文書質問 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前後の救急活動時間について 東京都立病院における精神疾患患者に対する透析医療の実態について 藤田りょうこ(大田区選出)
2023年第2回定例会で以下の文書質問を提出しました。
令和5年第二回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 藤田りょうこ
質問事項
一 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前後の救急活動時間について
二 東京都立病院における精神疾患患者に対する透析医療の実態について
答弁
一 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前後の救急活動時間について
二 東京都立病院における精神疾患患者に対する透析医療の実態について
一 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前後の救急活動時間について
2023年第2回定例会の厚生委員会の質疑にて、救急搬送困難事例、いわゆる東京ルールの適用件数は、コロナパンデミック以前と比べて著しく増加し、救急搬送全体に占める割合は、コロナ前の2019年が1.27%だったのに対し、2022年は7.29%であった。医療機関はもともと、熱中症の多い夏や、脳卒中や虚血性心疾患などの急性疾患が多い冬に、救急搬送が増加する傾向にあるが、コロナ後は、感染拡大していない時期においても、東京ルール事案が多くなっていた。
2023年6月16日の厚生委員会の資料では、今年5月の東京ルール事案は、コロナ前の2019年と比べて約4倍にも増えていた。年間を通じて、医療機関での受け入れが難しくなっており、救急搬送にかかる時間の延長は、命に直結する重大な問題となっている。
1 コロナ感染が拡大すると救急活動時間も伸びている。そこで、救急隊出場から現場到着までの時間について、コロナ前の2019年8月と感染拡大第7波の2022年8月の時間、および、2020年1月と感染拡大第8波の2023年1月の時間について、それぞれうかがう。
2 また、救急出場から現場到着までの時間について、コロナ以前の2019年5月と2023年5月の時間についても、それぞれうかがう。
3 救急隊出場から現場に到着する時間が延伸する要因についてうかがう。
4 救急隊の現場到着から、医療機関に到着するまでの時間について、コロナ前の2019年8月と感染拡大第7波の2022年8月の時間、および、2020年1月と感染拡大第8波の2023年1月の時間について、それぞれうかがう。
5 また、救急隊の現場到着から、医療機関に到着するまでの時間について、コロナ以前の2019年5月と2023年5月の時間についても、それぞれうかがう。
医療機関では、コロナ患者以外の患者であっても、感染防止対策を確実に行う必要があり、感染拡大時であるか否かを問わず、救急患者の受け入れに当たっては相当な時間を要するようになった。医療現場においては、医師や看護師などの増員をはじめとした医療体制の抜本的な強化が必要である。同時に、昨年末の救急車の横転事故では、1つの救急隊が17時間連続して活動に対応しており、医療機関の受け入れが困難になると、救急隊も1隊で連続していくつもの現場を回らなければならなくなる。コロナに限らず、感染症に強い東京にするために、救急隊の体制強化を行うよう求める。
二 東京都立病院における精神疾患患者に対する透析医療の実態について
都内には、精神疾患患者の慢性期の透析医療、いわゆる維持透析が行える医療機関が極めて少ないことから、精神科身体合併症の中でも透析が必要な方は滝山病院にお願いせざるを得ない状況があった。
1 現在、滝山病院に入院している患者は何人か。そのうち、人工透析を行っている患者は何人か、伺う。
2 都は現在、滝山病院に入院している患者の希望を聞いて、退院支援を行っている。透析を行っている患者が転院を希望した場合、どう対応するつもりなのか伺う。
都立松沢病院の前院長である、齋藤正彦名誉院長は、透析が必要な精神科患者は、不採算な部分を診療報酬で対応するのではなく税金で診るべき、と指摘をしている。
3 現在、都立病院には何台の透析ユニットがあるのか、精神科を有する病院ごとに伺う。また、過去3年の、精神疾患患者への透析の実績と、維持透析の実績を伺う。
4 精神科病棟のある都立荏原病院において、透析を行っていないのはなぜか、理由を伺う。
5 都立病院の透析ユニットを増やし、近隣の施設に入所されている、もしくは他の医療機関に入院されている精神疾患患者の維持透析を受け入れる仕組みを作るべきである。見解を伺う。
滝山病院に入院している患者が、退院や転院を希望しても、受け入れられる施設や医療機関がなければ、事態は解決できない。都が患者の人権に責任を持った対応を行うよう、強く求める。
令和5年第二回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前後の救急活動時間について
1 コロナ感染が拡大すると救急活動時間も伸びているが、救急隊出場から現場到着までの時間について、コロナ前の2019年8月と感染拡大第7波の2022年8月の時間、および、2020年1月と感染拡大第8波の2023年1月の時間について、それぞれ伺う。
回答
救急隊出場から現場到着までの時間は、令和元年8月は6分57秒、令和4年8月は11分26秒、令和2年1月は6分35秒、令和5年1月は速報値で11分38秒です。
質問事項
一の2 また、救急出場から現場到着までの時間について、コロナ以前の2019年5月と2023年5月の時間についても、それぞれ伺う。
回答
救急隊出場から現場到着までの時間は、令和元年5月は6分12秒、令和5年5月は速報値で8分48秒です。
質問事項
一の3 救急隊出場から現場に到着する時間が延伸する要因について伺う。
回答
救急出場件数の増加及び救急活動時間の延伸に伴い、近隣の救急隊が出場中となり、遠方の救急隊が出場してくるため、到着までの時間が延伸するものと考えられます。
質問事項
一の4 救急隊の現場到着から、医療機関に到着するまでの時間について、コロナ前の2019年8月と感染拡大第7波の2022年8月の時間、および、2020年1月と感染拡大第8波の2023年1月の時間について、それぞれ伺う。
回答
救急隊の現場到着から医療機関に到着するまでの時間は、令和元年8月は30分49秒、令和4年8月は43分49秒、令和2年1月は32分11秒、令和5年1月は速報値で50分10秒です。
質問事項
一の5 また、救急隊の現場到着から、医療機関に到着するまでの時間について、コロナ以前の2019年5月と2023年5月の時間についても、それぞれ伺う。
回答
救急隊の現場到着から医療機関に到着するまでの時間は、令和元年5月は26分54秒、令和5年5月は速報値で38分5秒です。
質問事項
二 東京都立病院における精神疾患患者に対する透析医療の実態について
1 現在、滝山病院に入院している患者は何人か。そのうち、人工透析を行っている患者は何人か、伺う。
回答
令和5年7月1日現在、滝山病院に入院している患者は105人で、そのうち人工透析を行っている患者は26人です。
質問事項
二の2 都は現在、滝山病院に入院している患者の希望を聞いて、退院支援を行っているが、透析を行っている患者が転院を希望した場合、どう対応するつもりなのか伺う。
回答
都は、本年5月より、一般社団法人東京精神保健福祉士協会の協力を得て、滝山病院に入院中の患者への転院及び退院等に向けた支援を行っています。
質問事項
二の3 現在、都立病院には何台の透析ユニットがあるのか、精神科を有する病院ごとに伺う。また、過去3年の、精神疾患患者への透析の実績と、維持透析の実績を伺う。
回答
精神科を有する都立病院の透析室には、広尾病院5台、豊島病院6台、墨東病院16台、多摩総合医療センター12台、松沢病院2台の透析装置を配置しています。また、精神科の入院患者に対する透析実施件数は、令和2年度201件、令和3年度262件、令和4年度337件で、そのうち継続的に行う維持透析は令和2年度172件、令和3年度236件、令和4年度295件です。
質問事項
二の4 精神科病棟のある都立荏原病院において、透析を行っていないのはなぜか、理由を伺う。
回答
都立荏原病院では、他の医療機関等との適切な役割分担と密接な連携の下、行政的医療をはじめとする医療を提供しています。なお、患者の希望等に応じて他の都立病院も紹介しています。
質問事項
二の5 都立病院の透析ユニットを増やし、近隣の施設に入所されている、もしくは他の医療機関に入院されている精神疾患患者の維持透析を受け入れる仕組みを作るべきだが、見解を伺う。
回答
都立病院は、透析を含む精神科身体合併症医療など、急性期の精神科医療を提供しています。