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質問・条例提案

2018.06.27

2018年第2回定例会に提出した文書質問

平成30年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 尾崎あや子

質問事項
一 国民健康保険料(税)、地方税の差押えについて
二 ヘルプマークについて

一 国民健康保険料(税)、地方税の差押えについて

 今年度、国民健康保険料の制度が広域化することによりほとんどの自治体で国保料(税)の値上げが行われます。今でも払いたくても払えない状況が広がっています。私の活動地域である武蔵村山市では、生活費まで差押えようとする強引な徴収がまかり通る、法令違反を行おうとしている事例が明らかになりました。
 国保税の滞納分を分納して支払っていた70歳の男性は、病気の奥さんと引きこもりの息子の3人家族で、月の収入は17万円のみです。家賃は6万9千円、医療費が1万円、月額2万円超の国保税が払えず、給料の17万円を差し押さえると市から言われました。

Q1 国税徴収法に基づいて給与等の差押え禁止の基準はどうなっていますか。3人家族の場合はいくらになりますか。

Q2 3人家族の場合の生活保護法における生活扶助の基準となる金額は、19万円です。今回の事例は法令違反になると思いますが、いかがですか。

Q3 日本共産党倉林明子参議院議員は2月1日、今回の事例を国会で取り上げ、安倍首相は「差押えによって生活が極めて困難にならないよう、各市町村の判断により差押えの対象としないことができる仕組みがある。各市町村に周知を図りたい」と答弁しました。直近で「国保料(税)の差押え」等について、都に届いている文書はありますか。あれば、どんな内容で、いつ届いているのかうかがいます。

Q4 都内の区市町村が法令違反の差押えを行っている情報や事実があれば、都はどのように対応しますか。区市町村への指導は行うのか、うかがいます。

Q5 国保料(税)などの滞納がある人への、行政の最大の支援は「生活の建て直しを応援する」「病気で十分に働けない状況であれば、まずは病気をなおすことを支援する」のではありませんか。国会で加藤勝信厚生労働相は「国保の滞納には個々の事情に即したきめ細かな対応が重要。生活を困窮させる恐れがあるときには、差押えの対象外とすることなどが大事」と答弁しています。
 都も、この立場に立ち「都民の生活再建」を位置づけ、区市町村のいきすぎた徴収・差押えをなくすために役割を果たすべきです。そのためにも区市町村が滞納者にどのような対応をしているのか実態を調べるべきです。その際、区市町村の徴収担当者からの聞き取りだけではなく、差し押さえられた当事者・滞納者からの聞き取りも必要だと思いますが、いかがですか。

Q6 国保料(税)、都税の差押えの判断について、都は「生存権優先」なのか、「納税義務が優先」にしているのか、うかがいます。

Q7 東京都は、区市町村の徴収担当者に徴収業務の進め方についての資料に基づき、研修をしていますが、「差押え」については、どのような内容で研修をしているのですか。

Q8 売掛金の差押えが行われていますが、商売をしている方々にとっては、売掛金の差押えは、商取引の信用問題にかかわり、取引の継続を脅かすものになります。売掛金の差押えは中小業者の「廃業」につながります。都は売掛金の差押えについて、どのように認識していますか。商売をつぶすようなことはやめて、商売・生活の再建のために支援すべきですが、いかがですか。

二 ヘルプマークについて

 難病がある方から「外見は健常者と何もかわらないが、通勤も仕事もできない状況です。難病である自分の病気のことを多くの人に知ってほしい。病院にいくため電車やバスを乗り継いでの移動は、いつ体調が悪くなるか、いつも不安です」「ヘルプマークがほしいと思って調べたが、ヘルプマークがもらえる窓口が近くにないので、なんとかしてほしい。東京都に郵送で送ってほしいとお願いしたが、できないと言われた」と相談がありました。
 電車などでヘルプマークを知らせる広告や、駅のホームなどでポスターなども貼られています。しかし、認知度はまだ高くはありません。
 2012年に東京都が、全国に先駆けてヘルプマークを作り普及を行ったことは重要です。ヘルプマークを配布している場所、窓口は増えていますが、まだまだ不十分です。

Q1 ヘルプマークの配布実績について、うかがいます。

Q2 ヘルプマークを知らせるためのポスターなどの啓発・普及のための作成部数について、うかがいます。

Q3 ヘルプマークを配布しているのは、都営地下鉄の駅や都営バスの営業所、日暮里・舎人ライナーの駅務室、ゆりかもめの駅務室、多摩都市モノレール駅務室、東京都心身障害者福祉センター、都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院等となっています。

 配布場所も増やしていただいていますが、まだ不十分です。とりわけ、多摩地域での配布場所が一部地域に限られています。外見は健常者と変わらなくても、長い時間、電車やバスに乗って移動するのが困難な人たちがヘルプマークを必要としています。一番、身近な区市町村の役所と連携し配布できる窓口をつくるべきだと思いますが、いかがですか。

Q4 ヘルプマークの配布窓口が、近くにない場合には郵送(料金は本人負担)も行うべきですが、いかがですか。

Q5 ヘルプマークにシールがついており、伝えたい情報などを記入し貼るようにと説明があります。裏面にシールを貼ってしまうとヘルプマークのマークが片面だけになってしまいます。見開きにできるように改善し、その見開きの部分に「伝えたい情報」を記入できるようにすべきですが、いかがですか。利用者の要望を良く聞き、改善を求めるものです。

尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

一 国民健康保険料(税)、地方税の差押えについて

A1 国税徴収法第76条第1項では、給料、賃金、俸給、歳費、退職年金及びこれらの性質を有する給与に係る債権(以下「給料等」という。)のうち、次に掲げる金額の合計額に達するまでの部分の金額は、差し押さえることができないとされています。
 (1) 給料等につき源泉徴収される所得税に相当する金額
 (2) 給料等につき特別徴収される住民税に相当する金額
 (3) 給料等から控除される社会保険料に相当する金額
 (4) 滞納者及びその者と生計を一にする親族に対し、生活保護法に規定する生活扶助の給付を行うこととした場合における扶助の基準額を勘案して政令で定める金額
 (5) 給料等の金額から、(1)から(4)までの合計額を控除した金額の100分の20に相当する金額。ただし、その金額が(4)の金額の2倍に相当する金額を超えるときは当該金額
 (4)において政令で定める金額は、国税徴収法施行令第34条により、一月ごとに滞納者本人につき10万円、また生計を一にする親族がある場合は、一人につき4万5千円を加算した金額とされています。
 生計を一にする3人の世帯の場合、国税徴収法施行令第34条に基づき算定される一月当たり19万円に、(1)から(3)まで及び(5)の金額を加えた額が、給料等の金額を上回る場合には、差押えができないことになります。

A2 今回の事例について、武蔵村山市に確認したところ、当該世帯は住民登録上2人世帯であること、この場合の差押禁止額は14万5千円に源泉徴収所得税に相当する金額等を加えた額になることを前提に納付交渉を行ったと聞いています。

A3 平成30年1月30日に厚生労働省が開催した「全国高齢者医療・国民健康保険主管課(部)長及び後期高齢者医療広域連合事務局長会議」において、保険料(税)徴収業務における留意事項として、給与等の差押禁止の基準や、滞納処分の停止における生活困窮の基準等が示されています。

A4 国民健康保険法第4条第5項では、都道府県は国民健康保険事業の運営が適切かつ円滑に行われるよう、国民健康保険組合その他の関係者に対し、必要な指導及び助言を行うものとされています。
 また、同法第106条第1項では、都道府県知事は区域内の区市町村等に対して、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員に実地にその状況を検査させることができると規定しています。
 区市町村が行う国民健康保険の事務は自治事務であり、地方自治法第245条の6では、自治事務の処理が法令の規定に違反している場合には、都道府県は区市町村に対し、是正の勧告をすることができるとされています。
 都は、区市町村の事務が法令の規定に違反していると認められる場合には、これらの関係法令に基づき必要な指導・助言等を行います。

A5 区市町村は、国民健康保険の保険料(税)の滞納者に対して、納付相談により生活状況を把握し、必要に応じて保険料の分割納付を案内するなど、きめ細かな対応を行っています。
 都は、区市町村の滞納整理事務が適切に行われるよう、区市町村の徴収担当職員を対象に研修を行っています。

A6 国民健康保険の保険料(税)が滞納となった場合には区市町村が、また、都税が滞納となった場合には都が、それぞれ、滞納者に対して督促や催告を行うほか、納付相談により生活状況を把握し、必要に応じて猶予制度を案内するなど、きめ細かな対応を行っており、その上で、財産があるにもかかわらず納付しない場合は、法令に基づいて差押えを行っています。
 また、滞納処分を執行できる財産がない場合や、滞納処分を執行することにより滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがある場合等には、滞納処分の執行停止を行っています。

A7 都が、区市町村の徴収担当職員向けに行う研修では、国税徴収法に示されている差押えの要件や制限など、滞納処分に関する法令の規定や参考となる判例等について説明しています。

A8 国税徴収法基本通達では、差し押さえる財産の選択は、第三者の権利を害することが少ない財産であること、滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える支障が少ない財産であること、換価が容易な財産であること、保管又は引揚げに便利な財産であることに十分留意して、行うものとしています。
 国民健康保険の保険料(税)が滞納となった場合には区市町村が、また、都税が滞納となった場合には都が、滞納者の生活状況を十分に把握した上で、差押えの判断を行っています。

二 ヘルプマークについて

A1 都は、平成24年10月から都営大江戸線においてヘルプマークの配布を開始し、現在は、都営交通、ゆりかもめ、多摩モノレール、都立病院等に配布場所を拡大しており、配布数は、平成30年3月末までの累計で、約21万9千個となっています。

A2 ヘルプマークの普及啓発のための取組として、駅や公共施設等へのポスター掲示、電車やバスの優先席やホームドアのステッカー標示、イベントでのチラシの配布やリーフレットを活用した企業内研修などを行っています。
 都は、平成30年3月までに、ポスター約3万8千枚、ステッカー約3万枚、チラシ約24万5千枚、リーフレット約1万枚を作成しました。

A3 都は、区市町村においてヘルプマークの作成・配布を進めるため、ヘルプマークの作成経費を包括補助で支援しています。
 また、「ヘルプマーク作成・活用ガイドライン」を作成し、区市町村によるヘルプマークの活用を促進しています。
 現在、13の区市でヘルプマークを作成・配布していますが、今後とも、区市町村の取組が進むよう支援していきます。

A4 ヘルプマークの配布に当たっては、円滑にヘルプマークを取得できるよう、書類等の提示を不要とし、ヘルプマークを必要とする都民が、配布窓口で申し出ることで、配布しています。
 また、配布窓口に行くことが困難などと相談を受けた場合には、個別に郵送するなど柔軟に対応しています。

A5 ヘルプマークは、周囲の人に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう作成しています。シールは、必要に応じて、周囲に伝えたい情報を記入し、裏面に貼って使うことができます。
 また、「伝えたい情報」を記入できるものとしては、都が標準様式を定め、区市町村が作成・配布しているヘルプカードがあり、災害時等の緊急連絡先や必要な支援内容などを記載し、周囲の人に伝えるツールとして活用されています。
 ヘルプマークは周囲の人に配慮を必要としていることを知らせるサインとして、ヘルプカードは必要な支援等を周囲に伝えるツールとして、併用して活用するなど、個々の事情にあった方法を選択することができます。

以 上

 

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