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質問・条例提案

2023.02.22

本会議 原純子都議(江戸川区選出)の一般質問

2023年2月22日の本会議で、原純子都議(江戸川区選出)が一般質問を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和5年第1回定例会 > 2月22日一般質問をご覧ください)
★質問全文(質問原稿)です。

一、羽田新飛行ルートについて
二、葛西臨海水族園の建て替えについて
三、特別支援学校の教育条件整備について

【答弁】

知事(小池百合子)
教育長(浜佳葉子) 
東京都技監(中島高志) 
都市整備局長(福田至) 


一、羽田新ルートについて

 最初に、江戸川区民を苦しめている羽田新ルートの問題です。
 2020年3月29日、江戸川区では、これまでの南風悪天候時着陸便に、荒川新ルート離陸便が加わり、荒川沿い住宅地の住民は、航空機の騒音で朝7時から起こされる日々が始まりました。2021年度の江戸川区上空の飛行日数は339日、飛行回数は3万0141回。つまりほぼ毎日、朝夕を中心に90便近くがひっきりなしに頭上を飛んでいきます。
 「テレワークに集中できない、コロナ禍なのに換気ができない」「日々騒音に悩まされ、心身ともにどうにかなりそうです」などの訴えが寄せられています。川沿いには学校もあり、常に落下物、墜落などの危険がつきまとっています。
 共産党江戸川区議団が昨年実施した区民アンケートに回答した1403名のうち45%もの方々が「新ルートの撤回・中止」を求めています。都心低空飛行に反対する江戸川区民の会は、毎週水曜の朝、スタンディングで、この問題を区民にアピールし続け100回を超えました。

Q1 都は、羽田新ルートが、住民の生活環境を悪化させ、暮らしを脅かしているという認識はお持ちですか。
 住民は、羽田新ルートを中止し、元の海上ルートに戻すことを一貫して求めていますが、国交省の固定化回避検討会でも、荒川離陸ルートは検討の対象にすらなっていません。住民の声を無視する国の姿勢は、決して許されません。
 住民の反対は、江戸川区以外でも、そしてルート直下以外の地域でも広がっています。品川区では、早急に新ルートの運用停止を求める意見書を国に提出することを求める請願が、区内の全町会長・自治会長201名の過半数、101名の署名と共に区議会に提出されました。
 危険な羽田新ルートは、離陸便、着陸便とも直ちに中止すべきです。都民の安全な暮らしに責任を持つ東京都が、国に対して強く中止を迫ることを求めます。

二、葛西臨海水族園の建て替え事業について

 次に、葛西臨海水族園の建て替え事業についてです。

 都立で唯一の水族館である葛西臨海水族園は、年間140万人を超える来園者があり、多くの人に親しまれ、小中学校の教育や、大学の調査研究にも活用されています。国内外の水族館との連携も活発で、まさに都民の財産です。開園から30年以上が経ち、設備の老朽化により、現在、建て替え整備事業が計画されています。
 水族園が立地する葛西臨海公園は、東京都と都民が力をあわせ、長い時間をかけて自然環境を整えてきた歴史があり、今は野鳥が飛来し、羽を休める干潟や湿地帯、樹林が広がる東京東部の貴重な公園です。また、源流から海に至る川の流れや、そこに生きる淡水魚を子どもの目線で見ることができる淡水生物館は、水族園と並ぶ貴重な施設です。
 ところが、水族園の建て替え計画により、淡水生物館が解体されます。あわせて小川と木々の散歩道、流れのエリアが壊され、樹木が大量に伐採される可能性が高いことがわかりました。
 2月10日の環境建設委員会には二つの団体から、計画の詳細の公表、樹木の伐採はしないこと、淡水生物館を残してほしい、などの陳情が出されました。

Q1 改めて、新しい水族園の計画敷地には、何本の樹木があり、うち何本伐採し、何本移植をする計画なのか、都民に明らかにしてください。

Q2 葛西臨海公園は海沿いで、干潟や樹林では野鳥や多くの生き物が生息する自然豊かな公園です。樹木は公園の主役です。日本野鳥の会東京支部の方は、「公園の木は一本でも切ってほしくない」とおっしゃっていました。樹木の大量伐採は許されません。伐採を避ける計画に作り直すべきであり、情報を都民に公表すべきですが、いかがですか。

Q3 建替え計画をPFI方式にしたため、都民の公園なのに、どんなものになるのかも、都民に全く知らされず、都民の意見など生かすすべもありません。都民不在のPFI事業は撤回すべきですが、見解を伺います。

三、特別支援学校の教育条件整備について

 次に、特別支援学校の教育条件整備について伺います。

Q1 都議会全会一致で制定された「こども基本条例」は、「都は、こどもの学ぶ意欲や学ぶ権利を尊重し、一人一人の個性に着目し、自立性や主体性を育むために必要な環境の整備を図る」とうたっており、それは障害のある子どもたちも一緒です。知事はどう認識していますか。

 私の地元、江戸川区にある鹿本学園は、知的障害の小・中学部と肢体不自由の小・中・高等部の併置校です。隣同士だった小岩、江戸川の両特別支援学校を統合し、2014年に開校されました。児童・生徒数373人でのスタート直後から在籍数が増え続け、今年度は450人にもなりました。教職員は243人、職員室は4つもある大所帯です。
 敷地を統合し改築した結果、校舎と校庭が道路で隔てられ、橋を渡らないと行けません。子どもたちは校庭に行くときも、体育館や図書コーナーに行くときも、列を作って歩きます。校内の移動さえ、安全を確保するには管理的にならざるを得ません。
 スクールバスは28台にもなり、うち2コースは65分かかるそうです。朝、28台全部が学校に到着し、校門を閉めるまで、子どもたちは下車できません。最初に到着した子どもは、バスの中で20分近くも待つことになります。
 教育環境として余りにも大規模で、改善が求められます。

Q2 子ども一人一人の障害の特性に応じた専門的な教育を実現するため、特別支援学校の施設や教育環境の整備は都の重要な仕事ですが、どう認識していますか。

 教室不足も深刻です。鹿本学園では、知的障害部門の教室が足りず、中学部3年生は肢体不自由部門の校舎で学んでいます。さらに図工室などの特別教室や会議室を普通教室に転用しているのが11室、教室を間仕切りして2学級で使っているのが6室という実態です。
 パーテーションで区切った長細い教室で、壁にピタリと机をつけ、縦に一列に並んで課題をする子どもたち。窓側にベランダがないため、二方向避難経路が確保されていない部屋もありました。
先生方は、新年度の入学児童数が増えるたびに教室をどう確保するか悩んでいます。

Q3 鹿本学園の在籍児童・生徒が増加し、授業、通学などの面で子どもにしわ寄せがいっていることについて、都教委はどのように認識していますか。

Q4 都内で、鹿本より児童・生徒が多いのは、王子特別支援学校と羽村特別支援学校ですが、この2校は、近隣に学校建設計画があり、開校すれば在籍児童・生徒数を減らせる見込みです。一方、鹿本学園のある地域に学校新設の計画はなく、このままではあふれてしまいます。
 この地域に特別支援学校の新設を急ぐ必要がありますが、いかがですか。

Q5 都の特別支援教育推進計画第2期第2次実施計画には、新たな施設整備計画が明記されず、「検討中」とされたまま1年が過ぎようとしています。進捗状況と発表の見通しをお示しください。

 江東区の墨東特別支援学校も深刻です。以前は子どもの数が100人位だったのが、現在は167人。スクールバスも、本来の屋根付き駐車場7台分に対し、現在14台で、来年度はさらに増える予定とのことです。朝はエレベーターが渋滞し、教員が車いすを押してスロープを3階まで上がっています。特別教室の転用は20室、間仕切り教室2室となっています。

Q6 東部地域に特別支援学校を新設してほしいとの要望が都民から出されています。早急に検討すべきと考えますが、いかがですか。

 八王子特別支援学校は、学校新設により教室不足が解消されました。一時は小学部から高等部まで、460人が在籍し、ほぼすべての教室が間仕切り教室となり、転用教室での対応が続いていたそうです。2019年に八王子西特別支援学校が新設され、今は、小学部と中学1年生で85人、教職員は38人の落ち着いた学校になっています。今後中学3年生まで揃っても120人くらいの規模です。

Q7 私は学校を見学させていただきましたが、間仕切り教室はゼロになり、図工室、作業室、音楽室、プレイルームなどの特別教室や更衣室などが十分確保されていました。かつては廊下にあった図書コーナーも、図書室として整備され、長椅子で、ゆったり本を広げて読めるようになっていました。授業中に落ち着かなくて廊下を歩いていた子どもが、その後、空き教室で一人穏やかに机に向かって過ごせていました。
 このような教育環境を子どもたちに保障することこそが、東京都に求められています。どう認識していますか。

Q8 全日本教職員組合・教組共闘連絡会と「障害児学校の設置基準策定を求め、豊かな障害児教育の実現をめざす会」は、1校当たりの児童・生徒を150人以下にする提言を発表しています。
 東京都としても、子どもたちの豊かな成長発達を保障する立場で、特別支援学校の適正規模について調査研究することが必要ですが、いかがですか。

Q9 2つ以上の障害をもつ重複障害児が、重度重複学級ではなく普通学級とされている実態があります。子どもの実態に合わせ、3人で1学級の重度重複学級の対象とすべきです。いかがですか。

 教職員の適切な配置も必須です。鹿本学園は、統合前は4人の養護教諭が配置されていましたが、統合後は3人になってしまいました。都の加算1人がついているものの、とても足りません。栄養職員は、どんな大規模校でも配置基準は1人です。

Q10 都教委は、養護教諭、栄養職員、事務職員について、児童・生徒数に応じた定数改善を国に求めています。国に求めるのは重要ですが、まずは都独自に配置することを求めますがいかがですか。

 現場の声をよく聞きながら教育環境整備を進めることを求め、質問を終わります。

                    以上


【答弁】

   〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 原純子議員の一般質問にお答えいたします。
 障害のある子供の教育についてのお尋ねでした。
 障害の有無や種類、程度にかかわらず、子供の学ぶ権利を尊重し、可能性を最大限に伸ばすことができるよう、きめ細かな支援に取り組むことが重要でございます。
 その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び都市整備局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別支援学校の施設等の整備についてでございますが、学校施設やスクールバス等の教育環境の整備は都教育委員会の役割と認識しており、適切に対応しております。
 次に、鹿本学園についてでございますが、本校では在籍者数が増加しておりますが、授業等に支障が生じないように工夫しながら学校を運営しております。
 引き続き、特別支援学校については、児童生徒数の将来推計なども見据えて適切に対応してまいります。
 次に、特別支援学校の整備についてでございますが、児童生徒数の将来推計や全都的な配置バランスなどを勘案した上で、特別支援学校の新設や増改築などを実施しております。
 次に、特別支援学校の施設整備計画についてでございますが、児童生徒数の将来推計や全都的な配置バランスなどを勘案した上で、関係者とも調整しながら新設や増改築などを検討しており、決定後に公表する予定でございます。
 次に、特別支援学校の新設要望についてでございますが、児童生徒数の将来推計や全都的な配置バランスなどを勘案した上で、特別支援学校の新設や増改築などを実施しております。
 次に、特別支援学校の教育環境についてでございますが、特別支援学校の施設設備の整備は都教育委員会の役割と認識しております。
 施設を整備するに当たっては、特別教室の種類や教室の面積等の標準を示した都の施設整備標準等を踏まえ行っております。
 次に、特別支援学校の規模についてでございますが、校種、障害種別、建築条件や地域事情等を考慮して、特別支援学校ごとに規模を設定しております。
 次に、重度重複学級についてでございますが、対象となる重複障害の認定に当たっては、学校教育法施行令に定める障害の程度に二つ以上該当することが必要でございます。
 都教育委員会では、法令の定める障害の程度に該当するか否かについて、児童生徒の発達や行動、疾病等の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象者を認定しております。
 次に、特別支援学校における養護教諭等の配置についてでございますが、都においては、国の標準法に基づく定数に加え、障害種別の異なる部門を設置する場合には、児童生徒にきめ細かく対応できるよう、養護教諭等を加算し、配置しております。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、葛西臨海水族園の整備事業についてでございますが、計画敷地全体の樹木の総数は要求水準書で示しているとおり約千九百本でございますが、新施設の建築面積は計画敷地の約三分の一であり、かつ樹木の少ない芝生広場を中心に建設いたします。
 実際に支障となる樹木は、現在事業者が行っている設計において明らかになります。
 次に、新施設整備における樹木の取扱いについてでございますが、新施設の設計に当たっては、樹木への影響を極力減らすよう配慮することとしております。
 支障となる樹木の取扱いについては、今後、設計に合わせて調査を実施の上、不健全木や移植が困難な大径木など除き、移植を前提に検討することとしております。
 こうしたことを含め、事業の進捗状況について適切に公表していきます。
 最後に、事業手法についてでございますが、新施設の整備については、民間の自由な発想や最新技術等を活用するとともに、工期の短縮やコスト縮減が期待できることから、都が事業のモニタリングを行いながらPFI手法により進めることといたしました。
 整備に向けては、パブリックコメントにより都民意見を広く聴取した上で、基本構想及び事業計画を策定しております。
 また、新施設の概要については、都のホームページ上で公表しております。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 羽田新飛行経路に関する都の認識についてでございます。
 将来にわたり東京が国際競争力を持ちながら持続的な発展を続けていくためには、羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。
 新飛行経路について、都民の皆様から騒音や落下物に対する不安など様々なご意見があることは承知しております。
 都はこれまで、国に対し、騒音影響の軽減をはじめ様々な対策を求めてきており、引き続き、丁寧な情報提供と騒音、安全対策の実施などを求めてまいります。