ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2017.10.05

2017年第3回定例会に提出した文書質問

2017年第三回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 原のり子

質問事項
一 小・中学校における発達障害教育推進について

一 小・中学校における発達障害教育推進について

 東京都は、すべての公立小中学校への特別支援教室設置をすすめています。これまでの通級指導学級でおこなってきた特別な指導(個別指導と小集団活動)を、在籍校で受けられるようにし、これまでより多くの発達障害の児童・生徒が必要な指導を受けられるようにする、巡回教員と学級担任の連携も密にしていくと説明しています。
 東京都教育委員会が2014・2015年度に行なった調査では、通常の学級に在籍する発達障害と考えられる児童・生徒の在籍率は、小学校で6.1%、中学校で5.0%となっています。こうしたことからも、多くの児童・生徒に必要な支援をしていくということは重要です。しかし、同時に課題も出てきています。
 「ある時間だけ、別の教室に移動して指導を受けることができない、つらい」「行きたくない」「通級指導学級では、朝から夕方までだったので、まず体をほぐす体育からはじまり、だんだんと落ち着いて勉強ができたが、短い時間だけ場所を変えて指導を受ける支援教室は対応できない」「通級指導学級では、子どもの特性をみて、先生が適切なグループ分けもしてくれての小集団活動により、仲間のなかで自信をつけていけたが、支援教室では事実上、小集団活動が十分保障されず不安定になっている」「通級指導学級に週1回通うことで、1週間在籍校でがんばれたが、拠点校での指導、特別支援教室、通常学級の3ヶ所で過ごすことに無理があり、情緒障害固定学級にうつった」など、たくさんの声が寄せられています。
 特別支援教室実施に伴い、どのように発達障害教育を推進するかは、区市町村それぞれ工夫もしながら進めており、違いがあります。拠点校での指導を毎週受けられる自治体もあれば、そうでない自治体もあります。大事なのは、どの児童・生徒も必要な指導が受けられることであり、今出てきている声や課題については各自治体まかせにせず、特別支援教室を推進している東京都としてどうしていくかが問われています。そこでうかがいます。

Q1 特別支援教室が、児童・生徒にとって、安心して過ごせるスペースになるように、環境整備が必要です。現在、東京都公立小学校特別支援教室設置条件整備費補助事業は、1校あたりの補助上限が、簡易工事費70万円、物品購入費30万円となっていますが、現場からはこれでは不足しているとの声があがっています。現場からの声を十分に聞いて、抜本的に補助の強化をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

Q2 特別支援教室で、一人ひとりに応じた指導、小集団活動が保障されるように、巡回指導教員の増員が必要です。通級指導学級から特別支援教室に移行するにあたり、現状より教員の配置が減ることになります。2020年度までは経過措置がありますが、その後、教員配置が後退することのないようにしていただきたいと考えますが、いかがですか。

Q3 東久留米市では、今年度、小学校の自閉症・情緒障害固定学級の在籍人数が、30人。そのうち、11人が1年生という状況になっています。昨年度と比べて8人も増えています。特別支援教室を推進してもそれだけでカバーできるわけではないことがよくわかります。固定学級増設に向け、東京都はどのような支援ができますか。

Q4 小学校の固定学級人数がふえているもとで、中学校にも固定学級をつくる必要性はますます高まっています。東久留米市では、「東久留米市特別支援教育推進計画」において、「小学校の固定学級(自閉症・情緒)の状況について継続して調査・研究を行い、小学校への新たな設置や中学校への設置についての検討を行う」と位置づけています。小学校で増えているということはその受け皿である中学校にも固定学級をつくる必要があります。しかし、財政的な面からも、小学校への増設と中学校への新設を、同時にすすめていくことは困難な課題です。
 「東京都発達障害教育推進計画」には、さらに検討を要する取組として、「区市町村における自閉症・情緒障害特別支援学級(固定学級)の設置に向けた支援」として、「通常の学級で指導を受けることが困難な発達障害の児童・生徒に対し、障害の状態に応じた適切な指導を行うため、区市町村が必要に応じて固定学級を設置できるよう、方策を検討します」とあります。問題は、いったいどういう方策になるのかがわからないことです。そのため、財政力が厳しい自治体としては、なかなか、踏み切れないという実態があります。具体的に、どのような方策、支援を検討しているのか、明らかにしてください。

Q5 東久留米市では、中学校に自閉症・情緒固定学級がないため、小学校卒業後の進路は、50%が知的固定学級、30%が私立中学校、20%が通常学級となっています。ふさわしい場所がなく、不登校になるケースもあります。東京都全体で、このような調査はやっているでしょうか。一人ひとりの発達障害の児童・生徒が、どのような道筋をたどって中学を卒業し、どのような進路選択をしていくのか、調査し、公表してください。

原のり子議員の文書質問に対する答弁書

一 小・中学校における発達障害教育推進について

A1 公立小・中学校に係る施設整備については、原則として設置者である区市町村がその経費を負担することとされています。
 特別支援教室の導入に当たり、都教育委員会は、区市町村に対し、教材等の物品購入に要する経費について1校当たり30万円と、教室環境の整備に要する簡易工事相当の経費について1校当たり70万円を、それぞれ上限とした金額を補助しています。
 この金額を超える施設・設備の整備については、各小学校の実情に応じて設置者である各区市町村が適切に判断し実施しています。
 なお、特別支援教室の中学校への導入に当たっては、現在実施しているモデル事業の状況を踏まえて支援体制を検討しています。

A2 小学校の特別支援教室における巡回指導教員については、今後とも、定数配当方針に基づき、適切に措置していきます。

A3 公立小・中学校における特別支援学級の設置については、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」に基づき、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が、当該学校の児童又は生徒の実態を考慮して行うこととされています。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会の求めに応じて、必要な助言をしています。

A4 都教育委員会は、区市町村が固定学級を設置する際、設置に向けてのスケジュール、必要な手続、障害の状態に応じた特別な教育課程の編成などの相談に対して助言を行うことで、設置意向のある区市町村を支援しています。

A5 都教育委員会は、都立特別支援学校高等部の受入計画策定等の基礎資料とするため、自閉症・情緒障害特別支援学級(固定)及び情緒障害等通級指導学級(通級)を含め、公立小・中学校の在籍学級別の卒業者の進路状況について、平成27年度以降毎年、調査を実施しています。
 調査結果は、個人が特定されるおそれがあること等から公表はしませんが、区市町村教育委員会等からの求めがあれば、個人が特定されないよう配慮した上で情報提供しています。

以 上