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質問・条例提案

予算特別委員会 大山とも子都議のしめくくり総括質疑

3月22日の予算特別委員会で、大山とも子都議(新宿区選出)がしめくくり総括質疑を行いました。

  1. 都立・公社病院の独法化について
  2. 新型コロナ対策について
  3. 特殊作戦部隊輸送機オスプレイ問題について
  4. 東京都平和祈念館について

 

★質問全文(都議会速記録より)


○大山委員 都立、公社病院を独立行政法人化することについて、都立、公社病院を守れの運動はますます広がり、署名は累計三十五万人を超えました。都民の理解も合意も得られていないことは明白です。
 知事も、東京都も、都民の代表である都議会の場で、正面から審議することをせず、独法化を強行することは断じて許されません。
 初めに、知事にお伺いします。
 白石議員の本委員会代表総括質疑で、知事は丁寧な説明をしたと認識していますか。

○小池知事 独法化の目的、そしてその意義につきましては、独法化の準備を開始することを表明いたしました令和元年の第四回定例会以降、都議会の場で説明し、議論を深めてまいりました。
 先日の予算特別委員会においても、いただいたご質問につきまして、私及び関係局長から、それぞれ答弁もさせていただいております。

○大山委員 これまで都議会の場で説明し、議論も深めてきたなどとおっしゃいますが、実際は知事も、本部長をはじめ関係局長も、まともな説明ができず、聞かれたことには答えない、同じ答弁ばかりを繰り返す、そういうやり方を繰り返してきました。
 今のご答弁でも、知事自身が、先日の代表総括質疑で丁寧な説明をしたといえないわけです。
 病院の統廃合や不採算医療の後退を招く独法化の本質について、知事自らの言葉で何一つ説明しなかったんですから、丁寧な説明をしたといえるわけがありません。
 議会で正々堂々と審議をしようとしないやり方は、議会軽視であると厳しく指摘せざるを得ません。今日こそはきちんと答弁し、説明することを求めて、質問に入ります。
 先日の本委員会代表総括質疑で、知事は突然、コロナ対応を踏まえると、感染状況に応じた対応や新たな感染症への備えなど、感染症医療体制のさらなる強化が急務、このため、早期の体制整備が必要であり、独法化の準備を進める、感染状況に応じてさらなるコロナ対応が必要と述べました。
 この独法化の理由、目的は、東京都としていつ、どこで決めたのですか、知事。

○小池知事 改めて申し上げますが、独法化の目的は、行政的医療の安定的な提供などの役割を将来にわたって果たし続けることにございます。
 今後、超高齢社会が本格化する中で、医療環境の変化に迅速に対応できる、そのような体制を早期に整備する必要がございます。また、さらなるコロナ対応が必要でございまして、新たな感染症にも備えていかなければなりません。
 都立病院の経営形態の在り方につきましては、長年の課題でございました。この間、都として整理を行い、昨年の第三回定例会で法人の定款を議決いただきまして、本定例会におきましては、関連議案をご審議いただいているところでございます。

○大山委員 ちゃんと質問を聞いてください。私は、いつ、どこで決めたのか、そう聞いたんです。またしても聞いたことに答えない。これでは議論を深めることなどできません。いつ、どこで決めたのかも答えることができないんですから、こんなはぐらかすような答弁しかできないわけですね。
 そもそも知事は、コロナ禍で明らかになった最大の教訓は、デジタル化の遅れだといい続けています。我が党は、コロナ禍で明らかになった日本と東京の医療提供体制の脆弱さについて、知事にただしてきましたが、知事は一度もまともに答えたことがありません。
 しかも、知事が独立行政法人を今年七月に設立すると決定したのは、昨年八月、第五波の重症者が過去最多となったときでした。
 そして、今年二月、第六波真っ盛りに、都立病院条例の廃止条例を今定例会に提出しました。ところが、開会日の施政方針表明で、知事は独法化について一言も説明もしませんでした。それが突然、コロナ対策強化のための独法化だといい始めたんですから、驚きました。
 なぜ、このコロナ禍のさなかに独法化するのか。誰しも抱く疑問にまともに答えられなくなり、後づけのその場しのぎの説明をせざるを得なくなったというのが真相です。
 蔓延防止等重点措置は解除されましたが、感染状況は予断を許しません。都のモニタリング会議は、現在の医療提供体制を最も厳しい警戒レベルとしています。通常の医療が大きく制限され、都民の命の危機が深刻な最中に独法化を強行しようとすることに、道理など全くありません。
 コロナ専用病床を確保した全国の約二千三百の医療機関の中で、コロナ病床確保数、一位から十一位まで全て都立、公社病院です。全国で最も先進的かつ柔軟にコロナ対応をしていることは明らかです。都議会の全ての会派の皆さんも、都立、公社病院のコロナ対応に高い評価をしています。独法化の理由が、コロナ対応のためなどという話は成り立ちません。
 そこで伺いますけれども、都立小児総合医療センターと松沢病院のコロナ確保病床は、それぞれ小児専門病院、精神科病院の分野で全国で何位ですか。

○西山病院経営本部長 小児総合医療センターと松沢病院は、専門病院としてそれぞれの役割と機能に応じてコロナ対応をはじめとした行政的医療を担っており、独法化後もこうした役割を適切に果たしてまいります。
 両病院の確保病床は、厚生労働省の公表資料によりますと、全国の小児専門病院、精神科病院の中で最も多くなってございます。

○大山委員 最後の方がちょっと聞こえませんでしたが、聞こえにくかったですけれども、最も多くなっていると答弁されましたね。
 小児医療でも、精神科医療でも、同様の全国の専門病院の中で、都立病院は最も多くのコロナ病床を確保していることが今改めて明らかになりました。独法化する理由など、どこにもありません。
 私たちは、都立松沢病院の前院長であります齋藤名誉院長からお話を伺いました。コロナ禍のさなかに独法化することについて、次のように話されました。
 みんながコロナで大変なときに、これで独法化をやるのか。昨年の第四波のとき、コロナでの死者数を見ると、大阪は東京の三倍だった。今も一・五倍ぐらいある。独法化がやりやすい、よくなるというのなら、なぜ大阪ではこんな事態になっているのか。国立独法の精神科病院もあるが、松沢病院の方がはるかに多くのコロナ患者を受け入れてきた。独法化すればよくなるなど、どうしていえるのか全く分からない。このように述べ、独法化に疑問を表明されています。
 知事、伺いますが、齋藤名誉院長のこの指摘をどのように受け止めますか。(西山病院経営本部長発言を求む)また知事は答えないんですか。

○西山病院経営本部長 齋藤名誉院長の個人的発言につきましては、その詳細は把握してございません。
 松沢病院は、都における精神科医療の拠点として、専門性の高い精神科医療を提供するとともに、他の医療機関と密接に連携し、その役割を果たしてきてまいりました。
 独法化後は、安定的かつ機動的な人材確保など柔軟な病院運営を行い、精神身体合併症医療など行政的医療を一層充実させることで、新たな都立病院としての役割を果たしてまいります。

○大山委員 今、ちゃんと齋藤元院長のお話、お伝えしたんですね。だから伺ったんです。
 そんなことを答弁されていますけれども、大阪では府立病院を独法化して十五年がたちますが、東京都は大阪独法を成功事例として高く評価してきました。大阪では、政令市である大阪市、堺市の市立病院も独法化されています。
 一方で、このパネルをご覧ください。人口百万人当たりのコロナ死者数の累計です。コロナ感染での大阪での死者数は、もう一目瞭然、全国で突出しています。
 知事、大阪は独法化によってコロナ対応がうまくいったという認識なんでしょうか。知事、きちんと答えてください。

○西山病院経営本部長 各地域の法人は、地域の感染状況等に即しまして、コロナ対応に努力をしていると認識をしてございます。

○大山委員 知事は答弁に立たない、そして聞かれたことに答えない。
 今まで東京都は大阪独法を成功例だっていってきたんですよね。東京都は、監査法人トーマツを使って全国の先行独法病院を調査して、自らも大阪に行って、独法化が最も望ましい、デメリットはないとして、都立、公社病院の独法化を強引に進めてきたではありませんか。
 ところが、自分たちに都合が悪いことを持ち出されると、正面から答えない。こういうのをご都合主義というんじゃないですか。
 大阪府知事や大阪市長を務め、大阪市立病院を独法化した橋下徹氏はツイッターで、僕が今さらいうのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います、保健所、府立、市立病院など、そこはお手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いしますと、自らの改革によって医療や保健所の弱体化を招いたことを認めています。その事実、東京都、きちんと直視すべきです。
 質問を進めます。
 三月七日の本委員会代表総括質疑で、我が党は、独立行政法人評価委員会の都立病院分科会で委員の発言について取り上げました。
 病床機能の見直しとか急性期病床などの適正化とか再編統合は避けられないと思うという発言です。その後、議事録も公開されました。今お配りしています。
 知事はこの発言を確認していましたか。前回の総括質疑のときに出たものです。知事、答えてください。(西村病院経営本部長発言を求む)知事に聞いています。自分が見たのかどうか、確認したのかどうかというのを聞いているんですからね、どうして病院経営本部長が分かるんですか。知事、お願いします。答えられないんですね。こんなことも答えられない。

○西山病院経営本部長 せんだってもお答えしましたとおり、独法化の状況につきましては、適宜、知事にご報告申し上げながら進めてございます。

○大山委員 またしても知事は答えられない。答えないというより、答えられないということですよね。
 私は何と聞いたか。知事はこの発言を確認しましたかと聞いたんです。こんなことやっていたら、質疑として成り立ちません。議論が深まらないじゃないですか。私は知事に発言、確認したのかと尋ねたわけですけれども、こんな簡単な質問に、なぜ答えられないんでしょうか。
 評価委員会は、地方自治法に基づく知事の附属機関です。条例で設置されています。単なる専門家会議と違います。評価委員の発言は、次期中期目標の策定時に踏まえるべき重要な意見となり、重いものです。
 評価委員は知事が任命しています。病床機能の見直しとか急性期病床などの適正化とか再編統合は避けられないと思うという、独法化前から統廃合は避けられないと述べた発言、知事はどう受け止めているんですか。重大な発言だと思いませんか。これぐらい、ちゃんと知事答えてください。知事に聞いています。知事に聞いています。答えられないんですね、知事は。

○西山病院経営本部長 都立病院ではこれまでも、小児総合医療センターなど再編整備を進め、医療機能の集約化による医療の質の向上とネットワーク機能の充実強化によりまして、都民に対する総体としての医療サービスの向上を図ってまいりました。
 病院運営については、都民の医療ニーズの動向、都立病院の果たすべき役割、民間医療機関との役割分担や連携の在り方など、様々な要素を総合的に勘案しながら行っているものでございまして、独法化後も、こうした基本的な観点に立ちながら運営し、これまでと同様、不断に経営改革に取り組みながら、都民ニーズに的確に対応してまいります。
 なお、意見聴取の過程では、委員から多様な意見をいただいてございます。

○大山委員 都立病院でも統廃合してきた。しかも、再編統合が避けられないことを全く否定しない。そもそも統廃合自体をいいことだと。そういう答弁でしたよね。驚きです。
 将来にわたって、行政的医療を安定的に提供するというお話は、今の答弁で崩れ去りました。
 石原都政時代に、都立病院は、都民の強い反対、本当に強い反対だったんです、押し切って大規模な再編統合が行われて、十六か所から八か所に半減しました。今おっしゃった小児総合医療センター、清瀬小児、八王子小児、そして梅ケ丘、これらを廃止する。お母さんたちは本当に必死でした。この病院をなくさないでほしい。私、今でも忘れられませんよ。
 それで、今定例会の本会議一般質問で我が党のアオヤギ議員が取り上げたように、その痛みは今なお深刻なんです。都民の運動も続いています。石原都政が医療サービスを向上させる改革だといって強行した都立病院再編は、実際は改革どころか行政的医療、地域医療を後退させる大改悪、大失敗でした。
 そして、今の答弁から都が進めている独法化は、石原都政が進めた都立病院再編政策の延長線上であることがはっきりしました。本音は隠せないものなんですね。
 評価委員は−−再編統合は避けられないという発言は、重大な発言じゃないかといったわけですけれども、知事も本部長も、将来にわたって行政的医療を安定的に提供するための独法化だといい続けていますけれども、要するに、再編統合は避けられないということを否定しないわけです。その本音が答弁から明らかになりました。
 中期目標に再編統合は入っていない。いつも答弁していますが、当面五年間だけの話です。将来にわたって再編統合しないとは決していわない。いえないわけですね。将来にわたって、行政的医療を安定的に提供するための独法化だという話はもう崩れ去りました。
 私は、独法化問題の最後に都立神経病院に触れたいと思います。
 全身の筋肉が動かなくなっていくALSなどの神経難病の専門病院です。神経難病の患者さんは、入院したとき、普通のナースコールは押せません。ですから、都立神経病院では、入院したらすぐにリハビリ士がベッドサイドに駆けつけ、患者さんが動かせる僅かな指先の動きだとか、まばたきだとか、眼球の動きだとか、これを使ってナースコールができるように、一人一人に合わせた調整をしています。
 これは、文字どおり不採算医療です。全国の専門病院の中でも、都立神経病院ならではの取組です。都立直営だからこそ、このような採算性や効率性よりも、一人一人の人権と尊厳を大事にする医療に安心して取り組むことができるんです。
 患者のご家族は、ナースコールを押すということは自ら行動するということですから、生きる意欲が出るんです、そう話してくれました。地域医療、在宅医療の訪問看護にも、ずっと以前から取り組んでいます。
 その大事な都立神経病院を、政府は再編や統合について特に議論が必要な病院のリストに入れて公表しました。ところが、知事も、東京都もこれまで政府に抗議の一つしていません。行政的医療を本気でやろうと思うんだったら、厳しく抗議するのが当たり前です。行政的医療を守るというだけでは、何の説得力もありません。
 最も不採算な医療を担い、患者の人権と尊厳を守る役割を果たしている都立神経病院は、採算性、効率性が重視される独法化とは最もなじまない病院です。神経病院のような不採算の行政的医療を守り抜くことは、生易しいことではありません。都立直営で拡充するべきです。
 今日の質疑を通して、都立、公社病院の独法化の道理のなさが改めて明らかになりました。中止、撤回することを厳しく求めて、次の質問に移ります。

  コロナ対策について伺います。
 都内の新規感染者数の減少は鈍く、波が高いまま第七波が来る可能性があります。現状で、感染は下がり切ったという状況では全くありません。新たな変異株の割合も都内で一八%まで増えています。
 知事、伺います。第七波の感染拡大の可能性について、知事はどう考えているのですか。どう先手を打って対応するのですか。

○小池知事 感染力の強いオミクロン株に対応するため、これまでも臨時の医療施設や自宅療養体制の拡充など、まさに先手先手で医療提供体制を強化してまいりました。
 現在、重症病床使用率などにつきましては低下傾向にございますが、年度替わりで人の動きが活発化する時期であることや、新たな変異株への置き換わりなどが懸念されているところでございます。
 このため、今日からリバウンド警戒期間を設定いたしまして、現行の医療提供体制に、高齢者、また子供への効果的な対策を加えまして、さらにワクチン接種の加速、そして徹底した感染リスクの回避など、なすべき取組を進めていくことといたしております。

○大山委員 今日はオミクロン株の下で感染が広がっている子供の問題に絞って質問します。
 とりわけ深刻なのは、保育園における感染です。今年一月一日から三月十六日までで、新型コロナ感染症の陽性者が発生した認可保育園は、延べ六千五百十三か所、児童は延べ一万六千百九十九人、職員は延べ六千六百六十三人と伺っています。
 先ほど知事は、子供への効果的な対策を加えると答弁しましたが、具体的にどういう取組を進めるんですか。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 本日から開始いたしましたリバウンド警戒期間におきましては、現行の医療提供体制を当面維持するとともに、都が設置する大規模接種会場での親子接種の機会を提供するなど、ワクチン接種を加速しております。
 また、自宅療養中に容体が変化した子供に対して、速やかに往診やオンライン診療を実施するとともに、夜間、休日においても、広域的に往診を行う医療機関による診療体制を確保していくこととしております。
 さらに、濃厚接触者となった保育施設などの職員が早期に業務へ復帰できるよう、集中的検査で配布した検査キットを積極的に活用していくこととしております。

○大山委員 検査キットの活用も一部広げるということなんですけれども、検査はまだまだ十分ではありません。保育園で陽性者が出たら、どう対応しているんでしょうか。全員検査をした例はどの程度あるんですか。

○中村福祉保健局長 国は、保育所の職員や児童が陽性となった場合の対応につきまして、区市町村が保健所等と連携の上、陽性者の状況の把握とともに、濃厚接触者の範囲を確認し、開園を続けるか、一部または全部の休園とするかなどにつきまして、保育所にも確認の上、判断することとしております。
 都は、職員や児童の感染が判明した際、保健所による濃厚接触者の特定が実施されない場合に、濃厚接触の可能性のある職員や児童が速やかにPCR検査を実施できるよう、区市町村に検査キットを配布しております。
 また、職員に対しましても、国の通知に基づき集中的検査を実施しておりまして、濃厚接触者となった場合の待機期間の解除の判断に当たり、この検査キットを活用することも可能とするなど、必要な検査を実施できる体制を確保しております。
 なお、都として検査範囲の報告は求めていないところです。

○大山委員 報告は求めていない、つまり検査状況は把握していないということです。驚きです。現場任せ、区市町村任せの対策では感染防止はできません。
 保育園は子供と職員、また子供同士の接触が避けられません。また、朝夕の合同保育など、必ずしもクラス単位で完結するわけではありません。広くPCR検査が重要なことは明らかです。
 しかし、保育の現場で検査の範囲が狭く、検査の対象外の子供が後から陽性になったという事例も、私たちのところにも複数届いています。しかも、第六波で保健所が逼迫し、検査を広く行う以前に、そもそも保健所は来てくれないという状況が広がっています。
 だからこそ、答弁にあった保育園で陽性者が発生し、保健所が対応できない場合に使えるPCR検査キットの活用が重要です。
 しかし、これまで自治体に配布されたのは約一万キットと少ない上、そのうち使われたのは一四%、約千五百件にとどまっています。パネルにしてみました。配った数も少ないけど、使った数はもっと少ないという状況です。
 なぜこんなに使われていないのか。私、現場の園長先生たちに聞いてみました。PCR検査キットが配布されていることを保育現場が区市町村から知らされていないところも多くありました。また、検査を受けると濃厚接触者じゃなくても、自宅待機になってしまうこと、検査の対象範囲が狭いこと、自治体に配布したPCR検査キットの数があまりにも少ないことなど、様々な課題があることが分かりました。
 都として、保育園の現場がどうなっているか把握し、使いやすい仕組みに早急に改善することが必要です。
 改善策の一つとして、PCR検査キットを各保育園に配っておけば、すぐ陽性者が出たら使えるわけですから、その方が活用しやすいのではないんでしょうか。どうですか。

○中村福祉保健局長 都は、保育所で職員や児童の感染が判明し、保健所による濃厚接触者の特定等が行われない場合、濃厚接触の可能性のある職員等が速やかにPCR検査を実施できるよう、あらかじめ区市町村に検査キットを配布しております。
 限られた検査キットを有効に活用するため、区市町村でキットを保管し、感染が判明した施設に必要に応じて追加で配布することとしております。
 また、職員に対しましても、国の通知に基づき集中的検査を実施しておりまして、検査キットをあらかじめ保育所に配布しております。

○大山委員 そういうことなんですよ。今あらかじめ保育所に配布しているのは、さっき最後に、職員に対して国の通知に基づいて集中検査をしていて、検査キットをあらかじめ保育所に配布していると。非常に混乱を招くような答弁なわけですね。
 あらかじめ保育園に配布しているのは、集中検査のための抗原キットです。陽性者が出たときの幅広い検査には使えないです。使えないです。的外れなことは答弁しないでください。
 例えば、都立高校ではPCR検査キットをあらかじめ配布しています。全百九十六校中、九十二校で陽性者が出たときに、検査キットが活用されています。学校に置いてあるので、陽性者が出たら速やかに検査できるからです。保育園でもそうできるよう、区市町村と検討してください。
 有効活用するためと答弁されましたけれども、むしろ逆に、このままでは既に配布されているものも有効に活用するどころか、期限切れになって大量廃棄になりかねません。
 次に、オミクロン株の特性に対応した保育園での対策のポイントをどう考えているのかお答えください。

○中村福祉保健局長 国は、オミクロン株の特性を踏まえた保育所等の感染対策といたしまして、職員や保護者のマスク着用、遊具等の小まめな消毒などの基本的対策の徹底、少人数に分割するなど感染を広げない形の保育の実践、大人数での行事の自粛、可能な範囲での児童のマスク着用の推奨、職員への速やかなワクチンの追加接種、濃厚接触者である保育士等への早期復帰のための検査の実施等を示しておるところでございます。
 都では、保育所等が感染対策を徹底できるよう動画やリーフレットを作成して、消毒や換気方法等を周知するとともに、感染防止対策に従事する人材の配置を支援しております。さらに、都の大規模接種会場でエッセンシャルワーカーである職員へ優先的にワクチンの追加接種をしているほか、集中的検査やPCR検査キットの配布などの対策を行っております。

○大山委員 最初の方で出てきた、少人数に分割する、子供の集団を小さくすること、これが重要なんですね。それをできるようにするためには、保育士の人数を増やすことが必要です。保育士の配置を増やすことを強く求めておきます。
 保健所のことなんですけれども、保健所の逼迫を打開するためには、公衆衛生医師の確保が重要です。東京都が区市の分も含め、採用しているわけですから、都の責任は大きなものがあります。
 私がこのことを指摘して、積極的な確保について提案したのが二〇二〇年の第三回定例会代表質問。都が新年度予算案に公衆衛生医師確保事業三千百万円を新規事業として計上したのは重要であり、歓迎です。
 都内の公衆衛生医師の配置状況と、不足する公衆衛生医師の確保に向けた都の今後の取組について伺います。

○中村福祉保健局長 都内の公衆衛生医師の配置数は、本年三月一日現在で、都の定数に保健所設置区市の配置希望数を合わせた百七十四名に対しまして、百六名となっております。
 都はこれまで、公衆衛生医師の確保に向け、SNSや医師求人情報サイトへの広告掲載、医科大学での公衆衛生医師業務に関する講義や保健所業務説明会の開催、保健所での現場実習の受入れなど、様々な媒体や機会を活用して取り組んできたほか、国に対し、医師養成等において、保健所での研修を必須とすることを提案要求してまいりました。
 来年度は、採用案内ホームページのリニューアル等によるPRの強化、オンライン形式の業務説明会、民間住宅の借り上げを実施する予定であり、引き続き、公衆衛生医師の安定的な確保に取り組んでいきます。

○大山委員 百七十四人の必要数に対して百六名ですから、六十八人も不足しています。来年度、民間住宅の借り上げなど非常に重要な施策です。公衆衛生行政の魅力を伝えて、充足できるよう、引き続き力を尽くすよう求めておきます。

 次は、米軍機オスプレイについて質問します。
 このパネルをご覧ください。米軍横田基地で行われているオスプレイのホバリングの動画から印刷したものです。自宅から細い道路を挟んですぐ向かい側、僅か八十メートルしか離れていないところで、オスプレイが電線よりも低いところ、超低空で長時間にわたりホバリングを行っています。写真のパネルからは伝わりませんが、すさまじい爆音と振動と強風です。
 都市整備局に動画を提供して、私、事前に知事に見ていただくようにお願いしてあります。
 この民家に住む方から、深刻な被害の訴えを受けた北関東防衛局は、CV22のホバリングに係る配慮についてという要請文を、二月十六日付で横田基地副司令官宛てに出しています。お手元にお配りしておりますので、ご覧ください。資料〔1〕です。
 これが要請ですね。家屋から約百メートルのところでホバリングをしている。通常十八時頃から開始され、二十二時過ぎまで続くことがある。騒音や振動のせいで家族との会話ができず、また、ヘッドホンなしにテレビを見ることができない。ホバリングの振動が原因で家屋の壁にひびが入った。風圧により基地内の小石等が家屋の敷地内に飛び込んでくる。騒音が原因で体調を崩し通院したことがある。
 北関東防衛局は、このように、被害状況を具体的に列挙して、家族がくつろぐ時間帯において、会話ができない程度の騒音が数時間にわたって継続するというのは、離発着に伴い一時的に生ずる騒音に対する苦情と比べるとより深刻だとして、ホバリングを北側ヘリパッドで行わないといった抜本的な措置を講じるよう求めています。
 この要請文を、知事は把握していますか。国がこれほどリアルで詳細な被害実態を示して米軍に要請書を出すのは異例なことだと思いますが、知事、いかがですか。

○小池知事 お尋ねの要請文については承知をいたしております。

○大山委員 要請文はご存じだったということですね。異例なことじゃないかって、防衛大臣も務めていらっしゃったので、ご存じかと思って伺ったわけです。
 それでは、その後の米軍の対応はどうでしょうか。
 資料〔2〕をご覧ください。この方が記録していたものです。要請文を受け取った後も、米軍は返事を出すこともなく、二月十八日、二十二日、二十四日、三月一日、五日、十一日、そして十六日もオスプレイが低空飛行のホバリングを繰り返していました。しかも、十六日のホバリングは、この方の自宅の前をぐるぐる回りながら一時間にもわたって続いたというんです。北関東防衛局からの正式な強い要請を意にも介さない。こんなことは到底許されません。
 知事、知事に伺います。あまりにもひどいと思いませんか。ぜひ現場に足を運び、切実な実態に耳を傾けていただきたい。都として、オスプレイの撤去を米軍に強く求めるべきです。そして、少なくとも北側ヘリパッドでのホバリングはやめるよう、国と共に米軍に対して強く求めるべきだと思いますが、知事、いかがですか。

○上野東京都技監 まず、横田基地におけるCV22オスプレイのホバリングにつきましては、国は近隣住民への騒音の影響を鑑み、住民への影響を最小限に抑えるため、原則としてCV22のホバリングを基地中央に位置するヘリパッドで行い、北側ヘリパッドで行わないという抜本的な措置を講ずるよう、都と地元自治体による要請も踏まえ、横田基地に対し要請をしているものでございます。
 それから、今の見直しでございますけれども、安全保障に関することは国の専管事項である中、都はこれまでも、国に対しまして、米軍の運用につきまして周辺住民の生活に最大限の配慮を行うよう要請等を行ってきております。
 具体的には、日米合同委員会の合意事項を遵守するとともに、二十二時から六時までの航空機の飛行停止の徹底や夜間及び早朝の制限時間拡大、土休日に騒音を発生させないこと、ホバリング等オスプレイ特有の騒音の軽減などにつきまして、都は地元自治体と共に国に対して求めているところでございます。
 今後も、都民の生命と安全・安心を守る立場から、国に対しまして必要なことを申し入れてまいります。

○大山委員 ちゃんと、聞いたことに簡潔に答えてください。少なくとも、北側ヘリパッドでのホバリングはやめるように強く求めるべきじゃないんですか。
 要望していること自体は重要ですよ。私たちは直接お話を伺いました。
 妻は、ストレスから原因不明の顔の腫れ、夫は、オスプレイが来ると足が震え出すなど健康に支障を来しています。引っ越しも考えて不動産屋さんに査定をしてもらおうとしましたが、オスプレイのホバリングを見て、売却すれば買主から後々訴えられるリスクがあるので査定できないと断られたそうです。それほどひどい。
 引っ越すこともできず、轟音と振動におびえながら暮らす毎日を、知事は想像できますか。安らかな日々を、団らんの時間をオスプレイによって奪われる都民を守るのは、都の役割であり、知事としての責務です。北側ヘリパッドでのホバリングを、せめてですよ、直ちにやめるよう米軍に対し強く要請することを、改めて厳しく求めておきます。
 オスプレイは、小笠原の住民にも大きな不安を与えています。二月九日、父島及びその周辺で、米軍機と思われるオスプレイが長時間にわたって飛行しました。これは、そのときの写真です。出航する「おがさわら丸」、こちらですね、目の前を横切って、小さな湾の上を低空で飛行しました。事前の通告もなく突然現れたオスプレイに、村民の皆さんが不安を感じたのはいうまでもありません。これはもう、湾の中の、山よりも低いところですよ。
 この突然の飛行に対し、小笠原村長が北関東防衛局宛てに抗議文を提出したことを都は把握していますか。また、都はどのような対応をしたんでしょうか。

○上野東京都技監 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、都はこれまでも、国に対し、米軍機の飛行につきまして、航空法の飛行時の最低安全高度を適用するよう要請等を行ってまいりました。
 父島周辺におけるオスプレイの低空飛行につきましては、小笠原村長が国に抗議文を発出したことは承知しております。
 都が国に事実確認したところ、米側からは、小笠原諸島周辺における訓練ではオスプレイは沿岸水域にとどまり、陸地、客船、漁船等の上を避けて飛行したとの説明がございまして、さらに、小笠原村の受け止めについては引き続き米側に伝えていくとのことでございました。
 都といたしましては、米側からの回答内容等を確認した上で、必要に応じ、適切に対応してまいります。

○大山委員 必要な場合−−結局何もやっていなかったということですよね。
 事前の通告もなく、村民に大きな不安を感じさせながら、訓練の目的も内容も明らかにしない。あまりに横暴な態度です。
 しかも、今のご答弁では、沿岸水域にとどまり、客船等の上を避けてといいますが、「おがさわら丸」の上なんかを通るなんていうのは、そんなことはまさに考えられませんよ。
 しかし、「おがさわら丸」がまさに港を出ていくときに、同じ湾の中の上空を低空で、「おがさわら丸」の目の前を横切るようにオスプレイが飛んだんです。ところが、東京都は国に問い合わせただけ。そんなことでいいんでしょうか。
 知事は、島しょ地域を宝島と呼んでいます。しかも、小笠原諸島は世界遺産です。厳重に知事は抗議するべきです。
 村長からの抗議文には、小笠原の貴重な鳥類や来遊シーズンを迎えているザトウクジラの行動にも影響を与えかねないほどの低空飛行だったと記されています。そして、今般のような突然かつ村民の不安をあおるような飛行は到底容認できないと厳しく抗議しています。知事は、小笠原諸島の村民の皆さんの声を自らの声として、国と米軍に厳しく抗議するべきです。
 横田基地のホバリングも小笠原の低空飛行も共通しているのは、都が具体的行動を起こしていないという点です。
 先週末、ノルウェーで米海兵隊のオスプレイが墜落しました。事故の調査、公表を行っているのは米軍ではなくノルウェー当局です。主権国家として、これが当たり前です。
 日本国内では、昨年三回オスプレイが緊急着陸しています。しかし、日本政府は日米地位協定により調査する姿勢もなく、米国のいいなりです。
 知事、国に強く対応を迫っていただきたい。都民の安全を守る主体的責任を果たして、危険なオスプレイの撤去を国にも米軍にも求めるよう改めて強く求めて、次の質問に移ります。

 最後に、平和祈念館について伺います。
 ロシアのウクライナへの軍事侵攻から三週間以上たちました。
 病院や原発などへの無差別な軍事攻撃によって、子供を含む民間人が、多くの民間人が亡くなりました。ロシア語で子供と大きく書かれ、子供や女性たちが避難していた劇場を爆撃するなど、決して許せることではありません。
 戦時中、空襲を体験した方々は今どんな思いで見ておられるでしょうか。主権の尊重と領土の保全、武力行使の禁止を義務づけた国連憲章に反する侵略であり、断じて許せるものではありません。
 同時に、軍事対軍事の悪循環に陥ることなく、外交努力によって解決することが今最も重要です。
 日本もかつて戦争でアジアの国々に大きな被害を与え、日本国民も多大な犠牲を払いました。一九四四年十一月から約十か月間、都内全域でアメリカ軍の激しい空爆があり、東京は終戦まで戦火の地となりました。
 私は、同居していた明治生まれの祖母から戦争中のことを何度も聞いて育ちました。中島飛行機軍需工場が近くにあったために空襲が度々あって、命からがら逃げ回ったり、防空ごうに逃げ込んだり、いかに空襲が怖かったのかを話して聞かされました。祖母は、戦争だけはやっちゃ駄目、口癖のようにいっていました。
 今年の三月十日、東京都平和の日は東京大空襲七十七周年でした。
 知事は、都として東京大空襲の惨禍を記録し、語り継ぐ重要性をどう認識していますか。

○小池知事 戦争の記憶を風化させることなく、次の世代に語り継ぎ、平和の大切さを伝えていくことは重要であります。
 そのため、都は、東京都平和の日条例を制定し、毎年継続して三月十日の記念式典をはじめ、東京空襲資料展の開催など、平和関連事業を実施いたしまして、都民が受けた苦難の歴史を語り継いでいるところであります。

○大山委員 戦争の記憶を風化させることなく次世代に語り継ぐことは重要という答弁、この認識は今、これまでになく大事になっています。
 答弁にありましたが、東京都は恒久平和の実現に貢献する責務を深く認識し、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓って、東京大空襲の三月十日を平和の日とする条例を一九九〇年に制定し、記念式典を開いてきました。
 一九九五年三月十日の記念式典では、知事、都議会代表を含む参加者の総意として都民平和アピールが採択されました。都民広場にモニュメントがあります。
 一九四五年三月十日、東京は大空襲によって至るところ焼け野原と化し、一夜にして十万人のかけがえのない尊い命が失われた、これがアピールの冒頭の言葉です。
 そして、私たちは、次代を担う子供たちに戦争の悲惨さと、それを防止する、この大切さを東京大空襲の体験などとともに語り伝えます、そう決意を述べています。
 戦争体験を持ち、事実を伝えることができる人が少なくなっている今、どうしたら次世代に平和の大切さを伝えることができるか、極めて重大な課題です。
 知事、今、平和祈念館が凍結されています。それは決議文にあるんですね。最大の問題になっているのは、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経緯を十分に踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施することという付帯決議第一項です。
 知事は、この付帯決議第一項をどう受け止めていますか。

○小池知事 付帯決議につきましてのご質問でございます。
 付帯決議につきましては、その重みにつき十分認識をいたしております。
 よって、平和祈念館、仮称でございますが、その建設に当たりましては都議会での一定の審議と合意が必要、このように考えております。

○大山委員 建設に当たってはということをご答弁されていますから、建設は前提だということですね。都議会の付帯決議も建設するなとはいっていません。展示内容について、東京都が今後さらに検討を加える、そして都議会での合意を得て平和祈念館の建設を実施できるよう東京都に求めたのが付帯決議の第一項です。
 都から提案してください。そうすれば、きちんと都議会で審議できるんです。
 そして、戦争の惨禍、記憶を風化させることなく次世代に語り継ぐ、これが重要です。建設凍結されて既に二十三年、もう時間がありません。今の平和はかつての戦争の惨禍を経験した人たちの犠牲の上にあります。ぜひ、八十周年までにめどをつけようではありませんか。
 議会の皆さんにも呼びかけて、終わりにいたします。(拍手)