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質問・条例提案

2022.06.15

文書質問 中学校英語スピーキングテストを、都立高校入試に導入する検討過程について アオヤギ有希子都議(八王子市選出)

2022年第2回定例会で、以下の文書質問を提出しました。

令和4年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

   提出者 アオヤギ有希子

質問事項
一 中学校英語スピーキングテストを、都立高校入試に導入する検討過程について


一 中学校英語スピーキングテストを、都立高校入試に導入する検討過程について

 株式会社ベネッセコーポレーションが実施する中学校英語スピーキングテストが、来年度の都立高校入試から導入されようとしています。保護者や英語教育の専門家、都民から、批判や疑問、中止を求める声が大きくなっています。都立高校入試でスピーキングテストを実施することについて、初めて言及されたのは都教委が設置した「東京都英語教育戦略会議」でした。

1 2013年から2016年まで行われた、東京都英語教育戦略会議の設置目的と検討する内容についてどのように決めたのですか。

2 この会議のメンバーに英検とベネッセが入っているのはなぜですか。

3 2014年1月28日に開かれた第4回英語教育戦略会議専門部会で株式会社ベネッセコーポレーションの英語力判定統一試験(GTEC for STUDENTS)の検討を始めたのはなぜですか。開示請求し開示した議事録からは、経緯が読み取れません。その経緯をお示しください。

4 総務局は教育長に対して各局に出した通知と同様の「附属機関等設置運営要綱の取扱いについて」を通知しています。そこには「懇談会等は、合議制機関として機関意思を表明する附属機関と異なり、あくまで出席者の意見の表明又は意見の交換の場であるといった基本的性格に鑑み、次の事項に十分留意すること」「委員の意見のとりまとめについては、個々の委員の意見表明の形をとり、機関意思の表明と紛らわしい諮問・答申の形をとらないこと」としています。これは、地方自治法が定める、附属機関の役割と明確に分けるため通知されたものです。
 しかし、東京都英語教育戦略会議は、意見表明にとどめず、「東京都英語教育戦略会議報告書」をまとめ、「都立高校入試においても、スピーキングテストを加え、4技能を測る入試問題の実施方法の工夫について検討していくべきである」とはっきり書いてあります。開示された議事録では、一部の委員が都立高校の入試で4技能を測るべきと述べていますが、他の委員からは、「岩手では入試にスピーキングを実施した、評価にぶれがあり、中止した」など否定的な意見もあったにもかかわらず、報告書では一方の意見−「都立高校入試でスピーキングテストを加え」と書かれているのは、なぜでしょうか。

5 附属機関ではない英語教育戦略会議が、総務局が通知をした「意見表明にとどめる」ことから逸脱し、意見をまとめ、報告書を作ったことは、地方自治法を逸脱しているのではないでしょうか。

6 英語教育戦略会議報告書について広く都民から、パブリックコメントなど意見を聴取したのでしょうか。

7 条例に定めのある附属機関ではない「英語教育戦略会議」の報告書をそのまま、他の検討をしないでその内容を執行するのも、総務局は、しないように各局に求めています。しかし都教委は、「英語教育戦略会議」の提言をそのまま実現するための計画「東京グローバル人材育成計画 ’20(Tokyo Global STAGE’20)」を策定し、その中では提言項目別の進捗状況の表まで作成するなど、審議会答申以上の扱いをしています。問題があるのではありませんか。

8 「英語教育戦略会議」で出た「報告書」の「都立高校入試においても、スピーキングテストを加え、4技能を測る入試問題の実施方法の工夫について検討していくべきである」ということを、広い都民の意見を入れずにそのまま「都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」に反映させ、執行したのではないですか。

9 「東京都英語教育戦略会議 報告書」をもとに「都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」を開き、「報告書」をまとめそれをもとに「英語『話すこと』の評価に関する検討委員会」が開かれ、それぞれ、具体的にスピーキングテストの検討をしています。「都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」の冒頭では、「東京都英語教育戦略会議 報告書」について、委員長が「答申」だと述べ、また「英語『話すこと』の評価に関する検討委員会」の報告書(7頁)では「都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」の内容を「提言する」と述べています。知事の附属機関ではないこれらの検討会は「意見表明」にとどめるべきものですが、「答申」「提言」としているのは、なぜですか。

10 東京都英語教育戦略会議でGTECが検討され、「第3回都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」20頁では「A面接方式」「Bタブレット方式」が検討され、「Aは人為的なミスが起こっている」「タブレットの方が採点のブレが少ない」とされ、タブレットで行う試験方法−GTECありきで進められたのではないですか。GTECを制作し販売している株式会社ベネッセコーポレーションは、入札で有利だったのではないですか。

令和4年第二回都議会定例会
アオヤギ有希子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 中学校英語スピーキングテストを、都立高校入試に導入する検討過程について
1 2013年から2016年まで行われた、東京都英語教育戦略会議の設置目的と検討する内容についてどのように決めたか伺う。

回答
 都教育委員会は、都内公立学校の英語教育に関する方向性と施策について検討するため、平成25年に「東京都英語教育戦略会議設置要項」を策定し、設置目的と検討内容を決定しました。

質問事項
一の2 この会議のメンバーに英検とべネッセが入っているのはなぜか伺う。

回答
 「東京都英語教育戦略会議設置要項」に基づき、英語教育専門家をはじめとする外部の有識者に委員を委嘱しました。

質問事項
一の3 2014年1月28日に開かれた第4回英語教育戦略会議専門部会で株式会社べネッセコーポレーションの英語力判定統一試験(GTEC for STUDENTS)の検討を始めたのはなぜか。開示請求し開示した議事録からは、経緯が読み取れないが経緯を伺う。

回答
 都教育委員会は、平成25年に、都立高校生の英語力の現状を把握するため、英語4技能を測る試験を一部の都立高校で実施し、分析を行いました。
  この試験の業務委託先は、入札により株式会社ベネッセコーポレーションに決定しました。

質問事項
一の4 開示された議事録では、一部の委員が都立高校の入試で4技能を測るべきと述べているが、他の委員から、「岩手では入試にスピーキングを実施した、評価にぶれがあり、中止した」など否定的な意見もあったにもかかわらず、報告書では一方の意見−「都立高校入試でスピーキングテストを加え」と書かれているのはなぜか伺う。

回答
 東京都英語教育戦略会議において、外部有識者、学校関係者などから様々な角度からの意見を集約し、全ての委員の了解を得た上で報告書としてまとめました。

質問事項
一の5 附属機関ではない英語教育戦略会議が、総務局が通知をした「意見表明にとどめる」ことから逸脱し、意見をまとめ、報告書を作ったことは、地方自治法を逸脱しているのではないか、見解を伺う。

回答
 東京都英語教育戦略会議は、同会議の設置要項における設置目的に基づき、東京都独自の英語教育を推進するための中長期的方向性と施策について議論した結果をまとめ、都教育委員会に報告したものです。

質問事項
一の6 英語教育戦略会議報告書について広く都民から、パブリックコメントなど意見を聴取したのか伺う。

回答
 東京都英語教育戦略会議報告書は、委員である外部有識者や学校関係者などの意見を集約し、様々な角度から幅広く議論し、取りまとめ、都教育委員会に報告したものです。

質問事項
一の7 都教委は、「英語教育戦略会議」の提言をそのまま実現するための計画「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE’20)」を策定し、その中では提言項目別の進捗状況の表まで作成するなど、審議会答申以上の扱いをしており、問題があるのではないか、見解を伺う。
 
回答
 都教育委員会は、東京都英語教育戦略会議における提言のほか、学習指導要領の改訂や、「2020年に向けた実行プラン」の内容などを踏まえ、「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE’20)」としてまとめ、具体的な計画として示しました。

質問事項
一の8 「英語教育戦略会議」で出た「報告書」の「都立高校入試においても、スピーキングテストを加え、4技能を測る入試問題の実施方法の工夫について検討していくべきである」ということを、広い都民の意見を入れずに「都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」に反映させ、執行したのではないか伺う。
 
回答
 都教育委員会は、入学者選抜における「話すこと」の評価の在り方や今後の具体的な方向性について、幅広い観点からの検討を行うため、平成29年度に設置した東京都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会において、外部有識者、区市町村教育委員会及び学校関係者からの多様な意見を求め、議論を行いました。

質問事項
一の9 「都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」の冒頭では、「東京都英語教育戦略会議報告書」について、委員長が「答申」だと述べ、また「英語『話すこと』の評価に関する検討委員会」の報告書(7頁)では「都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」の内容を「提言する」と述べている。これらの検討会は「意見表明」にとどめるべきだが、「答申」「提言」としているのはなぜか伺う。
 
回答
 東京都英語教育戦略会議報告書、東京都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会報告書及び英語「話すこと」の評価に関する検討委員会報告書は、いずれも、多様な意見を基に幅広く議論した結果をまとめたものです。

質問事項
一の10 「第3回都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会」20頁では「A面接方式」「Bタブレット方式」が検討され、「Aは人為的なミスが起こっている」「タブレットの方が採点のブレが少ない」とされ、タブレットで行う試験方法−GTECありきで進められたのではないか。GTECを制作し販売している株式会社ベネッセコーポレーションは、入札で有利だったのではないか伺う。

回答
 民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業技術審査委員会において、4件の提案から総合評価方式により審査を行い、令和元年5月に最優秀事業者を決定しました。