2021年第3回定例会を終えて
2021年第3回定例会を終えて
2021年10月13日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
都議選後初の都議会定例会が、終わりました。日本共産党都議団は、前進した19議席を生かし、都民の運動と力を合わせて、命とくらしを守る立場で奮闘しました。
1 都立・公社病院の独立行政法人化―コロナ禍ですすめる矛盾がうきぼりに
最大の焦点となったのが、8つの都立病院・6つの公社病院の独立行政法人化です。
独法化を提言した検討会(都立病院経営委員会)の委員長は、独法化後の都からの財政支援について、「従前のままでは何のための独法化か」と発言しました。都のねらいは、財政支出の削減にほかなりません。
独法化で経営効率優先にされたら、感染症、災害、難病、小児、周産期、救急、障害者、島しょ医療など行政的医療が後退し、患者負担が増えるのは明らかです。実際に、都が先に独法化した健康長寿医療センターでは、独法化後に病床が161床も減らされ、患者負担の重い差額ベッドが増やされました。東大病院では、1日最大23万円(差額ベッド料)の超高級特別病室がつくられました。
都は、今年2~3月の定例会に独法化の議案(定款)を出そうとしていましたが、コロナ対策を最優先にするとして見送りました。ところが今回、小池知事は、コロナ第5波の真っ最中に独法化の議案提出準備をすすめ、来年7月の法人設立をめざす方針は、重症者が最多の297人となった8月28日のなんと前日に決めていことが、わが党の質疑で明らかになりました。都民の命より独法化優先の暴挙です。
独法化の理由も、破たんしました。都は、医師が兼業できないこと、専門看護師が確保しづらいことを、独法化の理由としました。しかし、わが党の質疑で、兼業できず採用できなかったのは、たった1事例にすぎないことが明らかになりました。また、都は専門看護師が何人必要なのかも、示すことができませんでした。「なぜ、いま独法化するのか」という根本的な問いに、まともに答えられなかったのです。
都立・公社病院が、コロナ禍で大事な役割をしっかり果たしていることは、どの会派も高く評価しました。「独法化しなければ解決できない重大な不都合が何かあったのか」というわが党の質問に、都は答えることができませんでした。
コロナ禍で経営形態を変えることを心配する都民の声もあるなどと言いながら、独法化の「定款」に賛成し可決させた、自民、公明、都民ファなどの責任は、きわめて重大です。
連日、都庁前や都内各地で独法化中止を求める行動が行われ、20万筆を超える署名が提出されています。「定款」は可決されましたが、独立法人設立は来年7月予定であり、まだ多くの手続きが必要です。独法化はまだ止められます。わが党は引きつづき、議会内外のみなさんとともに、全力をつくす決意です。
2 コロナ対策、気候危機打開、ジェンダー平等など、積極的提案で貴重な前進
<検査の充実> 「感染拡大を防ぐ」PCR検査の重要性を知事が認めたこと、学校や保育園などで陽性者が出た場合に、クラス単位などで迅速に検査ができるとし、現在は対象外の放課後等デイサービスへの拡大を「検討する」と表明したことは、貴重な前進です。無症状者に対するスクリーニング検査についても、有効との認識を示しました。第6波を防ぐため、定期的な検査をふくめ、さらなる検査の拡大が必要です。
<医療体制整備> 知事が7月末に、国の「原則自宅療養」を先取りする発言をしたことを、わが党はきびしく批判してきましたが、今定例会では、入院か宿泊療養が原則だという認識を表明しました。第6波に備え、すべての患者が症状に応じて必要な医療を受けられるようにする体制整備が急務です。
<暮らしを守る支援> 知事が、コロナ禍における失業、経済的困窮、心理的な不安などの影響についてきめ細やかな支援が必要だという認識を示し、誰ひとり取り残さない社会の実現を目指していくと答えました。この答弁にふさわしい支援を行うことを求めます。
わが党はとくに影響が大きい、ひとり親家庭を支援するため「児童育成手当を月2千円増額する条例」を提案しました。残念ながら成立しませんでしたが、実現にむけ力をつくします。
<事業者への補償> 都として10月分の月次支援給付金を実施すること、都独自支援を求めた質問に「必要な支援に取り組む」と答弁したことは、一歩前進です。すべての事業者への十分な補償を求めていきます。
<特別支援教室の改悪に歯止め> 発達障害のある児童・生徒の学びの場である、小中学校の特別支援教室について、原則1年、延長しても2年で退室するようにガイドラインを変更したこと、教員配置を減らそうとしていることに反対する声が次々とあがっています。わが党の質問に都教委が、2年を越えても在籍できると表明したことは重要です。改悪を中止し、特別支援教室は充実することこそ必要です。
<気候危機打開> 2030年までに温室効果ガスを50%削減する都の目標達成を具体的に裏づける、省エネ・再エネの目標と計画を持ち、厳格に進行管理することを求めました。知事が、50%目標達成へ環境基本計画を改定し、施策の抜本的強化を図ると述べたことは、貴重な前進です。また、気候変動により社会的弱者が最も深刻な影響を受けることを都が認め、「影響を回避、軽減する適応策に取り組むことが重要」と答弁しました。
<ジェンダー平等> 改定中の男女平等参画推進総合計画に、ジェンダー平等や痴漢対策を位置づけることを提起しました。パートナーシップ制度について、実態調査やヒアリングを実施し、出された意見等をふまえて制度の検討をすすめるとの答弁がありました。また、ファミリーシップ制度についても実現を求めました。「人権尊重条例」にもとづき、早期により良い制度が実現できるよう、意見を聴きながらとりくんでいきます。
<議会改革> わが党は「議会改革特別委員会」の設置を提案しましたが、「都議会のあり方検討会」の設置が合意され、実現したことは重要です。「チェック機能と政策提案の強化」「多様な意見を大事にする都議会に」など、都議選公約の実現にむけ力をつくします。
3 「負のレガシー」もふくめた、五輪の全面的な検証を
知事は所信表明で、五輪大会を成功一色に描きました。しかし、開催都市の過大な財政負担、五輪施設や選手村の整備の経過・後利用の課題、商業主義による歪み、猛暑の開催時期、IOCとの不平等な関係、女性蔑視発言、開催中のコロナ感染拡大など、検証すべき点は多々あります。「負のレガシー」をふくめて全面的に検証することを求めましたが、知事は「成果」ばかりを強調し、「課題がある」とも「検証する」とも言いませんでした。開催都市の責任者としてあるまじき態度です。わが党は、徹底的な検証を求めていきます。
4 総選挙勝利にむけ全力
明日にも衆議院が解散され、10月31日投票で総選挙が行われます。政治を変えるためには、政権交代が必要です。日本共産党は、多くの国民のみなさん、他の野党のみなさんと力を合わせて、総選挙で必ずや政権交代を実現し、新しい政権をつくるために全力をあげる決意です。
以 上