2022年第3回定例会を終えて(談話)
2022年第3回定例会を終えて
2022年10月7日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
- 物価高騰とコロナ禍から都民の命と暮らし、営業を守る論戦と提案
物価高騰と長引くコロナ禍から、都民の命と暮らし、営業を守り抜くことが、今定例会の重要な課題でした。19議席、都議会野党第一党の日本共産党都議団は、この立場から論戦と提案を行いました。
小池知事が提出した補正予算は、重要な前進もありますが、物価高騰対策は全体のわずか6%であり、深刻な実態に照らせば不十分です。わが党は、18歳までの医療費完全無料化、学校給食費の無償化、上下水道基本料金の減免、学生への支援、物価高騰の影響を受ける全ての中小企業・小規模事業者への直接支援などを提案しました。引き続き深刻な実態に見合った踏み込んだ支援を求めていきます。
補正予算で、公衆浴場や運輸事業への燃料費補助、医療・介護・保育への緊急対策など、わが党がくり返し求めてきた直接支援に、端緒的とはいえ踏み出したたことは重要です。わが党がいち早く申し入れで求めた、高齢者等に対する季節性インフルエンザワクチン接種への補助も計上されました。
▽3つの条例案を提出 都民の切実な願いであるエアコン購入費補助と、夏期の電気料金への補助、燃料費高騰にあえぐ公衆浴場振興の3つの条例案を提出しました。いずれも都民の命と暮らし、営業を守るための提案でしたが、自民、都民ファ、公明などの反対で成立しませんでした。日本共産党都議団はこれからも、議案提案権も行使して、都民の願いに応えるとりくみを進めていきます。
- 都立・公社病院の独立行政法人化強行に厳しく抗議
新型コロナの感染拡大第7波で、またしても深刻な事態を招いたことへの教訓と反省を今後にどう生かすのか知事にただしましたが、教訓も反省も示さず、すべてうまくいったかのような答弁でした。事実を受け止めなければ、まともな対策はできません。保健所の増設・拡充を急ぐよう求めた質問には、コロナ終息後に検討するとの答弁でした。検査・医療・保健所体制の早急な抜本的強化が必要です。
知事が、都民・職員の強い反対を押し切り、7月1日に都立・公社病院の独立行政法人化を強行し、法人の中期計画を「専決処分」したことは許されません。都は独法化のメリットを活かして、機動的に人材の確保にとりくんでいると言いますが、独法化直前までに退職した看護要員が補充できず、1年前に比べて約170人少ない体制で第7波を迎えていたことが明らかになりました。
さらに、13年前に独法化した都健康長寿医療センターの理事長は、コロナ対応で一部病床を減らしている状況についてコロナが収まっても元の550 床には戻さないと発言し、「都立病院に比べて、独立行政法人の方が大体1割以上給与が安い」と述べています。ところが都は、発言の真意も、何を根拠に述べたかも確認しようとしませんでした。こうした都の態度は、独法化されれば都の関与が弱まることの証左です。
わが党は、都立・公社病院担ってきた役割を後退させず、充実させるとともに、直営に戻すために、引き続き全力をつくします。
- 英語スピーキングテストの入試への活用は、都教委による「不当な支配」
英語スピーキングテストのESAT-J(イーサット・ジェイ)を都立高校入試に活用することに対して、中止を求める声はますます広がっています。採点の公平性、不受験者への対応、個人情報の扱い、テストがベネッセの商品に酷似していること、民間企業のテストを入試の合否判定に使うこと、利益相反、都教委の説明不足など、多くの懸念や問題点が指摘されてきました。ESAT-Jには、入試に必要な公平性、公正性が確保できず、どれだけ修正しても解決できない根本的な問題があります。
都教委が公立中学生に今回のような学力テストを行う場合、区市町村教委にも中学校にも中学生にも参加を強制することはできず、地教行法第54条第2項にもとづいた「行政調査」としてテストの協力依頼をするしかありません。しかし、都教委は、ESAT-Jを実施する法的権限について、まともに答えませんでした。
「行政調査」であるテストを入試に活用することで、参加しない選択肢をふさぎ、参加しなかったら中学生に不利益を生じさせることは、事実上の強制であり、区市町村教育委員会と公立中学の自主性・自立性への侵害であり、教育基本法が禁じている都教委による「不当な支配」です。
立憲民主党から提出された条例について、わが党は反対しました。最大の理由は、教育の目的や内容、方法といった教育の内的事項を決定して良いとなれば、時の議会の多数派による内的事項の統制を容易にしまうことにあります。同時に、教育委員会が独立しているのは、好き勝手にやって良いということではありません。住民の意見を十分に反映させた教育行政を行わなければなりません。
「延期・見直し」を求める請願が「継続審査」になっていることも都教委は重く受け止めるべきです。わが党も呼びかけて、都議会の党派を超えた議員連盟もスタートします。都民の運動と力を合わせて、英語スピーキングテストを中止させるために力をつくすものです。
- 都民の声・運動と力あわせて前へ動かした貴重な成果
▽パートナーシップ制度が、11月1日からはじまります。セクシュアルマイノリティ当事者と都民のみなさんが声をあげ続けてきたことが、新しい歴史の扉をひらきました。誰もが自分らしく生きられる東京へ、制度の実施を心から喜び合いたいと思います。
▽都営住宅の空き住戸が約3万戸、全体の12%に及ぶという都民団体による調査結果を示し、1棟丸ごと1年以上空いている実態も告発して、新規募集を増やすことを求めました。都が「今後とも募集戸数の増加を図ってまいります」と答えたことは重要です。
▽中小建設業の役割について質問し、「建設業は、都民生活や経済活動の基盤となる社会資本を整備する公共工事の担い手として、また、災害時における地域の守り手としての役割を担っており、中でも、地域の実情に精通した中小建設事業者の果たす役割は重要」だとの答弁がありました。この認識を踏まえて、中小建設業の担い手の育成と確保のために、都の役割を発揮することが必要です。
▽農業振興の抜本的な拡充強化を知事に求め、東京の農業は、都民に新鮮な野菜を提供し、防災や環境保全等の多面的な機能を有しているという認識を示し、農業経営の下支え、生産の基盤となる農地を次世代に承継するサポート、農地と担い手のマッチングの後押しを行い、東京産食材の魅力を発信し、学校給食への提供など、地産地消を推進すると、踏み込んだ答弁を引き出しました。
▽ジェンダー平等の重要課題として、男女の家事、育児などの時間格差の是正を提案。都は「生活と仕事が両立できる社会を実現するためには、長時間労働を前提とした働き方を見直すとともに、男女が協力して家事、育児などを担うことが重要」と答弁しました。都として調査・研究などを行うことを求めていきます。
▽痴漢対策が一歩前進。今定例会で、都営地下鉄の全線・全編成に女性専用車両を求める陳情が、全会一致で趣旨採択されました。都が「女性専用車両は痴漢被害を防止する一つの有効な手段」と認めたことはきわめて重要です。早期導入に向けてさらにとりくみを広げていきます。
- 底なしの五輪汚職事件 徹底検証を提案要求
底なしの様相を呈する五輪の汚職事件について、小池知事は、開催都市の責任者としての姿勢が厳しく問われています。ところが、「誠に残念」と他人事のように言うだけでした。東京五輪は多額の税金が投入され、公的な性格をもつ大会です。清算法人任せではなく、都は開催都市として主体的に組織委員会が作成・保管する文書を情報公開し、都としても都議会としても徹底的に検証することを強く求めます。
- 反社会勢力である統一協会との一切の関係を断つべき
統一協会について、小池知事が反社会的勢力であるとの認識を示さなかったことは重大です。自民党政治と統一協会の癒着により、被害の拡大やジェンダー平等への逆流が助長され、政治が歪められてきたことを正面から受け止め、東京都および全ての会派と都議会議員は統一協会との関係を明らかにし、一切の関係を断ち切ることを強く呼びかけました。今後も引き続き、追及していきます。
以 上