 平成27年1月7日付都市整備局作成文書「神宮外苑地区のスポーツクラスター実現に向けた建設局への要請について」では、「当局は、歴代副知事の指導の下、JSC敷地、都営霞ヶ丘アパート敷地、外苑ハウス相互の敷地を整序することにより、岸記念体育会館が移転可能となる土地の確保に向けて、関係者と調整を重ねてきた」と書いている。
ア いつから関係者との調整を開始したのか。
イ 歴代副知事とはだれか。
ウ 「敷地を整序する」とはどういう意味か。
エ 岸記念体育会館が移転可能となるには、なぜ敷地の整序が必要だったのか。
Q13 2012年12月にJSCが提出した企画提案書では、JSC等のオフィス床面積が2.6ヘクタールとされている。そのうち、JSCが使用する面積はどのくらいだったのか。JSC以外にどのような団体・企業の入居を想定していたのか。日体協が入ることは、想定の一つになっていたのか。
Q14 2013年9月にJSCから日体協へ、JSC等を先行整備し、日体協新会館を後発整備とする案を提案したとあるが、なぜ後発整備としたのか。
Q15 2016年2月に日体協・JOCが提出した企画提案書では、日本青年館・JSC本部棟のオフィス床面積は6千平米へと縮小されている。JSCは変更届をいつ提出したのか、オフィス床面積の縮小についてどのように説明しているのか。
Q16 2013年5月の都市計画変更で明治公園こもれびテラス部分が明治公園から削除されたが、その理由は何か
Q17 削除された時点で、こもれびテラス部分について、都は、道路や広場など何らかの利用方法を考えていたのか。それとも当時としては何も考えられていなかったのか。利用方法を考えていた場合、それは何か。
Q18 都が、外苑ハウス、JSCと結んだ協定書の中にある第3者として、日体協は想定されていたのか。
Q19 2017年12月14日の知事ブリーフィング「岸記念体育会館の移転の手法選択について」にある四つの手法の検討はいつからいつまで行われたのか。
一民間マンションにすぎない外苑ハウスが、神宮外苑のまちづくりに早くから参画していた形跡があることも不思議である。
Q20 2011年8月19日付「岸記念体育会館に係る今後の方向性について」では、神宮外苑エリアの状況についてという項目で、「外苑ハウスの地権者は動いても良いと言っているのか」「そのように言っている」との会話がなされている。外苑ハウスと協議しているのはなぜか。いつからどの部局が協議を開始したのか。外苑ハウス敷地をめぐり、文科省、当時の都スポーツ振興局から何か要請はあったのか。それぞれお答えいただきたい。
Q21 「外苑ハウスの地権者は動いても良いと言っているのか」と尋ねているのは、当時の佐藤広副知事だが、なぜ副知事が、外苑ハウスの状況についてわざわざ聞いているのか。
Q22 外苑ハウスが自らの敷地内で建て替え等を行うことは理解できるが、「動く」とは別の場所に移転することと考えられるが、なぜ「動いても良い」という外苑ハウスの意向を把握していたのか伺う。
Q23 神宮外苑のまちづくりについて、この時点で、都は外苑ハウスとも協議していたのか。
白石たみお議員の文書質問に対する答弁書
一 日本体育協会本部の移転、神宮外苑のまちづくりについて
A1 いずれも、執務室内に未整理の状態で保管されていたファイルにとじられていました。ファイル名は、特に付けられていません。
A2 平成23年2月15日に、超党派のラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟が、国立霞ヶ丘競技場を8万人規模のナショナルスタジアムとするなど、明治神宮外苑地区の都市計画や周辺環境整備を含めて一帯のスポーツ施設を再整備すべき旨を決議しています。
また、平成23年6月24日には、スポーツ基本法が公布され、この法律に基づき平成24年3月30日に定められたスポーツ基本計画では、オリンピック・パラリンピック等大規模な国際競技大会の招致・開催等について目標が示され、国立霞ヶ丘競技場等の施設の整備・充実等についても定められています。
国策とは、こうした決議などを踏まえた、新国立競技場の整備とその周辺一帯の再整備を指しています。
A3 「文部大臣を経験された方」、「文部大臣の政務官を経験された方」については、お尋ねのとおりです。
神宮外苑地区のまちづくりの契機となった国立競技場の建替えは、文部科学省が所管する独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の事業であり、都もこれと連動して、神宮外苑地区のスポーツクラスターの実現を目指してまちづくりに取り組んできていることから、文部科学省関係者でもある両氏に説明を行ったものです。
A4 自由民主党東京都支部連合会の幹事長が、都の行う国政への提案や要求に関して、どのようなことを行っているか等については、お答えする立場にありません。
なお、神宮外苑地区のまちづくりは、「10年後の東京」への実行プログラム2011や「2020年の東京」計画に位置付けたスポーツクラスターの形成を図るものであり、国立霞ヶ丘競技場の建替えやオリンピック・パラリンピック競技大会招致という国家プロジェクトとも連動した政策であることから、その実現に向けては、国、地元自治体、関係者などの理解と協力が不可欠であり、都として、自由民主党東京都支部連合会の幹事長など関係者へ必要な説明を行ってきました。
A5 神宮外苑地区のまちづくりは、「10年後の東京」への実行プログラム2011や「2020年の東京」計画に位置付けたスポーツクラスターの形成を図るものであり、文部科学省が所管する独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の事業でもある国立霞ヶ丘競技場の建替えやオリンピック・パラリンピック競技大会招致という国家プロジェクトとも連動した政策であることから、その実現に向けては、国、地元自治体、関係者などの理解と協力が不可欠であり、都として、関係者へ案件や状況などに応じ、必要な資料を用いて、必要な説明を行ってきました。
A6 神宮外苑のまちづくりについて、森氏らにより、どのような協力がなされたかについては承知していません。
なお、森氏らに対しては、当時、神宮外苑の再整備について、都から必要な説明を行い、理解を頂いたものであり、具体的な協力を求めたものではないと考えています。
A7 都は、神宮外苑地区におけるスポーツクラスターの形成について、「10年後の東京」への実行プログラム2011や「2020年の東京」計画に位置付け、国立霞ヶ丘競技場の建替えやオリンピック・パラリンピック競技大会招致という国家プロジェクトとも連動し、都の政策として取り組んできました。
その実現に向けては、国、地元自治体、関係者などの理解と協力が不可欠であり、都として、案件や状況などに応じ、必要な資料を用いて、必要な説明を行ってきました。
森氏は元文部大臣であり、当時、日本ラグビー・フットボール協会会長、及び平成24年2月に設置された国立競技場将来構想有識者会議の委員という立場、萩生田氏は元都議会議員であり元文部科学大臣政務官という立場、内田氏は自由民主党東京都支部連合会の幹事長という立場、高島氏は都議会自由民主党顧問という立場にあったので、神宮外苑の再整備について、都から必要な説明を行ったものです。
A8 平成30年6月8日の都市整備委員会においては、岸記念体育会館の移転・建替えに関する日本体育協会との事前の相談、調整などを念頭において答弁を行いました。
また、同日の委員会において、森氏らに対して、神宮外苑の再整備について、都から必要な説明を行った旨も答弁しており、それは協議調整にはあたらないと考えています。
A9 羽田空港の国際化、三環状道路の整備など、重要な政策目的の実現に向け、国において的確な措置がとられるよう、関係府省庁に提案要求をするとともに、案件や状況などに応じて、自由民主党東京都支部連合会など、国政等の関係者に説明を行っています。
今後も、政策目的の実現に向け、理解と協力を頂けるよう、説明を行っていきます。
A10 国への提案要求では、計画が決定されていない案件も含めて、関係府省庁に対して提案要求をするとともに、課題の解決や施策の確実な実現に向けて理解と協力を頂けるよう、案件や状況などに応じて、国政等の関係者に説明を行っています。
A11 羽田空港の国際化、三環状道路の整備など、重要な政策目的の実現に向け、国において的確な措置がとられるよう、関係府省庁に提案要求をするとともに、案件や状況などに応じて、国政等の関係者に説明を行っています。
A12のア 神宮外苑地区では、国立競技場の建替えを契機として、スポーツ・文化・交流の魅力に富んだスポーツクラスターの形成を目指し、関係者が相互に連携・協力してまちづくりを進めています。
その一環として、都は、新国立競技場等への多くの観客を安全・快適に移動させるための歩行者動線と人だまり空間の早期確保等を図るため、土地区画整理事業を行うこととしました。
土地区画整理事業の実施に向けて、平成26年6月頃には、地権者であるJSCや外苑ハウスとの調整を行っていたと思われます。
A12のイ 都市整備局は、平成23年9月頃から、国立競技場の建替えを契機として、周辺区域の再編整備について検討を開始し、その中で、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転についても検討を始めています。
このことについては、当時の佐藤副知事と村山副知事に説明しています。
平成26年3月及び同年9月には、神宮外苑地区における土地区画整理事業の実施について、当時の安藤副知事と秋山副知事に説明しています。
A12のウ 「敷地を整序する」とは、土地区画整理事業により、土地の形状や位置の変更などを行うことを想定していたものです。
A12のエ 都は、神宮外苑地区におけるスポーツクラスターの形成に向けて、スポーツ関連団体の集約を図ることを念頭に、日本体育協会に対し、岸記念体育会館の移転を検討することを提案しました。
その後、都は、東京2020大会に向けて新国立競技場等への多くの観客を安全・快適に移動させるための歩行者動線や人だまり空間を早期に確保するとともに、土地の形状や位置の変更などによりスポーツ関連団体の本部機能の集約に必要な用地の確保を図るため、土地区画整理事業による敷地整序を行うこととしたものです。
A13 平成24年12月にJSCから提出された企画提案書では、新事務所棟には日本青年館のホテルやホールと共に、JSC事務所等のオフィスが計画されていますが、JSCが使うオフィス面積やJSC以外の入居の計画などは記載されていません。
なお、当時、JSCは、日本体育協会及び日本青年館との合築による新事務所棟の整備に関する検討をしており、JSCは協会の入居も想定していたものと思われます。
A14 当初、JSCは、日本体育協会及び日本青年館との合築による新事務所棟の整備を検討していました。
JSCは、早期の新事務所棟の建設を望んでいましたが、日本体育協会が移転に向けた意思決定に至らなかったことなどから、日本青年館・JSC本部棟を先行整備し、日本体育協会の新会館を後発整備とする案を提案したものと認識しています。
A15 JSCは、日本体育協会の新会館を後発整備としたことにより、オフィス部分の計画規模を縮小し、平成27年2月に企画提案書の一部見直し報告書を都に提出しました。
A16 都は、神宮外苑地区地区計画の決定に合わせて、公園区域を再編し、バリアフリーに対応した歩行者動線や人だまり空間の確保等を図るため、平成25年6月に東京都市計画公園明治公園の変更を行いました。
こもれびテラスの区域については、この変更により、都市計画公園から削除しています。
A17 平成25年6月に、国立競技場の建替えを契機として、神宮外苑地区地区計画が決定されています。その決定に合わせて公園区域を再編し、バリアフリーに対応した歩行者動線や人だまり空間の確保等を図るため、都市計画公園の変更を行っています。
その際、こもれびテラスの区域については、地区計画上の地区施設である広場などの整備を図ることとしました。
A18 都有地の譲渡が予定される第三者として、日本体育協会を想定していました。
A19 移転の手法については、平成26年9月から平成27年3月までの間に検討していました。
A20 外苑ハウスから最初に相談を受けた時期については、記録がなく不明ですが、都市整備局は、平成23年9月頃から国立競技場建替えを契機とした周辺地区の再編整備についての検討を開始しており、その中に、外苑ハウスの区域内での移転・建替えを行う案が含まれていることから、都市整備局は、当時、外苑ハウスから相談を受けていたと思われます。
なお、平成24年7月に外苑ハウスから都に対して出された要望書では、耐震性などに課題があり、以前から建替えについて検討してきたことが記されています。
外苑ハウスをめぐり、文部科学省や、当時のスポーツ振興局から都市整備局に何らかの要請があったとの記録は、見当たりません。
A21 都市整備局は平成23年9月には、国立競技場の建替えを契機とした周辺区域の再編整備について検討を開始しており、その中に、外苑ハウスの区域内での移転・建替えを行う案が含まれていることから、お尋ねの同年8月19日の副知事説明の際にも、そのことを念頭に置いて、外苑ハウスについての報告を行っていたものと思われます。
A22 外苑ハウスから最初に相談を受けた時期については、記録がなく不明ですが、都市整備局は、平成23年9月頃から国立競技場建替えを契機とした周辺地区の再編整備についての検討を開始しており、その中に、外苑ハウスの区域内での移転・建替えを行う案が含まれていることから、都市整備局は、当時、外苑ハウスから相談を受けていたと思われます。
なお、平成24年7月に外苑ハウスから都に対して出された要望書では、耐震性などに課題があり、以前から建替えについて検討してきたことが記されています。
A23 平成23年8月19日時点での、都と外苑ハウスとの神宮外苑のまちづくりについての協議記録は、見当たりません。
以 上