予算特別委員会 原田あきら都議(杉並区選出)の討論
2022年3月23日の予算特別委員会で、原田あきら都議(杉並区選出)が討論を行いました。
★動画(都議会ホームページです。令和4年第1回定例会 >3月23日(水曜日)予算特別委員会>討論・採決をご覧ください)
★討論の原稿です。
日本共産党都議団を代表して、第1号議案東京都一般会計予算ほか10議案に反対し、わが党が提出した第1号議案等の編成替えを求める動議に賛成の立場から、討論を行います。
本委員会に付託された新年度予算案は、都立・公社病院の独法化強行予算です。第19号議案都立病院会計および第1号議案に、都立・公社病院の予算は6月までしか計上されていません。7月以降、有無を言わさず独法化する予算となっています。
しかし、委員会質疑をとおして、独法化の理由も道理もないことが、改めて浮き彫りになりました。
知事は独法化の理由をコロナ対応のためと答弁しましたが、全国約2300の医療機関の中で、コロナ専用病床確保数は、1位から11位まで都立・公社病院です。小児医療では都立小児総合医療センター、精神科医療では都立松沢病院のコロナ専用病床確保数が、全国の専門病院の中で最も多い1位であることも、質疑で明らかになりました。
一方、東京都が独法化の成功例として高く評価してきた大阪は、医療や保健所が弱体化し、人口当たりのコロナ感染死亡者数は全国で突出していることを、わが党は明らかにしました。
全国で最も先進的、柔軟にコロナ対応している都立・公社病院を、独法化する理由など、どこにもありません。
また、わが党は、知事の附属機関である独立行政法人評価委員会の都立病院分科会で、知事が任命した委員が、「病床機能の見直しとか、急性期病床などの適正化とか、再編・統合は避けられない」と発言していることを指摘し、重大な問題と思わないかと知事にただしました。
ところが都は、再編・統合の可能性を否定せず、あろうことか石原都政が八王子、清瀬、梅が丘の3小児病院の廃止を強行し、小児総合医療センター1カ所に再編統合したことを評価する、驚くべき答弁を行いました。
この答弁で、東京都には、石原都政が都立病院を半減させて行政的医療を大後退させたことへの反省がなく、独法化は「行政的医療を将来にわたって提供するため」という知事と東京都がくり返してきた説明は、都民を欺くものであったことが、白日の下にさらされました。
独法の評価委員会で、「公務員の看護師は、新陳代謝がない。長く働いて、年を取ってもやめない」と、経験豊富なベテラン職員がいることを問題視し、人件費抑制を求める発言が出されていることも、わが党は明らかにしました。
行政改革推進法は、地方公務員の数を減らして、行政コストを削減するために独法化を進めるよう、地方自治体に求めています。これが独法化の本質です。実際、今定例会に、独法化により都立病院の職員を6,838人も削減する定数条例が提出されています。
そして、採算性や儲かる医療を重視するのが独法化です。
わが党は、都の健康長寿医療センターの独法化で、全病床のなんと4分の1が負担の重い差額ベッドになったことも明らかにしました。
都立・公社病院を守れの声と運動はますます広がり、独法化反対の署名は、累計35万人を超えています。
東京都は本委員会の質疑でも、都民と病院職員の理解と合意を得られていると、ついに答えることができませんでした。強行することは、断じて許されません。
わが党は、都民の命を守る砦の役割を果たしている都立・公社病院の独法化は、いまここで立ち止まることを、改めてすべての会派、議員のみなさんに心から訴えるものです。
コロナ対策のまん延防止等重点措置は解除されましたが、感染状況は予断を許しません。第6波はまだ終わっていません。第7波も懸念されています。わが党が提案した高齢者施設や保育園での検査の抜本的拡充に、速やかに取り組むよう求めておきます。
また、保健所の公衆衛生医師確保で前向きの答弁があったことを評価します。
コロナ禍で都民のくらしと営業は深刻です。その一方で、IT企業や大手製造業などは業績好調で、法人二税を中心に都税収入は驚くことに史上最高水準です。貧しい者はさらに貧しく、富めるものはさらに豊かにという、東京と日本社会の格差拡大の実態が浮き彫りになりました。
地方自治法は、住民福祉の増進を地方自治体の基本的使命だと定めています。この税収増を、都民のくらしの支援、貧困と格差是正に、思い切って使うべきです。
わが党は、都庁前や都内各所で支援団体などが行っているフードバンクや生活相談に、コロナ以前を大きく上回る人が集まっている現状を示し、都の支援の強化を求めました。先日発表された補正予算案で新たな支援策が表明されたことは重要です。必要とする方に確実に届くよう、取り組みの強化を改めて求めるものです。
また、補正予算案でウクライナ情勢を背景にした原油や材料の価格高騰に対応する支援策が盛り込まれたことも重要です。さらに、固定費の補助など中小企業・小規模事業者への支援を強めることが必要です。
わが党は、都の西多摩福祉事務所のホームページに、生活保護の申請は国民の権利であると記載されていないことを指摘しました。早急に改善するよう求めておきます。
パートナーシップ制度が実現にむけて動き出したもとで、セクシャルマイノリティカップルの子どもたちの権利を守ることについて、こども基本条例での位置づけをただしました。
都が、「社会のあらゆる子どもは」「あらゆる場面において権利の主体として尊重される」と答弁したことは重要です。
パートナーシップ制度利用者の都営住宅の入居について、同様の制度を導入している他の自治体の調査を進め、取り扱いを検討していると表明したことも重要な前進です。
わが党は、不要不急の大型開発の見直しを、厳しく求めました。
外環道計画は2月、陥没事故の現場を含む路線について、再発防止策を示すことができず東京地裁から工事の一部差し止めを命じられました。都民の立場にたって、国や事業者に対し、きっぱり事業中止を求めるべきです。
「延焼防止」を口実にして大型道路建設を進めている特定整備路線に関して、都が、延焼シミュレーションの実施にあたって防災の専門家のアドバイスを受けておらず、科学的根拠がきわめて乏しいことが、わが党の質疑で明らかになりました。北区赤羽地域では、まち全体に巨大な段差ができることも示しました。道路計画の抜本的見直しを求めるものです。
神宮外苑再開発についても都民の運動が広がっています。
「緑の量は増える」と言いながら樹齢百年の大木を大量に伐採し、歩道デッキやエレベーターまで「緑地等」に含めているなど多くのごまかしが、わが党の質疑で明らかとなりました。
また、スポーツ拠点整備の再開発だと言いながら、超高層ビルなどの再開発のために、陸上競技になくてはならないサブトラックの整備をやめたことも、初めて明かされました。
そしてこれらの計画が、森元首相の個人的な意向を強く受けて進められたことを、わが党はただしました。
問題だらけの神宮外苑再開発計画は立ち止まり、抜本的に見直すべきです。
羽田新ルートを飛行する航空機から、渋谷区内で氷が落下した疑いが浮かび上がっています。懸念されていた重大な問題であり、都として調査するとともに、真相が明らかになるまで羽田新ルートの運用を中止すべきです。
最後に、先ほど趣旨説明を行った、日本共産党都議団提出の予算組み替え提案へのご賛同を心よりお願いして、討論を終わります。
以上