本会議 白石たみお都議(品川区選出)の討論
2016年 第2回定例会 討論 6月15日
白石たみお(品川区選出)
日本共産党都議団を代表して、第144号議案、外4議案に反対し、わが党提出の議員提出議案「東京都大学生等奨学金給付条例」に賛成の立場から討論を行います。
はじめに、第144号議案「平成28年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事請負契約」議案について申し述べます。南北線は、国際コンテナ戦略港湾整備と連動した国直轄道路であり、総額1100億円もの巨大事業です。今回の議案は、この道路建設にともなうトンネル整備です。不要不急の大型公共事業は見直すべきであり、第144議案に反対です。
次に、わが党提案の「東京都大学生等奨学金給付条例」は、東京都出身の大学生や専門学校生に、月額2万円の返済不要の奨学金を給付するものです。日本の高等教育の学費は、世界的に見ても高く、意欲ある若者が進学をあきらめざるをえなかったり、非正規の増大などで借りた奨学金を返済できなくなることなどが社会問題になっています。子どもの貧困対策としても学費負担の軽減は重要な課題です。東京都として、国に先駆け、教育の機会均等をはかり、貧困の連鎖を断ち切るために、本条例案への皆様のご賛同を心から呼びかけるものです。
本日、舛添知事が、辞職願を都議会議長に提出しました。都民世論の画期的な勝利です。
舛添知事の高額な海外出張、公用車の私的利用、政治資金の不正使用に対し、都民の怒りの声が広がり、都庁に3万件を超す批判の声が寄せられ、真相究明と知事の辞職を求める声が大きく高まりました。この力が、最後まで辞職を拒み続けてきた舛添知事に、続投を断念させたといえます。
日本共産党都議団は、独自の調査で舛添知事の税金と公的資金の私的流用の実態を明らかにし、本会議質問、総務委員会における質疑で、舛添知事を厳しく追及するとともに、知事が疑惑の全容を明らかにし、速やかに辞職するよう強く求めてきました。
同時に、わが党は知事の不信任案を提出し、各会派に共同提出を呼びかけてきました。そして昨日、議会として不信任案の共同提案が実現しました。このことも、知事を辞職に追いこんだ大きな力になったと思います。
わが党は、都政で再び今回のような事態を繰り返さないためにも、百条委員会を設置し、真相の全面解明を行うために、引き続き力をつくすものです。
その立場から今回の舛添知事による税金・公的資金をめぐる問題点について指摘しておかなければなりません。
まず、高額な海外出張の問題です。4月のニューヨーク・ワシントン出張も含めると、知事が9回の海外出張で投入した税金は総額2億4500万円で、非正規労働者の年収120年分にあたるものです。この2億4500万円を半額に抑えて節約した費用を都民施策に振り向ければ、生活保護世帯への熱中症対策のクーラー設置支援や、特別支援学校のプールの温水化などが実現できるのです。だからこそ、都民から、「汗水たらして働いたお金で貯めた税金を、湯水の如く使われた。都民が怒らないでいられません」「今後の都政を舛添氏に任せることは断じて許されない」、こうした声が殺到したのです。
知事が豪華なホテルを使うのは訪問都市からの要望だなどという言い訳も、「香港のトップが二流のホテルに泊まりますか、恥ずかしいでしょ」という、知事自身の発言で、事実を歪めるものだったことが明らかになりました。知事は海外出張費が高額となっている理由を、従来からの慣例や事務方のせいにする態度をとってきましたが、事実は、知事のお付きの人員を多数ひきつれることや知事の高級願望にありました。石原元知事とくらべても1回平均1千万円も増加した責任は知事自身にあったのです。
都民の厳しい批判を受け、これからは「ファーストクラスもスイートルームも使わない」といわざるを得なくなりましたが、2億円を超える浪費をすすめた責任はまぬがれません。
公用車での湯河原の別荘通いの問題でも、あくまでもルールに従ってきたと言い張りました。別荘への行き来に自宅に立ち寄った43回はルール違反であり、その経費は返還すべきだというわが党の質問にも知事は答えることができませんでした。またN響コンサートの鑑賞やプロ野球観戦まで家族とともに公用車を利用した問題についても何ら反省せず、「知事として招待された」からだと言いはりました。しかも、知事と家族の招待券を送ったのが、誰であるかは、明らかにできなかったのです。仮に都と利害関係をもつ企業や団体から無料招待を受けたとしたら、知事に対する利益供与の疑いもあり、そうした企業や団体とは無縁だったかどうかも問われています。
さらに、1年間で55回の視察のうち、7割、39回は美術館を視察し、美術館によっては一年間に2回も3回も視察したところもあったのに、保育園や高齢者介護施設には一度も視察に行かなかったという事実は、単にバランスを欠いたという反省で許されるものではありません。都民の苦難に心を寄せその解決に全力を尽くすのでなく、自らの趣味や個人的関心を優先するという行動は、知事としての資質が厳しく問われる問題です。
政治資金の不正使用問題では、木更津のホテルへの宿泊は、家族旅行でありながら、「会議費用」と記載し、政治資金で支払ったことが、虚偽記載であるかが厳しく問われました。知事が知事選立候補問題でこのホテルで面談したという人物について、氏名を明かさないばかりか、ホテルに来た時の様子を具体的に質問したにもかかわらず、「記憶にありません」との答弁を繰り返すだけで、答えられませんでした。さらに政治資金収支報告書に添付された領収書に、政治資金規正法で義務づけられている支出目的が記載されていなかったことも、領収書についている明細を切り離し、意図的に支出目的を伏せた疑惑が浮きぼりになりました。これは、虚偽記載とともに政治資金規正法違反に問われる重大問題であり、引き続き徹底解明が避けられません。
知事が、政治資金で美術品や額から生活用品まで、大量に購入しているという驚くべき実態も明らかになりました。いろいろ言い訳していますが、明らかに政治資金の私的流用であり、政治家としての資質が問われるものです。
こうした一連の問題は、知事の、税金、政治資金を私的目的のために使ってはばからないという、異常なまでの公私混同ぶりを浮き彫りにしており、知事としての資格に欠けることを示しています。
また、知事が都民と都議会への説明責任を事実上放棄していることも浮き彫りになりました。知事は、自らが疑惑をもたれている問題について、説明する度に説明内容を変えてきました。追いこまれた知事は、自ら都民と都議会に明らかにすることを拒否し、弁護士に調査を委託しその結果を報告させるという態度をとりました。しかし発表された調査報告書は、関係者からの聞き取りもほとんどないという、おそまつなものでした。自らの疑惑が問題になっているにもかかわらず、自ら事実を明らかにしようとしない舛添氏の態度自体、都民と都議会に対する背信行為です。
わが党は、総務委員会質疑の最後に、都民は知事に一刻も早く辞職することを求めており、その都民の声を受け止めるべきだと質問しましたが、知事は都民の思いは胸に刻むというだけでした。舛添知事は、職員ハンドブックで、東京都の職員に求められていることとして「都民の声に真摯に向き合」うことを呼びかけていますが、舛添氏の態度は、都民の声には背を向け、自己の地位確保を優先する態度でした。
知事は、議会にたいし露骨に解散の可能性を示し不信任決議提案の先送りを求めましたが、こうした発言自体とうてい許されないものです。また知事は、選挙がリオ五輪に重なることをもって不信任決議の先送りを議会に求めました。しかし、多くの都民が辞職を求めている理由の一つは、舛添氏が東京と日本の代表としてリオ五輪に参加することなど許されないという怒りです。ある都民は「オリンピックの旗を持ちたいということは、世界に向けてみっともない、はずかしい、絶対に阻止して下さい」と訴えています。
3回連続で知事が任期途中の辞職という異常事態を二度と繰り替えさないためには、真相の徹底解明は引き続き都議会の重要な責務です。これまで述べてきたように、解明しなければならない問題が多く残されています。そのためにも、都民からも有識者からも求められている百条委員会の設置を強くよびかけるものです。
最後に、日本共産党都議団は、待機児童解決のため保育園の増設や特養ホームの増設など、福祉の向上を図ること、非正規雇用の拡大から、正規雇用が当たりまえになる雇用のルールの確立、中小零細企業の直接支援を充実させ、最低賃金を引き上げること、さらに震災対策の強化など、都民のくらしと切実な要求を実現するため引き続き全力を尽くすことを表明し討論を終わります。