2023年第2回定例会を終えて
2023年第2回定例会を終えて
2023年6月21日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
1 都民の暮らしと営業を守り抜き、東京の経済を立て直す都政への提案
物価高騰が深刻な中、都民の暮らしと営業を守り抜くことが、今定例会の重要な課題でした。ところが知事は所信表明で、「物価高騰」に一言も触れませんでした。補正予算案の都民生活支援も貧弱で、財源も全額国の交付金です。都は一円も出していません。都民の暮らしに目を向けない、小池知事の姿勢がはっきり表れています。
日本共産党都議団は、学校給食の無償化、大学などの学費負担軽減、国民健康保険料(税)の値下げ、電気代への支援、実体経済を立て直す提案など、思い切った取り組みを行うことを求めました。
<学校給食費> 給食のあるすべての都立学校の児童生徒2万人を対象に、1食30円を補助することになりました。予算計上は9月までですが、10月以降も補助を継続するとともに、都内17区1市5町村に広がった学校給食無償化を、都立学校をふくめた都内全体に広げるため、日本共産党都議団は引き続き全力をつくします。
<大学などの学費負担軽減> 都立大学授業料の完全無償化とともに、東京の学生全体への支援を求めました。都はこれまで大学の学費は国の責任と言うだけでしたが、教育費の負担軽減の充実に向け、関東地方知事会において都の提案により国への提案要望を取りまとめたと、初めて答弁しました。
<電気代等の高騰への支援> 都営住宅の自治会が要望している共用部分のLED化について、都は計画の前倒しを表明しました。また、補正予算に公衆浴場の燃料費高騰対策が計上されましたが、補助の増額・延長が必要です。医療機関の物価高騰対策では、わが党が求めてきた入院ベッドのない診療所等も、新たに支援の対象になりました。
<補聴器への支援> 難聴の早期発見と補聴器利用促進にむけた効果的な施策について、現在、区市町村など関係者の意見も聞きながら検討しているとの答弁がありました。大事な一歩です。
<消費を温め実体経済を立て直す提案> 最低賃金の引き上げの重要性についての質問に、中小企業が生産性の向上と賃上げの両立する働きがいのある職場づくりを行うことは必要だという認識を都が示したことは、重要です。また、実体経済を立て直すため中小企業への地に足ついた支援を求めたことに対し、東京の地域経済を支える中小企業への支援は必要、中小企業の下支えを適切に実施するとの答弁がありました。
<新型コロナ対策> 5類への移行後初の定例会でしたが、新型コロナは依然として危険な感染症であり、若者も含め後遺症も深刻な問題となっています。ところが知事の認識と対応も、補正予算案も、きわめて不十分です。病床確保料やコロナ医療費の公費負担は10月以降も継続すべきです。また、入院受け入れ時の支援金など、感染拡大時の事業を速やかに実施し、医療体制を抜本的に強化することを求めました。
2 都民の声を聞かない小池知事の姿勢が浮き彫りに
<神宮外苑> 再開発中止を求めた故・坂本龍一さんの知事宛ての手紙について、知事は受け止めについても、読んだかどうかという事実についても答弁に立ちませんでした。そういう知事の姿勢は、厳しく批判されています。
国際環境影響評価学会の日本支部は、「事業者による一方的な説明に終始し科学的議論は不十分だった」と指摘し、改めて都の審議会にイコモスの専門家を招いて公開の議論を行うことと、評価書に対する疑義が解明されるまで事業者に工事の中止を命じることを求めました。都は、審議会で、住民等に対し、丁寧かつ真摯に対応することを事業者に求める発言があったことを、わが党への答弁で認めました。知事は、日本イコモスと事業者の両者による議論のテーブルを用意すべきです。
<五輪の談合・汚職> 五輪組織委員会に対する都の監査報告書がスポンサー契約や専任代理店契約の公開等を求めていることへの受け止めについて、知事は答弁に立たず、談合への都の関与の調査を求めたことにも明確な答弁がありませんでした。都は生活文化スポーツ局国際スポーツ事業部に、部長を18人、課長を40人も配置し、世界陸上などの国際大会の招致・開催にまい進しています。五輪の闇の徹底解明と根本的な反省のないまま、利権がつきまとうスポーツビジネスに東京都が肩入れし、再び多額の税金を投入することは許されません。
3 都民の安全・安心にかかわる重要課題に正面から取り組み、打開する提案
<気候危機対策> 国連の気候変動に関する政府間パネルIPCCの第6次報告書が、大幅かつ急速な温室効果ガスの排出量削減を各国に求めたことを受け、日本共産党都議団は、都の目標や計画の前倒し、見直しを求めました。知事も、世界や日本の動向も踏まえ的確に対策を講じると答えました。その後、都が国に、第6次報告書を踏まえた対応を求めたことは重要です。
しかし一方で、知事が設置した有識者会議の「エネルギー問題アドバイザリーボード」は、石炭火力、火力発電を延命させるためのものです。世界の努力に逆行する会議は、早急にやめるべきです。
<有機フッ素化合物による水汚染> 健康への影響が懸念される有機フッ素化合物の汚染実態の解明に対し、都が調査を大幅に前倒しすると答弁したのは重要です。しかし実際は、調査の中身も都民の健康を守る対策も、きわめて不十分であり、希望する都民が受けられる血液検査と大規模な疫学調査を都として行うことを求めました。
<統一協会> 多摩市の広大な土地を統一協会が購入した問題で、近隣の都立永山高校への影響についての質問に教育長が、生徒が安心して学べる教育環境の確保に努めていくと答弁したことは重要です。
<防災対策> 急増するタワーマンションが抱える震災対策の課題についての質問に対し、都は、タワーマンションをはじめとしたマンション防災の取り組みは喫緊の課題だという認識を示しました。
4 子どもも教師も輝く教育への転換を進める提案
<深刻な教員不足> 教育長は、ICTや外部人材の活用で教員の働き方改革をすると答弁しましたが、そのような対策だけでは解決しません。わが党は、高校生や保護者の具体的な声も示して、過度の管理と競争を強いる教育政策が教員のやりがいを奪っている現状の打開と、教員の労働環境の改善を同時に進めることを求めました。
<英語スピーキングテスト> 保護者は中止を願いつつ、せめて公平なテストをと改善を求めたにもかかわらず、都教委は「テストは適切に実施されている」と耳も貸しませんでした。また、中学校教員からの授業がテスト対策に浸食され、ゆがめられているとの指摘も無視し突き進む姿勢は許されません。直ちにテストを中止し、教育行政として教育環境の整備に取り組むべきです。
<特別支援学校の図書館> 蔵書数が国の標準を満たしているのは、小学部で12.5%、中学部では2.2%に過ぎないこと、58校中10校に図書室がなく、うち4校にはもともと図書室がなかったことが、わが党の質問で明らかになりました。図書室がないところには早期に図書室を作り、図書標準を満たすよう求めました。
5 条例提案や国への意見書で、他会派との共同を広げる努力
わが党は、都立看護専門学校の授業料、入学料等を完全に無償化する条例案を提出しました。都立大学は来年度から、看護学科も含め、所得制限はありますが授業料が無償化されます。ところが都立直営の看護専門学校は、学費軽減の方針が示されていないためです。自民、公明、都民ファ、立憲、維新、自由を守る会の反対で成立しませんでしたが、わが党と、ミライ会議、グリーンな東京、生活者ネット、緑を守る会の5会派が賛成しました。
また、給特法を廃止して教員の時間外労働にきちんと残業代を支払うことを国に求める意見書案や、健康保険証廃止・マイナンバーカードへの一体化の中止を国に求める意見書案など、他会派との共同提案にも取り組みました。都議会では意見書は全会一致が原則のため採択に至りませんでしたが、引き続き一致点での共同を広げる努力を進めます。
6 平和を守り、希望が持てる東京・日本へ全力
岸田政権が、敵基地攻撃能力の保有など、大軍拡を進めようとしていることは許されません。他方、小池知事は、他国からミサイルを打たれることを当然のこととして、「備えよ常に」と強調しました。
今必要なことは、戦争の準備ではなく平和の準備です。日本共産党都議団は、東京都平和祈念館を建設し、憲法9条を生かした平和の地域外交、平和の発信を進めるために、19議席の力を生かしてがんばります。
以 上