本会議 アオヤギ有希子都議(八王子市選出)の一般質問
2022年2月24日の本会議で、アオヤギ有希子都議(八王子市選出)が一般質問を行いました。
★動画(都議会ホームページです。令和4年第1回定例会 > 2月24日一般質問をご覧ください)
★質問全文(質問原稿)です。
一、小児、周産期医療について
二、残土問題について
☆【答弁】
○知事(小池百合子君)
○教育長(藤田裕司君)
○東京都技監(上野雄一君)
○福祉保健局長(中村倫治君)
○病院経営本部長(西山智之君)
○環境局長(栗岡祥一君)
○建設局長(中島高志君)
小児、周産期医療について伺います。
2010年に八王子、清瀬、梅ケ丘の3つの都立小児病院が、府中市の都立小児総合医療センターに統廃合され、八王子市から、新生児集中治療室NICUがなくなりました。当時から現在に至るまで、NICUと小児救急医療の充実を求める多くの声が寄せられ、私は市議会でも取り上げてきました。
Q1 八王子小児病院に通院していた障害児の多くが今も府中に通っており、府中に引っ越した方もいます。
八王子市内から小児総合医療センターのNICUへの入院実績は、地元の府中市に次いで2位という状況です。多くの八王子市民からNICUの復活を願う声が寄せられています。
知事、この実態をどう受け止めますか。
新型コロナウイルスのパンデミックの中、小児総合医療センターの果たしている役割と今の医療のひっ迫を考えると、私は、都立小児病院は統廃合すべきではなかったと強く思います。
Q2 八王子小児病院をなくす際に都は、NICUを含む三次医療は、都がその責任の下で体制整備していく必要があると言いました。責任の下でということは、今も変わらないですか。
東京医大八王子医療センターでは、多い時には月に2、3回、患者を小児総合医療センターなどのNICUのある病院に転送するとのことです。センターの医師は「救急車の中は子どもにとって決して良い環境ではないので、搬送時間は短いほうが望ましい」と述べています。
Q3 八王子市内にNICUを設置すべきですが、いかがですか。
Q4 八王子小児病院を廃止するとき、わが党の質問に都は、将来的に市内の2つの中核病院、すなわち東海大八王子病院や東京医大八王子医療センターが、NICUを整備する際には「八王子市と都は必要な支援を行う」と答弁しましたが、支援とは具体的にどういうことですか。
Q5 八王子市とこの2つの中核病院はこの間、協議を始めています。都は協議に加わるべきですが、いかがですか。
Q6 統廃合時、この2つの中核病院には、都立病院から小児科医が毎年1人派遣されていましたが、現状について伺います。
八王子市は、市長会を通じ、都にNICUの設置への人的、財政的支援を求めてきました。NICUを設置するには専門の医師の確保が必要です。今後NICUを開設できるよう、派遣の充実を求めるものです。
八王子小児病院がなくなり、保護者のみなさんは大変な不安を抱えるようになっています。
市内に住むあるお子さんは、1歳4か月の時に40度の発熱で地域の小児科を受診しましたが、診療所を出たあと意識を失い心肺停止し、救急隊員がAEDで蘇生し、近くの大学病院へ搬送されました。しかし、そこでは小児の専門的な治療ができず、数時間待ったのち、小児総合医療センターから来たドクターカーで搬送されました。
一命はとりとめたものの、約4か月間の昏睡状態から目が覚めた時には重度の障害が残り、医療的ケアが必要になりました。「都立八王子小児があったなら」「今でも緊急時は行くまでに1時間、行ってからも病院で待たされている」と、お母さんは小児救急の拡充を求めています。
Q7 八王子の小児救急拡充のために、都は支援を充実すべきですがいかがですか。
小児総合医療センターの充実も求められています。
Q8 八王子小児病院では、障害児は大人になっても診てくれていました。小児総合医療センター内の4つの科を受診しているお子さんは、大人の年齢になったら、隣の都立多摩総合医療センターにカルテは引き継がない、地元の医師を見つけるようにと言われています。一方、急に症状が変わった時に、受け入れてもらえるところは小児総合だけです。
また、ダウン症のお子さんは早く生活習慣病になったり、眼科の手術に全身麻酔が必要など、障害の特性を踏まえた、より専門性の高い医療機関が必要です。
障害児をもつ保護者から、継続して診てほしいとの声が、この間ずっと上がっています。特別な配慮が必要な障害児の治療は、小児総合医療センターで継続することを求めますが、いかがですか。
転院する場合でも、総合的に診療を受けられる病院を確保し、当事者が安心して暮らせる体制づくりをお願いします。
Q9 小児総合医療センター内にはユニバーサルシート付きトイレが1階にしかなく不便だと、肢体不自由児の保護者のみなさんから声が上がっています。また、ストレッチャーのまま入れるお風呂も少なく、入院時に入浴が少なくなるということです。多くの肢体不自由児が通う施設です。トイレとお風呂の改善を求めますが、いかがですか。
入院時の教育の保障も重要です。
小児総合医療センター内には、武蔵台特別支援学校の府中分教室があります。私が視察した際には、子どもたちが病室からランドセルを背負って通ってきて、病気を感じさせないほど楽しそうに学んでいました。闘病する子どもたちに寄り添い、励まし、教育を保障するかけがえのない場所になっていることを実感しました。
Q10 入院して病気に立ち向かっている子どもたちの学びの場の大切さについて、お考えを伺います。
府中分教室には高等部がありません。
高等部では、授業の単位をとって、退院後に戻る高校に引き継ぐこともできますし、同じ病気の仲間に出会い、親や地元の友達には打ち明けられない不安や悩みを共有し、治療に向き合うことができる場所でもあります。
国立がんセンターにある、いるか分教室の高等部で学んだ、ある青年はこう振り返っています。骨肉腫と診断されたときは、なぜ自分がと混乱し、死の恐怖で体が震えた。いるか分教室があることで、笑うことができ、人間らしさを取り戻すことができた。同じ病気で苦しむ仲間にも出会えた。話を聞いてくれる先生に何度も救われた。このような場所がもっと増えてほしい。
彼は24歳の若さで亡くなりましたが、いるか分教室は患者でなく1人の高校生でいられる場所だと、言葉を残しています。
学びが生きるエネルギーになる、それが病院内の分教室です。
Q11 分教室に小中学部だけでなく、高等部があることは、大きな意義があると思いますが、いかがですか。
小児総合医療センターの初診は15歳までですが、小児がんの拠点病院でもあり、高校生の年齢の方も入院しています。病院の医師からも高等部を求める声があると聞いています。
Q12 病院内の分教室は、教育委員会と病院どちらかだけの意向ではつくれません。同じ都立の病院と学校どうし、府中分教室に高等部をつくるために、まずは協議をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
残土問題について伺います。
Q1 八王子市北西部には、豊かな里山が残っていましたが、昭和の時代に開発された採石場や、貴重な動植物がいる天合峰を切り崩して開発している川口土地区画整理事業など、里山の美しい風景が壊されています。残った貴重な自然をどう保全していくのかが問われています。
知事は今の里山が壊されている現状をどのように認識していますか。
建設現場の残土の持ち込みが、貴重な自然をさらに脅かしています。
Q2 八王子市には、都の自然保護条例にもとづく審議の対象となる、大規模な土地の改変の届け出が複数あります。
一つは八王子スポーツパーク建設事業で、八王子市北西部の豊かな自然が残る谷戸地域に、55万立方メートルという、先日大きな犠牲を出した熱海の事故現場の10倍の残土を持ち込み、その上にサッカー場やスポーツ施設を造る計画です。地域住民が反対の声を上げ、調査もし、ゲンジボタルとヘイケボタルが同時に見られる都内でも数少ない貴重な場所であることがわかっています。
都の自然環境保全審議会の規制部会でも「維持管理費がちゃんと確保できるのか」「緑地の管理について、ちゃんと説明できるのか」などと指摘され、届け出から10年経っても動かせない、過去に例のないケースとなっています。
規制部会では、どのような意見が出ていますか。
残土によって壊されるのは自然だけではありません。昨年7月、熱海市で違法に持ち込まれた残土が崩れ、多くの人命を奪いました。届け出よりもはるかに大量の残土が持ち込まれていましたが、県や熱海市の規制はありませんでした。
Q3 都はこの間、国から示された盛土による災害防止に向けた総点検で、都内1624カ所を調査し、12月時点で1478カ所が終わり、16カ所で是正措置が必要であると発表しました。ほとんどが多摩地域ということですが、具体的な場所は公表されていません。住民から不安の声が上がっています。
同じ調査結果について、例えば三重県は是正措置が必要な個所の自治体名と、事案の詳細を公表しています。
都も、是正措置が必要な個所を住民に公表し、直ちに安全を確保すべきではありませんか。
Q4 都の自然保護条例における、残土関連事業の届け出のうち、未完了となっている事業が都内で14か所あり、そのうち8か所が八王子市内です。この個所は総点検に入っているのでしょうか。また、是正措置が必要な個所はあったのですか。
2017年、八王子市の戸沢峠の残土置き場が台風で崩れ、1万立方メートルの土砂が都道を塞ぎ、57日間にわたって通行止めになるという大変な事件が発生しました。残土事業者には資金力がなく、都の費用で改修せざるをえませんでした。
都はこの教訓から、自然保護条例施行規則を改正し、申請者の資金力をチェックすることになりました。大変重要です。
同時に、
Q5 大量の残土持ち込みを直接規制し、残土を発生させる側の責任も明確化する規制条例が必要です。既に条例を持っている他県との連携を強化するためにも、国の法制化待ちにならずに、都独自の残土規制条例を制定すべきです。お考えを伺い、質問を終わります。
【答弁】
○知事(小池百合子君) アオヤギ有希子議員の一般質問にお答えいたします。
NICUの整備についてのご質問です。
都民が安心して子供を産み育てられるよう、都は、周産期医療体制の充実を図っております。
NICUは、新生児科の医師の常駐、生命維持装置等の施設整備が必要であり、医療資源の集約化を図って、高度な医療を集中的に提供する体制を構築することが最も効果的です。
今後とも、限られた医療資源を最大限活用し、周産期医療体制の充実強化に努めてまいります。
次に、東京の貴重な自然の保全についてのご質問がございました。
東京には、生物多様性の拠点となっている丘陵地や里山などの貴重な自然地が残されております。
都は、こうした自然地を将来にわたり残していくため、これまでも、自然保護条例に基づいて、保全地域として指定する取組を進めてまいりました。
また、自然の保護と開発との両立を図るため、自然保護条例に基づく開発許可制度により、一定規模以上の開発行為に対しまして、あらかじめ許可を受けることを求めてまいりました。
今後とも、これら緑を守る取組を着実に推進することで、東京に残された貴重な自然を保全してまいります。
その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕
○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
初めに、入院する子供たちの学びについてでございますが、都教育委員会では、病気等で入院している子供たちの状況を十分に踏まえまして、病気に向き合う気持ちを育てながら、子供の学ぶ意欲に応え、学習の遅れを防ぐとともに、退院後の学びに円滑につなげられるよう、病院内での教育を実施しております。
次に、病院内教育の意義についてでございますが、都教育委員会では、子供たちが入院して治療を受けながら継続的に学ぶことができるよう、病院内での教育を実施しております。
このため、都立特別支援学校において、入院中の小学生から高校生までを対象に、個々の体調や治療の状況を踏まえ、子供が病院内で通う分教室の設置や教員によるベッドサイドでの授業を行っているところでございます。
最後に、都立武蔵台学園府中分教室についてでございますが、府中分教室では、小学部、中学部に在籍する児童生徒に授業を行うとともに、高校段階の生徒につきましては、特別支援学校の教員が病院を訪問しベッドサイドでの授業を行い、学習機会の確保を図っているところでございます。
今後とも、都教育委員会では、都立小児総合医療センターと連携しながら、分教室の運営や訪問による教育を適切に行ってまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕
○東京都技監(上野雄一君) 災害防止の観点からの残土規制についてでございます。
国は、熱海市における土石流災害を受け、関係府省連絡会議の申合せを踏まえ、危険な盛土造成等を規制するための全国一律の新たな法制度の創設に向け、今期通常国会に法案を提出する予定でございます。
都といたしましては、国の動向を見ながら、必要に応じ適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕
○福祉保健局長(中村倫治君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、周産期医療体制についてであります。
都はこれまでも、都内全域を三次保健医療圏としてNICUの整備を進めるとともに、緊急に母体救命処置が必要な妊産婦を救命救急センターと連携して必ず受け入れるスーパー総合周産期センターを、都内六か所に整備しております。
また、受入れ困難な事例について、都全域で迅速な搬送調整を行うため、東京消防庁に周産期搬送コーディネーターを二十四時間三百六十五日で配置しております。
次に、NICUの設置についてであります。
多摩地域においては、都立多摩総合医療センター、小児総合医療センターと杏林大学医学部付属病院がNICUを備えるスーパー総合周産期センターとして妊婦を受け入れる体制を整備するとともに、多摩全域を対象に搬送調整をしております。
また、これらの病院が中核となり、多摩全域を一つのブロックとして周産期医療ネットワークグループを構築し、妊産婦等のリスクに応じた役割分担と連携を進めております。
次に、NICUの整備等に係る支援についてであります。
都は、NICUの病床や生命維持装置等の施設設備の整備や周産期母子医療センターの運営に要する経費の一部を補助しております。また、東京都地域医療医師奨学金制度による奨学金の貸与やNICU等に勤務する医師に手当を支給する医療機関への支援などを行っているところでございます。
次に、八王子市と市内の中核病院との協議についてであります。
平成十七年に設置した協議会で、都と八王子市は議論を重ね、平成二十年に八王子地域における小児医療体制についてを取りまとめております。
その中で、八王子市は、二つの中核病院と検討を行い、将来的にNICUを整備する際には、八王子市と東京都は必要な支援を行うことについて検討していくこととしております。
最後に、小児救急医療体制についてであります。
都は、区市町村が実施する小児初期救急医療事業を支援するとともに、入院が必要な救急患者を小児科医師が二十四時間体制で診療する二次救急医療機関を都内五十三か所で確保しております。
また、重篤な小児救急患者を必ず受け入れ、高度な救命医療を行うこども救命センターを四か所指定するとともに、このセンターを中核として、地域の実情に応じた医療機関相互の連携体制を構築しております。
〔病院経営本部長西山智之君登壇〕
○病院経営本部長(西山智之君) 三点のご質問にお答えをします。
都立病院からの医師の派遣についてでございますが、小児総合医療センターでは、二次救急医療体制の強化を図るため、現在も二つの大学病院への医師派遣を継続しております。
次に、小児総合医療センターでの障害児の治療についてでありますが、医師が患者の症状や疾患の特性を踏まえ、ご家族とよく相談しながら方針を決定しております。
成人の診療科での治療が最適と判断した患者に対しては、多摩総合医療センターや他の医療機関等を紹介しており、小児総合医療センターでの治療の継続が必要と判断した患者に対しては、引き続き医療を提供しております。
最後に、小児総合医療センターの設備についてでありますが、院内にはユニバーサルシートを備えたトイレを二か所設置しております。また、ストレッチャーのまま入浴可能な浴槽は一か所あり、患者の当日の容体や入浴施設の使用状況を確認しながら入浴の調整を行っており、今後も入浴機会を確保してまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕
○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、八王子スポーツパーク建設事業についてでございますが、都は、自然保護条例に基づき、自然地で屋外運動競技施設の建設等のために土地の形質変更行為をする者に、あらかじめ開発許可を受けることを求めてございます。
事業面積が三ヘクタール以上の場合、自然環境保全審議会の意見を聴くこととなってございまして、八王子市川町における事業面積約十五・六ヘクタールのサッカー場等建設事業につきましては、平成三十年一月、審議会へ諮問いたしました。
審議会では、これまで二回の部会が開催され、事業の収支計画の妥当性や盛土の安全性などについて専門的見地から議論が行われてございます。
次に、自然保護条例における盛土の点検についてでございますが、環境局は、所管する自然保護条例に基づきまして、資材置場などの盛土を行う許可対象事業について、未完了の案件を点検しており、都内においては十四か所、八王子市内においては八か所となってございます。
〔建設局長中島高志君登壇〕
○建設局長(中島高志君) 盛土総点検の結果についてでございますが、都は、土地利用の規制等に関する法律や条例を所管する四局が連携し、盛土による災害防止に向けた総点検を実施しておりまして、昨年末には点検結果の暫定的な取りまとめを公表いたしました。
このうち、是正措置が必要な十六か所につきましては、現在、各法律や条例に基づき、是正指示など適切な対応を行っているところでございます。
以 上