本会議 大島よしえ都議(足立区選出)の一般質問
二〇一六年第二回定例会 一般質問(全文)6月8日
大島よしえ(足立区選出)
舛添知事の、一連の公私混同問題について質問します。一昨日の調査報告の発表と、昨日の代表質問での答弁を聞いた都民から、「こんな人が東京都の知事であるなんて、世界に向けて恥ずかしい」「倫理観欠如の舛添知事を都民、国民は許さない」「年金暮らしの人は、1食200円以内で暮らしている。都民の怒りを知れ!」などなど、都民の怒りはますます強まっています。
昨日の、わが党の代表質問に対する知事の答弁には、都民の誰もが納得せず、知事が事実を明らかにし、潔く辞職することを求めています。そこで知事に改めて伺います。
Q わが党は代表質問で、2013年と14年の正月、千葉県のホテルに、知事が家族と宿泊した費用を、会議費として政治資金収支報告書に記載した問題を質しました。
知事は5月の記者会見で「事務所関係者らとの会議」だと説明したのに、弁護士の報告書では「出版会社社長に相談」した「面談」だったとされ、矛盾することを、わが党は質しました。しかし、知事は、「会社社長」という人物は、「事務所とお付き合いがある方がたという広範な趣旨で事務所関係者と述べた」と言いつくろい、さらに「会社社長との面談、そして具体的にはそれは会議という表現であってもよかった」などと答弁をしました。
知事、いい加減、見苦しい言い逃れはやめて下さい。
あらためて伺いますが、知事は、この家族旅行の費用を、政治資金収支報告書に「会議費」として記載したことは適切だったと、今でも認識しているのですか。お答えください。
知事がいくら会議は存在したと言い張っても、知事が依頼した弁護士でさえ、その「社長」なる人物からヒアリングしておらず、実在するかどうかも疑わしいという声が、多くの都民から上がってきているではありませんか。
Q 知事、この2回の政治資金収支報告書が虚偽記載でないというなら、その人物が実在し、ホテルに訪ねてきた、客室で面談したという何らかの証拠を示すべきではありませんか。そうでなければ、いつまで経っても、ホテルでの「会議」なるものは、知事の苦し紛れの作り話という都民の疑念を消すことはできません。知事、明確に答えてください。
Q わが党は情報開示請求でホテルの領収書を入手しました。パネルにしました。総額だけの領収書です。ホテルに確認しましたが、支出の明細と同じ紙にこの領収書がついているそうです。政治資金規正法11条は、支出目的を明記した領収書等の提出を求めています。なぜ明細がついていないのですか。わざわざ切り離したのですか。知事、お答えください。
次に、都民からも批判の声があがっている、美術館に偏重した視察についてです。知事が公務として行った年間55回の視察のうち、美術館は39回にものぼっていながら、保育園や介護施設などは一度も、一箇所もないという実態に、都民からの厳しい批判の声があがっています。発表された調査報告書でも、さすがに偏重の是正が提起されました。
Q 日本共産党は、知事の日程予定表を分析し、美術館に偏重した視察の実態を記者会見で明らかにしましたが、明らかに特定の分野、自分の趣味や関心に偏重した視察といわざるをえません。たとえば、知事は、美術館視察の理由にオリンピックの文化プログラムをあげていますが、美術館は39回視察しながら、他の音楽、舞踊分野などの視察は一度もありません。他方美術館では、相手から招待されるからという理由で1年間に、複数回訪問している美術館は都立施設を除いても11館。しかも浮世絵専門美術館には3回も訪問し、時には一日に同じ作家の浮世絵展をハシゴで視察しています。このような視察先の選定は、知事の個人的な趣味や関心の反映が明らかに見てとれます。こうした傾向は、公正、公平な行政執行が求められる知事の立場が厳しく問われるものと言わざるをえません。いかがですか。
Q さらに知事は、美術館視察でオリンピックにむけ時間延長や、多言語化への対応、共通チケットの発行を要請し、懇談すると記者会見で説明しましたが、わたしたちの調査では、要請や懇談もなく、鑑賞だけだった視察が確認できただけで8回ありました。3回視察した、ある美術館は、3回とも協力要請はなかったと話しています。このように到底、オリンピックのための仕事というより、鑑賞が主目的の視察があったのではありませんか。
Q そうした公務性が疑問視せざるをえない視察も、生活文化局が訪問先に受け入れを要請し、事前の準備や当日の受入れ体制をとるなど、都の職員が複数動員され、公用車が使用されます。 しかも、視察先は局が提案するのではなく、すべて知事の指示で決定されています。知事の趣味や関心のために、職員が動員されてきたことを知事は当然だと考えているのですか。
Q しかも知事は、美術館の視察について「ある公務地点から、次の公務の地点に行く間に、かなり押し込んでもらった」と話していましたが、知事の日程予定表と庁有車の運転記録をつきあわせると、午前中は美術館視察のみだった日は5回、午後5時前に美術館に行きそのまま帰宅する日が11回。さらに、1時間半で2つの美術館をはしごしている日もあります。到底すべてが忙しい公務の間に視察したとはいえないのではありませんか。 こうした視察でも知事の公私混同ぶりは厳しく、ただされなければなりません。
Q 公用車の私的使用問題について伺います。
昨日の代表質問で世田谷区の自宅から湯河原の別荘及び別荘から世田谷の自宅への帰宅の際に公用車に家族を乗せたことは一度もないかと質したところ、知事はない旨の答弁をしました。そこで改めてうかがいますが、知事就任以来、公用車に家族を一度も乗せたことはないか否か、明確な答弁を求めます。
次に、都政の緊急課題のひとつである住宅問題について質問します。
非正規雇用や、不安定就業者が増えるなかで、賃貸住宅の家賃すら満足に支払えない若者が急増し、ネットカフェ、違法貸しルームなど住まいとも呼べない劣悪な施設に居住せざるを得ない「住まいの貧困」が社会問題となっています。
ある30代前半の女性は、大学を卒業し、IT関連会社に正社員として就職しましたが、職場でのハラスメントに悩み退職。業務委託の家庭教師と派遣の販売の仕事に転職しましたが、仕事が減って収入が減少し、アパートに住むことができなくなり、シェアハウスに転居。月収13万円、家賃4万2千円、残り8万円ほどで税金、保険料を支払うと生活は、ほんとうに厳しいと語っています。
Q 今日、低賃金、不安定雇用が増加するなか、若い世代は、良質で低家賃の住居を確保できず、脱法ハウスといわれる劣悪な住居に入居したり、親の家から独立できず世帯内単身者となる例が増えています。都の「子供・若者計画」でも子供・若者を取り巻く環境は、時代の急速な変動とともにめまぐるしく変化していることを述べています。こうした社会的自立に困難をかかえる若者の実態を都はどのように認識していますか。
Q 住宅セーフティネットの中核と位置づけられているのが、公営住宅、都営住宅です。低所得者に公平かつ的確に供給しなければなりません。
しかし、都は、都営住宅の新規建設を17年間拒否し続けたため、空き家住宅の応募倍率は世帯向けで平均26.2倍、優遇抽選を除く一般は最高で3177倍、単身向けで、平均57.1倍、最高353倍という高倍率で、「何度申し込んでも当たらない」「生きているうちに入居できるか」と怒りとあきらめの声が寄せられています。このような状況を都はどのように認識していますか。
また、低所得で入居資格を持つ人の大多数が応募しても入居できない現状で、若年単身者の入居も視野に入れ、都営住宅の新規建設を再開することや建替え住宅の戸数を増やすことが重要ですがいかがですか。
Q 住生活基本法にある住生活の安定の確保のための施策の推進にとって住居費負担軽減は最大の課題です。国交省は、「家賃補助制度については、対象世帯、民間家賃への影響、財政負担等の課題があり、慎重な検討が必要」という考えを示しましたが、否定しませんでした。家賃補助制度の課題について、都はどのように考えていますか。
Q 国の社会資本整備審議会住宅宅地分科会では、臨時委員から「民間住宅の空き家や空き室のストックを適正に改修し、自立高齢者・子育て世帯・若年世帯等への家賃補助による準公営住宅構想の実現化」が提案され、「空き家を改修し提供することが前提なら、公営住宅を新たに作るよりコストがかからない」といった意見も出されています。都は、問題となっている「空き家」も、都市のストックとして有効に活用できれば、地域の活性化に役立てることができるという見解を示しています。空き家を活用した新たな制度を検討する考えはありませんか。
Q 都民が人間らしく住み続けられる住居と環境を求める権利は、都民の基本的人権です。今住宅問題は、低家賃で良質な住宅の確保や、空き家問題、マンション問題、住宅産業問題など、都政の重要な柱となっています。今後住宅政策の執行体制を強化するために、住宅局を専管部局として確立すべきではないですか。
答弁を求めて、質問を終わります。
以上
〇知事 大島よしえ議員の一般質問にお答えいたします。
まず、政治資金収支報告書への記載についてご質問がございました。
お話のホテルにおいて行った会議は、私にとりまして、旅行先といえども、政治的に極めて重要な意味を持つことでありましたことから、その認識に基づき、政治資金収支報告書に記載した次第でございます。
しかしながら、昨日来、この議場での大変厳しいご指摘、都民の皆様からのご叱責、また弁護士の調査報告書によりまして、私が安易に全体の経費を政治資金として支出したことは、今となっては常識から外れていたというほかはなく、不適切であったと認識をいたしております。深く反省し、おわびを申し上げたいと思います。
ホテル、客室での会議についてでございますが、お話の千葉県のホテルの会議につきましては、当初、私は事務所関係者により調査を行ったところでございます。しかし、身内の調査との批判を受けまして、第三者の目で厳しく調査していただいたことは、これまでご説明させていただいているとおりでございます。
その元検事の弁護士の方々による厳しい調査の結果、客室での会議、調査報告書は面談という表現になっておりますけれども、その面談が行われた事実の認定はなされたと認識をいたしております。
一昨日の会見におきましても、当該弁護士から事実認定については十分尽くしたとのコメントもいただいております。都民の皆様のご批判につきましては、私の不徳のいたすところでありまして、深く反省をいたしております。
ホテルに宿泊した際の領収書についてご質問がございました。
第三者調査で収支報告書に添付されております領収書を確認していただいておりますけれども、ご質問の千葉県のホテルの領収書には、ただし書きを記載する欄がそもそもございません。明細については、私に定かな記憶がございませんので答弁を差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、本件につきましては是正が必要な支出という指摘をいただいたところでありまして、今後適切に対応してまいりたいと思っております。
視察先の美術館についてでございます。 視察先の選定は個人的な趣味ではないかというご指摘をいただきました。二〇二〇大会の文化プログラムの成功に向けまして集中的に行ってきたものでございますが、ご指摘のとおり、ほかの施設に比べ、美術館や博物館の視察の割合が高く、バランスを欠いていたということは反省しておりまして、改善をしてまいりたいと思っております。 今後は、今般の私の視察への批判や第三者の弁護士による調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスも配慮するなど、多摩・島しょ地域など、東京全体の地域性も考えながら、視察のスケジュールを組み立てていきたいと考えております。 鑑賞が主なる目的ではなかったかというご指摘でございますが、文化プログラムの構築のために、私自身が多様な企画に触れて、発想を豊かにして、さまざまなアイデアを出していくことも大切であると考えております。今後は、疑念を持たれないよう、しっかりとバランスを持ってやっていきたいと思います。
職員の動員を当然だと考えているんではないかという厳しいご指摘をいただきました。美術館、博物館の視察につきましては、先ほど申し上げましたように、二〇二〇年大会の文化プログラムの成功に向けまして集中的に行ってきたものでございますけれども、視察先につきましてバランスを欠き、結果として、所管する職員に負担をかけてしまった側面がございます。今後は、視察対象のバランスに配慮しながら、視察のスケジュールを組み立ててまいりたいと思っております。
忙しい公務の間の視察とはいえないのではないかとのご指摘でございますが、さまざまなスケジュールの状況を勘案しながら、効率的な視察を行えるように工夫をしてきたつもりでございます。先日もそのような認識のもとでお話をさせていただきました。ただし、今後は、今般の私の視察への批判や第三者の弁護士によります調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスにも配慮するとともに、東京全体の地域性も考えながら視察のスケジュールを組み立ててまいりたいと思っております。
公用車の家族の同乗についてでございますけれども、これまで園遊会、在京タイ主催の懇談会、音楽鑑賞などの文化的行事や夕食会などに家族を伴って出席する際に家族を公用車に同乗させたことはございます。これらは、いずれも私が都知事として招待を受け、同時に家族も招待されたと認識したものでございます。
〇青少年・治安対策本部長 社会的自立に困難を抱える若者についてですが、少子高齢化、情報化、国際化などの進展により、子供、若者を取り巻く環境は大きく変化し、社会的自立に困難を有する子供、若者の持つ背景は、これまで以上に複雑なものとなっており、その抱える問題は深刻化しております。
都はこれまでも、福祉、教育、雇用等の各分野の施策において、子供、若者へのさまざまな支援を行ってまいりましたが、さらに、昨年八月には、東京都子供・若者計画を策定し、関連分野における施策を総合的に推進しているところでございます。
〇都市整備局長 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、都営住宅の公平かつ的確な供給についてでございます。
都営住宅の募集に当たっては公募を原則としており、これに加え、高齢者や子育て世帯などに対して優先入居を実施するなど、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給するよう努めてございます。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅について、既存ストックの有効活用を図って、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
次に、家賃補助についてでございます。
家賃補助制度については、国も、対象世帯、民間家賃への影響、財政負担等の課題を指摘しており、また国の生活保護制度との関係など、多くの課題があると考えてございます。
最後に、空き家を活用した新たな制度についてでございますが、国は、民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築も含めた住宅セーフティーネット機能の強化についての検討を、本年四月から始めたところでありまして、都としては、こうした国の動向を注視してまいります。
〇総務局長 住宅政策の執行体制についてでございますが、住宅部門については、都市整備局として再編以降、担当理事を設置するなど、必要な体制強化を図ってまいりました。
現在、局内のまちづくり部門はもとより、福祉分野などの関係局とも、より密接に連携することで、直面する重要かつ困難な課題の解決に効果的に取り組んでおります。
今後とも、その時々の行政課題に応じて必要な検証を行いつつ、最適な執行体制の確保に努めてまいります。
以上