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質問・条例提案

2022.10.04

文教委員会 立憲、維新提案の条例と英語スピーキングテストの問題点 とや英津子都議の意見表明

2022年10月4日の文教委員会で、「立憲民主党と維新の会提案の条例と、英語スピーキングテストの問題点」について、とや英津子都議が意見表明しました。

 

★発言原稿です。


 最初に立憲民主党・東京維新の会、共同提案の「東京都立高等学校の入学者の選抜方法に関する条例」について、意見を申し上げます。

 この条例案は、都立高校入試の方法を定めるもので、株式会社ベネッセコーポレーションが実施し、都教委が都立高校入試に活用しようとしている英語スピーキングテスト、ESAT-Jの結果を、入試の合否判定の総合成績に「含めないように」するために提案されたものです。

 この間の質疑を通じ、ESAT-Jは入試に必要な公平性、公正性が確保できず、どれだけ修正しても解決できない根本的な問題があることが明らかになりました。
ESAT-Jの見直しを求める都民の声は、ますます大きくなっています。本来であれば都教委が自主的に見直しをすべきところ、一向に見直される気配がなく、何とかしなければ、見過ごすことはできないとの強い危機感のもと、この条例案を提案したと立憲民主党さんからご説明をいただきました。
 2019年から繰り返し、質問や申し入れ、予算の削除の提案をしてきた私たちも、同じ思いです。
 しかし、それを条例で規制することについては、やはり慎重でなければならないと考え、条例制定には反対します。教育の目的や内容、方法といった教育の内的事項を決定して良いとなれば、時の議会の多数派による内的事項の統制を容易にすることになってしまいます。また今回の条例案は、ESAT-Jを行い入試に活用すると決めた都教委を不問にし、高校の校長にそれを合否判定に用いないことを命令する形になっているという問題も指摘しておきます。

 しかし、繰り返し申し上げますが、都教委には、自主的に英語スピーキングテスト、ESAT―Jを中止していただくことを求めます。教育委員会が独立しているのは、好き勝手にやって良いということではありません。住民の意見を十分に反映させた教育行政を行わなければなりません。
 採点の公平性、不受験者への対応、個人情報の扱い、ESAT-Jがベネッセの商品GTECに酷似していること、民間企業のテストを入試の合否判定に使うこと、利益相反、都教委の説明不足など、多くの懸念や問題点が指摘され、まったく解決せず、都民の合意形成ができたとは言えません。
これら、さまざまな問題が子どもたちを振り回し、不安にさせていることを都教委は自覚すべきです。少なくない子どもたちが不安や心配、批判の声を上げています。国連子どもの権利条約や東京都こども基本条例の立場に立ち、子どもの声を真摯に受け止めるべきです。
 そしてこの文教委員会でも、都民の「延期・見直し」を求める請願が「継続審査」になっていることを、都教委は重く受け止めるべきです。

 さらに都教委は、私たちが「都教委がESAT-Jを実施できる法的権限」を質したのに対し、まともに答えることができませんでした。
なぜ、地教行法第54条2と言えないのか。都教委が公立中学生にESAT―Jのような学力テストをするとしたら、区市町村教委にも中学校にも中学生にも参加を強制することはできず、地教行法54条第2項にもとづいた「行政調査」としてテストをお願いする以外にできません。
都教委は30日のこの委員会で、今回の条例案が「地教行法の趣旨を損なうもの」だとくり返しましたが、私たちが地教行法について聞くとまともに答えないという、本当に情けない態度です。法律というのは、恣意的に運用して良いものではありません。都教委自身が、地教行法に沿った事務を行っていない、そのことを厳しく指摘したいと思います。
 行政調査であるESAT―Jを入試に活用することで、参加しない選択肢をふさぎ、参加しなかったら中学生に不利益を生じさせることは、事実上の強制であり、区市町村教育委員会と公立中学の自主性・自立性への侵害であり、教育基本法が禁じている都教委による不当な支配です。
都教委はそのことを自覚し、ESAT―Jは中止するべきです。私たちは、引き続き、都民のみなさん、都議会でも党派を超えたみなさんとともに、中止のために全力でとりくむ決意を表明します。 

以 上