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質問・条例提案

2016.10.05

本会議 かち佳代子都議(大田区選出)の一般質問

2016年第3回定例会 一般質問  10月5日

かち佳代子(大田区選出)

豊洲新市場について
認可外保育施設の安全確保について
答弁

一、豊洲新市場について

 まず、豊洲土壌汚染対策と施設建設における工事費の高騰及び談合疑惑についてうかがいます。
 豊洲新市場の整備費は、当初計画の4316億円から5884億円に上昇する見込みです。なかでも、土壌汚染対策費が586億円から858億円、建設費が990億円から2747億円に高騰しています。この高騰に大手ゼネコンとの談合疑惑があります。

Q1 施設建設工事は、3つの街区ごとに、それぞれの街区で土壌汚染対策工事を行ったゼネコンをトップとする共同企業体が、組まれました。しかし、2013年11月の入札に3つの共同体がそろって応じなかったために、不調となりました。そのため、工事を急ぐ都は、入札参加企業へ異例のヒヤリングを行い、工事対象面積を減らした上で、予定価格628億円を1035億円へ、なんと1・6倍以上に跳ね上げたのです。単位面積当たりの価格は倍近くになりました。そして、2014年2月に、99・9%で落札されたのです。
 その後、減らした分の公示についても、それぞれ同一の共同企業体と随意契約を結んでいます。結局、各ゼネコン共同企業体が受注した総額は、現時点で約1300億円。その全てが予定価格の99・5%以上の契約です。
 国交省の建設着工単価によれば、2013年度は1平米あたり23万円前後です。しかし、豊洲新市場施設の主要3棟の落札額は、平均32万円と、高級マンションの完成工事費単価レベルです。あまりにも高額だとは思いませんか。入札の経過といい、高額入札といい、官製談合が行なわれた疑いが濃厚です。知事、どう思いますか。

Q2 建設費の高騰は、市場会計を圧迫し、今後の都の中央卸売市場全体の整備費の財源に影響し、業者の使用料、手数料にはねかえります。ゼネコン各社は、大もうけの一方、市場関係業者は高騰する使用料・手数料で苦しみ、市場会計にも多大な影響を及ぼします。知事の認識を伺います。

Q3 最初の予定価格及び入札不調1か月後の予定価格の積算根拠を具体的に示して下さい。

Q4 予定価格が6割も跳ね上がった根拠を具体的に示してください。

Q5 それらの根拠について、第3者に査定評価をもとめ、全面的な調査をおこなうべきです。それぞれ、答弁を求めます。

Q6 豊洲新市場整備では、土壌汚染対策工事でも、施設整備でもいずれも清水・鹿島・大成をトップにした3つの共同企業体で住みわけ、他の入札参加者はいませんでした。豊洲新市場整備は、大手ゼネコン主導でゼネコン本位の入札が行われたといわざるをえません。
 知事、改めて、徹底した調査を行うことが必要だと思いますが、いかがですか。

Q7 都は、土壌汚染対策工事も、施設建設工事も、入札参加条件として「6~7者による建設共同企業体であること」などと数まで指定し、各街区の入札にあたって共同企業体をつくることを条件にしました。これは公正取引委員会の「公共調達と競争政策に関する研究会」報告で指摘する、「発注者サイドにおいて、共同企業体の結成を発注の条件として事業者に義務づけることは適当ではないと考えられ、こうした義務づけは廃止していくことが適当」とした考え方に反するものです。
 ゼネコンによる談合を防ぎ、適切な競争を確保する上でも、入札公告に大手による共同企業体を条件にしたり、ましてやその数まで指定するようなやり方は、見直すべきです。いかがですか。

Q8 豊洲土壌汚染対策工事では、談合情報がわが党都議団に寄せられ、入札結果と一致していました。
 この件についてわが党は、2011年第4回定例会で取り上げました。都は、談合情報検討委員会を設置し、入札参加事業者に対し、事情聴取をおこなったものの、事業者から、やっていないという誓約書を取っただけで、入札をそのまま執行してしまったのです。
 都は入札前に、共同企業体としての入札参加資格の審査を行うことができるわけであり、談合情報が正確かどうかは、入札前に把握できたはずです。
 宮城県では、公共工事入札・契約適正化委員会条例を設置し、知事の諮問に基づいて、入札や契約の適正化を促進するための調査・審議を行っています。委員会は12名の外部委員で知事が任命します。ところが、東京都の談合情報委員会は、各局ごとに内部の部課長クラスで編成することが、要綱で定められているだけです。
 改めて、豊洲新市場の整備に関して、都にはどんな情報が寄せられ、どのような調査をしたのか、公正な第3者の参加で、調査をすべきです。お答えください。

Q9 談合等については、内部通報制度をつくること。通報があった場合については、入札をやり直すなどの改善策を取るよう提案します。いかがですか。

Q10 談合などの独禁法違反行為の時効は、5年です。都として少なくとも、この5年間の落札率99%以上の案件、及び、談合情報が寄せられた案件について、調査権限のある公正取引委員会に情報提供し、徹底した調査・検証を求めるべきです。知事の認識をうかがいます。

二、認可外保育施設の安全確保について

Q1 次に、認可外保育施設の安全確保についてうかがいます。
 認可保育園が不足する中、保護者は、預かってくれる保育園を必死で探します。その中で、ベビーホテルなどの認可外保育施設が増え続け、都内では10年前の倍近くに増えています。国の調査によれば、毎年保育施設等での死亡事故は二ケタに及び、昨年は14件発生しています。特に認可外保育施設での死亡事故がダントツに多いのです。
 本年3月には、都内の2つの認可外施設で、死亡事故が起こりました。その一つである大田区内のベビーホテルで、生後6か月の女の子が亡くなりました。かけがえのないわが子の命が、突然失われた現実に、両親の心の痛み、悲しみは、はかりしれません。
 わが子がどんな状況で亡くなったのか、母親はその施設に行き、施設長から当時の状況を再現してもらったそうです。送っていったときの防寒用オーバーオールを着たまま、5時間以上もの間、ミルクを与えられることなく、真っ暗な部屋に寝かせられていた。当時、5人の子どもがいたが、資格のない施設長が、一人で見ていたとのことです。
 この施設は、都の立入調査を毎年受けているにもかかわらず、施設の面でも、有資格者がいない問題でも、何年も改善されずにいる中で、死亡事故が起きたのです。保育の現場で、このような死亡事故はあってはならないと思いますが、いかがですか。
 国の認可外保育施設の指導監督の通知によれば、届出施設へ年1回以上の立入調査を行うことが原則であり、ベビーホテルには必ず年1回行うことになっていますが、都の認可外保育施設への立入調査の実施率は毎年2割程度です。3月に死亡事故が起きたもう一つの施設は、開設以来、5年間1度も立入調査が行われていませんでした。今回の補正予算案で、認可外施設の巡回指導を充実することは、一歩前進ですが、認証保育所も含め、1700に及ぶ認可外保育施設の立入調査と巡回指導が年1回できるよう、体制強化が必要だと考えますが、いかがですか。
 うつぶせ寝は危険であると言われながら、現場では今なお無くならず、子どもの命が奪われています。定期的な立入調査のみならず、抜き打ちでの立入調査も含め、実効性を伴う指導監督にとりくむべきですが、いかがですか。
 知事、以上3点について、あわせてお答えください。

Q2 認可外保育施設は都の指導管轄にありますが、最も身近な区市などの自治体と、情報の相互交換や具体的な支援対策の検討会など、実効性のある連携強化が必要だと考えますがいかがですか。

  Q3 死亡事故が起きた大田区のベビーホテルには、事故の3か月後に改善勧告が出され、施設から自主廃園するとの報告が出されましたが、事故から6か月たった今も、保育士もいないなかで、保育を続けているのです。事業停止命令などの場合は、速やかに、受け入れ先の確保を調整することになっています。都として早急に在籍する子どもたちの行き先を確保するべきです。どう対応するのですか。

Q4 元気だったわが子が、なぜ亡くならなければならなかったのか、どういう状況で亡くなったのか、親には知る権利があります。大田区で亡くなったお子さんの保護者は、この保育施設で起きた死亡事故について、再発防止のためにも、都が設置した事故検証委員会を速やかに開くことを求めています。知事、この願いに真摯に応えるべきではありませんか。お答えください。

Q5 保育施設や教育施設を対象にした日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度では、保育者や施設の過失の有無にかかわらず、一定の補償があり、当事者が救済されますが、民間の賠償責任保険では、事業者の過失が認められなければ、補償はありません。このため、災害共済給付制度の加入対象になっていない認可外施設等での事故では、救済されず、事実も明らかにされない例が珍しくありません。子どもの命は、どこにいようと平等のはずです。災害共済給付制度で救済されるように、全ての保育施設や事業を加入対象として、加入を義務付けることを法令整備するよう都として国に求めるべきです。見解をうかがい、私の質問を終わります。

<答弁>

〇知事 かち佳代子議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、豊洲新市場についての建設工事費が高額とのご指摘でございます。
 豊洲市場の建設費については、都民に疑念を抱かせないよう納得していただける説明が必要でございます。そのため、市場問題プロジェクトチーム、こちらに建設費の検証をお願いをしているところでございます。そして、都民に開かれた場で、なぜこのような額になったのか、その理由を明らかにしてまいりたいと考えております。

 同じく、豊洲市場の建設費が市場会計に及ぼす影響についてのお尋ねがございました。
 豊洲市場の整備は、大規模な施設整備事業でございます。そして、独立採算を原則として、市場使用料を主な収入として運営しております。その市場会計にとりましては、大変大きな影響のある事業といえましょう。
 なお、豊洲市場の整備財源には、市場会計の保有資金、国庫交付金、築地市場跡地の処分収入を充てるなどとしており、直ちに市場の使用料に影響を及ぼすものではない、このように認識をしております。

 続いて、公正取引委員会への情報提供についてのお尋ねがございました。
 東京都が談合情報を受けた際には、必要な調査を行い、速やかに公正取引委員会に情報提供を行っているとの報告は聞いております。
 談合は、入札における公正な競争環境を阻害し、税の有効活用に逆行するものであります。断じてあってはならないと考えます。
 談合の防止に当たりましては、必要に応じ公正取引委員会とも緊密に連携していくことはもちろんでございますが、今後はこうした点も含め、より透明性のある入札契約制度の構築に向け、都政改革本部において、外部有識者を交え、議論を行ってまいりたいと考えます。

 認可外保育施設で起きた死亡事故、そして施設に対する指導監督についてのご質問でございます。
 まずは、保育施設で亡くなられたお子様とご家族の皆様には、お悔やみを申し上げたく存じます。
 保育施設でこのような事故が発生することは、もちろんあってはならないことでございます。都は現在、児童福祉法等に基づきまして、保育施設への指導監督を行っており、苦情や通報などがございました場合には、随時、立入調査を実施し、必要に応じて抜き打ちの調査も行っているところでございます。
 死亡事故などの重大事故が発生した場合には、直ちに現地視察、現地確認を行いまして、基準に抵触する場合には、法令などに基づいて改善指導、改善勧告、施設閉鎖命令などを行っております。

 今回の補正予算案には、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図り、児童の安全と保護者の安心を確保するために巡回指導チームを編成することを盛り込んでおります。来年度には、全ての施設に年一回、巡回指導できる体制に拡充してまいります。そして、事前通告なしの立入調査を含めまして、指導監督を充実強化する方針でございます。
 今後とも、区市町村と連携をしながら、保育施設におけます安全対策の徹底を図ってまいる所存でございます。

〇中央卸売市場長 豊洲市場に関します三点のご質問にお答えします。
 まず、工事予定価格の積算根拠についてでございますが、工事予定価格の積算に当たりましては、東京都標準単価や建設資材定期刊行物などのほか、単価設定のない項目につきましては、メーカー等から徴取した見積書を採用しております。
 また、平成二十五年十一月の入札不調以降、再入札に係る工事予定価格の積算に当たり、人件費や資材価格の高騰に伴う単価の見直しを行いました。

 次に、予定価格が上昇した根拠についてでございますが、豊洲市場の建設工事を発注した当時、東日本大震災からの復興や経済の復調により、全国的に建設工事が増大し、職人の不足に伴う人件費や専門の職人を要する工事費などの急騰、建築資材価格の上昇といった状況が見られました。
 この状況を的確に反映するため、直近の標準単価や建設資材定期刊行物などの採用と、改めて設計会社へのヒアリングなどにより把握した実勢価格を踏まえて積算を行ったものでございます。

 最後に、第三者の査定評価についてでございますが、予定価格の積算は適正に行われておりますが、市場問題プロジェクトチームが豊洲市場の建設費について検証することとしております。

〇財務局長 豊洲新市場に関連する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、土壌汚染対策工事及び建設工事についてでございますが、これらの工事は、いずれも入札参加条件を満たしていれば誰でも入札に参加できる、一般競争入札の手続により行われたものでありまして、適切に契約されたものと認識をしております。

 次に、共同企業体、いわゆるJVによる入札についてでございますが、東京都では、官公需法で配慮を求められております中小企業育成のため、一定規模以上の工事につきましては、大企業と地元中小企業の組み合わせによりますJVの結成を入札の参加条件とするとともに、発注金額に応じた構成員数の下限を指定することで、より多くの中小企業の受注機会の拡大を図っております。
 今後とも、都政改革本部における議論等も踏まえまして、都民ファーストの観点で、よりよい入札契約制度の構築に努めてまいります。

 最後に、土壌汚染対策工事に対する談合情報についてでございますが、ご指摘の工事につきましては、三件の入札にそれぞれ一つのJVのみが参加することなどを内容とする談合情報が寄せられましたことから、直ちに談合情報検討委員会を開催いたしまして、入札参加事業者に対して事情聴取を行ったものでございます。
 その結果、談合の事実は確認できず、事業者からは、法令等に反する行為を行っていないこと、不正行為が明らかになった場合、東京都の指示に従うことを誓約する、そういった旨の書面の提出を受けたことから、入札を執行し、契約を締結したものでございます。
 この一連の経過などは公正取引委員会に報告をしておりまして、私どもといたしましては調査は完了しているところでございます。

〇総務局長 内部通報制度についてですが、都においては、公益通報者保護法に基づき、職務遂行上の法令違反行為を通報する公益通報制度を平成十八年から運用しており、入札談合等もその対象としております。
 また、都政改革本部における検討も踏まえ、今般、公益通報制度を拡充し、新たに弁護士による外部窓口を設置するとともに、広く法令違反行為を対象として、職員だけでなく、都民からの通報も受け付けることといたしました。
 通報があった場合は、弁護士とも協議、相談しながら調査を行い、必要に応じて適切な対応を図ってまいります。

〇福祉保健局長 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、区市町村と連携した認可外保育施設への指導監督についてでありますが、都は児童福祉法等に基づき、認可外保育施設に対して、書面による報告徴収、立入調査、巡回指導等の指導監督を行っております。こうした指導監督は、保育の実施主体である区市町村と連携を図りながら行っており、立入調査等には区市町村が立ち会うほか、指導内容の情報を共有しております。
 今後とも、区市町村と連携しながら、指導監督を実施してまいります。

 次に、自主廃園の意向が示された認可外保育施設の利用児童の受け入れ先の確保についてでありますが、都は本年六月二十日、当該認可外保育施設の設置者に対して、職員配置不足について改善勧告を行うとともに、関係自治体に対し、児童の受け入れ先の確保について依頼を行いました。その後、設置者からは自主廃園の意向が示され、多くの在園児が認可保育所の緊急一時預かりや近隣の認証保育所等に転園した結果、勧告時に十六名いた児童は、現在二名となっております。
 引き続き関係自治体等と連携して、児童の受け入れ先を確保してまいります。

 次に、重大事故の検証委員会についてでありますが、国の通知では、死亡事故の検討については事例ごとに行うこととされております。大田区の認可外保育施設で起きた死亡事故については、現在、死因も含め、警察が調査しており、その状況も踏まえ、今後、具体的な対応を検討してまいります。

 最後に、災害共済給付制度についてでありますが、現在、認可保育所は災害共済給付制度の対象となっておりますが、認可外保育施設は対象となってございません。このため、認可外保育施設は保険会社の賠償責任保険等に加入しており、都は、指導監督基準において、乳幼児に関して契約している保険内容等を利用者に対して書面で交付することを求め、立入調査時には、書面の内容と交付の有無を確認しております。
 国に対しましては、今後、認可外保育施設も災害共済給付制度の対象とするよう、提案要求することとしております。