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質問・条例提案

2017.03.01

本会議 白石たみお都議(品川区選出)の一般質問

3月1日、第1回定例会で、白石たみお議員(品川区選出)が一般質問をおこないました。

築地市場の役割について
羽田空港について
夜間定時制高校について

答弁

 

 まず、築地市場について質問します。私は、高校を中退し、寿司職人の見習いとして5年間働き、毎日のように、築地に通いました。

すし屋にとって魚の鮮度、旬、産地によるネタの見極めは、店の評価にかかわります。築地は、最高の食材を提供しようとする職人にとっても生きた教材を示してくれる学校です。

 豊洲移転をすし屋に伺うと「これまで何十年も自分の目で納得したものを仕入れてきた。土壌汚染が残る土地で仕入れたものをお客さんに自信持って提供できるか」と厳しく訴えます。

 豊洲新市場は、大手量販店などに向けた効率的な物流システムに重点がおかれ、移転に伴う仲卸業者の縮小・再編で目利きの力が失われることも危惧されています。

Q1 水産物の取扱量で世界一を誇る築地市場には、500を超える仲卸業者が軒を連ねています。

私の店もそうでしたが、いま一番手に入れたいコハダがこの仲卸ならある、などそれぞれの仲卸の卓越した目利きの力を信頼して、寿司屋はその日の魚を仕入れます。自分たちが獲った魚を正当に評価してくれるという信頼があるからこそ、築地には、全国各地から鮮魚が豊富に集まってきます。築地ならではの信頼が、漁業者とお店・料理人、消費者をつなぎ、日本の和食文化を下支えしてきたのです。知事は、日本の食文化に果たしている築地市場の役割についてどのように認識していますか。

築地市場の役割を大切にして、現在地再整備を検討されるよう、強く求めておきます。

次に羽田空港の増便に伴う都心を低空飛行する新ルートについてです。

Q2 羽田空港の機能強化はこれまでも行われてきましたが、その中でも陸地を避け、東京湾の上空をできる限り長く飛ぶように配慮されてきました。

しかし、今回の新ルート案は、都心上空を低空飛行するとしており、地域への負担軽減という考え方を根本から覆すものです。新着陸コースは、午後3時から7時の4時間、新宿、渋谷、港、目黒、と降下し、品川上空では東京タワーよりも低い高度300mで飛行し、その回数は1時間に44機、1分20秒間に1機と山手線の朝のラッシュ時よりも多いのです。その騒音は、私の地元品川区で最大80デシベル、地下鉄の車内並みの音です。航空機騒音は数十秒にわたり続くので、夕方の家族団らんの時間帯に休む間もなく地下鉄の車内並みの騒音にさらされることになります。騒音は、健康や子どもの発達にも影響をもたらします。世界保健機関WHOは、一日平均で65から70デシベルの騒音は、心筋梗塞などの心疾患を増加させるとしています。騒音が子どもの読解力や長期記憶力の低下につながるとの研究もあります。

 これまでの騒音軽減や安全確保への配慮と逆行する事態ですが、知事は、新ルートがもたらす地域への騒音影響などについてどう考えますか。

Q3 航空機からの落下物も懸念されています。成田空港ではわかっているだけで開港以来、百数十件もの落下物が確認されています。

この問題を特集したNHKのニュースでは、成田市の農家の方が、騒音は我慢していたが、ハウスに航空機のバネが落下し、その後も自宅周辺で部品や氷が落下したため、引越を考えるようになったと報じていました。とくに多いのが、機体についた氷が、着陸に向けて車輪を出すときの衝撃で落ちるケースです。成田空港では海上で車輪を出すようにしてから、落下物が減ってはきたものの、羽田と違って内陸部にあることもあってゼロにはなりません。一方、羽田空港に着陸する飛行機は、海上で車輪を出すことで、被害を防いできました。しかし、新ルートでは、市街地上空で車輪を出すこととなります。

都は、新ルートによって、着陸時に落下物が増加する危険性についてどのように認識していますか。

Q4 航空機から排出される大気汚染物質は、国連の航空専門機関でも規制の検討が行われ、航空機の排ガスによる健康被害が世界的にも問題となっています。また、環境省の報告でも航空機からの排ガスによりPM2・5やそれよりも細かいナノ粒子が航空機から排出されるとしています。新ルートにより、地域への影響は限定的としていますが、限定的とは具体的にどの地域にどのくらい影響を及ぼすのか伺います。また、健康被害の危険性をどのように認識していますか。

Q5 騒音、落下物、大気汚染などの増加の不安が高まる中、私の地元・共産党品川区議団が募った新ルート問題についての区民アンケートには1400名の方から回答がありました。

その中では「区内の八潮団地に住んでいたが、真上を飛行機が飛んでいてひどい騒音だった。あの時と同じ状況になるのは絶対に嫌です」「騒音や大気汚染による健康被害が心配。2歳の子どもを育てているが、落下物や墜落事故などで子どもの命が奪われたら誰が責任を取るのか。住民犠牲の上に成り立った経済発展など、まっとうな考えではない」「市街地上空を飛行機が飛ぶなど認められない。何があるかわからないから海上の飛行ルートを設定しているのではないのか」との声が寄せられ、新飛行ルートに8割以上が反対と回答しました。知事は、これら都民の声をどのように受け止めますか。

Q6 都は23区及び区部に隣接する5市で構成する「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」を設置しました。

羽田空港の機能強化に係る課題について、都と関係区市で情報共有や意見交換を行い、国が設置する「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」に反映させることが目的です。都は、「国主催の協議会の進捗を見ながら、必要に応じて開催を予定しています」と言いながら、国の協議会はこれまでに4回行われているにもかかわらず、都の連絡会はただの一度も開催されていません。

 区市からは「連絡会において都の今後の役割を示していただきたい」「都が連絡会として意見をまとめるべきだ」など、開催を求める声も出ています。

国に対し、関係区市の意見を伝えるためにも、副区長など区を代表する立場にある幹部が参加する連絡会を早急に開催すべきと考えますが、いかがですか。

Q7 都は国に対し、住民への丁寧な説明を求め、国も地域住民への丁寧な説明を進めると言ってきました。

ところが、実際に行われた説明会は、ブースを出展して、来場者がパネルなどを見るという形式で、オープンハウス型説明会と言われています。これは展示会に近いものです。これでは通常のやり方、つまり、主催者が前で説明を行い、それを聞いた参加者が疑問をぶつけるものではありません。まわりの人がどういう問題意識をもっているのか、それにどう国が答えるのか、十分に共有できないのです。

 関係区市からは、通常の説明会、いわゆる教室型で、主催者と参加者が意見交換できるような説明会を開いてほしいという要望が出されています。ところが、都は、国が設置した協議会の場で一度も教室型の説明会を要望していません。なぜ国に要望しないのですか。要望すべきではありませんか。

Q8 私の地元品川区をはじめ、目黒区や港区などの区議会で区長や区の担当者から、「国の提案する新ルートについては了承していない」としています。国も、第四回の協議会で新ルートについての関係自治体の合意や了承がなされたようにメディアが報道したことに対し、「そういった事実はない」と認めています。都も、現段階で、関係自治体の合意や了承が得られていないことを認めますか。

これまで、空港周辺地域の住民や自治体は、航空機がもたらす危険と負担を軽減させるよう、国に対し声を上げてきました。国も海上ルートを最大限に活用するなど、曲がりなりにも軽減策を図ってきました。

その積み重ねてきた歴史を反故にする、国の新ルート案は白紙撤回をするよう強く求めておきます。

次に、夜間定時制高校について質問します。

 都教育員会は、立川、小山台、江北、雪谷の4つの夜間定時制を廃止するとしています。昨年4校の1つを卒業したOBは、「中学時代は不登校で、高校には進学しようと思ってもいなかった。でも学校見学で、年齢も服装もみんな違う人たちが、仲よさそうにしている姿を見て、この学校なら自分にも通えるかもと思い、進学を決意した。放課後に先生が勉強をみてくれて、わからなかった勉強がどんどんおもしろくなった。クラスの友達たちともいっぱい遊んだし、支えられて卒業できた。人生で一番輝けた母校を奪わないで」と訴えます。

 私も、クラスメイトや先生に支えられ大崎高校夜間定時制を卒業した1人として、存続を強く訴えたい。

Q9 知事は、多様性が尊重され、誰もが生き生きと暮らせる「ダイバーシティ」の実現を掲げています。多様性の尊重は、学びの場でも重要です。夜間定時制高校は、いじめなどにより不登校の経験を抱えた人、高齢の人、外国にルーツを持つ人、障害のある人など、多様な生徒たちが机を並べ、チャレンジスクールにはないクラスという集団をつくって学んでいます。この学校なら自分の学びの場があると最後の受け皿を担っています。教育大綱策定時のパブリックコメントにも、「多様な生徒の学びを支えるセーフティーネットである夜間定時制を存続してほしい」との声が寄せられています。この声を受け止めて、誰もが教育を受けられるようにすることが大切と思います。また、夜間定時制の存続を求める保護者や卒業生、関係者は直接知事に声を聞いてほしいと求めていますが、知事いかがですか。

 多文化共生に先駆的にとりくんだり、生徒数300人の人気校などでありながら、なぜ、廃校対象になったのか。選定経過が不透明なことも、新聞で取り上げられています。

Q10 関係者が情報開示請求をしたところ、廃校対象に至る協議内容や経過の記録が存在せず、選定のための会議さえ行われていないことが明らかとなりました。まともな検討もなく廃校にされるなど納得できないとの声を知事はどのように受け止めていますか。

 廃止計画案が発表されたとき、約2か月で、2万5千筆もの存続を求める署名が寄せられました。かつて都立定時制高校で教鞭をとった、ノーベル賞受賞者の大村智栄誉教授など125名の文化人や、東京弁護士会なども存続を求める声明をだしました。昨年2月の計画決定後も声は止まず、今年1月には新たに3万506筆もの署名が都教委に提出されています。

廃止時期は計画には明記されていないわけですから、今いちど、再検討していただくことを強く求め、質問を終わります。

以上

 

知事 白石たみお議員のご質問にお答えをいたします。
 日本の食文化に果たしている築地市場の役割についてのお尋ねがございました。
 築地市場には、全国の産地から年間を通じ、高級な食材から定番の食材まで、新鮮な旬の魚介類、そして野菜、果物などが集められております。また、長い歴史の中で蓄積された食材の知識や取り扱いのわざ、さらに目ききなどのノウハウを生かして、品物ごとに精通したプロの目による適正な評価がなされていると聞いております。
 築地市場は、豊富な品ぞろえと確かな品質を確保して、都民を初めとする多くの方々に多種多様な食材を提供することで、まさしく日本の食文化の発展に貢献しているものと考えております。

 次に、羽田空港の新飛行経路案についてのご質問がございました。
 東京の国際競争力の強化に向けて、二〇二〇年東京大会やその後の航空需要に応えて国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠と考えております。
 飛行経路の見直しによりまして新たな騒音影響が生じるために、都は、その軽減に取り組むことを国に求めてまいりました。こうした要望も踏まえまして、国は昨年七月に、低騒音機の導入促進、学校や病院などの防音工事助成の拡充などの軽減方策を打ち出しているところでございます。
 都といたしましては、地域への騒音影響の軽減を引き続き国に求めてまいる所存でございます。
 同じく羽田空港でありますが、都民の声についてのご質問でございます。
 国が開催した説明会などにおきまして、騒音や大気汚染の影響、落下物への懸念も含めまして、さまざまな意見があったということは承知をいたしております。
 都はこれまでも、国に対しまして、地元への丁寧な情報提供と騒音影響を軽減いたします方策の検討、そして、徹底した安全管理に取り組むことを要請してまいりました。これを受けまして、国は昨年七月、騒音影響の軽減方策に加えまして、安全対策を強化する考え方を示し、現在、都内各地で説明会を開催中でございます。
 引き続き国に対しましては、こうした取り組みを求めるとともに、都といたしましても、都民の理解が深まるように国に協力し、国際都市東京にふさわしい玄関口としての羽田空港の機能強化を図ってまいります。

 定時制課程についてのご質問がございました。
 かつて働きながら学ぶ青少年の教育に多大な役割を果たしてまいりました夜間定時制課程でございますが、実は、現在、志望者の減少により、多くの学校が小規模化しております。
 一方で、児童や生徒の不登校が大きな社会問題となっている中で、都教育委員会が設置を進めてまいりましたチャレンジスクールなどの昼夜間定時制高校は、多様なニーズを持つ生徒を柔軟に受け入れまして、きめ細やかな学びの支援が可能となっていることから、こちらの方は高い応募倍率が続いているところでございます。
 このため、ことしの一月に策定いたしました東京都教育施策大綱におきましても、不登校の子供や中途退学者等を社会全体で支援をいたしまして、再チャレンジの教育環境を充実する取り組みを推進する、そのことを盛り込んだところでございます。
 今後、新たな定時制高校ともいえますチャレンジスクールなどを増設、拡充していくことを通じまして、多様な生徒が生き生きと学べる場をさらにふやして、教育におけるダイバーシティーを実現してまいります。
 なお、夜間定時制に関しましては、さまざまなご意見があることについては教育委員会から報告を受け、承知をいたしております。私といたしましては、不登校、中途退学などさまざまな課題を抱える子供たちの学ぶ場のあり方については、さまざまなチャンネルから意見を聞いてまいりたいと考えております。
 残余のご質問につきましては、教育長、そして東京都技監からのご答弁とさせていただきます。

教育長 夜間定時制の閉課程に係る検討についてでございますが、新実施計画における閉課程対象校の選定は、これまでの都立高校改革における考え方や都民のニーズを踏まえ、新たな設置、規模の拡大を行うチャレンジスクール等の周辺にある学校や、小規模化が進行している学校について、交通機関の状況や地域全体の配置を考慮しながら、都教育委員会で熟考を重ね、配置計画案の作成を行ったものであり、検討会議等の設置を要するものではございません。
 また、この案をもとにした改編を含む新実施計画の策定に際しては、パブリックコメントによって広く意見を募るとともに、学校関係者への説明の場や、都教育委員会への請願等を通じていただいた都民からの意見も十分に検討した上で、決定を行ったものでございます。

東京都技監 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、航空機からの落下物についてでございます。
 新飛行経路は市街地の上空を通過することから、安全管理の徹底が重要であると認識してございます。
 国は、部品や氷塊の落下は、航空機の点検や整備が不十分である場合に発生するとしており、落下物が発生しないよう、航空会社の点検整備の徹底の指導、航空機メーカーへの対策の働きかけなどに取り組んでございます。
 さらに国は、昨年七月、羽田空港の機能強化に係る安全対策の考え方を示し、この中で、これまでの対策の強化に加えて、国の職員みずからが駐機中の航空機をチェックする取り組みを新たに実施するとしてございます。
 引き続き、安全管理の徹底に取り組むことを国に対して要請してまいります。

 次に、航空機から排出される大気汚染物質についてでございます。
 航空機のエンジンには、国際基準に基づく排出物規制が課せられており、これに適合しなければ、我が国の上空を飛行することはできないということになってございます。
 また、環境省の報告書によれば、大気汚染物質を発生源ごとに見た場合、航空機から排出されるものの割合は、PM二・五を含めてごくわずかであるとされてございます。
 これらのことから、国は、航空機による大気汚染の影響は限定的であり、地域への影響や健康に与える影響は少ないと考えられるとしてございます。

 次に、連絡会の開催についてでございます。
 都は、羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会を設け、主に部長級の幹事会を活用して、率直な意見交換を重ねてまいりました。そこでの意見も踏まえて、国に対して、丁寧な情報提供と騒音、安全対策の取り組みを要請してきてございます。幹事会において、引き続き率直な意見交換を行いながら、都と関係区市がしっかりと連携を図っていくことが重要であると考えてございます。
 連絡会については、今後必要があれば開催をいたします。

 次に、説明会の開催方法についてでございます。
 都は、教室型説明会を含む適時適切な手法を活用すべきとの関係区市からの意見を、国と関係都県市などで構成する首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会の場において、国に伝えてございます。
 これに対して国は、専門家の意見を踏まえ、きめ細かな情報提供や参加者からの丁寧な意見の聴取が可能なオープンハウス型説明会を開催するとして、昨年度、二期にわたって都内十六カ所、延べ七十日間実施をいたしました。
 さらに、現在国は、地元の理解が一層深まるよう、図表や写真を活用して資料をよりわかりやすくするなどの工夫を加え、改めて都内各地で説明会を開催してございます。
 都は、引き続き地元への丁寧な情報提供を国に求めてまいります。

 最後に、新飛行経路案についての国との協議状況についてでございます。
 昨年七月に開催された第四回の協議会は、新飛行経路についての合意を行うという場ではございませんが、この協議会においては、国と関係都県市が羽田空港の機能強化の必要性について認識を共有したこと、国が引き続き丁寧な情報提供と安全管理の徹底に取り組むこと、関係自治体は国が予算措置することを理解したこと、国と関係自治体は引き続き協力して二〇二〇年までの空港処理能力拡大の実現に取り組むこと、これらについて了解をされてございます。
 都は、今後とも国や関係自治体と連携して、首都東京の玄関口である羽田空港の機能強化に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

以上