予算特別委員会 和泉なおみ都議(葛飾区選出)の討論
2017年第1回定例会 予算特別委員会討論 3月28日
和泉なおみ(葛飾区選出)
日本共産党都議団を代表して、第1号議案 平成29年度東京都一般会計予算ほか、21議案に賛成し、第16号議案平成29年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算ほか5議案に反対する立場から討論します。
まず、一般会計予算についてです。
小池知事が初めて編成した来年度東京都予算案は、福祉、教育などで、都民要求を反映した施策の一定の前進がありました。
わが党が要求してきた保育園の待機児解消目標の大幅引き上げや保育士給与の引き上げ、23区内で保育園に土地を貸し出す方への固定資産税・都市計画税の減免措置がおこなわれることは評価できます。
高齢者福祉に関しては、特養ホームなどの整備費補助が減額となっている一方、知事は「できる限り住み慣れた地域で暮らしたいと望む都民の気持ちに応えるために、特養ホームなどの整備と地域包括ケアシステムの構築が必要だ」と答弁しました。そのための土地の確保、都営住宅建て替え時の創出用地のさらなる活用や介護職員の処遇改善を求めます。
私立高校生の3割を占める年収760万円未満の世帯の授業料を実質無償化すること、都立高校生への給付制奨学金なども重要です。
また、商店街対策として、専門家派遣、巡回相談などの新規事業が立ち上げられ、医工連携事業、福祉用具や環境分野の技術など、都民の福祉や暮らしに役立つ分野への中小企業の参入を支援する予算が倍増されました。
防災対策では、無電柱化は私達が求めていた区市町村道への支援を含めて促進され、救急隊も増強されます。環境対策では、一般家庭の照明をLED電球に無償交換することも評価できます。
わが党は、本予算特別委員会において、石原都政以来、東京都が、多摩格差は解消したとして、23区との間の様々な格差の解消に取り組んでこなかったことを指摘するとともに、23区と多摩地域の市町村の間の財政力の格差が大きいことから、施策としても数多くの多摩格差があることを示し、都が広域的自治体としての税の再分配機能を発揮して、格差解消に力をつくすように求めました。
これに対し知事が、「多摩格差ゼロをめざすような政策、これを立案、そして実践していきたい」と、石原知事以来、初めて多摩格差解消の立場を表明したことを歓迎するものです。答弁した通り、NICU、子どもの医療費助成、幼稚園の入園料補助、中学校給食の実施率など、一つひとつ格差を解消する取り組みを進めることを求めます。
予算は一方で、問題点も多々あります。
一つは、安倍内閣による介護、医療、年金などの社会保障制度の切り捨てから、都民生活を守るという課題です。
わが党は、本予算特別委員会において、高すぎる国民健康保険料(税)の引き下げを求めました。知事は、国民健康保険が皆保険制度の基礎であり、所得が低く、医療需要の高い人が多く加入していることから、構造的問題があるという認識を示し、国にしっかりと要望していくと答えました。このこと自体は重要ですが、今後ぜひ、都の財政負担で高すぎる保険料の負担を軽くし、都民の暮らしと医療受診を支える方向を強めるよう重ねて申し述べておくものです。
わが党はまた、国保加入者への新規差押えの件数に応じた交付金を交付することにより、都が区市町村に差押えをあおり、滞納している国保加入者の様々な条件を顧みない強引な徴収が広がっている状況を示し、是正を求めましたが、是正の立場は示されませんでした。今後、ぜひ、実態を把握して、是正していくこと求めておくものです。
投資的経費についても、都民の立場に立った是正、改革が求められています。
投資的経費については、知事が「メリ」として13年ぶりに減額したことを強調されました。今後、投資的経費の中身を精査して必要な見直しを進めていくことを求めます。すなわち、福祉関連施設の整備などに係る投資的経費については、増やす必要がありますが、大型開発にかかわる投資については、精査し見直すことが重要です。特に問題なのは、外郭環状道路や特定整備路線など大型開発です。不要不急の路線、あまりにも巨額の予算を伴うもの、そして、何よりもいかなる理由があろうとも、問答無用に住民生活を破壊し、住民を追い出すものや貴重な自然を破壊する幹線道路の建設は同意できません。そのような幹線道路は、共通して住民の強い反対運動があります。都民ファーストというのなら、現場の実態、住民意見を把握し、見直していくことが強く求められています。この問題については、本会議や予算特別委員会などにおける質問、質疑を通して、知事から、事業の必要性や経費の内容などを厳しく検証していくこと、その中で見直すべきは見直しをおこなう、という立場が表明されました。この答弁にもとづき見直しをすすめることを求めます。
以上、わが党は予算の前向きな面を評価するとともに、小池知事の今後に生きる重要な答弁をふまえて、来年度予算案に賛成するものです。
同時に、住民の強い反対がある幹線道路などにメスを入れ、都民施策のより一層の充実を図るという立場から、2017年度東京都予算案に対する予算組み替え提案をおこないました。
わが党が提案した組み替え動議への賛同を、ぜひお願いするものです。
なお、第18号議案「平成29年度東京都中央卸売市場会計及び第86号議案は、豊洲移転経費が含まれておらず、市場運営を保障するものであることから、賛成することを表明します。一方、第16号議案臨海都市基盤整備事業会計は、臨海部開発をいっそう促進するために、巨大道路建設に莫大な投資を行うものであり、反対します。
最後に、築地市場の東京ガス豊洲工場跡地への移転問題について申し述べます。
今議会で設置された百条委員会における審議の中で、石原元知事が、最悪の土壌汚染地であることを顧みず、築地市場の豊洲新市場移転を強行し、都民と市場業者に多大の損害と困難を押し付けてきたにもかかわらず、「すでに決まっていたことだった」「部下がやったことで、自分は知らなかった」などと自らの責任を回避する立場に終始したことは断じて容認できません。わが党は、百条委員会などあらゆる機会を通じて、ひきつづき真実を明らかにしていく決意です。
また今、土壌汚染において、まったくレベルの違う豊洲新市場と築地市場を同列において、あたかも築地市場の方が危険であるかのような論調があります。しかし、築地市場は、たとえばガソリンスタンドが10年程度あり、ガソリンにベンゼンが含まれていることから、ベンゼン汚染となりえますが、ベンゼンは揮発性があり、土壌中に残留しているものは少ないといわれています。一方、豊洲市場は、30年にわたってコールタールが直接地面に流れていたため、大量のベンゼンが土壌や地下水に深く残留したものであり、量的にも、質的にも全く違うということを指摘しておくものです。
なお、自民党が築地市場の土壌汚染調査や安全性の強化、業者への補償のため、編成替えなどを求めていますが、必要になったら補正を組めばよいことであり、反対です。
豊洲新市場では、第9回目の地下水モニタリングと再調査によって、環境基準の100倍のベンゼンが検出されるなど、豊洲市場の地下が有害物質に汚染されていることが明らかになりました。
地上も地下水も環境基準以下にして、市場の安全・安心を守ることが、東京都の都民と市場業者に対する約束です。これが実現できなかった以上、豊洲新市場移転はきっぱり中止し、石原都政以来18年の長きにわたり怠ってきた築地市場の改修などを急ぐとともに、築地市場再整備について、本格的な検討を行うべきことを申し述べて、討論を終わるものです。
以上