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質問・条例提案

2023.03.24

文書質問 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」について、島しょ振興について 、同和問題に関する専門相談について 、人権施策推進指針について 原のり子(北多摩第4選出)

2023年第1回定例会で以下の文書質問を提出しました。

質問事項
 一 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」について
 二 島しょ振興について
 三 同和問題に関する専門相談について
 四 人権施策推進指針について

回答
 一 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」について
 二 島しょ振興について
 三 同和問題に関する専門相談について
 四 人権施策推進指針について

一 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」について
 長引くコロナと物価高騰で、障害者の暮らしはますます厳しくなっています。もともと少ない工賃が、さらに少なくなっている、という声や、医療費がかかるのでできるだけ病院に行くことを控えている、という声も聞かれます。こうしたなかでの調査では、様々な障害の種別や重さの障害者の生活実態や医療費の負担について、詳細に把握することが必要です。

1 改めて、東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」の目的をうかがいます。

2 できるだけ詳細に把握するためには、対象者や人数も重要です。障害種別、等級、年齢など、偏りなく聞き取るようにすべきだと思いますが、どのように考えていますか。

3 調査のスケジュールはどのようになっていますか。

4 調査項目は、どのように決めていくのですか。

5 医療費は命にかかわることから、よりていねいに聞き取ることが必要です。医療費の負担がどのぐらいになっているのか、受診を控えるなどの状況はないか、回答者の負担に配慮しつつも、詳細に調査すべきだと思いますが、いかがですか。

二 島しょ振興について
 2023年度から10年間の離島振興計画が策定されます。島しょ町村民をはじめ、都民の意見を十分に聞き、より良い計画にしていくことが求められています。離島であるがゆえに、東京の島しょ地域はさまざまな苦労があります。

1 離島振興法では、第1条(目的)に、産業基盤や生活環境等に関する地域格差の是正をはかる、とあります。また、第5条(事業の実施)では、国、地方公共団体その他のものが実施する、とあります。島しょ地域の困難を解決するためには、東京都がどのように役割を果たしていくかもとても重要です。認識をうかがいます。

 どこの島でも共通して課題になっているのが、医療です。命にかかわる問題であり、島のみなさんが安心して医療機関にかかれるようにすることは、切実かつ焦眉の課題です。
 離島振興法第11条の2「国及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域における保健医療サービス、介護サービス、高齢者福祉サービス及び保育サービスを受けるための条件の他の地域との格差の是正を図るため、離島振興対策実施地域の住民がこれらのサービスを受けるための住民負担の軽減について適切な配慮をするものとする。」とあり、保健医療など、他の地域との格差是正を国及び地方公共団体に義務付けています。同じ都民でありながら、島外医療をうけるときの交通費や宿泊費の負担は重く、大きな格差があります。

2 現在、伊豆諸島の町村では島外医療機関への通院助成を行っていますが、東京都には制度がありません。町村任せにせず、東京都も支援をすべきと考えますが、いかがですか。

 かつては、東京都の「巡回診療」がありましたが、廃止され、その後実施主体が町村に変更され、「専門診療」がおこなわれています。専門診療は、島しょ地域の町村の要請により、本土から眼科や耳鼻咽喉科などの医師や看護師を派遣する制度となっています。島内に専門診療科がなかったり、少ないなどの課題がある島しょ地域では重要な制度ですが、年に数回のため受診機会が限られてしまいます。そのため、診療の日には何十人もの受診となり、医師や看護師、住民にも大きな負担です。

3 専門診療については、町村が希望すれば、複数の医師や看護師を派遣できるのか伺います。また、新島村のような2島1村の場合、両方の島に派遣できるのですか。都が実施している町村に対する支援内容を伺います。

4 専門診療の回数を増やすために、補助の上限の引き上げや撤廃などを検討すべきですが、いかがですか。また、日常的に医師や看護師を確保できるようすべきですが、いかがですか。

  次に、具体的な急がれる問題についてうかがいます。

5 新島村で新島と式根島を結ぶ村営連絡船が座礁により運航不能となり、現在は漁船で代行しています。修理をするにも大きな金額と時間を要し、村の負担は重いものがあります。漁船は連絡船と違い、波の影響を直接受け、高齢者は乗り降りに大きな困難があり、「怖い」との声も聞かれます。2島1村である新島村のこうした困難についての認識をうかがいます。

6 離島振興計画素案では、「離島航路を維持するため、国との連携により、引き続き、運航事業者の航路運営に係る損失への支援を実施していく」とあります。こうした立場にたてば、村営連絡船であっても、東京都ができる支援をしていくべきと考えますがいかがですか。

三 同和問題に関する専門相談について
 同和問題に関する専門相談についてうかがいます。現在、火曜日と金曜日(祝日・年末年始除く)に、受託事業者の事務所において、電話と対面で実施されています。

1 電話での相談件数が2019年度205件、2020年度364件、2021年度556件と増加しています。その要因はどのようにみていますか。

2 週2日の相談で、556件ということですが、この件数は、人数でカウントしていますか。一人で何件も相談があった場合は、件数にカウントしていますか。

3 相談内容はどういうものですか。差別をなくすことが大事ですから、専門相談の相談内容をきちんと分析して明らかにすべきと考えます。専門相談開始後、同和を理由とした差別の相談はどのぐらいあったか、その内容はどういうものか、本人からの相談か、同和を理由としない相談内容はどういうものか、同和にかかわるものとかかわらないものの比率はどうか、うかがいます。

4 対面での相談も実施しているとのことですが、その件数は何件ですか。対面での相談にする場合の基準はありますか。

5 ホームページでは、場所のお知らせはありません。あくまで電話で対面を希望したら事務所をお知らせして直接来てもらうということでしょうか。

6 この相談事業は競争入札で受託者が決まっていますが、この5年間、入札への参加者数とともに、受託者は同じ事業者かうかがいます。

7 都人権プラザでは人権の一般相談が実施されています。同和について、専門相談としてとりださなくても、一般相談の中で対応すればよいと考えます。見解をうかがいます。

四 人権施策推進指針について
 2019年の文書質問において、東京都人権施策推進指針の全面改定を求めたのに対し、「今後の改定の必要性や時期等につきましては、社会経済状況の変化等を踏まえ、慎重に検討していきます」との答弁がありました。その時点においても、子どもやトランスジェンダーに関する人権意識の発展から全面改定を求めたものですが、その後も人権に関する認識の変化や発展が続いています。

1 2015年改定時から、現在までの間、人権に関する認識や課題は変化していると、都として認識していますか。

2 人権は、多数派が少数派の権利を認める、というものではなく、すべての人に生まれ持って存在しているものと認識していますか。

3 東京都人権施策推進指針は、今日の到達を踏まえ、全面改定すべきです。認識と工程を伺います。

令和5年第一回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」について
 1 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」の目的について伺う。

回答
 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」は、都内に居住する身体障害者、知的障害者及び精神障害者並びに難病患者の生活実態を把握することにより、都における障害者施策の充実のための基礎資料を得ることを目的としています。

質問事項
 一の2 できるだけ詳細に把握するためには、対象者や人数も重要である。障害種別、等級、年齢など、偏りなく聞き取るようにすべきだが、どのように考えているか伺う。

回答
 調査対象者は、都内に居住する18歳以上の身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳の各手帳所持者及び難病医療費助成の支給認定を受けた患者から無作為抽出した7,600人です。

質問事項
 一の3 調査のスケジュールはどのようになっているか伺う。

回答
 都は、学識経験者、障害者団体代表、障害者本人等による調査検討会などで調査項目等を検討し、令和5年10月頃にアンケート調査を実施することとしています。
 結果は、調査検討会で取りまとめの上、令和6年秋頃に報告書を公表することとしています。

質問事項
 一の4 調査項目は、どのように決めていくのか伺う。

回答
 調査項目は、学識経験者、障害者団体代表、障害者本人等による調査検討会等で検討することとしています。

質問事項
 一の5 医療費は命にかかわることから、よりていねいに聞き取ることが必要だ。医療費の負担がどのぐらいになっているのか、受診を控えるなどの状況はないか、回答者の負担に配慮しつつも、詳細に調査すべきだが、見解を伺う。

回答
 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」の実施に当たっては、調査検討会のほか、都の障害者施策について障害のある方等と協議するために設置している東京都障害者団体連絡協議会にも意見を聴取しています。
 なお、医療費については、プライバシーに関する事項であり、正確に把握することは困難と考えています。

質問事項
二 島しょ振興について
 1 島しょ地域の困難を解決するためには、都がどのように役割を果たしていくかもとても重要だが、認識を伺う。

回答
 都は、離島振興法に基づき、東京都離島振興計画を策定することとしており、都としては、これまでも伊豆諸島の基幹産業である農業、水産業、観光等に係る産業基盤や生活基盤の整備などに取り組んでいます。

質問事項
 二の2 現在、伊豆諸島の町村では島外医療機関への通院助成を行っているが、都には制度がない。町村任せにせず、都も支援をすべきだが、見解を伺う。

回答
 島しょ地域の住民が本土の医療機関を受診する際の交通費等の支援は、町村が地域の実情に応じて実施しています。

質問事項
 二の3 専門診療については、町村が希望すれば、複数の医師や看護師を派遣できるのか伺う。また、新島村のような2島1村の場合、両方の島に派遣できるのか。都が実施している町村に対する支援内容を伺う。

回答
 都は、へき地専門医療確保事業により、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科など、島しょの町村内で確保することが困難な診療科の専門医師等を確保し、定期的に診療を実施する町村に対し、医師等の確保経費を補助しています。
 本事業は、地域の実情を踏まえ、複数の医師の確保や診療の実施場所の選定が可能です。

質問事項
 二の4 専門診療の回数を増やすために、補助の上限の引き上げや撤廃などを検討すべきである。また、日常的に医師や看護師を確保できるようすべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、へき地専門医療確保事業により、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科など、島しょの町村内で確保することが困難な診療科の専門医師等を確保し、定期的に診療を実施する町村に対し、医師等の確保経費を補助しています。
 また、へき地勤務医師等確保事業等により、島しょの全町村において常勤医師を確保するとともに、画像電送システムを活用した専門医による診療支援を行っています。

質問事項
 二の5 新島村で新島と式根島を結ぶ村営連絡船が座礁により運航不能となり、現在は漁船で代行している。修理をするにも大きな金額と時間を要し、村の負担は重いものがある。漁船は連絡船と違い、波の影響を直接受け、高齢者は乗り降りに大きな困難があり、「怖い」との声も聞かれる。2島1村である新島村のこうした困難についての認識について伺う。

回答
 新島村の村営連絡船の「にしき」が、久里浜沖で座礁したことは把握しています。

質問事項
 二の6 離島振興計画素案では、「離島航路を維持するため、国との連携により、引き続き、運航事業者の航路運営に係る損失への支援を実施していく」とある。こうした立場にたてば、村営連絡船であっても、都ができる支援をしていくべきだが見解を伺う。

回答
 都は、国が実施する離島航路補助制度に基づき、本土と離島を結ぶ航路等について国と連携して補助を実施しています。
 本制度では、一つの離島につき一つの航路のみを補助対象としており、新島と式根島間は、下田を起点とする神新汽船の航路が対象となっていることから、村営連絡船については対象外となっています。

質問事項
三 同和問題に関する専門相談について
 1 電話での相談件数が2019年度205件、2020年度364件、2021年度556件と増加している。その要因はどのようにみているか見解を伺う。

回答
 相談件数の増加については、平成30年に開始した「同和問題に関する専門相談」の都民への周知が進んできたこと、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、生活や事業運営に不安を抱える方々の相談ニーズが高まったことがその要因と考えています。 

質問事項
 三の2 週2日の相談で、556件ということだが、この件数は、人数でカウントしているか。一人で何件も相談があった場合は、件数にカウントしているか伺う。

回答
 相談件数は、電話又は対面での相談の都度、1件と計上しています。

質問事項
 三の3 相談内容はどういうものか。差別をなくすことが大事であるため、専門相談の相談内容をきちんと分析して明らかにすべきだが、専門相談開始後、同和を理由とした差別の相談はどのぐらいあったか、その内容はどういうものか、本人からの相談か、同和を理由としない相談内容はどういうものか、同和にかかわるものとかかわらないものの比率はどうか、伺う。

回答
 専用相談に相談してきた方は、同和問題に関する相談をされてきたものと認識しています。また、本人か否かを問わず相談に対応しており、個別の集計は行っていません。

質問事項
 三の4 対面での相談も実施しているとのことだが、その件数は何件か。対面での相談にする場合の基準はあるか伺う。

回答
 令和3年度は、対面で相談を行った件数は446件です。
 対面での相談は、相談者の希望により行っています。

質問事項
 三の5 ホームページでは、場所のお知らせはない。あくまで電話で対面を希望したら事務所を知らせて直接来てもらうということか、見解を伺う。

回答
 対面での相談については、事前の予約を求めており、電話での予約の際に、相談場所を案内しています。

質問事項
 三の6 この相談事業は競争入札で受託者が決まっているが、この5年間、入札への参加者数とともに、受託者は同じ事業者か見解を伺う。

回答
 同和問題に関する専門相談については、毎年度、総合評価方式による入札によって、受託者を決定しています。
 この5年間は、いずれの年も入札参加者は1者であり、同一の事業者です。

質問事項
 三の7 都人権プラザでは人権の一般相談が実施されている。同和について、専門相談としてとりださなくても、一般相談の中で対応すればよいと考えるが、見解を伺う。

回答
 同和問題に関する専門相談は、同和問題に関する都民の悩みや不安の解消及び同和問題に関する正しい知識の理解促進を図ることを目的として実施しており、相談窓口では、都民からの相談に対し、専門的な知識をもつ相談員が、助言や情報提供を行うとともに、必要に応じて適切な支援機関に繋いでいます。
 同和問題に関連した相談のほとんどは、東京都人権プラザの一般相談ではなく、専門相談に寄せられており、都民の専門相談へのニーズがあるものと考えています。

質問事項
四 人権施策推進指針について
 1 2015年改定時から、現在までの間、人権に関する認識や課題は変化していると、都として認識しているか伺う。

回答
 平成27年8月に人権施策推進指針を改定して以来、国では、それぞれの課題に関する取組を推進するため、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」、「部落差別の解消の推進に関する法律」、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」など、人権課題に関する法律を施行しています。
 都においても、この間、東京2020大会の開催も契機として、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念を広く都民に浸透させていくため、人権尊重条例を制定し、性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消及び啓発等の推進や、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消等に取り組んできました。
 都としては、こうした取組により、多様性の尊重等に関する都民の理解が進んできたと考えています。

質問事項
 四の2 人権は、多数派が少数派の権利を認める、というものではなく、すべての人に生まれ持って存在しているものと認識しているか伺う。

回答
 人権とは、誰もが生まれながらに持っている、人間が人間らしく生きていくための権利と認識しています。

質問事項
 四の3 東京都人権施策推進指針は、今日の到達を踏まえ、全面改定すべきだが、認識と工程について伺う。

回答
 東京都人権推進指針は、平成12年に策定し、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に平成27年8月に改訂しました。
 この指針では、あらゆる差別を許さないという人権意識が広く社会に浸透すること、多様性を尊重し、様々な違いに寛容であることなどを基本理念として、人権施策の推進に取り組み、国際都市にふさわしい人権が保障された都市を目指すとしており、この考え方は今日においても同様です。