予算特別委員会 とや英津子都議(練馬区選出)の一般総括質疑
3月8日の予算特別委員会で、とや英津子議員(練馬区選出)が一般総括質疑を行いました。
★動画(都議会ホームページです。令和4年第1回定例会 >3月8日(火曜日)予算特別委員会・総括質疑をご覧ください)
★質問全文(都議会速記録速報版より)
1 生活困窮者への支援について
2 生活保護受給の権利について(パネル①)
3 フードバンクについて
4 外環道について
〇とや委員 生活困窮者支援について伺います。
新型コロナウイルスの感染拡大が長引く中、都民の暮らしは一層厳しさを増しています。
二日に発表されました二〇二一年の生活保護申請件数が全国で二十三万五千六十三件となり、前年比約五%増、二年連続で増えています。
私の地元の練馬でも、光が丘駅付近や民間の事業所を借りてフードバンクが行われています。失業した方、四日間何も食べていない人もいます。病気やお金がなくてフードバンクに行くことができない人たちには、配達もしています。給付金が出ても、若者も女性も困窮し、子供だけで食料を取りに来ることもあります。
都庁下の支援活動も利用者がますます増え、コロナ以前の五倍、五百人前後の人たちが並んでいます。コロナ禍で格差がより一層深刻化していることについて、知事の認識を伺います。
〇小池知事 コロナ禍の影響を受けまして、休業や失業等に伴いましての収入の減少など、都民生活に様々な影響を及ぼしております。都はこれまでも、生活福祉資金の特例貸付に必要な経費の速やかな確保や、また住まいを失った方々への一時的な宿泊場所の提供などを行っているところでございます。
〇とや委員 都民生活に影響を与えていると認識を示されました。それならば、今、一日一日を生きていくことにも必死な都民の姿を知事は直視し、支援の現場でどういう実態があるのか、光を当てて対策を強化するべきです。
反貧困ネットワークの瀬戸大作さんに伺うと、相談者の八割以上が住まいを失った方だといいます。アパートを借りるためには初期費用がとても高くて、敷金、礼金、紹介料、それ以外に保証料と鍵の交換など、六万円の部屋に三十万円もかかると。住まいを失っていない方でも、家賃を何とか支払うために食費を浮かそうと、食料支援に並ぶ方々がたくさんいらっしゃいます。住まいの確保への支援が何よりも強く求められています。
住宅支援の重要性について、我が党の代表質問に対し、都は、住宅は生活の基盤である、都民の居住の安定の確保に向けた住宅セーフティーネットの強化など、総合的な住宅施策を引き続き展開していくと答弁しました。
私は、決算委員会でも住宅問題を取り上げましたが、都として、公社住宅に家賃低廉化補助を適用するなど、住宅確保要配慮者であるシングルマザーや低収入の女性、若者などが安い家賃で入居できるようにするべきですが、見解を伺います。
〇榎本住宅政策本部長 東京都住宅供給公社は、これまでも子育て世帯や高齢者世帯に対する優先入居の実施など、住宅確保要配慮者に配慮した住宅提供を行っております。
なお、住宅セーフティーネット制度における家賃低廉化補助の適用につきましては、地元自治体による当該補助の実施が前提でございまして、空き状況や地元自治体の意向を踏まえながら、検討することとしております。
〇とや委員 都が今回、公社住宅を活用するということになったことは一歩前進です。
昨年の決算質疑では、都の住宅セーフティーネット事業である東京ささエール住宅は、家賃の最高額が三十八万円、五万円以下の住宅はごく僅かであり、住宅セーフティーネットとしての機能を果たせていないことを指摘させていただきました。現在の都の民間住宅を活用する住宅セーフティーネット制度では限界があります。
長引くコロナ禍で貧困と格差が一層厳しくなっている今こそ、石原都政以来、止まったままの都営住宅の新規増設に、建設に踏み出すことを求めておきます。
生活保護の対応の改善も課題です。保護申請しても、ほとんどの人がほぼ無一文なのに、当然のように二週間かかるといわれています。その間、フードバンクにSOSが来ます。保護を受けても医療券を出し渋られる。持病のぜんそくが悪化して別の病院にかかろうとすると、医療券を取りに来いと交通費もないのにいわれる。郵便で送れるのに、取りに来いの一点張りだそうです。そして、生活保護を受けたくて窓口に行っても、追い返されてしまうということもいまだにあります。
私が現場に行ったときにも、住まいも仕事も失ってネットカフェで暮らす四十代男性が、生活保護申請のために窓口に行ったのに追い返されたという事例がありました。所持金が三千円しかないのに、若いのだから働けるでしょといわれたそうです。行政の窓口で追い返すようなことがあってはならないと思いませんか。お答えください。
〇中村福祉保健局長 都は福祉事務所に対しまして、国の通知に基づきまして、生活保護の申請の意思が示された場合には、申請を受け付けなければならない旨を通知しておりまして、福祉事務所において適切に対応されるべきものであると。
〇とや委員 申請の意思が示された場合は受け付けなければならないと。当然とはいえ、重要な認識です。問題は、現実には適切な対応がされていないということです。相談に来た人に申請書を渡さないとか、追い返すことなどしないように、都と区市の福祉事務所に徹底することを求めておきます。
本来、生活保護の対象者であるにもかかわらず、生活保護受給をちゅうちょする人たちがいまだに多いことは、憲法二十五条に基づく制度であることからも問題です。
二十代の女性は、メンタルを病み、親にも頼れず、給付金を受け取りながら職業訓練を受けていましたが、体調悪化で離脱。フードバンクの方に連絡をくれたときには布団にくるまっていて、このまま消えてしまったら楽だろうといっていたそうです。食料を提供し、扶養照会があるから絶対嫌だといっていたけれども、同行支援で保護受給に至りました。
自己責任を押しつけられ、生活保護を受けることは恥と感じている人も多いです。相談に来た人に嫌な思いをさせてはならないと思います。都として、区市に生活保護申請は権利であることを徹底すべきです。いかがですか。
〇中村福祉保健局長 都はこれまでも、福祉事務所に対しまして、毎年の指導検査等におきまして、生活保護の申請は国民の権利であることを周知しているところでございます。
〇とや委員 周知しているということですが、徹底されてはいないわけです。保護申請に行ったら、窓口の男性に急ぎますかといわれて深く傷ついた女性は、急がない人が生活保護を申請するでしょうかと訴えています。真面目に生きている人なのに、おなかをすかせている人たちがたくさんいます。私がこれまで、今紹介した人たちは、みんな真面目な人たちです。それなのにおなかをすかせている人がいることを、ぜひ、知事、忘れないでください。
日本共産党都議団は、生活保護の利用が国民の権利だと呼びかけるよう強く都に求めてきました。その中で都は、昨年ホームページに、生活保護を受けることは国民の権利ですと掲載するようになりました。今ご答弁でも、各福祉事務所に周知しているということでしたが、現実にはその認識が浸透していない実態があります。
都自身の福祉事務所ではどうでしょうか。こちらをご覧ください。東京都の西多摩福祉事務所のホームページです。ここは生活保護は国民の権利だということが示されていません。生活保護が国民の権利だと明記するべきではないですか。お答えください。
〇中村福祉保健局長 これまでも、福祉事務所に対しましても、国民の権利であることを周知してまいりまして、併せまして、東京都のホームページでも掲載しているところでございます。
〇とや委員 局長よく見てください。西多摩、されていませんけど。確認してください。いかがですか。
〇中村福祉保健局長 福祉保健局のホームページに掲載しているところでございますが、改めて確認いたします。
〇とや委員 東京都の現場から徹底していく必要があります。このホームページの記載は、今日にでも改善していただきたい。そして、ホームページ以外の手段も含め、あらゆる機会を活用して、積極的に権利であることを区市に徹底することを求めます。
支援の皆さんからの話では、生活保護を受給していても、事故があったなどで予定外にお金がなくなった人たちから、フードバンクにSOSが来ます。ケースワーカーに相談したが冷たくされた、メンタルを悪化させた方もいます。これでは余計に生活保護に頼らざるを得ないと思います。
生活保護は、救貧制度ではなく人権保障であり、福祉事務所はそれにふさわしい体制を取り、対応することを重ねて求めておきます。
練馬のフードバンクでは、一人十万円の給付金の申請が複雑で、何人もの人たちが手続の支援を必要とし、手伝っていらっしゃいました。役所の仕事を手数料もなしでフードバンクの人たちがやっているわけです。生活についての相談は多岐にわたりますが、制度を知って、役所の窓口に行って申請手続をするには、幾つものハードルがあります。
市区町村と連携して、相談窓口にフードバンクまで出張してもらうなどの取組が必要だと思いますが、いかがですか。
〇中村福祉保健局長 社会福祉法では、生活困窮など、地域で課題を抱える方を支える包括的支援体制については、区市町村において取り組むべきものとされております。
都はこれまでも、東京都地域福祉支援計画において、相談支援体制の事例を紹介するなど、区市町村の取組を支援しており、引き続き体制整備を図ってまいります。
〇とや委員 実際に中野区では、社会福祉協議会が行っているフードバンクに区の職員が出向いて、生活相談を受け、様々な支援や給付金の紹介をしたり、窓口につなげるアウトリーチ型の取組を行ってとても喜ばれています。こうした取組を広げるための支援を行うよう、求めておきます。
次に、発熱したり、コロナに感染したときの対応について伺います。
支援活動の中では、保険証や所持金、住まいがない方が発熱した場合に受診できなかったり、検査で陽性と分かっても療養できる場所がなくて、路上やネットカフェに戻されてしまうケースが幾つも報告をされています。
住居を喪失し、困窮した方々が感染疑いになったり、感染が判明しても必要な診療や療養を受けられないことは、人道上、また感染拡大防止の点からも極めて重大な問題と思いますが、認識を伺います。
〇中村福祉保健局長 都では、住まいを失った方についても、医療機関や保健所等と連携を図り、医療や療養につなげることが必要であるため、福祉事務所において、個々の状況に応じて適切に対応するよう周知しているところでございます。
〇とや委員 住まいを失ったという方についても、医療や療養につなげることが必要ということは重要な認識です。それが具体的に実現できるように体制を整える必要があります。
通常時でも、生活保護未受給の方が救急搬送などされて緊急性が高い場合に、医療機関が福祉事務所に連絡することで、生活保護の柔軟な運用が認められております。医療扶助によって自己負担なしで受診することができています。こうした運用を発熱外来や医療機関に適用して、保険証や所持金がなくても診療が受けられるようにするべきですが、いかがですか。
〇中村福祉保健局長 新型コロナウイルス感染症を含めまして、急病等により緊急的に診療を受けた場合には、その時点で生活保護を受給していなくても、福祉事務所の判断により、医療扶助を遡及して適用することが可能でございます。
〇とや委員 可能だということですが、実際には基本的に適用されていないのが現実です。どこの発熱外来でも、この医療扶助の運用を適用して受診できるように、都として通知等で周知することを強く求めておきたいと思います。困っている人たちに本当に心を寄せられるような行政として、各区市町村を含めて徹底していただきたいと強く求めて、次の質問に移ります。
外環自動車道です。
東京外環自動車道路の建設工事で、周辺住民十三人が国やNEXCO東日本、中日本を相手に工事差止めを求めた仮処分申請で、東京地裁が先月二十八日、本線トンネルのうち、南側約九キロメートル部分の工事差止めの決定を出しました。
事故から一年以上たちますが、再発防止策が示されているとはいえないと。再度陥没や空洞が生じる具体的なおそれがある、住民の生命や身体の危険が生じるおそれがあるとして、工事差止めの決定がされたものです。
知事、この決定をどのように受け止めますか。
〇小池知事 東名側から発進した二本のシールドでございますが、先日、工事の差止め仮処分が決定されましたが、事業者は決定の内容をよく確認をして、関係機関と調整の上、適切に対応すると、このように聞いております。
外環は、首都圏における交通、物流の根幹をなす極めて重要な道路でありまして、必要性を有していると認識をいたしております。
都は事業者に対しまして、再発防止対策等の確実な実施、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明やきめ細やかな対応を要望いたしておりまして、引き続き丁寧に取り組んでいくよう求めてまいります。
〇とや委員 半分、大臣のコメントを引いたということです。
ある日突然、何の断りもなく住まいの下にトンネルを掘られ、陥没と空洞までつくられて、命の危険を感じた住民たちが、自分の貴重な時間をなげうって、やむにやまれず起こした裁判です。都民の命と暮らし、財産を守る立場にある知事が、国交大臣のコメントを半分引いて、重要な道路だと、ここでもいってしまうというのは、本当に情けないと思います。
決定によって、シールド工事を進めれば陥没事故が起きる危険性があるわけで、事業者の再発防止策も不十分だということで、大泉ジャンクションから東名ジャンクション十六キロメートル全体の開通の見通しもつかなくなりました。
裁判で原告のお一人は、作業のミスはどうなっても分からなければ大丈夫、続けてさえいれば政府が金を持ってくるという、規律も緊張も欠いた作業における憲法違反、法律違反、規定違反、ルール違反、ずさんな管理、作業の過失という違反の連続の中で生まれたものだと訴えています。そして、私の家と生活、家族が受ける物理的、精神的負担を含めた損害について賠償し、工事開始時、一年、二年、三年後、それ以後の私の家と、このまちの姿を明確に示していただけなければ、到底納得はいかないとおっしゃっています。
知事、裁判所が何度も求めたにもかかわらず、一年以上にもわたって再発防止策を示すことができない事業者は、もはや工事を続ける能力がないのではありませんか。知事の責任が問われております。事業の認可を取り消すべきです。いかがですか。
〇上野東京都技監 都市計画事業認可に当たりましては、工事の安全・安心の取組は事業者の当然の責務であることから、再発防止対策も踏まえ、周辺地に対する影響を十分に配慮するとともに
〔発言する者あり〕
〇宇田川副委員長 ご静粛に願います。
〇上野東京都技監 工事施工の安全に万全を期すこと等を認可の条件として付しております。
これに対しまして、工事施工の安全に万全を期す一環といたしまして、事業者は、大泉及び中央ジャンクションシールド工事につきましては、事業者としての再発防止対策の取りまとめを行い、この対策と今後の対応につきまして、住民説明を実施した上で掘進を開始することとしております。
一方、陥没箇所周辺におきましては、現在、補償や地盤補修への対応を行っておりまして、今後、事業者としての再発防止対策の取りまとめを行いまして、この対策と今後の対応について住民説明を実施することとしております。
このように、事業者は認可の条件に即した対応を行っていくと判断されることから、事業認可の取消しに該当するものとは考えておりません。
〇とや委員 今、事業者の当然の責務であって、安全・安心に工事は行われるとおっしゃいましたよね。そうやって信じていた国やNEXCOから東京都は裏切られたようなものですよ。これまでの傍観者の立場を改め、今こそ現場に足を運んで、住民の声を聞いて、国と事業者に計画ストップを求めていただくよう強く要望しておきます。
こうした状況で、練馬区から中央ジャンクション北側ランプシールド工事の掘進を再開したことは絶対に許されません。
知事は一月二十一日に、工事再開のための説明会を前に、国とNEXCO東日本、中日本宛てに、調布陥没事故以来、異例の申入れを行っています。
その内容は、再発防止策について、地元自治体や住民へ丁寧な説明を行いながら確実に実施すること、陥没箇所周辺の方々には、補償及び地盤補修について、地元自治体の意見を聞きながら、引き続き丁寧な説明、きめ細やかな対応をすることなどです。三点いっています。
では、本当に事業者は丁寧にきめ細かく対応しているんでしょうか。知事が申入れしたとおりやっているんでしょうか。
一月末には、陥没地点から数十メートルの地点でアスファルト面にへこみ現象があり、住民が事業者に状況把握を求めましたが、一向に音信がなかったそうです。この方々は、陥没事故が道路のへりのへこみに三十センチほどの亀裂ができて、それが一時間ほどで大きな陥没穴に広がっていった様子を目の前で見ていました。だからこそ、へこみに平穏ではいられないと訴えているわけですよ。
それでも対応しない。だからやむを得ず文書で申し入れて、やっと対応があると思ったらストリートビューで過去と比較して、以前からへこみはあったと簡単に済ませて、対応についての話合いの期日も未定だということでした。必要なデータの公開もしていません。これで事業者が丁寧にきめ細やかに対応しているといえるんでしょうか。お答えください。
〇中島建設局長 陥没事故発生後、事業者の方では、再発防止対策を検討いたしますとともに、箇所周辺の方々に対しまして、補償、あるいはまた緩んだ地盤の補修、その準備もやっているところでございます。
また、この間、有識者委員会でいろいろ検討されてきたことですとか、また再発防止対策を取りまとめたことですとか、そういったことにつきまして、これまで六度にわたって説明会等開催をしてきたところでございます。
事業者としては、今後も引き続き丁寧な対応をしていくとしております。都といたしましても、今後、再発防止対策の確実な実施と、それから住民に対する丁寧な説明、きめ細やかな対応を引き続き求めてまいります。
〇とや委員 この間、それだけじゃなくて、陥没現場付近の個人宅の非公開情報をメールで送付した調布市だとか、個人情報入り請求書の写しを事業者側にメールで送った問題も発覚しています。平穏に暮らしていた住民にここまで苦痛を強いるようなことは断じて許されません。
知事、ここで都がしっかりと被害者住民の立場にかじを切れるかどうかが問われているのではないでしょうか。申入れをすればそれで終わりではありません。国と事業者がどのように対応しているのか、都としてしっかりと調査すべきです。
そもそも、国もNEXCOも事故後、工事による振動や低周波などが健康被害や建物被害、相談に乗るだけだという態度を取り続けてきました。NEXCO東日本はそうした中で、昨年十二月、調布市の説明会で住民から問われて、家屋損傷については、陥没、空洞箇所周辺で、トンネル通過前後の家屋調査の比較において、損傷の拡大や新たな損傷が確認されており、トンネル掘進による地表面変位や振動の影響により生じたものであることの否定は難しいと考えられますと回答しています。これは本当に重要な変化です。都も同じ認識ですか。
〇中島建設局長 外環は、国及び高速道路会社により事業が進められております。事業者はこれまで、補償の方針に基づきまして、家屋損傷のお話ですけれども、陥没箇所周辺の家屋の原状回復のための補償あるいは地盤補修等に取り組んできておりまして、引き続き誠意を持って対応するとしております。
都は、事業者に対しまして、引き続き再発防止対策等の確実な実施、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明やきめ細やかな対応を求めてまいります。
〇とや委員 今、局長お答えいただいたんですけど、私は、東京都も同じ認識かって聞いたんですよ。とんちんかんなことをいわないでください。
今私が申し上げたこの中身は非常に重要なことなんです。国と事業者は、家屋損傷がトンネル掘進による地表面変位や振動の影響であることを否定できなくなったわけです。これは今後もシールドマシンが掘進を続ければ、同様の被害を生む可能性があるということです。事業者が再発防止策も示せない下で、これ以上トンネル掘進で都民に被害を与えないよう、東京都として掘進再開をやめさせなければならない立場にあるということを認識していただきたいんですよ。大惨事を起こす前に、直ちに工事をやめさせるべきです。
裁判所の決定だとか、知事の申入れに照らしても、また、陥没事故周辺住民の実態に照らしても、工事再開の条件のないことははっきりしています。さらに、国、事業者も、工事による騒音、振動が被害を与えたことを否定できないことを認めました。これでどうして再開などできるのでしょうか。
さらに、この先工事が予定されている練馬の青梅街道インターチェンジの計画地付近では、町会挙げてインターチェンジの設置に反対しています。用地の取得率はいまだ三三%。立ち退いた人のほとんどは、インターができるからではなくて、亡くなったり、高齢で施設やお子さんに引き取られるなどの理由です。
ここは世界最大級の難工事といわれている場所です。どうやって進めるのか、いまだに工法と新たにかかる費用も決まっていません。
練馬と中央ジャンクションの掘進再開をめぐっては、調布陥没地域被害住民、インターチェンジ周辺住民、元関町一丁目町会、武蔵野市特別委員会など、多くの関係者が反対しています。合意を得られているとは到底いえない状況の下で、掘進再開は許されません。
これまでの住民無視の姿勢が大惨事を引き起こしたことがまだ分からないのでしょうか。約千戸の住宅を破壊したようなものですよ。広い範囲で被害を及ぼしているのに、国と事業者と二人三脚で事業を進めてきた東京都の責任は免れることはできません。
しかも、これから幾らかかるか分からないですよ。二兆三千五百七十億円プラス、これからまだまだお金がかかる。こうしたことは、さっき私がいった、フードバンクに訪れるおなかをすかした人たちと比べても究極の無駄遣いです。きっぱりとやめることを求めて質問を終わります。(拍手)
以上