文書質問 西武新宿線の連続立体交差事業について…野方駅から井荻駅間も地下化で 植木こうじ都議(中野区選出)
2016年第2回定例会文書質問
2016年第2回定例会文書質問趣意書 6月13日
植木こうじ(中野区選出)
一、西武新宿線の連続立体交差事業について・・・野方駅から井荻駅間も地下化で
1、中野区民の願いは西武線の地下化
西武新宿線の踏み切り渋滞解消のため、中井駅から野方駅までの地下化工事に加えて、野方駅から井荻駅、東伏見駅間の連続立体交差事業を社会資本総合整備計画に位置づけ、国の交付金を活用して着手することが決まりました。中野区では秋に野方駅から井荻駅間の事業促進のための期成同盟の決起集会が予定されている。
Q1 この間、一貫して区民は鉄道の地下化を望んできた。
私自身も、1985年(昭和60年)から鷺ノ宮駅前で、「1時間の内、最大55分も閉まっている西武新宿線の踏み切り渋滞の解消を」「高架式は北側部分の道路整備のために住民の立ち退きなど影響が大きい、地下方式を」と訴えていました。
西武鉄道株式会社も1987年に地下化は事業費はかかるが住民の協力も得て運賃に10円上乗せすることで地下方式に決め、急行・快速を地下に走らせる複々線化の事業計画の認定を受けてきたのです。
ところが、地下化工事の住民説明会も済んで一部工事着手し始めたにもかかわらず、1995年(平成7年)、西武鉄道株式会社は突然、計画の延期、事実上の中止を申し出てきたのです。中野区は、西武への申し入れや区長と私を含めた中野区選出の都議会議員4人で都知事宛に、地下化工事の継続を求める要望書を提出したが、結局、西武鉄道の都合が優先されて計画は中止されてしまいました。
その後、2001年(H13年)に都と西武鉄道による「西武新宿線検討会」が設置され高架案や地下案、道路の立体交差であるアンダー方式(掘割方式)など4案が出されたが、道路の立体交差や鉄道の高架化は住民の反対で採用されませんでした。
2003年(H15年)に、中野区町会連合会が区民の切実な声である区内全線地下化を求める6万9千名の署名をつけて「中野区内の西武鉄道新宿線の踏み切り渋滞解消促進に関する請願」が都議会で趣旨採択され、翌2004年には町会、商店会、PTA、区議会、区、区民団体が共同で「西武新宿線踏み切り渋滞解消促進期成同盟」結成大会を開催しました。
ここでも、「区内全線地下化の早期実現をめざす取組みが必要である」という宣言文を採択したように、地下化を願う区民の声は重いものがある。こうした区民の思いをどのように受け止めているか、見解を伺います。
2、連続立体交差事業を進めるにあたり、周辺住民への負担を最小限に抑える計画に
Q2 都は野方駅から井荻駅間の連続立体交差について高架式か地下式かなどの構造形式の選定にあたって、地形的条件、踏切の除却数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の三つの条件で「比較検討」を行うとしています。
しかし、この三つの条件では中野区民の地下化を求める重い願いが反映されないことになりかねません、「比較検討」にあたっては中野区民の地下化を求める重い願いを位置付けるべきと思うが見解を伺います。
Q3 もともと、公共事業の計画をすすめるにあたり、住民への負担を最小限に抑えるべきとなっているはずです、鉄道を高架にする場合と地下にする場合とで、住民の立ち退き範囲や、騒音の影響など周辺住民への影響がどうなるかを抜きに考えるわけにはいきません。「周辺住民への影響などの条件」を「比較検討」に加えるべきだと思うが、それぞれ見解を伺います。
3、具体的な検討について
Q4 また、野方駅から井荻駅間の連続立体交差事業の具体化に当たり「比較検討」を始め、今後、事業化にいたるまでにどのような手順をへるのか、また、住民の意見の反映はどのようにして行うのか、示してください。
Q5 連続立体交差事業を高架式にした場合は、高さ9mの高架橋北側部分の日影にたいして側道を整備するとなっていて、地域によって6m~10mの道路整備を行うため多くの住宅などの立ち退きが発生することは明らかです。
地下化方式を採用している中井駅~野方駅間でさえ線形の変更の影響もあり69棟の立ち退きが余儀なくされていると聞いている。野方駅から井荻駅間を高架式にすればさらに多くの立ち退きが予想される。6mの側道でも住宅地図でみると中野区内だけでも約200棟の住宅、マンション、アパートなどが立ち退き対象になる可能性があり、8mや10mの側道の場合はもっと多くの建物に影響が出る可能性があります。
実際の計画が明確になっていないが、現時点では約何棟の立ち退きが予想されるか伺います。
Q6 小田急線では高架化による騒音問題で住民との裁判が争われましたが、西武新宿線の場合の騒音測定地点と騒音基準についてはどのようになっているか示すこと。
Q7 連続立体交差事業というと多くは鉄道の高架化が思い浮かび、住民は良い印象をもっていません。高架下にある駅舎部分の改札口や駅前店舗などは事業者によってきれいに整備されるが、その他は、自転車駐輪場、駐車場が大半で薄暗くて、死角も多く印象が悪い。
西武鉄道では池袋線が鉄道を高架にしていますが、駅舎や駅前店舗を除いて、高架下の利用内容と割合はどのようになっていますか。
Q8 小田急線では鉄道の地下化で生じる地上部について世田谷区では事業認可された翌年から「上部利用方針」を策定し、区民の意見交換会、アンケート、上部利用ワークショップ、シンポジウムなどを開催するなど時間をかけて住民参加で意見集約を行っています。ポケットパークや広場、防災空間など緑地の要望など多面的な利用計画が検討されています。そのコンセプトは「安全・安心の街づくり」「歩行者主体の街づくり」「地域が一体となる街づくり」としているそうです。
鉄道を地下化にすれば鉄道の跡地利用は地域住民にとっても、鉄道会社にとっても夢のある計画を描くことができると思いますが、跡地利用の実例をお示しください。
また、都としても、中井駅~野方駅の鉄道跡地について西武鉄道、地元区と協力して新しい魅力ある街づくり、防災空間の整備の立場からモデルケースを策定すべきではないか、見解を伺います。
4、ホームドアなど安全対策
Q9 西武新宿線では、全線でホームドアを設置しているのは高田馬場だけであり、現在地下化工事を進めている中井駅~野方駅間の新駅でもホームドアの設置は、現在、計画していないとのことです。
設置しない原因には車両が3ドアと4ドアが混在していることを挙げていますが国交省の実証実験など新しい技術開発が進行しています。また、10万人以上の利用者がいる駅が優先されることや鉄道会社の財政上の優先度も勿論あります。
それだけに安全対策をすすめるために、都施行の連続立体交差事業の一環として事業を行う場合などは安全を優先してホームドアの設置のために支援を行うことも検討課題にすべきではないか、見解を伺います。
Q10 また、西武鉄道が要望した場合に、ホームドア整備促進事業の対象になりうるか、伺います。
5、地域のまちづくりとの関係は
Q11 鉄道の連続立体交差事業を行う場合、地元区に事業効果を上げるようにと駅前広場や関連街路を整備するよう求めていますが、周辺商店街や住宅への影響や住民間の利害関係も大きく合意形成に時間がかかるなど多くの課題があります。こうした鉄道連続立体交差事業と地域の街づくりを義務付ける法的根拠はどのようなものがあるかお示しください。
以上