2016年第4回都議会定例会を終えて(談話)
2016年第4回都議会定例会を終えて
2016年12月15日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 大山とも子
今定例会で日本共産党都議団は、築地市場の豊洲移転問題や五輪費用の節減など、小池知事の都民要望にこたえる政策を前進させると同時に、これまでの都政の大型開発優先の立場を見直し、福祉の増進という自治体本来の役割を果たすべきとの立場に立って、具体的提案を行い、都民要求実現に全力をあげました。
一、 築地市場の豊洲移転問題が、今定例会でも大きな焦点になりました。
小池知事のもとでわが党に開示された、東京ガス豊洲工場跡地の取得をめぐる都と東京ガスの交渉経過の資料によって、石原元知事の指示で浜渦元副知事が強引な買収を進めた結果、本来、東京ガスの責任で行うべき土壌汚染対策の費用負担について都が譲歩に譲歩を重ね、東京ガスの費用負担は78億円で決着し、東京都がその10倍の782億円も負担した経過が明確になりました。この問題で、石原元知事は、小池知事の質問状に対して「私に判断を求められることはなかった」などと責任逃れの回答をしています。しかし、開示資料では、東京ガスの負担額を石原元知事に伝えるとされているのです。
わが党が、こうした事実を示し、「石原元知事と浜渦元副知事から聞き取りを行う必要がある」と質したことに対し、小池知事が「真摯に考えていきたい」と答弁したことは重要です。深刻な土壌汚染地への築地市場の移転を強引に推し進め、移転のためとして5900億円もの公金を投入してきた全容を解明するために、速やかに聞き取りを行うことが求められます。
同時に、都議会としても豊洲市場移転問題特別委員会において、石原元知事と浜渦元副知事などの参考人招致を行うことが不可欠です。
また、わが党は、都が繰り返しおこなってきた、豊洲新市場用地では環境基準を超える汚染物質をすべて除去したという説明は偽りであることを、きびしく指摘しました。これに対して知事が、除去したのは調査で見つかった汚染物質だけであること、つまりすべて除去したものではなかったことを認めたことは、小池知事の誠実さを示すものです。
汚染が残されているので、豊洲新市場の地上部が地下水によって汚染されるのを防ぐため、地下水をポンプで吸い上げて、水位を海抜2メートル以下におさえることになっています。しかし実際は、ポンプが本格稼働して2カ月が経つのに、水位が海抜2メートル以下に下がったことは一度もありません。
敷地全域に盛り土をし、地下水を海抜2メートル以下におさえる―これが、豊洲市場における土壌汚染対策の2本柱とされてきました。しかし、主な建物下の盛り土がおこなわれなかったことに続き、地下水管理が不能状態になっていることで、いまやその両方が破たんしていることが明らかになりました。知事が設置した「専門家会議」とは意見の異なる専門家をふくめて、土壌汚染対策について全面的な検証を行うことをはじめ、豊洲移転問題を抜本的に再検討することが求められています。わが党は、そのために全力をつくすものです。
一、 わが党は、入札契約適正化法に基づいて設置されている入札監視委員会の歴代委員長が、いずれも都財務局幹部のOBであり、豊洲新市場の施設建設工事など談合が疑われる99%を超える落札率で契約された案件を審議してこなかった事実を指摘し、公正な入札監視を行うための改革を知事に求めました。これに対し、知事が「委員長を含め委員について、都のOBではない学識経験者から選定するよう、事務方に指示した」と答弁したことは、きわめて重要です。
一、2020年東京オリンピック・パラリンピックについて、わが党は、知事がいったん決定された都立三施設の再検討に着手し、アクアティクスセンター(水泳会場)の客席数を5千席減らしたことを重要な前進と評価するとともに、引き続き費用の削減、スポーツ施設として都民が納得できる見直しを求めました。
同時にわが党は、増大が懸念されている五輪総費用の削減と透明化を求めました。知事は「大会総経費の縮減」に不断に取り組むと答弁するとともに、わが党の提案を受けて、半年ごとに総経費を公開し議会がチェックしたロンドン五輪の事例を参考にして「実効性ある仕組みを構築」すると答えました。
また、五輪費用負担について、国が財政的にも開催国にふさわしい責任を果すことを求めましたが、知事も「強く求めてまいる」と答弁しました。これらの知事答弁は、大いに評価します。
わが党は、知事が都民の願いに答え、確実に総費用の透明化と削減、都負担の抑制をはかるよう、引き続き求めていくものです。
一方で、五輪経費の透明化が求められているにもかかわらず、担当局がこれまでの都と国、組織委員会との費用負担や役割分担に関する協議記録や資料を保存しておらず、協議内容が闇の中であることが明らかになりました。ことは重大であり、わが党は知事に、これまでの経過を調査するとともに国や組織委員会との協議の透明化を強く求めました。
一、 わが党は、都民の切実な要求実現のために、条例提案もふくめ具体的提案を行いました。
待機児童解消についてのわが党の質問に対し、知事は、「2020年に向けた実行プラン」の中で、保育サービスの整備目標を定めると答えました。認可保育園の積極的な増設目標を、「実行プラン」で明確にすることをつよく求めるものです。
保育士の確保・定着に向け、賃金をはじめとした処遇改善を求めたのに対し、知事が保育士の専門性を認め、働き続けられる環境が整っていることが重要との認識を示し、キャリアアップ補助について充実を検討すると答弁したことは重要です。わが党は、保育士の賃金の大幅引き上げのため全力をつくします。
わが党が今議会に提案した子どもの医療費無料化条例案は、所得制限と通院医療費負担をなくすことによって、子どもの医療費における多摩格差を解消するものです。残念ながら他のすべての会派が反対し否決されましたが、わが党は引き続き、多摩格差解消へ力をつくすものです。
知事が年内に策定する「実行プラン」は、今後4年間の都政全体の方向を定めるものです。わが党は、これまでの大型開発優先の都政から転換し、少子高齢社会対策をはじめ、福祉の増進という地方自治体本来のあり方にそったプランにすることを求めました。
一、 都議会改革について、引き続き真剣に取り組むことが強く求められています。
わが党は、今定例会において、本会議の場で議員報酬の削減のための協議を呼びかけました。同時に、議員の期末手当の引き上げをやめ、現行どおりに据え置く条例案を生活者ネット、かがやけTokyo、東京みんなの改革、日本維新の会東京都議会の5会派で共同提案しました。自民・公明・都議会民進(旧民主党)などが反対し実現できませんでしたが、今後とも議員報酬の削減に力をつくします。
また、わが党はじめ民進党都議団(旧維新の党)、都議会生活者ネットワーク、かがやけTokyo、東京みんなの改革、日本維新の会東京都議会の6会派で共同提案している費用弁償を実費支給にする条例改正案が、またもや自民・公明・都議会民進によって継続審査となりました。昨年の第1回定例会以来、2年近くもたなざらしにしておくこと自体、異常事態です。この間、継続審査としてきた理由は、議会のあり方検討会が議論するからということでした。しかし、費用弁償について、いまだに議論の俎上にさえ載せていません。
議会改革を口にするなら、踏み出せるところから一歩を踏み出すべきであり、わが党は議会改革を前に進めるため、全力をつくすものです。
以上