教職員と自治体職員の婦人科検診の実施状況について
★会見する(右から)池川友一、尾崎あや子、とや英津子、斉藤まりこの各都議(2023.10.26)
★発表文書・資料一式(PDF)
★尾崎あや子都議の文書質問(PDF)
教職員と自治体職員の婦人科検診の実施状況について
2023年10月26日
日本共産党東京都議会議員団
多摩地域の市の小中学校の教職員から「これまで職場の健康診断の項目に婦人科検診(乳がん・子宮がん検診)があったが、廃止された。復活してほしい」との声が寄せられています。
厚生労働省の調査によれば、女性が最も多くかかるがんは乳がんで、しかも30代前半から急増し40代後半にピークを迎えます。子宮がんは乳がんより罹患者の増える年齢が低く、現役世代では乳がんに次ぐ罹患率となっています。国際的に見ても、女性の命と健康を守るために婦人科検診は欠かせないものとなっています。
また、都保健医療局の調査によれば、がん検診が職場で行われる場合は対象者の約8割が受診していますが、他に受診機会がない場合に受ける区市町村検診の受診率は3割未満と激減し、受診のハードルが高くなることがわかります。
子どもたちや住民のために働く教職員・自治体職員が健康を保ちながら快適に勤務できる環境を確保することは、事業主である自治体の責務です。教員の長時間労働や教員不足が社会問題となるなか、女性の健康に大きく影響する婦人科検診を職場検診から外して受けづらくすることは、ジェンダー平等にも反する後退だと言わざるをえません。
そこで日本共産党都議団は、小中学校の教職員の婦人科検診の実施状況について調査を行い、あわせて自治体職員についても調査しましたので、結果を報告します。
【調査の概要】
調査対象:都内全区市町村(23区・多摩地域30市町村・島しょ地域9町村)
調 査 日:2023年8月17日~9月8日
調査方法:調査票にチェックまたは記入してもらう方式により調査
【結果の概要】
|
★区市町村別の実施状況(PDF)
【結果からわかること】
- 学校教職員の婦人科検診が、多摩地域では次々と廃止されていました。教職員は都が雇用し、各自治体に配置・異動を行います。配置自治体により受けられない検診があることは納得できるものではありません。都の支援も含め改善が求められます。
- 廃止や不実施の理由として、居住自治体や共済組合で受診可能なことがあげられていますが、受けやすさを考えれば職域検診として勤務時間内に実施すべきです。
- 東京都立がん検診センターの職域検診廃止(2019年度)も理由とされ、都の責任が問われます。他に財政難や市職員とのバランスをあげた市もありました。
- 自治体職員の婦人科検診は、さらに大きな多摩格差となっていることがわかりました。教職員の検診を廃止する口実にもなっており、都が支援して改善すべきです。
★不実施・廃止の理由の回答(PDF)
※尾崎あや子都議の文書質問(2023年第3回定例会)もご覧ください(答弁は12月になります)。
※都立学校の教職員や東京都職員は、婦人科検診を勤務時間内に受けることができます。
【参 考】
《婦人科検診が廃止された自治体の教職員の声》
- 以前勤めていた学校(23区内)では、教職員健康診断と同様に婦人科検診が実施されていたので、婦人科検診がないことに驚きました。自分で住んでいる自治体に申し込み予約を取り、仕事を調整することは負担に感じました。
- 婦人科検診がなくなって、忙しさもあり、手続きを忘れてしまい、手続きの時間を取れず機会を逸した。
- (以前は)夏季休暇の中で職免を使って検診を受けられるのがとてもありがたかったです。
- 中3の時の担任が末期のがんで発見され、1年もたたずに亡くなってしまい、生徒としてとてもショックだったので、児童や生徒のためにも大切だと思います。
《「全国がん登録 罹患数・率 報告」(厚生労働省)より》
以 上