文書質問 保育行政について・他 原のり子都議(北多摩第4選出)
2022年第1回定例会で、以下の文書質問を提出しました。
令和4年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 原のり子
質問事項
一 保育行政について
二 都立病院での保育士の役割について
三 東京都こども基本条例に関する理解促進事業について
一 保育行政について
予算特別委員会において、公立保育園の役割と存在意義について質疑を行いました。その中で、公設公営園は保育士の離職率が低いこと、また、都内の公設公営保育園保育士の勤続年数については、共産党都議団で実施した調査の結果、平均約19年だということがわかりました。各地で公立保育園の廃止や民営化が進められていますが、経験のある職員がそろっていて、重要な役割を果たしている公立保育園をなくしてしまうのは、地域にとって大きな損失であることを指摘しました。
実は、ハードの面でも、公立保育園の存在が大きいのです。園庭のない保育園がふえていて、近くの公園が満杯状態になるという現象が各地域でおきています。そうしたなか、園庭がある公立保育園に、園庭のない保育園の子どもたちが遊びに行く、運動会のときに借りる、という状況が広がっています。夏には、「もらいプール」といって、プールのある公立保育園に遠くから歩いて子どもたちが来るという状況もあります。東京都として、どの子どもも健康に発達できるように、保育園のハード面の整備がされているか把握しているでしょうか。
1 都内の認可保育園の園庭・園児が集まれる室内のホール・もぐったり泳いだりできるプールについて、保育園での設置状況をうかがいます。
2 保育所保育指針では、子どもたちの育つ環境整備について、どのように位置付けていますか。
3 保育の実施は区市町村の責任ですが、児童福祉法では、都道府県が市町村に対する必要な助言及び適切な援助を行うなど、都道府県の役割も位置付けています。都内のどこに住んでいても、子どもたちが適切な環境のなかで育つよう、東京都としても保育園の環境整備について把握すべきだと考えます。見解をうかがいます。
二 都立病院での保育士の役割について
都立小児総合医療センターには、保育士が配置され、医師や看護師などと連携しながら、闘病する子どもたちを支えるかけがえのない役割を果たしています。保育士の方にお話しをうかがいました。「身動きできない状態であっても、子どもには遊びが必要」「思春期の子が過ごせる場をつくることは大事」「その子の人生をその子らしく生きられるように、医療スタッフ、家族と相談しながら最後までサポートする。」「ある子はどうしてもやりたいこととして、『運動会』と話した。体調を整えながら、病院内の特別支援学校分教室で、そこの先生たちにも協力してもらって実現した」など、その実践は高い専門性に裏付けられ、子どもたちの成長を支えるもので、胸を揺さぶられました。これからも、ますますその役割は重要です。そこでうかがいます。
1 現在、都立病院に配置されている保育士は何人ですか。病院別、正規・非正規別に教えてください。
2 東京都としては、病院の保育士の役割についてどのようにとらえていますか。
3 保育士の研修はどのような内容で、どのぐらいの頻度で実施していますか。
4 今後、保育士の配置をふやしていく考えはありますか。また、公社病院に配置していく考えはありますか。
三 東京都こども基本条例に関する理解促進事業について
2021年4月に施行した東京都こども基本条例は、こどもを権利の主体として尊重し、意見を表明でき、その意見が施策に適切に反映されるよう環境整備を図るものになっています。これにもとづき、来年度予算案では、「理解促進事業」を行うこととしています。
1 この事業の目的と概要はどういうことですか。
2 このなかの、区市町村支援(子ども家庭支援区市町村包括補助事業)では、子どもの意見表明・参加を促進する取り組みと、子どもの権利擁護を促進する取り組みに対し、10分の10で補助するとなっています。先駆的事業、となっている意味はどういうことですか。
3 意見表明・参加を促進する取り組みには、たとえば、子ども議会や子どもシンポジウムなども対象になりますか。そのほか、理解促進事業では、どういう取り組みを想定していますか。
4 今後、区市町村にはどのように知らせていきますか。その際、こども基本条例の趣旨も含め、取り組みが進むようきちんと説明することを求めますが、いかがですか。
令和4年第一回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 保育行政について
1 都内の認可保育園の園庭・園児が集まれる室内のホール・もぐったり泳いだりできるプールについて、保育園での設置状況を伺う。
回答
都が令和2年度に認可した保育所、154施設のうち、敷地内に基準を満たす屋外遊戯場を設けている施設は35か所、設置率は22.7パーセントとなっています。
なお、ホール及びプールの設置については、設置基準の定めがなく、把握していません。
質問事項
一の2 保育所保育指針では、子どもたちの育つ環境整備について、どのように位置付けているか伺う。
回答
保育所保育指針では、保育の環境について、
「保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、更には自然や社会の事象などがある。保育所は、こうした人、物、場などの環境が相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう、次の事項に留意しつつ、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない。
ア 子ども自らが環境に関わり、自発的に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。
イ 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること。
ウ 保育室は、温かな親しみとくつろぎの場となるとともに、生き生きと活動できる場となるように配慮すること。
エ 子どもが人と関わる力を育てていくため、子ども自らが周囲の子どもや大人と関わっていくことができる環境を整えること。」
と規定しています。
質問事項
一の3 保育の実施は区市町村の責任だが、児童福祉法では、都道府県が市町村に対する必要な助言及び適切な援助を行うなど、都道府県の役割も位置付けている。都内のどこに住んでいても、子どもたちが適切な環境のなかで育つよう、都としても保育園の環境整備について把握すべきだが、見解を伺う。
回答
都は、事業者から区市町村を経由して保育所の認可申請を受けた場合、東京都児童福祉審議会に付議し、認可基準に基づき、構造設備、避難経路、児童の安全確保、適切な保育の実施、財務状況等について確認しています。
質問事項
二 都立病院での保育士の役割について
1 現在、都立病院に配置されている保育士は何人か。病院別、正規・非正規別に伺う。
回答
令和4年3月1日現在、大塚病院は常勤職員1人、会計年度任用職員1人、小児総合医療センターは常勤職員22人、会計年度任用職員13人です。
質問事項
二の2 都として、病院の保育士の役割についてどのようにとらえているか伺う。
回答
病院の役割や機能に応じて、他職種と連携しながら、子どもの成長発達を促し、生活の質を高めていく役割を担っています。
質問事項
二の3 保育士の研修はどのような内容で、どのぐらいの頻度で実施しているか伺う。
回答
小児総合医療センターでは、外部講師による研修会を年2回実施するほか、月1回勉強会を開催し、活動内容の共有や改善点の検討等を行っています。
このほか、外部機関が実施する研修や学会に参加する場合の費用を支援しています。
質問事項
二の4 今後、保育士の配置をふやしていく考えはあるか、また、公社病院に配置していく考えはあるか伺う。
回答
各病院の役割や機能に応じて、適切に人員を配置していきます。
質問事項
三 東京都こども基本条例に関する理解促進事業について
1 東京都こども基本条例に関する理解促進事業の目的と概要を伺う。
回答
東京都こども基本条例の趣旨の実現に向け、子供の権利に関する広報、子供の意見表明及び参加の促進などを進めることが必要です。
都は、令和4年度、子供及び周囲の大人向けに、条例の内容を分かりやすく伝えるリーフレットを作成します。
また、子供の意見表明及び参加の促進並びに権利擁護の充実に取り組む区市町村を支援します。
質問事項
三の2 東京都こども基本条例に関する理解促進事業の、区市町村支援(子ども家庭支援区市町村包括補助事業)では、子どもの意見表明・参加を促進する取組と、子どもの権利擁護を促進する取組に対し、10分の10で補助するとなっているが、先駆的事業、となっている意味はどういうことか伺う。
回答
子供家庭支援区市町村包括補助事業では、新たな課題に取り組む試行的事業を先駆的事業に位置付け、区市町村の取組を促進するため、補助率を10分の10としています。
区市町村において東京都こども基本条例の趣旨を踏まえた取組が進むよう、子供の意見表明及び参加の促進並びに権利擁護の充実に向けた取組を、先駆的事業に位置付けています。
質問事項
三の3 意見表明・参加を促進する取組には、たとえば、子ども議会や子どもシンポジウムなども対象になるのか。そのほか、理解促進事業では、どういう取組を想定しているか伺う。
回答
子供の意見を聴き、施策に取り入れるための機会の創出、子供の権利に関する普及啓発・相談対応の充実など、東京都こども基本条例の趣旨を踏まえた取組を幅広く支援の対象とする予定です。
質問事項
三の4 今後、区市町村にはどのように知らせていくのか。その際、こども基本条例の趣旨も含め、取り組みが進むようきちんと説明するべきだが、見解を伺う。
回答
区市町村の取組が進むよう、担当者会等で具体的な事例を提示するなど、丁寧に説明しています。