本会議 米倉春奈議員(豊島区選出)の討論
7日の本会議で米倉春奈議員(豊島区選出)が、討論を行ないました。
2017年 第2回定例会 討論 6月7日
米倉 春奈(豊島区選出)
日本共産党都議団を代表し、第124号議案「平成29年度13号地新客船ふ頭駐車場等用地建設工事請負契約」ほか4議案に反対、その他の知事提出議案に賛成、わが党と生活者ネット共同提出の「シルバーパス条例一部改正条例案」に賛成の立場から討論を行います。
最初に、豊洲新市場への移転計画についてです。
豊洲市場用地の地下水モニタリング調査の4月の調査結果は、環境基準の100倍を超えるベンゼンをはじめ基準を上回る有害物質が多数検出され、全体の汚染数値は、昨年12月、1月の結果よりも悪化していました。こうした事態を受け、知事が所信表明で860億円もの土壌汚染対策をしながら、土壌も地下水も環境基準以下にするという都民との約束を守れなかったことを初めて認めたことは重要です。そして「無害化」が実現できていない中、法的・科学的根拠に基づく安全と、都民の理解・納得に基づく安心が確保できるのか、総点検をすすめていることを明らかにしました。食の安全・安心を確保するという都民との約束を守る立場を貫くよう強く求めておくものです。
土壌汚染は残り、取り除く展望がない東京ガス豊洲工場跡地に、生鮮食料品を扱う卸売市場を移転すべきではありません。卸売市場開場の認可をする農水省の大臣も国会で、汚染の除去を行わず盛り土等のみを行った状態で、市場用地とすることは「想定し得ない」と答弁しているのです。しかも、建物下は盛り土すらされていません。築地市場の水産仲卸業者の7、8割が移転に反対、青果の仲卸組合も、食の安全・安心が確保できなければ豊洲新市場移転は反対との声明を出しています。
豊洲新市場への移転はきっぱり中止し、築地市場の再整備を進めるべきです。「世界に誇る築地ブランド」を未来の世代に引き渡そうではありませんか。
市場問題プロジェクトチームが、豊洲新市場移転は60年後には一兆円の赤字、築地市場は若干の赤字などと試算した報告書案をまとめました。知事ものべたように、築地市場の水産物取扱量は、30年前の約半分に減少しており、この変化も踏まえて、市場のありかたを検討すべきです。わが党は豊洲新市場のような過大な市場は赤字を大きくするだけであり、市場として活用すべきではないと考えます。
また、市場問題プロジェクトチームが築地市場の価値について「圧倒的ブランド力」と評価し、豊富な品揃え、仲卸の目利きの技、場外市場と一体となった賑わい、長い歴史と、都心に近い好立地などをあげ、その経済的価値は高いとしたことも重要です。一方、豊洲市場については10年後にはもはや卸売市場ではなく、主に物流センターになってしまうと指摘したことも注目されます。わが党は、市場問題プロジェクトチームの再整備案をはじめ、広く専門家の英知を集め、市場関係者の合意を得ながら、築地市場再整備案を練り上げれば、必ずや市場業者や都民が納得できる再整備ができると確信するものです。
自民党、公明党などは、東京ガス豊洲工場跡地への移転について、「移転延期に伴い豊洲市場で一日500万円が浪費されている」「業者への補償費も合わせれば百億円」などと攻撃をしていますが、地上も地下も環境基準以下にすることが確認もされていないにもかかわらず、3千億円近いお金をつぎ込んだ建物建設をすすめることに賛成し、豊洲新市場移転を既成事実化しようとしてきた自らの責任こそ厳しく問われているのです。深刻な土壌汚染地への移転を推進したため、都民や市場業者の批判が大きく高まり、両党とも「無害化された状態での開場」ということを付帯決議でつけざるをえなかったことを思い起すべきです。それができないからといって、自らの約束も反故にしてはばからないのはあまりにも無責任であり、断じて許されないことを厳しく指摘しておくものです。
わが党が、国民健康保険料の大幅値上げを指摘し、負担軽減への都の支援を求めたことに対し、都は保険料を決めるのは区市町村だと答弁しました。しかし、東京都自身の区市町村への補助が、1990年代の1人あたり8000円から9000円という水準から、2015年度は約1700円まで縮小しているのです。その上、東京都は国とともに、一般会計から国保会計への繰入金の削減を区市町村に求めることまでおこない、値上げを促進しています。来年度から国保の運営主体となる都がやるべきことは、繰入金の削減を迫ることではなく、保険料負担の軽減ではないでしょうか。都として、1人平均1万円の国保料引き下げを行うというのが、日本共産党の提案です。その実現のために全力をあげる決意を表明するものです。
わが党はまた、待機児が2万4000人をこえる中で認可保育園を9万人分増やすこと、特養ホームの増設を加速させるとともに、介護職員をふやすために待遇改善に本腰をいれること、私立高校生へのさらなる学費負担の軽減などを求めました。
さらにシルバーパス条例一部改正条例案についても都議会生活者ネットワークと共同で前定例会で提出しました。
シルバーパスは高齢者の社会参加に貢献し、経済的支援になるとともに、公共交通の利用による環境への貢献や外出の促進による健康づくりなど、多くの効果を持つ制度です。しかし、石原都政が全面有料化して以降、パスの利用率は下がり続け、今では50%を切っています。このため負担を軽減し、使いやすくしてほしいということが都民の長年の願いです。また、多摩都市モノレール等で利用できるようにしてほしい、都県境の路線で利用できるようにしてほしいという声も広がっており、他の会派からも同様の意見がだされていることから、これを踏まえて、提案したものです。ぜひ、可決、成立させることを強く呼びかけるものです。
こうした都民施策の充実のための財源は、1メートル1億円もかかる東京外環道をはじめとした大型開発優先の予算の使い方を、暮らし・福祉最優先に転換すれば十分生み出すことができることを重ねて強調しておくものです。
2020年東京オリンピック・パラリンピック経費の役割分担の合意で、費用膨脹分の多くを東京都が負担することになり、都民負担が7000億円を超えることが明らかになりました。当初都民に約束した1538億円はおろか、五輪基金4千億円もはるかに超える都民負担は、とうてい都民の理解を得られるものではありません。わが党は、都民施策を守るためにも知事に大幅な削減の努力を求めました。
この点で、小池知事が今回の合意を前提にしつつも「組織委員会に対してはさらに増収をはかるよう求めていく、国の財政負担についても、これからも国に要望していく旨の答弁をしたことは重要です。開催都市契約が公開され、組織委員会が五輪開催の当事者であることが改めて確認されました。組織委員会は主体者として、役割分担で合意した6000億円を超えて資金確保をはかり、仮設整備費や大会運営費などで今回都が肩代わりした部分をできるだけ縮減する、国もオールジャパンにふさわしく、閣議了解を乗り越えた財政支援を行うべきであることを改めて強調しておきます。
最後に、目前に迫った都議選で日本共産党は築地市場の豊洲市場移転を中止し、築地再整備の実現、そして都民の福祉・暮らし最優先の都政、都議会をつくることを都民の皆さんによびかけるとともに、安倍自公政権による憲法破壊から9条を守るために全力をつくす決意を申し上げ、討論を終わります。
以上