第4回定例会に提出した文書質問
文書質問趣意書 待機児童対策について
2016年12月13日 白石たみお(品川区選出)
一 待機児童対策について
東京都は「待機児童解消に向けた緊急対策」の中で、新たな支援策を2017年度予算案に反映するとしています。区市町村や保育の現場の実情に応じたきめ細かな支援が求められます。そこで質問します。
1 東京都が行った「待機児童解消に向けた緊急対策活用意向調査」では、待機児童解消区市町村支援事業について、補助率のかさ上げの要件を自治体の規模を考慮したものにしてほしいという意見が複数の自治体から出されています。
同事業では、〔1〕当該区市町村の区域における4月1日現在の0歳児から2歳児までの待機児童数の合計以上の保育所等の定員の拡充を行う、〔2〕0歳児から2歳児までの保育所等の定員について、150人以上の拡充を行う、〔3〕0歳児から2歳児までの保育所の利用児童数を100人以上増やす、という要件を定め、これを一つ満たした場合は補助率が引きあがり、二つ満たすとさらにかさ上げされます。
このうち〔2〕と〔3〕は人口の多い自治体に有利な条件となっています。それは、保育の定員や利用児童を同じ人数増やす場合、人口の少ない自治体ほど、住民にとっての意義も、財政的な重みも大きくなりますが、一律の基準になっているからです。
そして、「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」によれば、今年1月1日時点で23区のうち人口20万人を下回る自治体は3つだけですが、逆に多摩26市で人口20万人以上の自治体は4つしかないなど、多摩の自治体は区部と比べて人口が少ない傾向にあります。そのため、結果的に多摩の自治体で条件を満たしにくくなっています。しかも、多摩の小規模な自治体は財政力も相対的に弱いところが少なくありません。かさ上げ条件の見直しを求める意見が出されたのも多摩の自治体からでした。
そこで、自治体からの要望に応え、待機児童解消区市町村支援事業における補助率かさ上げの条件を自治体の規模を考慮したものに見直す必要があると思いますが、都の考えをうかがいます。
2 借地料への補助について、今年度の補正予算で補助率や上限額が引き上げられたのは重要です。一方で補助の期間は5年間となっています。
先日開かれた「待機児童解消に向けた緊急対策会議」では、世田谷区の保坂展人区長から期間を延長してほしいという要望が出されました。認可保育園の運営は長期にわたって継続するものであり、世田谷区は20年間にわたり補助を行っています。都としても補助期間の延長を検討すべきだと考えますが、いかがですか。
平成28年第四回都議会定例会
白石たみお議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 待機児童対策について
1 自治体からの要望に応え、待機児童解消区市町村支援事業における補助率かさ上げの条件を自治体の規模を考慮したものに見直すべきだが、都の見解を伺う。
回答
保育の実施主体は区市町村であり、保育所等の整備費の負担割合は、原則、国が2分の1、区市町村と事業者がそれぞれ4分の1となっています。
待機児童解消区市町村支援事業は、区市町村の保育サービス拡充に向けた取組を更に加速させるため、その取組に応じて、区市町村や事業者の整備費の負担を軽減する補助事業です。
この補助は、都内の待機児童の約95パーセントを占める0歳児から2歳児までについて、〔1〕4月1日時点の待機児童数以上の保育サービスの定員拡充を行うこと、〔2〕150人以上の保育サービスの定員拡充を行うこと、〔3〕認可保育所の利用児童数を100人以上増やすことの三つの要件を設定し、区市町村が保育サービスの拡充に取り組み、要件を満たした場合、区市町村や事業者の負担を最大で16分の1まで軽減するものです。
今後とも、こうした仕組みにより、待機児童解消に向けて積極的に取り組む区市町村を支援していきます。
質問事項
一の2 借地料への補助について、今年度の補正予算で補助率や上限額が引き上げられたのは重要だが、補助期間は5年間である。認可保育園の運営は長期にわたり継続するものであり、世田谷区は20年間にわたり補助を行っている。都も補助期間の延長を検討すべきだが、見解を伺う。
回答
都が実施している借地料に対する補助は、収入のない開設前の工事期間中を含め、経営が安定しにくいと考えられる期間を対象としています。
以上